緑のアイツ   作:くらうす

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陰謀フェイズ

ほとんどネーム付きのキャラクターは出ませんのであしからず



謀攻

警察署を後にした貴族を近くの建物の一室より見張っていた二人の男がいた

 

 

「これで依頼は完了。でいいんだよな?」

 

「ああ。その通りだとも

この場に居続けるのはよろしくない。場所をかえてから報酬を貰うとしよう」

 

「だな。何もしてなくても、冤罪で捕まる事や処罰される事もあると言ってたからな」

 

片方は黒髪、黒目の男。もう一人は仮面をつけている男らしき人物だった

 

彼等は『とある人物』より『警察署の監視』を依頼されており、身元不明の『天使』と自称する女性が収監されてからは一切この建物より動いていなかった

 

 

「しかし、旦那。『天使』なんているんですかね?」

 

「む、巷で有名な冒険者達の中には『女神』と会った等と言う輩もいると聞く

もし、仮に事実ならば『天使』の存在も否定できないだろうがな」

 

部屋を片付けながらの男の疑問に仮面の男は自分なりの見解を示した

 

 

リフェが自身を『天使』と吹聴して回った際には、丁度魔王軍の迎撃に転生者の冒険者達は出ていた

 

リフェの不幸の一つは話の分かる転生者に会えなかった事であろう

 

とはいえ、転生者に一度襲われかけているリフェが転生者を信用するとも思えないが

 

 

 

件の転生者達とて転生して直ぐには立場を持たない者である

 

そこで彼等の一部は敢えて『女神』の話題を出すことで同じ境遇の先輩転生者を見つけようとした

 

この狙いは上手くいったが、王都の住民は『女神』に会ったという転生者達の一部に不快感を与えてしまってもいた

宗教においての神に会った等と言うのは熱心な教徒程、神への不敬と受け取れる話でもあったからだ

 

 

このときに『女神アクア』ときちんと説明しておけば、王都に多いエリス教徒はアクシズ教徒とのかかわり合いを嫌って反発も少しは和らいだのだが、転生したての者達にとっては転生時の担当『女神アクア』しか知らない者が多い

一方、エリス教徒にとっての女神は『女神エリス』であるが為に認識のズレから誤解が生じてしまっていた

 

 

 

故に元々は温厚な人物の多いエリス教徒であっても『女神』等の発言に神経を尖らせていた

 

そこに『自称天使』のリフェが現れたのだから、割と過激な対応にも繋がってしまっていたのである

 

 

 

 

「旦那はあの与太話を信じるんで?」

 

「さてな。だが、『女神』と会ったと言う者達には不思議な程に似通った点が多い

『女神』かどうかは知らんが何かしらの秘密があるのだろうよ」

 

「そりゃそうですな

俺の親父も変な物を持っていますね、そういえば」

 

「そういえば貴殿の黒髪黒目は王都では珍しいな。王都の出身なのか?」

 

「まさか。アルカンレティアの近くの町の出ですよ」

 

「そうか

さて、片付いたし依頼主の元へ行くとしようか」

 

 

 

 

男二人は部屋を後にした

 

 

 

 

 

 

警察署を後にした貴族は屋敷に戻っていた

 

 

彼は貴族としては珍しく自身の趣味に金がかかる事を理解している為に普段の生活などは平民に近かった

 

一応は執事と使用人を数人雇って体裁を保ってはいたが、彼等には屋敷の維持のみを任せており食事などは自分で用意していた

 

 

「しかし解せぬ。『天使』等と何故必要とするのだ?

そもそも狂言の可能性の方が高いだろうに」

 

 

実は彼がリフェを求めたのではなく、彼が懇意にしている貴族よりの依頼であった

 

『好事家』として知られる彼ならば『天使』と名乗る小娘に興味を持っても不自然ではないという事である

 

 

「最近は国王陛下の御体も優れぬと聞く。第一王子様は魔王軍討伐の為に近衛を連れて出撃なさっておられるから帰国するのも難しいだろう。今はアイリス様が留守を守っておられるが」

 

 

貴族の男はため息をつく

現在のベルゼルグ王国は国王は病に倒れており、後継者の第一王子は少し前に遠征に出ている

 

留守を預かる宰相はアイリス王女の名声を以て混乱を鎮めようとしているが、主流から遠ざかっていた貴族達はこれを機に復権を企んでいる

 

アイリス王女の元には現在二人の貴族令嬢が仕えている

 

一人は大貴族シンフォニアの当主。もう一人は元平民の中級貴族である

その人選にも不満があるらしい

 

 

彼自身はベルゼルグ王国の貴族である以上、王家に忠誠を尽くすべきと考えて行動している

 

もしも内乱などになって魔王軍に敗れでもしたら意味がないのだから

 

 

 

 

 

 

 

とある貴族の邸宅

 

 

「その話は本当なのだな?」

 

「間違いない様です。念のために拷問にかけて情報を吐かせましたから」

 

「俄には信じがたい話よ

最近活躍している冒険者は『女神の加護』を受けているなどと」

 

「公爵閣下の仰る事は尤もにございます」

 

部屋にはソファーに腰を下ろしている恰幅のいい男と、その足下に膝をついている壮年の男性がいた

 

「つまり女神はこのままでは人間が敗ける。そう判断なされたのだな

それ故に彼等を送り込んだ」

 

「あの者の言っていた事が正しいならば、間違いなく」

 

「つまり、現王家は女神に見放された訳か

しかしこの『古代文字』が解読出来ていたとはな」

 

「アルダープ殿のお手柄ですな」

 

「うむ。金庫以外にも使い道があったのは結構な事よ」

 

「そうですな

ですが『天使』を生け贄にした召喚術式ですか」

 

 

 

彼等がとあるルートから入手した書物には古代の国『ノイズ』で開発が検討されていた術式が記載されていた

 

それは古代文字で書かれていたが、アクセルの領主アルダープからの古代文字の解読の一覧がもたらされる事で解決したのだ

 

この術式は『天使』を構成する魔力自体を純粋な魔力へ特殊な魔法陣を用いて還元し、その魔力を『餌』として強大な悪魔を召喚するものである

 

なお天使などは高純度の魔力で構成されているとされており、古に伝わる『天使の加護』等はこの魔力の一部を譲渡する事で能力を底上げしているとされる

 

 

「悪魔召喚は禁忌よ

だが、このままでは王国がもたぬ。外法を用いようと魔王を倒さねばならぬのだ

儂が地獄に落ちる程度で魔王が死ぬのならば安いものよ」

 

「閣下が仮に死出の旅へと旅立たれるならば私がその道を打ち払いましょう。騎士として主君を死なせたままおめおめと生き長らえようとは思いませぬ」

 

「すまぬ」

 

「何を仰いますか。平民だった私を拾って頂き、騎士として遇して頂けたのです。その御恩に比べれば」

 

「そうか

兎に角、先ずは『天使』の確保だな。あの『好事家』で有名なあ奴に任せはしたが」

 

「念のために監視も付けております

問題ないかと」

 

 

彼等が『天使』を探していた最中にリフェが王都に現れたのだ

 

半信半疑であったが、リフェの身柄を押さえる事にした

 

 

「監視役も程なく始末出来るでしょう」

 

「そして一つの貴族も潰れるか

やむを得ぬか」

 

「この件に関しては何よりも情報の秘匿を優先しなければなりませぬ

万に一つの失態が命取りになります」

 

「任せる」

 

「はっ、お任せ下さい」

 

 

王国の闇は深い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と言うわけで主役不在の回はとりあえず今回までです


リフェが元天使なのに運が悪いのは、仕様です

というか、追放する際にリフェの無駄に高かった幸運は没収されました

神達はリフェの生存など望んでいませんから


では御一読ありがとうございました
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