緑のアイツ   作:くらうす

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今回は特に独自解釈が全面に押し出されています

予めご了承の上で御覧ください


異世界の理

何もない空間に少年佐藤和真はいた

 

彼は何故此処にいるのか分からなかった

 

「佐藤和真さん。貴方はとある事故で亡くなってしまいました。残念ですが貴方の人生は終わってしまったのです」

 

「へ?」

 

蒼い髪をした美しい少女は彼が死んだことを口にした

 

「いやいや、俺が死んだって?

え、ちょっ、本当に?」

 

「戸惑うのも無理はありません

申し遅れました。私は女神アクア。貴方の様な方を導く女神です」

 

「・・・・・・・そっか、俺死んだのか」

 

彼は生前は学生でありながら、とある事情で引きこもりをしていた

 

家族に迷惑をかけているのは薄々わかってはいたのに、結局は家族には何も返す事が出来なくなった事に落ち込んだ

 

出来る限りの事をして、何とか彼をしようと色々な事を試みてくれていた家族

 

彼は自然と涙を流していた

 

 

 

 

 

 

「すいません」

 

「いえ、御家族を思う気持ちは尊いものです

称賛することはあっても、非難することはありません」

 

そう言って微笑む女神アクアに彼は一瞬見惚れた

 

「えっと、導くってさっき言ってましたけど」

 

「ええ、貴方には幾つかの道があります

まずはこのまま天界に行って過ごす事。ですが、これはおすすめはしませんけど

次に再び貴方のいた世界へと生まれ変わる事。尤も年代等が変わる上に記憶も消去しますので、貴方の人格は消滅します

 

最後はあまりすすめたくはないんですけど、それでも聞かれますか?」

 

彼の問いかけに女神アクアは答えた

 

 

なお、天界に行く場合は一度魂を再構成する都合上、ほぼ人格が消滅する上に、仮に人格が維持できたとしても退屈な生活であるのですぐに魂が磨耗する事になる

 

生まれ変わるとは仏教でいうところの輪廻転生にあたるが、人間に生まれ変わるかどうかは未知数である。更には平和な時代とは限らない

 

 

「えっと、最後の選択肢はどうして言いたくないんですか?」

 

「これは私達天界の都合の産物なの

それに少し前に色々あって流石に胸を張ってすすめようとは思わないのよ」

 

「一応、聞かせて貰ってもいいですか」

 

「分かりました

最後の選択肢は貴方のいた世界とは違う世界。貴方の分かりやすい表現をするなら異世界へと転生してもらいます

その場合には転生特典としてこちらから用意できる範囲で用意します

ただし、モンスターや魔族、魔王の居る世界です。貴方のいた世界よりも死は近くにあるでしょう」

 

「RPGみたいな感じですか?」

 

「そう解釈して貰っても構いません。一度死んだら終わりな事以外は」

 

「う、それは」

 

「直ぐに結論を出す必要はありませんから、ゆっくり考えて下さい。どうか、後悔のない選択を」

 

 

 

 

 

 

 

和真は暫く考えた後

 

「女神様、俺の記憶はどうなりますか?」

 

「異世界に転生する場合は記憶は残しておきます

もしかして、異世界に転生するつもりなの?」

 

「あ、はい。他の二つよりはマシな様な気がしますから」

 

「はっきり言わせて貰いますけど、貴方の様な方を何度も私は異世界へと送りました

ですが、亡くなった方もそれなりにいます。それでも希望しますか?」

 

「はい」

 

「はぁ、本当に異世界へと余所の世界から送るなんて辞めればいいのに

分かりました。佐藤和真さん。貴方の意思は変わらないようですので、転生特典の一覧をお渡しします

熟読の上で選択して下さい。これが貴方の生命線になることもあるのですから」

 

と女神アクアはカズマに辞書の様な物を手渡した

 

「え、こんなに種類があるんですか?」

 

「ええ。貴方の前に転生した人達からの意見などを参考にして作り上げたリストよ」

 

「えっと、武器に防具に道具か

あのすいません。能力のブーストとかはないんですか?」

 

「え?ああ、そういえば上から許可が降りなかったのよね。どうしてかしらね

悪いとは思うけどリストにあるもので我慢してくれるかしら?」

 

「あ、はい

えっと、『魔剣グラム』?あ、これは誰かが使ってるのか。❌がついてる

『古代国家ノイズの関連書籍』?何だこれ?でもこれも❌がついてる

えっと最後のページには、え?」

 

「どうしたのかしら?

前とは違って時間制限なんてないから落ち着いて決める事をおすすめするわよ」

 

「時間制限あったんですか」

 

「色々あって、廃止になったけどね

でどうしたの?」

 

カズマがリストを確認していると最後のページに予想外な事が書いてあった為に驚きの声を上げた

それを女神アクアは不思議そうに訊ねる

 

「あの、最後のページに『女神アクア』って書いてあるんですけど、本当ですか?」

 

「私?まあ私でよければ構わないけど、いいのかしら

もっと貴方の役に立つものもありそうだけど」

 

「それでもお願い出来ますか?」

 

カズマとしては見知らぬ世界へと一人で行くのは抵抗がある。幸いにも目の前の女神様は優しそうで、女神というからには強いとも思っていた

 

「えっと、私はいいんだけど、どうしたらいいのかしら」

 

女神アクアも突然の事に困惑していると

 

「構わぬよ。女神アクアよ佐藤和真と共に行くと良い

後の事は我々が責任を持って務めよう」

 

と直視出来ない程の光を纏った何かが現れた

 

「それとお前も例の件、気に病んでおったろう

故に転生特典にお前を加えたのよ

さて、佐藤和真よ。汝は女神アクアの同行を望むのであるな?」

 

「はい。女神様にお願いしたいです」

 

「うむ、良かろう。なれば貴殿の旅路に祝福のあらんことを願わせて貰うとしよう」

 

 

女神アクアと佐藤和真はその言葉と共に何処へと転移させられた

 

 

 

 

「よろしかったので?」

 

カズマ達を送り出した存在に一人の天使が声をかけた

 

「うむ、彼の者は中々に面白い」

 

「そうではなく、女神アクアの現界を許した事です」

 

 

リフェの件以降、女神アクアは精力的に自身の仕事をこなしていった

 

これには後輩の女神エリスも驚く程であった

 

 

「女神アクアはあの愚か者が仕出かした事による被害者達を探そうと必死であった

職務にも一切の緩みが見られなかった

なればこそ、女神アクアの現界を許したのだ」

 

「左様でございましたか

では今一つ、転生者に能力ではなく、神器を与えるのは何故にございますか

神器とて具現化するのに労力を使います。それに神器は回収の必要性がありますが」

 

「ふむ。貴様はどう見るのだ?」

 

「神器であれば見える形で『神の加護』を示す事が出来ますのではないかと」

 

「それも無くはない

が、本当の理由は他にあるのだ」

 

天使へと説明を始めた

 

 

「そもそも人間のみならず、我々の様な精神体ともいえるものにも内なる器があるのだ

精霊や我々は通常の生物より少々異なる事があるが、今は置いておく

そして例外なく生物には魔力が備わっている。力の大小はあるがな

その内なる器に注ぎ込む魔力を人間達は『経験値』と呼ぶ

だが、この内なる器は不思議な物でな。拡張もすれば収縮もするのだ

つまりは内なる器が魔力を基準の量より多く注がれる事により内側から外側へと力がかかる

それにより、内なる器が拡張されるのだ。人間達の呼び方でいうならば『レベルアップ』というわけだ

ここまでは、良いか?」

 

「はっ、ですがその理屈では生物が食べている物にも魔力、つまりは経験値が含まれる事になりますが」

 

「うむ、その通りよ

ここで問題になるのが、内なる器が基準量を上回る魔力を体内に放出する事と生物にも種類があることよ

器とて常に許容値一杯の魔力を注がれては壊れてしまう。だからそれを体内に散らす。散らされた魔力は各所にて少量ながらも魔力ブーストの効果を与える

つまりは内なる器は少なからず、魔力を通す訳よ

生物は空腹時とある程度食欲が満たされた時の動きは違うのはそういう事だ

ついでにこれは、レベルアップで基礎能力が上がる事に繋がるのよ

 

生物には完全な物質、精霊と物質の間にいる者、精霊に大まかに分類できる

さて、我々神や天使、それに悪魔どもは何で構成されていたか?」

 

「魔力ですな。悪魔どもは悪魔界から出る際に魔力量の一部を使い物質化しますが」

 

「そうよな。悪魔が討伐された時に経験値が多い理由は悪魔は人間界において半精神体であるが故だ」

 

「成る程」

 

「では逆に器が収縮する場合とはどの様な時か?

自身より圧倒的な魔力を内包した存在に対峙した時よ

本来ならば、肉体という防壁によりかなり軽減されるのだが、この場においては転生者たちは剥き出しの魂

かかる負荷は尋常ではない。勿論、女神アクアとて、しかと力はセーブしていたとしてもな

 

それに加えて、これは我々の世界の理。まだそれに適応していない魂等に能力を与えればどうなる?」

 

「あちらの世界には魔力はありませぬ

そして、器が収縮していると

!!そういう事ですか」

 

「そうよ。その状態の器に能力という魔力を流し込めば適応出来ていない上に収縮している器が崩壊しよう

であるからこそ、原則的に能力はやれんのだ」

 

 

因みに異世界の言語を習得する際に最悪頭がパーになる理由も此処にある

 

言語体系を一種の能力として既に付与する事が決まっている

 

これのみでも器に負担がかかる為にそれ以上の負荷等は認められないのだ

 

 

あくまでも転生者達は二つの世界のバランスを保つために異世界へと向かうのだから

 

 

 

「では、同じ個体でも経験値が違うのも」

 

「当然、同じ個体とて食べる物は違うであろう

長生きすればするほどに食べる量は増える

長命種である程に力が強く、経験値が多い訳よな」

 

「もしも、器が壊れたらどうなりますか?」

 

「最悪は廃人等になり、到底生きているとは言えなくなろう」

 

「もしや天界規定による蘇生の制限も」

 

「うむ。器が壊れる以上は蘇生したとしても、完全な復元は余程魔力の行使に精通せねば無理な事よ

回数を重ねる毎にそのリスクは跳ね上がる

その様な事を容認は出来まいて」

 

 

 

 

魔王軍幹部のリッチーのウィズとデュラハンのベルディアで比較すると分かりやすいだろう

 

 

 

ウィズはリッチーに成りはしたが、人間性を失っていない

これは生前のウィズが凄腕のアークウィザードであり、魔力の扱いに精通していたからだと思われる

 

 

 

逆にデュラハンのベルディアは騎士であったにも関わらず、己の我欲に負けてセクハラを繰り返している

 

おそらくはデュラハンとして再び生?を受けたものの器が一部破損してしまったからと考えられる

 

 

 

 

「成る程」

 

「後、言っておくがこれは転生者全員に当てはまる事のはずだ

器に負荷を掛けられたのが初めてで、かなりの負荷を掛けられたのだから仕方ないのだがな」

 

「あの愚か者はそれすらも」

 

「理解しておらぬし、加減もしておるまい

大方、自身の偉大さ等を強調したかったのだろうが」

 

 

 

事実、リフェが転生の担当をした内で人間として転生出来たのは僅か三名

しかも何れの人物も人格などに悪影響を及ぼされている

 

リフェが担当したのが二十名弱であったにも関わらず僅か二割にも届いていない

 

他の人物はナタルの様な人語を喋れるものはおらず、自身が転生者と知らぬままに死亡している

 

 

「あれが少々まずい事になっておりますが」

 

「捨て置け。未だに天使である事を頼みにしている上に人を殺してもおる

助ける理由も価値もない」

 

 

一応は天界でもリフェの行動は監視されているが、あくまでも天界に決定的な不利益をもたらさない限りは不干渉であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という事で遂に皆さんのカズマさんがエントリーされました

勿論、経験値とか魔力は捏造ですのでご理解下さい

何故か仕事中に閃いたので採用しました



では、御一読ありがとうございました
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