優しい世界
もし、よろしければ御一読ください
ゆんゆんとキャベツが友達になった翌日、早速ゆんゆんは朝からキャベツの里に来ていた
キャベツの里では相変わらず普通のキャベツ達が飛び回り、それをゆんゆんとキャベツが眺めていた
「凄いですね」
ゆんゆんはそう溢した
「そうかな?俺には普段通りの光景だからかな、思うことはないかなぁ」
「そうなんですか?」
キャベツは既に一年以上生きているらしい
と言うのもゆんゆんが言うには、前回あったアクセルの街のキャベツ収穫クエストは一年程前にあったらしいからである
大体一年周期くらいでクエストは発生するのはアクセルの冒険者達も承知しており、彼等はクエストを心待ちにしているそうだ
キャベツは中身は元人間だが、身体?はキャベツである
ならば、何時まで生きていられるかはわからない
別に目立った異常は見られないが、だからといって野菜?である以上はそこまで長持ちするとも思い難い
「ピィー」
突然、上空の鳥が鳴いた
「えっ、えっ?」
ゆんゆんは驚くが
「またか。上の奴等はご飯に困らない様でご満悦だな
ちょっと行ってくる」
キャベツは戸惑うゆんゆんに、そう言い残すと飛んでいった
「え、キャベツさん」
今回はジャイアントトードである
彼等は地中に潜むから捕捉は一見すると難しそうに見える。だが、潜むだけで其処までスムーズに動けない
仮に土竜の様に地中をスムーズに移動出来るならば、相当の脅威であるが、そうではない
今まではそうだった
だが、今度は少し事情が異なる様だ
ジャイアントトードが複数いる
今までは単独、ないしは2体であったが、少なくとも4体はいる
初心者用のクエストに討伐依頼が出るため誤解されがちだが、ジャイアントトードは決して雑魚ではない
事実としてジャイアントトードには打撃の効果は薄い。それでも魔法で対処出来るし、金属製の防具を装備すれば脅威は激減する
つまり、対策さえ施せば初心者の冒険者でも討伐出来るのだ
それでも、ごく稀にだが、ジャイアントトードに補食されそうになる者もいるそうだが
打撃への高い耐性とて、数を頼めば処理出来る。現にキャベツはそうしてきた
悲しいかな、彼の場合はそれしか出来ないのだが
だが、1体に時間を費やせば、他の個体が完全にフリーになる。他のキャベツ達は逃げているとはいえど避難は完璧ではない
上空の鳥達も支援してくれるだろうが、やはり打撃による一撃離脱なので厳しいだろう
しかし、やるしかない
キャベツが覚悟を決めた、その時
「ライト・オブ・セイバー!」
友達の声がした
時を少しだけ戻す
ゆんゆんはキャベツの後を追っていた
昨日知り合ったばかりだが、キャベツは落ち着いた人?だとゆんゆんは感じていた
そのキャベツが慌てていたように見えた
何か力になりたい。ゆんゆんはそう思ってキャベツの後を追いかける
キャベツは友達だから
突然の声と共に『ナニ』かが、ジャイアントトード1体を両断したのをキャベツは見た
理由は分からない。が、声の主は分かる
「ゆんゆん!ありがとう」
ゆんゆんは感激した。友達のキャベツにお礼を言われたのだから
断っておくが、別にゆんゆんがお礼を言われた事がない。等と言うわけではない
だが、友達から言われたのは、随分と久しぶりなのだった
ゆんゆんはワンドを持ち、キャベツの傍に来た
「大丈夫ですか、キャベツさん」
「ほんとどうしようかと思ったけど、ゆんゆんが居てくれて良かった
悪いけどさ、手伝ってくれる?」
「はいっ。頑張りますね」
その後、蛙達ははゆんゆんの魔法でほぼ一掃された
1体だけは餌としてキャベツが湖に落としたが
ジャイアントトードの群がいなくなった事でキャベツ達は再び集まり、思い思いに過ごし始めた
ジャイアントトード達を退治したキャベツとゆんゆんはまったりしていた
「何はともあれ、平和が一番」
キャベツはしみじみと語る
「そうですね」
ゆんゆんも同意する
ゆんゆん達紅魔族は独特な感性を持つイメージがある。
まぁ、名乗りを上げた後に上級魔法を全力で撃ち込む者が多いのもいる。燃費が最悪と言われている爆裂魔法を極めようと、スキルポイントをそれ以外に使わない者すらいるのだ。更には家庭を持ちながらも自身の信念を曲げずに使いづらい魔法具を作り続けて家庭の財政を悪化させ続ける人物すらいるのだ、否定できる筈もないが
そこに好戦的な性格がセットされているのだから、変わり者と言われても仕方あるまい
キャベツはバニルとベルディアから「一般的な紅魔族に関わるのは止めておけ」と真顔で警告されるのも宜なるかな
幸いと言うべきか、キャベツの友達のゆんゆんはそういった紅魔族に当てはまらない稀有な人物である。当人のゆんゆんに自覚があるかは怪しいが
キャベツとゆんゆんがのんびり話をしていると
「おお、これはこれは。念願叶って認めて貰える友人が出来て内心舞い上がり、叶うならば此処に住もうか。等と考えている娘ではないか」
「おい、止めてやれ」
と声がした
「だ、誰ですか。貴方達は
そ、それにキャベツさんだけだと大変じゃないですか。お友達としてキャベツさんを守るのは当たり前です。だから、私が此処に住んだ方がいいんです」
と言いながらキャベツを後ろに庇った
「ええい。だから貴様は直ぐに相手の内心を暴露するのは止めろと言っているだろうが!」
「何を言うかと思えば、我輩は悪魔バニルである。ならばそれ相応の立ち振舞いというものがあろう
何と言ったか、そう様式美というらしいぞ」
「だ・ま・れ。貴様に任せると面倒にしかならん
すまんな、紅魔族の少女よ。俺はベルディア、魔王軍の幹部をしている」
漆黒の鎧を着た男、ベルディアと仮面の男バニルは言い争っていた
「えっ、魔王軍のベルディア!それにバニルって地獄の公爵バニル!
でもキャベツさんの為にも敗けられない!」
とゆんゆんは魔王軍の幹部相手にも退く気はなかった
「あ、あのゆんゆん「大丈夫です。私も直ぐに逃げますから、キャベツさんは先に逃げて下さい」
いや、だからね「勝てなくてもお友達の為にもがんばります」」
キャベツは知り合いだと告げようとするもゆんゆんに言葉を遮られる
「ええい、娘。貴様も落ち着け!
バニルも煽ろうとするな!
キャベツ、貴様はもう少し粘らんか!」
「ふむ。だが、ベルディアよ。貴様とてこの様な骨のある相手ならば多少思うところはあろう?」
「無いでもないが、今することではないだろう!」
三者にツッコミしながらもバニルの言葉に少しだけ心揺さぶられるベルディアだった
「いや、ゆんゆん。この人?達知り合いだから、ね」
キャベツは眼を紅く光らせるゆんゆんに話しかける
「ふぇっ」
「フハハハハハ。魔王軍の幹部から友人を守ろうとしたが、実は友人の知人であった事を知り、穴があったら入りたくなる程の羞恥心を持つ紅魔族の娘よ。その悪感情、非常に美味である」
バニルは絶好調であった
「ううう。は、恥ずかしいです
キャベツさん、ベルディアさん御免なさい」
ゆんゆんはまた顔を真っ赤にしていた
顔が真っ赤。成る程、紅魔族とはこういうものか
キャベツは内心で納得していた
「おい、キャベツよ。貴様下らん事で納得していないか?」
キャベツの内心を察してかベルディアがツッコミをまたいれる
「というより、何故我輩には謝罪せんのだ、紅魔族の娘よ」
「だって、原因ですから」
バニルの指摘をさらっとかわすゆんゆんである
「ふん。紅魔族の娘が友人とは
しかし、まともそうだから良いのか?」
「ゆんゆんは優しいですから」
ベルディアの疑問に答えになっていない答えを返すキャベツ
悪魔、アンデッド、人間、キャベツ。全く異なる種族が遠慮なく話している、不思議な空間だった
因みにこの後にゆんゆんが故郷の紅魔の里の友人達に送った手紙の返信を記す
久しぶりだね、ゆんゆん。あるえだ
元気そうでとりあえず安心している
ふにふらとどどんこが私の元に君からの手紙を血相変えて持ってきたので、私が代筆させて貰っているよ
ふにふら、どどんこそして私の共通の疑問だが、キャベツさんとは名前なのだろうね。
いや、別に疑う訳ではないのだがね。君が里にいた頃に花に話しかけていた。とどどんこがいうもので
まぁ私達紅魔族が言うのも何だが、個性的な名前だと思う
ゆんゆんならしないと思うが、名前に触れる事をあまりおすすめできない
ああ、ふにふらとどどんこはボッチに友達をつくれるわけない。本当の事を言え。等と言っているが気にしてはいけないよ
めぐみんの事だが、ひょいざぶろーさんもゆいゆいさんもこめっこちゃんも心配している
何かあれば連絡してくれるとありがたいと思うよ
君の更なる活躍と健康を祈っているよ
というわけで、魔王軍の幹部とゆんゆんの出会いでした
本作のベルディアさんは極一部を除いてマジ騎士の鏡
バニルさんは確信犯にして愉快犯で知能犯。マジ始末におえない
御一読ありがとうございました
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御名前は差し控えさせて頂きますが、この様な作品に評価やお気に入り登録して下さった方には厚く御礼申し上げます
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