緑のアイツ   作:くらうす

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とりあえず本編完結となりました


いつも通りの出来ですが読んでいただければありがたいです


この素晴らしい友達に祝福を

ミドリカワと話をしたあるえはその日の夜、湖の畔で悩んでいた

 

 

 

ゆんゆんに伝えるか、伝えないかを

 

ミドリカワはゆんゆんに最期を見せたくないと言っていた

確かにそれは、ゆんゆんに癒えない傷を残すのだろう

 

しかしあるえはそれでもゆんゆんには最期に逢わせるべきではないかと考える

ゆんゆんに恨まれるとか、そんなのではなく、ゆんゆんも伝えたいことがあるはずだから

 

 

先程の食事の時も

 

「ミドリカワさんは本当に何も食べられないのですか?」

 

「だから、俺はキャベツなんですが」

 

「でも、口は動きます。身体も動かされているからお腹は減ると思います」

 

「ゆんゆん。俺のお腹は何処にあるのさ」

 

「え、えっと。でも試してみませんか?」

 

「あ、何か既視感が」

頻りに食事をミドリカワに勧めるゆんゆんと、楽しそうに自虐的な発言をするミドリカワだった

 

「ふむ、まだまだ青いな

そこの娘は貴様の為に料理を作りたいのだ。そのくらいは察してやれ」

 

「な、な、な、ナニをイッテイルノデスカ。バニルさん」

 

「フハハハハ、久しぶりの羞恥の悪感情美味である!」

さりげなく?ゆんゆんの本心をばらすバニル。それに動揺して真っ赤になるゆんゆんだった

 

「そういう事ですか

ミドリカワさんはキャベツだけに青く

ゆんゆんさんは紅魔族だけに赤くなった、と」

 

「バニル式殺人光線!」

何か納得したかの様に話すウィズに光線を放つバニルだった

 

 

「だ、大丈夫なのかい?」

 

「いつもの」「事です」

 

あるえは心配するが、ミドリカワとゆんゆんは全く意に介さない

 

「こ奴はこれでもリッチよ。この程度で死ぬならば、冒険者だった頃に死んでおる」

バニルも全く心配していない様子であった

 

 

 

 

 

 

「どうするのが、いいか。なんて分かる筈もない、か」

 

しかしあるえは決めなければならない

たとえ、誰も知らなくともあるえ自身が知っている。そして流されたままでは、後悔するだろう

 

 

 

「悩んでいるようだな。友人の想い人の死期を知り、誰にも打ち明けられない娘よ」

 

「バニルさんか

やはり知っているのかい」

 

「元より我輩だけでなく、ウィズと今は亡きベルディアも知っている」

 

「どうにか出来ないのかな」

 

「木々は枯れ、そして新たなモノを育む礎となる

そうして、世界は形を成すのだ

我輩程度でどうにかなるものか」

 

「そうか」

 

「アレは死にたくないと言っていたか?」

 

「それは、言っていないが」

 

「我輩が引き合わせとは言え、今思い返せば少々酷な事をしたのやも知れぬな

あの娘の未来はあのまま行けば好ましいモノにはならなかった

常に誰かに依存する一方で、その者からは都合良く利用される。そんな未来だった」

 

「そんな事が」

 

「貴様の故郷でも、その兆候はあったであろう

そしてミドリカワは誰にも気付かれず、必要ともされずにただ朽ちて逝く」

 

「・・・」

 

「全く、元より女神等は好きではない

だが、転生させておきながら、何一つアレには与えられていなかった

よくもあれだけひねくれずに育ったものよ」

 

「転生?」

 

「貴様とて知っておろう?『魔剣の勇者』の事は」

 

「確か王都辺りでは有名なソードマスターだったかな」

 

「あれも転生したものよ

方や魔剣を持って名声を獲ている

かと思えば、人間ですらなく、キャベツとして生を受け、そして死んでいく」

 

「納得出来ないね」

 

「一度だけ聞いたことがあるが、転生するときに『特典』とやらが選べたらしい」

 

「何を選んだんだろう」

 

「選ぶ時間がなかった。そう言っていたぞ」

 

「神というのは、勝手だね」

 

「ロクなモノではあるまい

あるえよ。貴様はミドリカワと話した事を忘れよ

それがよかろう」

 

「冗談にしては、笑えないね」

 

「生憎、冗談は言う場所を選ぶでな」

 

「ことわ「ごめんなさい、あるえさん」な、」

バニルの言葉に警戒したあるえだが、ウィズに不意を突かれて気絶させられた

 

「・・・済まんなウィズよ」

 

「いえ」

 

「いいのかい、バニル?」

 

「構わぬ、我々悪魔は憎まれるのも仕事だ

頼むぞ、マクスウェル」

 

「アルダープを渡してくれたお礼だよ」

 

 

 

 

 

 

 

この日の正確な記憶をあるえは生涯思い出す事はなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日早朝

 

 

 

「えっ、紅魔の里にですか」

 

「暫く忙しくしてたし、アクセルの事もあるからさ

一度家族とゆっくりしてきなよ」

 

「でも」

ゆんゆんはミドリカワから帰省の提案をされて、戸惑っていた

 

「そうだね。少なくとも長達も心配しているだろうし、一度顔を出すのは賛成かな」

あるえは帰省に乗り気のようだ

 

「それに折角、時間が空いたのですからいいと思いますよ」

ウィズも賛成した

 

「わかりました

でも、明日には帰ってきますから」

ゆんゆんは帰省を決めた

 

 

 

 

 

 

「見送りなんて」

 

「いや、たまにはね」

ゆんゆんはミドリカワが見送りしてくれるのが嬉しかった

 

「あれ、ミドリカワさん

頭の方の色が可笑しくありませんか?

なんだか、少し茶色のような」

ゆんゆんはミドリカワの頭?付近の色が変色しているように見えた

 

「あれ、そうかな?

自分ではわからないけど」

 

「帰ってきたらお手入れしましょうね」

 

「・・だね。ゆんゆん気をつけて」

 

「はい、行ってきます」

 

「行ってくるよ」

 

ゆんゆんとあるえはテレポートで転移した

 

 

 

「ごめんね、ゆんゆん。さようなら」

 

 

 

これがミドリカワとゆんゆんの最期の別れとなった

 

 

 

 

「な、何とか、誤魔化せ、ましたか」

息も絶え絶えにミドリカワは喋る

 

「何か、言い遺す事はあるか」

バニルは表情を消したまま訊ねる

 

「い、いい、え。あ、ありがと、うゆんゆ」

 

それを最後にミドリカワは動きを止めた

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔の里では魔王軍の幹部ベルディアを倒した事が伝わっており、ゆんゆんは大歓迎を受けた

 

 

 

「やるな!ゆんゆん

だが、このぶっころりーが幹部シルビアをたおす!」

 

「まずは仕事しろ」

 

「またニートが夢見てるゾ」

 

「妄想乙」

 

「つか、ゆんゆん可愛くなったな」

 

「ゆんゆんprpr」

 

「ゆんゆんハァハァ」

 

「変態がいるぞー」

 

「族長呼べー」

 

「少し、話をしようか」

 

 

等と宴会は混沌としていた

 

 

「え、ゆんゆん好きな人いるの?」

 

「前の手紙本当だったの?」

 

「そうだね。仲良くしているね」

 

「へぇ、いいわね」

 

ガールズトークも盛り上がっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宴会は終わって深夜になっていたが、ゆんゆんは占い師でもあるそけっとと話をしていた

 

「そう。良かったわね。皆心配していたけど、安心ね」

 

「あの、そけっと。私とミドリカワさんの事を占って欲しいのだけど」

 

「ええ。勿論よ」

 

 

 

 

そけっとが占い始めてから暫く経つが彼女は何も言わない

 

そして

「ゆんゆん。直ぐにミドリカワさんの所へ戻りなさい」

 

「え」

 

「急いで!」

 

「あ、うん」

ゆんゆんはテレポートでキャベツの里へ戻って行った

 

 

「どうして、ゆんゆんがこんな目にあうの」

そけっとは泣いていた

 

 

 

 

 

 

 

キャベツの里に戻って来たゆんゆんはミドリカワを探した

 

「帰ってきたか」

 

「ゆんゆんさん」

明らかに様子のおかしいバニルと泣いているウィズがいた

 

「何が、あったんです」

聞きたくないと、思いながらもゆんゆんは訊ねる

 

 

「・・・」

バニルもウィズも答えない

 

「っ!」

ゆんゆんは二人を押し退けて見た

 

 

 

 

 

 

 

そこにはボロボロのミドリカワの姿があった

 

 

 

 

 

「ミドリカワさん、嘘、ですよね

悪い冗談、なんですよね?

ねぇ!答えて下さいよ!

ミドリカワさん!ミドリカワ、さん」

ゆんゆんは泣き崩れた

 

「どうして、なんで、何で、ですかぁ」

 

「ミドリカワさぁん、イヤです。嫌です。居なくならないで」

ゆんゆんはミドリカワの亡骸に抱きついてひたすら繰り返す

 

 

 

 

 

 

 

長い夜が明けた

 

 

 

 

ゆんゆんはミドリカワの傍から一歩も離れようとしなかった

まるで、離れたらナニかを失う事を恐れているかのように

 

 

 

 

 

 

「バニルさん」

 

「わかっている。このままならゆんゆんも保つまい」

気落ちしているウィズにバニルも力なく答える

 

 

 

今のままなら下手をすれば、明日にもゆんゆんまで死んでしまいそうな位に弱っている

 

ゆんゆんを死なせるのはミドリカワは喜ぶはずもない

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方になってもミドリカワの亡骸から離れないゆんゆんだったが

 

「そのままで構わぬから、これを読んでおけ

それでも貴様が死にたいのならば、最早止めん」

バニルはゆんゆんに手紙を差し出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆんゆんへ

 

これを読んでいるなら、俺は死んでいるだろう。優しいゆんゆんだから泣いてくれていると思う

 

いつも言っていたと思うけど、俺はキャベツで君は人間だ。同じ時を少しは歩けても最後まで一緒にいられない

 

仕方ない事だと思う。君には残酷な事だとも思う

 

ごめんね。一緒にいられなくて

ごめんね。君を支えてあげられなくて

 

それでも僕には君という友達がいてくれた事は何よりの宝物だったよ

 

ありがとう、一緒にいてくれて

ありがとう、僕を支えてくれて

 

 

 

最後に一つだけ

 

この素晴らしい僕の友達に祝福があることを

 

 

 

 

 

 

ありがとう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!何で、教えてくれなかったんですか

私はただ貴方と一緒にいたかっただけなのに

どうして、どうして」

ミドリカワの遺書を読んだゆんゆんはどうしようもなかったと思いながらも泣くしかなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、一つの生命が消えた

 

 

 

 

 

 

 

 

とある空間

 

「ミドリカワさん。貴方は寿命にて死んでしまいました

 

本来得られるべきものを与えられず、この様な事になり、申し訳ありません」

銀髪の女性、エリスはミドリカワに謝った

 

「いえ、楽しい人生を送らせていただきました

此方からすれば、一度死んでいたのですから寧ろ感謝しかありません。ありがとうございます」

 

「そう、ですか

では、蘇生出来るとしても、望まないのですか?」

 

「魅力的なお話ですが、人生は一度きりだからこそのモノと思います

女神様の目の前で言う話では無いと思いますが、僕の友人のベルディアさんも生を生き抜かれました

それに倣いたいと思います」

 

「では、日本に転生するか、天国にて過ごすかのどちらかになりますが」

 

「天国ですか。分不相応な気がしてなりませんが、其方で」

 

「何もなく、ただ時間が経つだけなのですよ?」

 

「死ぬとはそういうものと思っていますから

ただ、もし叶うならばゆんゆんの人生を祝福していただけると有り難いです」

 

「わかりました。では、天国へとお送りします

お元気で」

ミドリカワをエリスは転移させた

 

 

「人生ですか」

エリスは独り呟く

 

 

 

この世界ではカズマは一度も死ぬことなく、人生を終えた

 

皮肉な事に彼もエリスに転生を望みはしなかった

 

 

 

 

 

生物はいつかは死ぬ

 

だが、遺るものがあるならば、それは救いなのだろう




と言うわけで後はエピローグ的なものを書いて一先ずは完結となります

このような作品を評価、お気に入り、そして読んで下さった皆様には改めて御礼申し上げます

読みづらいと思いながらも、書き続けて先ずは完結させる事を優先させていただきました

ではエピローグでお会いできれば幸いです

別ルートみたいですか?

  • おう。あくしろよ
  • いらないわ
  • お好きにどうぞ
  • もっと長くしろよ
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