緑のアイツ   作:くらうす

13 / 65
とりあえず、今回で日常回は一時ストップ

これからはシリアスが混じり始めます

相変わらずの駄文ですが、読んで下さると有り難く思います


動きだす時

紅魔の里でゆんゆんと再会したあるえは彼女が言うミドリカワさんに会うためにキャベツの里へ来ていた

 

「・・・・・・」

あるえには言葉もなかった

 

 

目の前にはキャベツの群れがあり、上空には鳥と共に明らかに鳥といえないサイズの影があった

 

加えて、傍の湖にはブルータルアリゲーターらしき姿も見える

 

紅魔の里から出ることのほとんどないあるえにはとても信じられない光景だった

 

いや、仮に里から出て魔王軍の偵察等といつも寝言を言っているぶっころりーでも見たことはないだろう

 

それくらい現実味のない光景だった

 

「あるえ、あっちに見えるのがミドリカワさんが守っているキャベツ達です。上にいるのが、鳥と鳥っぽいので、湖にいるのがブルータルアリゲーターです」

ゆんゆんが丁寧にあるえが理解を拒んでいた光景を説明する

 

「待ってくれないか

キャベツの群れは、まぁ分かる

上空の鳥らしき群れとブルータルアリゲーターの群れも納得は出来ないが、有り得なくもないのだろうさ

 

だが、何故それが共生しているんだい?

普通ならキャベツが食べられているだろうに!

というか、ミドリカワという人物は何者なんだ!」

いつもの冷静さ等放り捨てたかの様に捲し立てる

 

「何故と言われても、ここの普通ですから。としか言えませんけど」

ゆんゆんは首を傾げる

 

 

 

通常ならばあるえの主張が概ね正しい。が、あるえにとっては不幸な事に物事には『例外』があるものだ

 

そして『例外中の例外』にあるえはまだ出会っていない

 

 

 

 

 

あるえが何とか落ち着こうとしていると、あるえに影がさした

 

思わず見上げると黄緑色の物体が迫っていた

 

 

 

ドゴン! とそれなりの重量を思わせる音を響かせて『ソレ』は墜落した様に見えた

 

 

「あ、ゆんゆんいらっしゃい

お客さんかな?」

この声を聞くまでは

 

 

 

 

(へ、あ、いや、ちょっと待ってくれ。もうお腹いっぱいなんだが)

あるえは内心泣きそうになっていた。彼女の中のキャパシティを明らかに越えていた

ぶっちゃけ、overKILLである

 

 

 

頭を抱えたあるえを見て

「ゆんゆん、大丈夫かな。この娘」

と心配するミドリカワ

 

「あるえは小説家志望ですから、大丈夫だと思いますよ」

ゆんゆんは自分は直ぐに受け入れられたから、あるえも大丈夫だと本気で思っていた

 

 

 

第三者が見れば

「いや、アンタは悪魔召喚しようとしてたから!アンタも大概だからね!」

とツッコミが入りそうだが、残念ながらキャベツの里の関係者には自称常識人はいても、常識人はいなかった

 

何せ、キャベツを筆頭に紅魔族、悪魔、デュラハン、リッチと、見事にカオスな顔触れである

 

全く世界観は異なるが、某金ぴかの慢心王がいればさぞや爆笑しそうな話かも知れないレベルである

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くしてあるえが落ち着いたのを見て取ったのか

「あるえ、大丈夫?」

ゆんゆんは声をかけた

 

「ああ、未だ整理しきれてないがね」

あるえの笑みにも力がなかった

 

「そりゃ、一大事だ。ゆっくり休むことをお勧めするよ

、あるえさん

はじめまして、ミドリカワです。見ての通り、キャベツやってます」

 

「ああ、ゆんゆんの学生時代の同期、あるえだ

しかしキャベツやってます。とは聞けば正気を疑いそうな話だね」

ミドリカワの挨拶に力なく返すあるえだった

 

 

その後少しばかり3人で雑談した

 

 

 

 

 

 

 

そこに

「ふむ、久しぶりにあった友人からネタを仕入れようとして心底後悔している紅魔族の娘よ。悪い事は言わぬ。此処では固定観念を捨てる事をお薦めしよう」

 

特大の爆弾が降ってきた

 

 

 

 

 

 

 

「正直なところ、もう驚くだけの体力も余裕も無いよ。一体どうなっているんだい?

何時から私は小説の中に入っているのか」

遂にあるえは現実逃避を始めた

 

「何を言うかと思えば。確かに魔王軍の幹部である我輩を見ればそうもなろうが、まだデュラハンとリッチが残っているぞ」

バニルは呆れた

 

「・・・・・・・事実は小説より奇なり。とは謂うけどもまさか実際に体感するとは、ね」

あるえは諦めた様な口調で呟く

 

「まぁ、良くある話でしょ?」

 

「そんな話がぼろぼろ転がっていてたまるものか!」

ミドリカワのフォロー?にあるえがついにキレた

 

 

 

 

 

だが、初心者の街アクセルには『鬼畜?転生者』、『女神』、『爆裂狂』に『ドM』というキャベツの里もビックリなパーティーがいる。これを知らなかったことははたしてあるえにとって幸運だったのかは、誰にも分からない

 

 

 

「現実から逃げたとしても、結局は現実から逃れられんよ

それにこの里が可笑しいのは認めるが、貴様達紅魔族とて大差あるまい

アルカンレティアの『頭おかしい』アクシズ教徒もいるのだ。そこまで騒ぐことではなかろうに」

バニルはアドバイスをしてから呆れた

 

 

 

 

話に出たアクシズ教徒とは女神アクアを信仰する集団であり問題児の集まりである

 

この世界で最も信仰されているエリス教の教会へ妨害活動したり、本拠地アルカンレティア等での強引な勧誘活動と言った割りと洒落にならない事をしている

 

故に世間では、誰にも触らぬアクシズ教徒に祟りなし。と云われる始末

 

 

 

 

「ええっ、でもアクシズ教徒の方にも良い人はいますよ」

 

「「いや、それはない」」

ゆんゆんの抗議にバニルとあるえは声を揃えて否定した

 

 

日頃の評判って重要。そんな話

 

 

 

 

 

 

「何やら楽しそうだな

元気にしていたか、ミドリカワにゆんゆん」

ベルディアも来た

 

「さっき、そこの悪魔がデュラハンと言っていたからまさかとは思っていたが、此処は魔王軍の拠点かな?」

半ば諦めながらあるえはゆんゆんに聞いた

 

「そんなことない。ないですよね、ミドリカワさん」

 

「ナイナイ。つか、意味がないでしょ」

あるえに聞かれて自信が無くなったのか、不安そうにミドリカワにゆんゆんは訊ねるも、ミドリカワは全く動じていなかった

 

「うん?はじめましての者がいるようだな

我が名はベルディア。魔王軍の幹部をしているが、ここのミドリカワとゆんゆんとは友人だ。何かするつもりはないから安心しろ」

 

「我が名はあるえ。紅魔族随一の発育にして、やがて作家に至る者さ」

ベルディアの挨拶にあるえは紅魔族流の挨拶をした

 

「おお」

何やら感銘を受けたのか、ミドリカワの目が輝いているようにゆんゆんには見えた

 

「わ、我が名はゆんゆん!ミドリカワさんの友達で上級魔法を操るアークウィザードにして、やがて紅魔族の長となるもの!」

 

「おお。ゆんゆんカッコいい」

ミドリカワは興奮して跳び跳ねていた

 

 

 

「あるえとやらの挨拶で興奮していたミドリカワが気にいらなかった様だな」

 

「うむ、友達である自分を見て欲しい。少ないが、質の良い悪感情であるな」

ベルディアとバニルはゆんゆんに温かい視線を送る

 

「ふ、2人ともうるさいですよ!」

それに気付いたのか、ゆんゆんが声をあげる

 

 

「ふふ、ゆんゆんは良い友人を見つけたようだね」

 

「だね。ま、人外ばかりなのがどうかと思うけどね」

 

「他ならぬ君が言うのかい」

その光景を見てあるえはほっとする

 

 

 

紅魔の里にいたときのゆんゆんはボッチと言われていた。しかしあるえはそうは思わない。ゆんゆんは本当に良い娘なのだ

 

ただ、純粋すぎるところや素直すぎるところが空回りしがちな面が目立っていただけなのだ

 

本人は気付いていないだろうが、里から出ていったゆんゆんの話題は居なくなっても尽きる事はなかった

皆ゆんゆんをよく見ていたのだ

 

よく勘違いされがちだったが、ふにふらとどどんこもゆんゆんを心底心配していた。ただ表現が上手くなく、ゆんゆんの誤解もあって双方にとってよくない方向にいっていただけなのだ

 

 

 

 

「本当に良いヒトに巡り会えたんだね」

あるえは嬉しそうに微笑んだ

 

 

 

 

 

 

「実は少し気になる事があってな。暫く此方に来れそうにない」

場が収まったのを見てベルディアは用件を話す

 

「そうですか、寂しいですね」

ミドリカワは落ち込んでいる

 

「何、ただの調査だ。終わり次第暇になる

戦闘になる事もないだろう。心配するな」

 

「何かあったんですか?」

ミドリカワを慰めるベルディアにゆんゆんが訊ねる

 

「すまんな。流石に答えられん

一応は魔王軍の仕事だからな」

ベルディアは申し訳なさそうに謝る

 

 

 

ベルディアの言葉に嘘はない。ただ今回の仕事は『アクセルの街』の調査である

そこの冒険者であるゆんゆんには余計な負担をかけたくなかった

 

なんでも、少し前にアクセルの街の周辺から強い聖なる力が確認されたらしい

 

万が一にも『女神降臨』等があった場合、魔王軍の脅威となる

 

最近はミドリカワ達『転生者』も以前に比べて確認されないが、王都方面では『魔剣の勇者』なる者も確認されている

 

念には念を。そういう事だろう。目下動ける幹部はベルディアとバニル。それ以外ならばデッドリーポイズンスライムのハンス位だろう

 

スライムのハンスに調査依頼は適任に見える。が、明らかに民に被害が出るだろう。だからベルディアが魔王に掛け合って代わりに命を受けた

 

 

 

実のところベルディアは彼等に価値を見出だしていない

確かに『転生者』は力を持つ者が多い。それは膂力だったり、魔力だったり武器だったりする。成る程、脅威となるかもしれない。だが総じて彼等は『未熟』なのだ。まるで与えられた力に振り回されているかの様に

 

ベルディアは生前、騎士にまで実力でのしあがった人間だ

当然死を覚悟するような死闘も経験している

 

だが、彼等にはそれがない。格下や自分の土俵では強いが、それ以外になると途端に狼狽、困惑、果ては恐怖する

 

力を使いこなせていないのだ。まるで誰かに対価なく与えられたものであるかの様に

 

だからベルディアは大半の転生者には興味ない

 

だが、抗おう、闘おうとする者には敬意を払うのだ

彼がミドリカワやゆんゆんを気に入っているのは『ソコ』なのだ

 

ミドリカワは戦える身体でないにも関わらず、外敵からキャベツ達を守った。ゆんゆんは勘違いとはいえ、魔王軍幹部2人を前にしてもミドリカワを護ろうとした

 

 

 

どちらもベルディアの目指した騎士の理想、そのものだった

 

 

 

 

 

目の前ではゆんゆんがあるえにからかわれて、ミドリカワが仲裁している。バニルは少し離れて口端をあげて見守っていた

 

 

 

ベルディアは誓う。喩えアンデッドを堕ちたとしても目の前の光景だけは命ある限り、護ろう。と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日より暫く後アクセルの街に魔王軍幹部ベルディアが現れる事となる

 

 




あるえ、本格参戦!

キャベツの里は魔境?

ベルディア動く!

でした。これから暫くはベルディアがメインになる予定です

というか、ミドリカワメインだとほのぼのしか書けない気がしないでもない


では、御一読ありがとうございました

次回もよろしく(ボソッ)

別ルートみたいですか?

  • おう。あくしろよ
  • いらないわ
  • お好きにどうぞ
  • もっと長くしろよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。