緑のアイツ   作:くらうす

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何か長くなった(;´д`)

とはいえ、ラストスパートに向けて加速せざるをえないので仕方なくはありますが


予定としては九月中にはナタル編は完結するつもりです


今回も特定のキャラクターへのヘイトがありますので、御注意を


目覚めの刻 迫る刻限

元天使であるリフェであったが、度重なる殺生により自身が変質していくのが解っていた

 

元来、天使や悪魔は魔力には敏感であり、天使はその魔力を自身の存在の固定に使い、悪魔は本体を地獄におきながらも端末を現界させながらも自身の能力向上にも転用していた

 

これは殆んど変化のない天界と生き抜く為にはある程度の力を求められる地獄の環境の差の表れともいえる

 

 

だが、リフェは自身の変質を受け入れ始めていた

 

 

 

『今のまま』では何一つ思い通りにならない

力が、圧倒的な力が欲しいと願っていた

 

リフェは自分が『堕天』するだろうと思っていた

だが『堕天』し、『堕天使』となれば『天使』として天界でかけられた枷が外れるのではないか?と期待していた

 

もしも外れなくとも実力で破れるのではないかとも思ってはいたが

 

 

『堕天使』になれば元には戻れないこと位はリフェとて聞き及んでいる

 

が、自分に不当な扱いをした忌々しい人間や天界の者達へと復讐出来るならば構わない。とすら思い始めていたのだ

 

 

 

 

だから、今は人間の言う通りにテキを殺し尽くす

 

何れ力を得た暁には必ず、その報いを与える為に

 

 

 

 

 

 

リフェは若い上に余り周囲から好まれる人物ではなかった為に知らなかったが『堕天使』になればリフェ程度の精神力では『変質』する精神に抗う事は出来ない

 

天界において何故『堕天』が嫌悪されていたのか?

リフェはそこを甘く見すぎていた

 

 

 

 

 

 

 

一方でキャベツの養殖に励んでいるレフェルは絶賛不機嫌であった

 

上手くいかないのだ

 

彼はキャベツから摘出したキャベツの種子を使い、キャベツを育てようとしたが、僅か一日ももたずに枯れてしまった

 

最初の内は大目に見ていた公爵側も遅々として進まないレフェルに対してプレッシャーをかけ始めた

 

公爵としてはレフェルとリフェの同時進行であるが、かといって無駄飯食らいを許すつもりなど到底有りはしなかった

 

人員が削られ、費用が削られ、終いにはレフェルは一人で難題に取り組む事になった

 

 

これはレフェルが謙虚ならば公爵側も多少は考慮しても良かったが、レフェルは責任者になるなり人員を顎で使い、資金を湯水の如く使っていた為に反発が酷かったせいである

 

それでも一定の成果を出せるならば公爵とて我慢しようが、その成果すら出せないならばレフェルに対して冷淡になるのも仕方ない

というのも、レフェルが短い期間に使った資金は億まではいかずとも数千万には及ぶからである

 

レフェルの様に何の成果のない一市民に支払える額では到底なかった

 

故にレフェルは崖っぷちであった訳である

自業自得ではあるが

 

 

 

 

 

 

 

そんな事態を知らぬ我等がレタスは現在危機に陥っていた

 

 

 

「ナタルさん?」

 

今まで見たことのない位に眼を紅く光らせているゆんゆんの存在である

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

情けない事ながらにナタルには思い当たる節がなかった

最近は同郷のカズマと色々と話をしているだけであるのだが

 

ゆんゆんとあるえもめぐみんとアクアとガールズトークなるものをしていたらしく、ヘタレレタスと元ニートにその会話に割って入るなど出来よう筈もなかったのは当然といえよう

 

 

 

内容についてはカズマもアクアやめぐみんに聞いても教えて貰えなかったらしい

 

ナタルがゆんゆんに聞けば

 

「ナ、ナ、ナ、ナナンデモナイデスヨ?」

 

と明らかに何かありそうなリアクションをとられた

 

ではあるえに聞いたら

 

「さてね、キミに言ったところで意味がないような気もするからね」

 

とはぐらかされる始末である

 

 

なのでカズマと馬鹿話に興じていたわけであるのだが

 

「何でですか!」

 

(いや、何が!)

 

泣きそうになっているゆんゆんだが、ナタルも泣けるものなら泣きたい気分である

 

あの温厚なゆんゆんがここまで怒るとなると余程の事であるだろう。自分では鈍感レベルはカンストしていると自負している情けないレタスである

 

だからとて、ゆんゆんが泣きそうになっているのを見るとやはり悲しくなる

ナタルとしてはゆんゆんの笑顔が好きである為に笑っていて欲しいと思っているのだが

 

「何でいつもいつもカズマさんばかりなんですか!」

 

「はひ?」

 

ゆんゆんの予想外の主張にナタルも吃驚した

 

「カズマさんと出会ってからいつもカズマさんばかりと話をしています!

私と話するのは嫌なんですか!」

 

「お、おう?」

 

「落ち着きなよゆんゆん

君がカズマさんに嫉妬しているのは、このレタス(笑)にも分かっただろうしね」

 

多分に毒の含んだ発言だが、一応はゆんゆんを宥めようとするあるえだった

 

「し、し、嫉妬なんて」

 

「どう見ても嫉妬だろう?

ナタルさんがカズマさんばかり相手するのが不満だったんだろうに」

 

「うう、違わないけど」

 

ナタルはやっと納得できた

確かにカズマは同郷であり境遇的にも似通っている部分は多い

 

だからといってゆんゆんを放っておいた訳では決してない。が、相手に伝わらなければ意味などありはしないのだ

 

だから、

 

「そっか、ごめんなゆんゆん

そういうつもりは無かったとはいえ、ゆんゆんを傷つけてしまって」

 

「いえ、あの、その、私も・・・・ごめんなさい」

 

ゆんゆんは初めて出来たナタルという友達に依存しているところがあった

それを今、ゆんゆんは自覚したのだ

 

「本当にごめんなさい!」

 

「いや、というより別に謝る必要なくね?

俺も悪かったからね、お互い悪かったって事で」

 

「ナ゛タ゛ル゛ざんっ!」

 

「やれやれだね」

 

「ああもう、ゆんゆん泣かないの、な?」

 

 

 

何時も通りの光景であった

 

 

 

 

 

 

とりあえず落ち着いたゆんゆんとあるえがアクセルの街に戻っていった

 

時々野宿?をしようとするゆんゆんをあるえと共に止めているナタルであるが、悲しいかな勝率は四割程度であり負け越していた

 

ストッパー(笑)としてあるえも泊まる事になるが、重ねて言うが元チキンでチェリーのレタスに美少女であるゆんゆんへ手を出す勇気等はありはしないし、あってはならないとナタルは自制していた

 

 

 

所詮はレタスである以上、人間と結ばれる等有りはしないし、あってはならない

 

人間であるゆんゆんより野菜であるナタルは必ず早く朽ちるのだから

 

 

 

 

でも、中身は元とはいえ人間である

 

やはり寂しくはあるのだ

 

 

遠くのキャベツ達を眺めながらナタルは黄昏ていた

 

 

 

 

 

 

 

「レタス?か

妙なものだな」

 

「っ!」

 

突然声を掛けられたナタルは思わず其方を見た

 

 

 

 

 

そこには黒い鎧を纏った首なし騎士『デュラハン』がいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔王軍幹部の一人、『デュラハン』のベルディアは少々苛立っていた

 

というのも

 

「何を苛立っておるのか皆目見当がつかぬが、どうしたのだ、ベルディアよ?」

 

目の前にいる愉快犯のせいであった

 

「さてな、どこぞの愉快犯のせいで今の魔王城の空気が悪いのだがな」

 

魔王城では、他の幹部や魔王の娘すらからかう愉快犯のせいで全員が揃う事はまず無かった

 

今回も会議であったが、デッドリースライムのハンスは欠席しており、シルビアと魔王の娘が愉快犯の被害にあっている

 

「成る程、だが吾輩は悪魔故に他者の悪感情が必要なのである、必須ではないが」

 

「止めろとまでは言わぬ。が、少しは自重したらどうなのだ?」

 

「ふむ、なれば一つ頼み事をしてもらえるならば考慮してもよいだろう」

 

「聞く理由にはならんな」

 

「確かにそうであるな

だが、『理不尽に抗う』者の話ならばどうだろうか」

 

「ほう」

 

ベルディアの双眸が僅かに光を帯びる

 

 

 

今はアンデッドとなったベルディアであるが、生前は高潔な騎士であった

 

民を思い、常に範たろうと自身を律していた

 

残念ながら上から嫌われたのか、当時の魔王軍幹部へと単身挑まされて武運つたなく敗死したが

 

 

 

その後に魔王によりアンデッドとして蘇生されはしたものの常に『何かに抗う者』への敬意だけは欠かした事はなかった

 

故に

 

「貴様の話にのるなど業腹ではある

が、興味深い話ならば聞かせて貰おうか」

 

「フハハハハ、やはりそうでなくてはな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というやりとりの後にバニルの依頼を受けたベルディアは指定された場所へと向かった

 

 

一つだけベルディアの予想外な事があるとするならば、そこにはレタスしか居なかった事であるが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レタスか?

妙なものだな」(ハァ?レタス?どういう事だこれは!)

 

「っ!」

 

「反応はまあまあか、だが周囲への警戒を怠る時点で落第だがな」(え゛レタスがまともな反応してるんだが!変わり者とは聞いていたがこれは変わり者というレベルの話ではないだろうがぁ!

あの、愉快犯の倒錯趣味の持ち主が!)

 

なお、悲しい話ではあるが、女性(某リッチー)の下着を覗こうとしているお前が言うな!とのツッコミ待ったなしの盛大なおまゆうである

 

「だ、誰ですか?」

 

「ほう、喋るレタスとは珍しいな(アイイエ?レタスが喋った?

何で?何故?ホワイ?)」

 

どうやら混乱のあまりに変な電波を受信している様である

敢えていうならば「ベルディア、貴方疲れているのよ」と憐れみを込めて言われる事、待ったなしである

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず荒ぶる内心を抑え込んだベルディアは一ダース程、某悪魔に対する愚痴を内心溢す事で精神の安定を保った後、目の前のレタスと話をする事にした

 

「・・・ん゛ん゛っ!

失礼した、俺は魔王軍幹部の一人死霊騎士『デュラハン』のベルディアだ」

 

「アッハイ」

 

明らかに混乱処か錯乱していた事はどうやら触れない方が良さそうだとナタルは判断した

 

「どうやら悩みがあるように見えたが、何を悩んでいるのだ?」

 

「(え?レタスの表情の違いが分かるの?このヒト)まぁ、悩みはありますけども」

 

尤もらしく言っているがどこぞの愉快犯の入れ知恵である

 

「どの様な悩みなのだ?

俺は魔王軍の幹部とは言え、かつては騎士だった身だ。秘密は守るし、よもや人間と共に我々魔王軍に敵対しようとは思えまい?」

 

「あ、いや、どうなんでしょうか。もしもゆんゆんやあるえさん達が手伝って欲しいと言ったら

それにカズマやアクアさん、師匠に頼まれたら、どうしようか?」

 

ベルディアにとっては意外すぎる答えである

 

「む?貴殿は言っては悪いがレタスでしかないだろう

にも関わらず人間に協力すると言うのか?」

 

「傍目からすれば馬鹿な話ですよね

でも、守りたい人達が出来たので」

 

この異世界に来てからゆんゆんを始めとして、あるえ、めぐみん、キベム、セシリー、カズマにアクア。一介のレタスには勿体ないような出会いがあった

 

当初はこんな身体ではどうにもならないと諦めていた。だが、ゆんゆんに出会ってからナタルの異世界生活は色付き始めたのだ

 

 

確かに異世界に来た切っ掛けは物凄く納得出来ないものであったのは確かである

 

だが、今なら間違いなく断言出来る。「レタスになったとはいえ、素晴らしい異世界生活だ」と

 

ならば、例え勝てない戦いであったとしても、ナタルは請われるならば微力を尽くしたい。そう思うのだ

 

その結果、自身がどうなろうとも

 

 

 

 

「うむ・・・・」

 

ベルディアもナタルなりの覚悟を見てとったのか、感心していた

 

今も昔もこの様な人物にはベルディアは好感を持つと共に敬意を払う。その力の大小でなく、その覚悟に

 

 

「とはいえ、貴殿はレタス。幾ら何でも困難を打ち破る力はないだろう」

 

「デスヨネー」

 

実際問題として、ナタルが能力を万全に使うには自身のフィールドで戦うしか方法はない

勿論、フィールドに誘い込んだとしても、相手の実力如何によっては能力が通用しない事もあろう

 

ナタルが使役出来る野菜達とてあくまでも自衛の為の戦う力であり、相手を屈服させるものではないのだから

 

加えてナタル自身もめぐみんとの初対面でのやらかしのせいで大幅なパワーダウンとサイズダウンを果たしており、体当たり程度ではどうにもならないだろう事は容易に想像出来る

 

それらの事情もあり、めぐみんを師として仰ぎ、爆裂魔法を習得しようとしているのだが、上手くいっていないのが現状である

 

ただめぐみんの求道者としての姿勢に感銘を受けた事も理由ではあるが

 

 

残念ではあるが、ナタルがレタスであるが故に冒険者登録が出来ずに冒険者カードを取得出来ない為である。他にも王国軍や紅魔族の里にある魔法学校『レッドプリズン』でも取得出来なくも無いが、やはりナタルの外見が妨げとなっていた

 

最近では紅魔族の里長の娘であるゆんゆんがどうにかしようとして、あるえとめぐみんにとめられていたりもする。流石に里長の娘のゆんゆんだとしても、一応レタスとてモンスターの区分にギリギリ入る

 

そんなものを里に持ち込めばゆんゆんの立場は確実に悪くなるだろうという二人の考えからであった

 

 

「だが、貴殿の様な者は恐らく諦めまい

ならば、良いものがある。使うかどうかは貴殿が決めればいいだろう」

 

ベルディアは一冊の本をナタルの前に置いた

 

「これはスキルの書だ。これを使えば一つだけスキルが手に入る

代償として、これを使用した後は如何なるスキルも習得出来ない事。更にこの書で習得したスキルを使うと『今まで習得したスキル全て』が使えなくなるものだ

人間ではデメリットにしかならないだろうが、レタスである貴殿ならばメリットにもなろう」

 

「・・:良いんですか?」

 

「構わんさ、元々こちらではもて余していた物だからな」

 

「ありがとうございます

どうすれば良いんですか?」

 

「スキル習得は音声で出来るらしいが、試す訳にもいかんだろう」

 

「『爆裂魔法』を習得します」

 

「何?」

 

「オンセイニュウリョクヲカクニン

ホントウニシュウトクシマスカ?」

 

「はい」

 

「いや、ちょっと待て!」

 

「デハ、バクレツマホウヲシュウトクシマス

コノスキルヲシヨウシタバアイ、スベテノスキルヲウシナイマスノデゴチュウイクダサイ」

 

「待て!スキルの書よ!」

 

制止するベルディアをよそにナタルの全身が光に包まれる

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ベルディアとナタルは少し話をした後に別れた

 

 

 

「確かに色々と大した精神性だな」

 

ベルディアは苦々しく一人呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冒険者サトウカズマは今、怒っていた

 

 

カズマは初クエスト以来、順調にクエストをこなしていった

 

とは言っても、カズマ自身は最弱の冒険者。仲間のアクアは戦闘では少々考えなしなフシがある。めぐみんは冷静に物事を考えるが使える魔法は爆裂魔法のみというロマン仕様

 

自然と受けるクエストの選択も慎重になる

 

 

上級職のクルセイダーのダクネスという女性も新たにパーティーに加わったのだが、こちらは防御に全振りのドM仕様であった

ダクネスの友人という盗賊のクリスの方にも声を掛けたが「やるべき事がある」とかで断れている

 

 

 

で、新たなメンバーを加えて湖の浄化クエストに来ていたのだが

 

「君の様な最弱職の冒険者にアクア様を任せるなんて出来ない!」

 

等と目の前の人物が言ってきた

 

 

 

クエストの遣り方としては多少問題があったことはカズマとて否定しない

 

アクアを檻に入れて湖の中に沈める。要約するとこういう事になる

 

誓って言うが、カズマの発案ではない。めぐみん、ダクネスの提案ですらない

当事者のアクアよりの提案だったのだ

 

曰く「モンスターに邪魔されない様にしたいから」らしいが、お陰でカズマがギルド職員から白い目で見られる事になってしまった

一応必要な風評被害として割り切りはしたが

 

 

クエスト自体は上手く言ったのに目の前のイケメン野郎のせいで檻は壊され、現在進行形でウザ絡みされている

 

 

 

「聞いているのか、サトウカズマ!」

 

「あ、わり、いきなり喧嘩腰で絡んで来るやつに礼儀なんていらないだろ?」

 

「ぐっ!そ、それは悪かったと思うが」

 

「それに、自分のパーティーメンバーを目の前で引き抜こうとされているのに、怒らないと思ってんのか?」

 

カズマが冒険者である事を知り、アクアとめぐみんが馬小屋で寝泊まりしている事を知ったミツルギとかいう男は自分のパーティーへと誘ったのだ

 

もっとも

 

「私は別に困っていないし、貴方にはその『グラム』を渡したのだけど。カズマは私との冒険を望んでくれたのよ、悪いとは思うけど断らせて貰うわね」

 

「はぁ。貴方がどう考えるのかは自由ですが、私にそれを押し付けないでくれませんか?

私は今の環境に納得していますし、満足もしていますから」

 

「あまり感心できないな

私達はこのパーティーでやっているのだ。いきなりその様な事を言うのは失礼ではないのか?」

 

 

と三者三様の答えで断られているのだが

 

 

 

「だが!女神であるアクア様にその様な不自由な生活をさせていて、恥ずかしくないのか!」

 

「あ゛。恥ずかしいのはどっちだよ

その魔剣グラムだったか、それを使って冒険しているんだろうけどな、自分がどれだけ恵まれた環境に居るか分かってんのか!」

 

「恵まれているだって?

君とて転生特典をキチンと選べば」

 

「ふざけんな!それを選ぶことも出来なかったヒトもいるんだぞ!

それでもこの世界を生きているんだ!」

 

カズマの脳裏にはナタルの姿があった

 

 

 

調子にのりやすく、ノリも良い。でも人間ですらない

 

ナタルは言っていた「やっぱ月並みだけど、異世界にいるなら冒険はしてみたいよな。ま、このレタスボディでは無理だけどな」と

 

 

 

 

 

 

 

結局ミツルギとの話は平行線であった

 

 

「んで、自分の得意分野に持ち込む訳か」

 

「僕も君も冒険者だ。実力は必要だろう」

 

「はいはい。最弱の冒険者相手にマウントを取るソードマスターとか格好悪いにも程があるだろ」

 

「・・・・そうかも知れない。だが、アクア様を君に任せる訳にはいかない」

 

「んで、何時始めるんだ?」

 

「何時でも構わない」

 

心底呆れていたカズマだったが、ミツルギのこの一言で

 

「じゃ、行くか!

『スティール!』」

 

 

スティールとは盗賊のスキルで相手の物を盗む

盗む物はランダムに決まるが、幸運値が高い方がより良い物を盗むことが出来る

 

クリスの下着とカズマの風評を犠牲にして手にいれたカズマの力である

 

 

「くっ!」

 

「悪いけどな、手加減は無しだ!」

 

ミツルギより魔剣グラムをスティールしたカズマはそのままミツルギを峰打ちにした

 

 

 

「カズマ、勝ったのね」

 

「相変わらず、何と言えば良いのか難しい戦い方をしますね、カズマは」

 

「しかし見事なものだな

流石にソードマスター相手では正面から戦っても勝ち目はないだろうからカズマの戦い方は理にかなっている」

 

カズマの勝利に対してほっとするアクアと称賛するめぐみん、ダクネスだった

 

 

 

 

 

「卑怯者!」

 

「そうよ!正々堂々と勝負も出来ないの!」

 

逆にカズマを非難する女性二人、戦士のクレメアと盗賊のフィオである

 

 

 

 

 

「卑怯とそちらは言うが、むしろ卑怯なのはそのミツルギ?だろう

魔剣装備のソードマスター相手に普通?の冒険者のカズマがどうやって抵抗するのだ?」

 

「ダクネスのいう通りでしょう

それに貴女方はモンスターと戦うときにも言うつもりなのですか、卑怯だと

そもそも、この戦い自体がそちらのマツルギ?でしたか、が言い出した事でこちらには何一つ利益はないのですよ?

貴女方の我儘に付き合わせた挙げ句、そちらのルールで戦えなどと随分と都合の良い事ですね」

 

クレメアとフィオの発言にダクネスとめぐみんは反論する

 

というよりも、勝手に自分達を巻き込んだミツルギに対してダクネスもめぐみんもアクアでさえも好意は持てない

 

 

確かにカズマは最弱職の冒険者である

 

だが、カズマは必死にこのパーティーの為に動いているのを三人は知っている

 

アクアからは初級魔法を、めぐみんからは知識を、ダクネスからは剣技をそれぞれ学んでいた

 

異世界に来て少しばかり無意識の内に甘く見ていたカズマだったが、レタスになったナタルを見て気を引き締めた

 

 

多少スティール等で剥かれた三人であるが、これも会得したスキルを確認したいと三人の方から言い出した事であり、流石に責めるつもりにはならなかった

 

 

 

 

「でも、マトモに戦えばミツルギがそんな冒険者に負けるわけない!」

 

少しは落ち着いたクレメアを余所にフィオはなおも主張する

 

「ではモンスターの目の前でもその様な世迷い言を言うのだな?」

 

少々苛立っているダクネスは剣を握りしめた

 

「いや、何しようとしてんだよ、ダクネス!」

 

「し、しかしだな」

 

「言いたい奴には言わせとけよ

どうせ言っても無駄だろうからな。それよりさっさとギルドに戻って報告しようぜ。壊した檻の事もあるからな」

 

「カズマはそれでいいの?」

 

「良くはないけど、時間の無駄だろ」

 

「・・・分かりました。カズマがそう言うのなら」

 

「些か以上に不愉快だが、当事者のカズマが言うならば仕方ない」

 

 

これ以上のやり取りは時間の無駄としてカズマ達はギルドに向かった

 

 

 

 

 

 

 

そんな地上とは異なり天界では関係者を集めて話し合いが始まっていた

 

 

「つまりは天界より追放した咎人が地上にて堕天する恐れがあると?」

 

「はい、人間はどうやら悪魔召喚の触媒としてアレを利用しようとしておった様です

ですが、枷があるためにその懸念は無いと思っておりました所」

 

「うむ、だからとて容易に天界の者を遣わす訳にもいかぬであろう?

今、地上に居るものは?」

 

「女神エリスと女神アクアでございます」

 

「面倒な事だな」

 

女神エリスと女神アクアは地上にて信仰されている女神である

 

女神エリスを信仰するエリス教は地上における最大派閥であり、女神アクアを信仰するアクシズ教は数こそ少ないものの一人一人の信仰はエリス教よりも高い

 

加えて行動力までもアクシズ教徒は高い水準を有している

 

両女神を動かせば事態の鎮静化は今の段階ならば時間の問題だろう

 

 

だが、それによる両女神への信仰の高まりは彼女達に反感を持つものからすれば不都合極まりない

 

両女神の影響力を削ごうとしているにも関わらず、両者の力を上げる手助けになるなどと悪い冗談である

 

 

「元は女神アクアの足を引っ張るためにアレを使っていたが余計な事ばかりしおる」

 

彼は天界における重鎮でありながらも、現在の主流派へ反感を持っていた。勿論、表に出すような真似はしていないためにリフェ追放直後の粛清からは免れていたが

 

 

ここまで影響力を落とした反主流派ではあるが、何とかして復権を目論んでいた

 

だが、リフェが堕天使になろうものなら、面倒な事になる

 

 

 

 

因みに悪魔召喚自体を放置するのは儀式自体に欠陥があるためである

 

 

通常の悪魔召喚は魔界にいる本体でなく、その端末を呼び出す

 

だが、今回の儀式は本体そのものを召喚しようとしていた。たとえリフェが天使の力を封じられていなくとも、リフェ程度の魔力では悪魔を現界させたとしても、もって数分で現界を維持出来なくなる

 

都市の一つは消し飛ぶとしても、その程度なのだ

 

彼らからすれば取るに足らない話である

 

 

 

 

「では、両者に伝えますか?」

 

「ならぬ。それを知ったら女神アクアはともかく、女神エリスは黙っておるまいよ」

 

「しかしながら、放置するには危険かと」

 

「何、本当に危険ならば精鋭を現界させる

人間には精々絶望して貰いたいものよな」

 

 

彼はリフェが堕天使になって破壊を振り撒く事を密かに期待していた

 

人間が絶望するほど、獲られる信仰は大きくなる。女神エリス、女神アクア以外は邪神呼ばわりされる地上で信仰を獲得する好機ととらえていた

 

 

「が、即応できる様に準備はしておけ」

 

「はい」

 

全ては失った物を取り戻す為に

 

 

 

 

 

 

リフェ、公爵、天界それぞれの思惑を含みながら時は刻まれる

 

 

 

その先に何があるのか?

 

 

 

 

 

まだ、わからない

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リフェは割りとヤバい

レタスとデュラハンの出会い

カズマとミツルギの出会い


という話でした


評価して下さるのは光栄ですが、感想くれてもいいのですよ?

誤字の指摘ありがとうございます
割れた液晶では厳しいのかもしれません(笑)


では、御一読ありがとうございました
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