ふうま父子二代の女難   作: 小次郎

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三人娘は零アサギ、若さくら、若紫がイメージです。
ですから下手なオリ名をつけるのは止めて同じ名を使用しています。
母娘で出ている時は名前は出さない方針です。


第二話  三人娘との任務

「必要ありません、私達三人だけで充分です」

 校長室に呼び出され任務を受けるのは常だけど、今回に関しては受け入れ難いわ。

 チームを組んでの任務なら、いつものメンバーが最適解よ。

「お姉ちゃん、そんな事言わないの。いいじゃない、一人増えるくらい」

「お荷物はいらないわ」

「で、ですがサポート役がいれば我々も色々と助かるのでは」

「最短最速で事を済ませればいいことよ、案内役も手配済みなのだから」

 追加メンバーとして紹介されたのは、同じ室内で所在無げに突っ立っている件の男、ふうま小太郎。

 先日の訓練でそれなりに有能なのは理解しているわ、だけど明らかに指揮官か参謀のタイプよ。

 他の者ならいざ知らず、私達の動きに付いてこれなければ指示も何もあったものじゃないでしょう。

 私は校長に視線を戻し意思を込めて見据える。

 ・・何を心配しているのか知らないけど、私は任務を軽んじた事など一度も無い。

 父親が誰かも分からない子を産んだ貴方の様な目に、絶対にあってたまるものかっ!

 

 

 ふうま父子二代の女難  第二話

 

 

 東京キングダム、享楽と退廃の一大スラムの都市。

 無言で足を進めるアサギの後ろを、時折こちらに顔を向けてくれる紫に頷きを返しつつ付いていく。

 任務の内容は人身売買組織の壊滅で完全に荒事、確かに俺には不向きだからアサギの態度も分からなくはない。

 彼女達はキチンとブリーフィングを行い成功率が高い作戦を考案していて、一応気になった点を進言したら不承不承ながらも考慮してくれた。

 実家の現役隊員のレベルを知る俺から見ても、任務に取り組む覚悟と責任感は勝るとも劣らない程だ。

 むしろ俺がいてもいいのかと真剣に思う。

 アサギの足が止まる、案内人との待ち合わせ場所に着いたようだ。

「よう、アンタ達が依頼人の対魔忍か?」

 右手の細い路地から声を掛けてきたのは隻眼に銃を背負った魔族の男。

 アサギ達は初見の様だが、俺は知っている。

「うん?てめえ、ふうまのガキかよ?」

「よりにもよって、ゾクト、案内人ってあんたかよ」

「ヤレ男、知り合いなのか?」

「・・親父の伝手でな」

 一気に今回の任務の難易度が上がっちまった、こいつは確かに有能な奴だ、良い意味でも悪い意味でもな。

 こいつが関わる仕事は危険過ぎる、成功と失敗を極端に振り分ける存在だから事前の作戦も情報も全てがパーになる可能性を頭に入れとけとまで親父に言われてるんだ。

 俺はゾクトの事を手短にアサギ達に説明する、ゾクトが心外だぜと訴えるが知った事か。

「フン、成程ね。・・さくら!」

「はいは~い、おじさん、動くと危ないからね~」

 突如ゾクトの背後から現れたさくらがゾクトの首に苦無を添えていた。

「裏切ると言うのなら好きにするといいわ、命が要らないならね」

「だ、大丈夫だ。絶対に裏切ったりしねえ、俺だって命が惜しいからよ」

 闇の世界の住人なら命の遣り取りには場慣れしているだろうが、警戒しても防げそうにないさくらの影遁での攻撃には流石に肝を冷やしたようだ。

 改めてゾクトが俺達を先導する。

 その後ろには不死覚醒で何があっても対処が可能な紫が続き、その次に俺とアサギだ。

 さくらは影に潜ませての追従、三人の言葉も交わさず自然と取る行動に感心する。

 何が起こっても対応できる人員配置だ。

 そもそも案内人というのは標的に此方の情報を持ち込ませない為にこそいる。

 砂漠や草原などの身を隠す障害物が無い地や、人体に有害なものが大気中に蔓延でもしていない限り人の完全に居ない場所なんてまず無い、人の目なんてものは何処かにある。

 だからこそ裏切られるリスクを取ってでも、穏便に俺達を見なかった事にしてくれる人間を雇う必要があるんだ。

 そして情報が正しく、身内の統制が取れて、相手の心構えは出来ておらず、戦力は十分、はい、完璧な任務遂行。

 そこで首と胴がお別れした金持ってそうなオッサン、全く状況を理解出来ないままであの世に逝ったよ。

 任務完了で俺達は早々に撤収、後は連絡済の回収班に拾って貰って五車に帰るだけだ。

「ねえ、お腹空いたしラーメンでも食べていかない?」

「五車に帰るまでが任務よ、我慢しなさい」

「アサギ様の仰る通りだ。さくら、我慢しろ」

 最初から最後まで正に対魔忍のお手本のようで、ホント、俺って必要無かったよな。

 何で校長は俺をメンバーに加えたんだ?

 

 

 

 ふうま小太郎、あれからも数回、任務の追加メンバーに加えられたけど、私の評価としてはこんなもの。

 生まれから闇世界の事情には多少通じている事。

 戦闘現場で私達の邪魔にならない行動は取れる、但し戦力外だけど。

 一度も使った事は無いけど予備プランを考える位の知性があり、指摘してくる箇所も中々に的確。

「むっちゃん、後はよろしくね~」

「待てっ、さくら、報告書は出来てるのか!」

「こた君に頼んだから大丈夫♪じゃね~」

「ヤレ男の奴、さくらばかり甘やかしおって、後で説教だ!」

 ・・コミュニケーション能力は癪だけど私よりもある、ってところかしら。

 でも精々オブザーバーね、特に必要な存在でもないわ。

 

 

 

「あっ、ずるい、そんなハメ技、卑怯千万!」

「ふははは、対魔忍の戦いに卑怯は褒め言葉だぞ、さくら」

「おのれ、許すまじ」

 賑やかな事だ、そろそろケーキでも差し入れるか。

 若の執事として、ふうま天音、如何なることでも御役に立って見せる。

 あの男が敵の対魔忍の本拠地である五車学園に若を入学させると聞いた時は、我が邪眼動転輪で始末、とも考えたが今となっては悪い話でもなかったな。

 若にとって将来の手駒を増やせる、それもあの男の手垢が付いていない者達をだ。

 ・・若の父といえど、私には弾正様を殺めたあの男だけは未だ許せぬ。

 最早無益な事は重々承知だ、だがこの感情は消えぬ。

 弾正様を殺され報復と執拗にあの男を狙ったが返り討ちにあい、ようやく弾正様の下へとという時、幼かった若が何故か私を庇った。

 その後あの男は、

「俺への忠誠などいらん。だがお前も災禍と同じふうまの女なら、ふうまの為に生きて死ね」

 ・・そして私は若の従者とされた。

 私に流れる血のせいか甘んじたが、おざなりなものだった。

 そして若は聡明ではあるが十を過ぎても邪眼に目覚めず、どこか期待していたのかもしれない私は、いつしか話しかけてくるのも最早煩わしくなっていた。

 ・・そう、あの時までは。

 私とは別にしつこく宗家に戦を仕掛けていた鉄華院家一党。

 姦計に嵌まり私と若は追い詰められた、だが生還出来たのは足手まといとしか思っていなかった若の機智と勇気だった。

 ふうま宗家の跡継ぎでありながら邪眼の目覚めぬ目抜け?

 それはむしろ私の事だった、私はずっと真の主の傍にいたのだ。

 若自身には自覚が無い様だが、見えている者には見えているのだ、ふうま一門の当主に相応しい器がな。

 ・・若、この天音、執事としてどこまでもお供いたしましょう。

 ・・もしもあの男の首が必要などという事があれば、速やかに献上させて頂きます。

 

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