緑のアイツ   作:くらうす

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さて、風呂敷を畳む準備します

よろしければ読んでやって下さい


自然の掟

あるえは王都に買い物に来ていた

 

少々遅くなったが、めぐみんにゆんゆんの無事を知らせる手紙を送り、サキュバス達の普段着を買いに来たのだ

 

 

 

「いや、もう勘弁してください」

とサキュバス達にミドリカワが涙声で頼み込んでいたのを偶々あるえが目撃したのが、悪かったのか

 

 

ミドリカワに聞けば、サキュバスの服は露出が多くて目の毒らしい

 

いや、キャベツだから問題ないと思ったが。あまりにも.哀れに見えたので王都に来た

 

 

同性から見ても露出が高くはあったが、彼女達の仕事着らしいから気にしなかったのだが

 

「いや、チェリーにはキツいので」

とミドリカワは言っていたが、何故さくらんぼが関係するのかが、あるえにはわからない

 

あと、サキュバス達の同情するような視線をミドリカワに向けていたのも気になる

買い物が済んだらミドリカワに聞いてみようと思う

 

 

 

 

 

あるえが買い物を済ませて王都から出ようとすると

 

 

 

 

「いやぁ、このアクセルのキャベツ!年季の入ったものですね!

え、他にもある?

是非見せて頂けませんか?」

と何やら店の前で騒ぐ男がいた

 

「キャベツなんて、アクセルのならどれも一緒さ」

 

「とんでもない!

キャベツの出来た年数が古い程、経験値が多いのです

キャベツの人工的な繁殖も試行錯誤しながら進めていますが、まだまだわからない事が多いのです!」

店主の言葉に男が反論する

 

「そもそも、アクセルのキャベツは他の産地のキャベツよりも経験値が多く手に入ります!

これはおそらく環境の」

 

「ハイハイ。わかったからお金出しなよ」

男の話などどうでもよさそうに店主は代金を求めた

 

 

 

 

 

「なんだい、あれは?」

思わずあるえは口にした

 

「ありゃ、『キャベツ狂い』のレフェルだ」

 

「『キャベツ狂い』?」

あるえは近くの住民に訊ねた

 

「ああ、何でもキャベツを人の手で繁殖させようとしている変わり者だよ

初めは軍が資金を提供していたらしいが、今じゃ誰も相手にしない」

 

「そうなのかい?」

あるえは疑問を持っていると

 

「おお、紅魔族のお嬢さん。キミもキャベツに興味があるのかな?

もしそうならお話しをしないか?」

レフェルという男が話かけてきた

 

 

 

王都のとあるカフェにて

「改めて私はレフェル。人からは『キャベツ狂い』なんて呼ばれているがね」

 

「私はあるえ。見ての通り紅魔族だよ

しかし、キャベツを繁殖させるなんて、出来るのかい?」

 

「あるえ君の疑問はもっともだ。だが、可能だ

その証拠に機動要塞デストロイヤーを造ったノイズという国が養殖していたとの記録がある

そして、キャベツは特定条件下で巨大に成長するとも書かれていた」

 

「巨大に?」

 

あるえは思わずミドリカワの事を想像した

 

「そうだ。ノイズでも巨大なキャベツは貴重だったとされていたそうだ。レベルが少なくとも10は上がる為に常に争いの元だったらしい」

 

「それは、仕方ないだろう」

 

中級冒険者の指標がレベル30と考えると、10レベルが如何に破格かがよくわかるだろう

 

「だが、どれだけ資料を当たっても、キャベツの寿命を伸ばす事には触れられていない

折角養殖しても、普通のキャベツではアクセルのキャベツには到底及ばないのが問題だ」

 

「キャベツの寿命だって?

そんなものがあるのかい?」

 

「キャベツとて生き物さ

相当管理しても、2、3年保てば上等らしい」

レフェルはとんでもないことを口走った

 

「それ以上は無理なのかな?」

 

「さて、デストロイヤーすら造れたノイズで出来なかったのなら、おそらく不可能だろう

繁殖させてみてわかったが、キャベツが寿命に近づくと、上の部分から茶色に変色するようだね

それから半月もしない間に急速に朽ちていく

この現象の解明と延命も課題だが」

 

「しかし、それだけの事なら資金も相当かかるだろうに、よくできるね」

 

あるえは動揺を押さえ込みながら話を続ける

 

「ああ、隣国のエルロードの支援もあるからね

あちらは軍みたく予算をけちらないからたすかるよ

っと、長話が過ぎたかな。あるえ君、いい気分転換になったよ。ありがとう」

レフェルはあるえに礼を言った

 

「いや、此方こそありがとう」

 

 

 

 

 

 

あるえはそうと見えないように急いで王都の郊外の森へと向かった

 

人目につくところで、テレポートはしづらいからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャベツの里では

 

 

ミドリカワが少し大きくなったキャベツ達の世話をしていた

 

といっても池に漬けるだけだが

いつも通り力を抑えた体当たりでキャベツ達を池に沈める

 

すると直ぐに浮き上がり、そのまま暫く休むのだ

 

 

 

 

 

「ミドリカワ。少しいいかな?」

 

眼を少し紅くしたあるえがそこにいた

 

「その様子だと、バレたかな?」

 

「私が何を言いたいのか、わかっている。そういう事と受けとるよ?」

敢えて明るく言うミドリカワにあるえは怒気すら含んだ声で答えた

 

「皆が此方に移り住む少し前からかな

何か身体がダルくて、頭もはっきりしなくなってきた」

 

「ゆんゆんから貰った魔道具は身に付けているんだけど」

 

「どうする、気だ」

 

「どうもしないよ」

 

「何故」

 

「俺はキャベツだ

生まれ、地に還る。それだけさ」

 

「ゆんゆんはどうする?」

 

「出来れば、死に目は見せたくないね」

 

「勝手だろう」

 

「否定はしない

けど、キャベツ達もそうなんだろう。死ぬところを見せたくないんだ」

 

「ゆんゆんは、お前を」

 

 

 

 

 

 

その日それ以上の会話は二人の間にはなかった

 

 

 




どこまでいっても逃れられないモノ

そんな話


では御一読ありがとうございました

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