緑のアイツ   作:くらうす

53 / 65
何だかお気に入りが増えてて怖い 

と、とりあえず風呂敷は畳みますよ?

アンケートは締め切らせて頂きました
皆様、ご協力に感謝します


常世の夢

天界では今だもって積極的介入に対して慎重論が多勢を占めていた

 

曰く「地上の混乱が続くほどに女神エリス、アクアへの声望が下がり、介入した神や天使の信仰が上がる」

 

曰く「あの『出来損ない』が堕天使等という高次の存在になれるはずがない」

 

曰く「地上には既に女神エリスと女神アクアがいる以上は両者に介入させるべき」

 

といった意見が出てきており、統一性に欠けていた

 

 

更にリフェの属していた派閥の残党はリフェの討伐を自身の派閥の手の者にさせる事による発言力の復活すら考えていた

 

 

 

結果、彼等は何も出来ぬままに無為な時間を過ごす事となる

 

 

 

 

 

 

カズマ達はミツルギのパーティーを放置してギルドへと報告していた

 

「すいません、貸してもらった檻なんですが」

 

「・・壊れて、ますね」

 

カズマの報告に顔をひくつかせるギルド職員の女性であった

 

 

貸与した檻はブルータルアリゲーターの攻撃には耐えうる耐久性を有しているが、ギルド側としては多少の損傷は仕方ないとしていた

 

ところが、檻の鉄格子の一部が明らかに人の手によって損傷していた

 

というよりも鉄格子が斬られていた

 

 

流石にこれをクエストによる損傷とはギルド側も認め難い

 

とはいえ、カズマ達のパーティーは多少派手な事をしでかす事があるとはいえど、問題児二人を抱えているにも関わらずクエストの成功率は高かった

 

ギルドの上層部はアークプリーストであるアクアの功績と見ているが、実情を知る現場の職員はパーティーリーダーにして冒険者のカズマのお陰と認識していた

 

そのため

 

「えっと、サトウカズマさん。どうしてこの様な事になったのかだけ説明してもらえませんか?

貴方方のパーティーでこんな事が起きるとすれば、理由があると思いますが」

 

カズマとアクアはギルドに冒険者登録する前に一月程、建築現場にて働いていた

 

この時の棟梁は二人をことのほか気に入っており、冒険者を始めた後も冒険者ギルドへ二人を指名して依頼する事も多々あった

 

その依頼の頻度こそ余り多くはなかったが、ギルド側としても初心者冒険者ながらに指名の依頼をこなす二人への評価はそれなりに高くなった

 

更に『爆裂娘』と『性癖を拗らせたクルセイダー』というギルドにとって頭の痛かった冒険者をパーティーに入れてもクエストの失敗が殆んどない事で現場からの信頼があった為にギルド職員も配慮した形だ

 

 

「え、はい

変な奴に絡まれまして、それで」

 

「確かアクアさんを檻の中に入れて湖の浄化をされたんですよね?

アクアさんのお知り合いですか?」

 

「えーっと、知り合いというか、何というか」

 

流石にアクアが女神である事を公言は出来ないし、転生させる時にアクアが担当した。というのも荒唐無稽に過ぎる話である

 

カズマとしては頭を抱えた

 

 

 

 

「見つけたぞ、サトウカズマ!」

 

そんなギルドの中にミツルギ達のパーティーが入って来た

 

「見つけたわよ、この卑怯者!」

 

「そうよ、もう一回勝負しなさいよ!」

 

 

どうやらミツルギとカズマの勝負の結果に不満がまだある様であった

 

 

 

 

「えっと、あの人達は?」

 

ギルド職員の女性がカズマに尋ねる

 

「まだ言いますか、全く済んだ事を何時までも」

 

「うむ、めぐみんのいう通りだな

過程はどうあれ、勝負はついている筈だ。しつこいな」

 

「幾ら何でもしつこ過ぎると思うんだけど」

 

めぐみん達は辟易している様である

 

 

 

「ミツルギとかいう冒険者ですよ」

 

「ミツルギですか?

もしかして、王都で最近有名なミツルギさんですか?」

 

カズマの答えに職員は驚く

 

 

 

 

が忘れてはいけないが、ここは冒険者の集まるギルドである

 

カズマ達だけではないのだ

 

 

 

「おい、兄ちゃん達

カズマの奴が何かやったのか?」

 

「いや、その」

 

冒険者の質問にミツルギは言いよどむ

 

 

 

 

当たり前であろう

 

『上級職』のミツルギが『魔剣』を使って『冒険者』のカズマに勝負を挑んだ

 

これだけでも普通に恥である

はっきり言えば弱いもの虐めである

 

ミツルギはアクアの事で興奮していた為にあの様な暴挙に出たが、多少冷静になれば明らかに非はミツルギにあるのは明白だ

 

で、油断して負けた挙げ句に勝負の結果に不満があるなどと恥知らずも良いところであった

 

ミツルギとしてはカズマと話し合いをしようと追いかけて来たのだが

 

 

「こいつがミツルギの武器を奪ったのよ!」

 

「で、無抵抗のミツルギを気絶させたの!」

 

と言わんでと良い事を声高々に主張するミツルギのパーティーメンバーの二人

 

 

 

「「「はぁ?」」」

 

ギルド中の冒険者の呆れた声が響いた

 

 

 

 

 

「つまりなんだ、そこのソードマスターの兄ちゃんが冒険者のカズマに勝負を挑んで来たと」

 

「そうだよ」

 

冒険者の一人の確認に心底面倒そうにカズマが答える

 

「んで、いつでも良いと言ったから、スティールで武器を奪ったと」

 

「その通りです」

 

 

 

 

「アホか」

 

一言である

 

「そもそもだ、どんな事情があるかは知らんがクエスト中の相手の都合も考えず、話も聞かずに勝負を挑んで負けたら文句とか論外だろうが」

 

なお、それによりクエストが失敗したならば、ミツルギ達はクエストを妨害したと見なされてギルドから処罰を受ける

 

たとえ王都で多少有名だとしても、だ

むしろ有名だからこそ、普通の冒険者よりも処罰は重くなる可能性すらある

 

 

アクセルの街のギルドは初心者冒険者や駆け出し冒険者が多い。それに対して王都のギルドは魔王軍との最前線に近いため高レベルの冒険者が多い

 

 

だが勘違いしてはならないのが、だからとて王都のギルドがアクセルのギルドよりも立場が上。という事にはならない事

 

 

確かにクエストの難度は王都が上であるが、その王都で活動する冒険者の殆んどがアクセルの街で冒険者としての経験を積む

 

まあ、一部ミツルギの様な例外といるにはいるが

 

 

王都のギルドとしてはアクセルで経験を積んだ冒険者を供給して貰っている立場とも言える

 

 

 

既にアクセルの街に居残る中級冒険者も発生している現状で王都ギルド所属の冒険者がアクセルのギルドの冒険者に対して問題を起こすというのは王都ギルド側には看過出来ない話であった

 

 

「そう、ですね」

 

「それにソードマスターのあんたが冒険者のカズマに挑むとかやってはならない事だろう」

 

 

これは上級職についた時に説明される事項である

 

その様な事が横行すれば、冒険者になろうと志願する人間が減る恐れがあるからだ

 

 

 

ミツルギ等の転生組は基本的な事項について聞き漏らす事が多かったりもする

 

なまじ大きな力を始めから有しているから、ある程度の無茶が効くと勘違いしているのだ

 

 

実際、王都のギルドで転生組の冒険者は『使い難い』との評価を受けていたりするのだが、当の本人達は知らなかったりする

 

 

「でもスティールなんて」

 

それでも納得のいかないフィオは文句を言う

 

「んじゃ、盗賊の嬢ちゃんは相手が遥かに格上で、マトモに戦ったらほぼ間違いなく死ぬ状況で手段を選んでられるのか?」

 

「うぐ」

 

盗賊のスキルであるスティールは使い方次第ではその効果を高める事が出来る

 

元々戦闘向きでない盗賊にとっては死活問題であるのだが

 

「それでも」

 

尚も言い募る戦士のクレメア

 

「そこまで言うなら、戦士の嬢ちゃん単独で一撃熊でも討伐してきな

正々堂々に拘るなら、それ位は出来るんだろ?」

 

処置なし。そう仲裁している冒険者はミツルギのパーティーに対して評価した

 

「な、それは危険だ」

 

「いや、あんたはそれ以上危険な事をカズマにしようとしたんだがな」

 

 

 

 

流石に周囲の冒険者達からの非難の視線を受けてフィオ、クレメアも黙るしかなかった

 

全く納得はしていないが

 

 

 

 

 

 

「ところでミツルギさん、でしたか?

つまり貴方がこちらの檻を壊されたのですね?」

 

話が一段落ついたと判断したギルド職員はミツルギへと話を振る

 

「え?あ、そうですが」

 

「となると、先ずは弁償してもらいます

その後で王都のギルドへは厳重抗議をさせて貰います」

 

「そ、それは」

 

 

弁償は当然だが、厳重抗議は本来ならばしなくても良かった

 

が、冒険者達に今回の一件が知られた以上、何もしないというのはアクセルのギルドへの信用を落とす事になる

 

つまり、余計な事をミツルギ達がした事でミツルギ達への罰則が増える事になったわけだ

 

全く笑えない話だった

 

 

 

 

 

カズマはミツルギと話をする事自体が無駄であると判断し、仲間達と共にギルドを後にした

 

 

今回の一件により、カズマ達のパーティーからミツルギ達は毛嫌いされる様になるが仕方ない事である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナタルは悩んでいた

 

 

とりあえず『スキルの書』で力は手に入ったが、やらかした感が強かった

 

 

だが、このレタスは「ま、いっか」とあっさり思考放棄した

 

 

力は手に入れたが、使わなければ良いのである

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆんゆんとあるえは故郷である紅魔族の里に帰省していた

 

帰省等と言っているがあるえはそれなりに帰っているので表現的にどうかとは思うが

 

 

とりあえず二人はめぐみんの実家に向かう事にした

 

 

 

 

「あ、妄想のお姉ちゃんとボッチのお姉ちゃんだ。いらっしゃい!」

 

「も、妄想のお姉ちゃん?

いや待ってくれないか。こめっこ、君は誰からそんな話を聞いたのかな?」

 

「ボ、ボッチじゃないから!

もうボッチじゃないの!」

 

こめっこからの先制攻撃により二人は精神的に大ダメージを受けた

 

「えっとね、ニートのお兄ちゃん!」

 

「ニート?

よし分かった、ちょっとぶっころりーを絞めてこようかな」

 

「ぶっころりー?って誰だったかな?」

 

全く隠す気もないこめっこのカミングアウトであるえはぶっころりーへの敵意を顕にした

 

一方でゆんゆんはぶっころりー自体の存在を認識していない様である

 

「いや、待てよ。ならばそけっとに無いこと無いこと吹き込んでおくほうが良いかも知れない

よし、そうしよう」

 

武力行使でなく、メンタルを殺しに行くあるえ。最近元ボッチ娘とレタスによってストレスマッハな彼女は都合の良いサンドバッグを見つけた様である

 

補足するとそけっとは里一番の占い師であり、ぶっころりーの想い人である

 

つまりは、そういう事

 

 

ドンマイ、ぶっころりー♪

 

 

 

「あ、こめっこちゃん。これお土産なんだけど、ひょいざぶろーさんいるかな?」

 

「おとーさん?

おとーさんは最近皆で話をしているよ」

 

仕切り直してお土産をこめっこに渡しながら本来の目的の人物の所在を尋ねる

 

あるえは未だダークサイドからの帰還がかなわない為にゆんゆんはあえて放置している

 

決して怖いからではない。そう、怖い訳ではないのだ

 

 

 

 

 

 

話題のひょいざぶろーは里長の家で家主のひろぽん、ちぇけら、ぷっちんと話し合いをしていた

 

「家の娘がどこぞの馬の骨どころかモンスター等と」

 

「まあまあ、ひろぽんさん

ゆんゆんさんも優秀な子ですから大丈夫ですよ・・・多分」

 

「そこは言い切らんか」

 

「というか、やっと纏まったか」

 

疲労困憊のひょいざぶろーである

 

というのもぷっちん、ちぇけら、ねりまきにより面白そうな話としてひょいざぶろーの魔道具の開発案が持ち込まれた

 

しかも大量に、である

 

 

 

無駄にどこかの宗教の教徒と同じく行動力がある紅魔族だ。必要な素材までセットで用意する始末である

 

一部の女性陣は「ゆんゆんに男の影、だと?」と戦慄していたり「ならば全力で応援しないと!」と普段は里から出ない連中まで素材確保に赴く事態となった

 

 

 

間の悪いことに魔王軍の定期便が襲来して

 

「ヒャッハー!新鮮な素材だ!」

とか

 

「紅魔族の未来の礎となれる事を誇るがいい!」

 

等と何時もよりも五割増しの戦力で瞬殺したのは此処だけの話だ

 

 

 

余談ではあるが、折角揃えた軍勢を数分で溶かされた某幹部は

 

「何よこれ、何なのよ!」

 

と絶望しながら逃走したらしい

 

 

 

一部の紅魔族は

 

「ちっ!貴重な素材を逃がしてしまった!」

と言って、魔王城付近まで追撃するも、結界により泣く泣く撤退したそうな

 

 

 

因みにその追撃班にひょいざぶろーの妻らしき人物が居たと言う話はひょいざぶろーは聞かなかった事にしている

 

 

 

「とはいえ、あの『グロウキメラ』を逃がしたのは痛かったですね」

 

「だな。あのヘタレ魔王軍幹部め、もっと性根を入れて掛かって来れば」

 

魔王軍の幹部すらも素材扱いするぷっちんに幹部シルビアの不甲斐なさを嘆くちぇけらである

 

 

 

 

魔王軍幹部シルビアの名誉の為に言っておくが、仕方がなかったのだ

 

誰が眼を紅く光らせた紅魔族の集団に挑もうというのか?

 

しかも普段ならば攻撃のみなのに、明らかに妨害系の魔法が凄い速度で飛んでくるのだ

 

シルビアでなくとも尻尾を巻いて逃げるというものである

 

 

 

尚、その後に城で某愉快犯に死ぬほどおちょくられたそうな

 

 

 

 

「で?どうなんだ、成果は?」

 

ひろぽんは不愉快そうに尋ねる

 

可愛い我が子がモンスターの毒牙にかかるかも知れないのだから無理もない

 

「とりあえずの出来だな」

 

「やはりシルビアを」

 

「次に来たら逃さん」

 

とりあえずの出来である事に不満なひょいざぶろー

 

シルビアを確実に捕らえようとするぷっちんとちぇけらであった

 

 

 

 

 

その試作品を受け取ったゆんゆんとあるえは直ぐにナタルに会いに行こうとしたが、そけっととねりまきに捕まり根掘り葉掘り聞かれる事になる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リフェは自身が変質していくのを楽しみにしていた

 

 

 

未だ天使の力も堕天使としての力も行使できないが、自身の力が強くなっていくのだけは分かっているからだ

 

最早なにをコロシタか?等は些細な事である

 

「もうすぐ、もうスグ」

 

リフェは一人呟いた

 

 

 

 

 

 

アクセルの領主アルダープは『辻褄合わせの悪魔』であるマクスウェルを召喚する事に成功していた

 

これにより目障りな者達を一掃できると考えている

 

 

鬱陶しい王国の反体制派の貴族やダスティネス家の人間等を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、古代の国『ノイズ』の負の遺産である『機動要塞デストロイヤー』がアクセルの街へと迫っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

事態は大きく動いていた

 

 

ある者は終幕へ

 

ある者は未来へ

 

 

皆が夢を見る

 

 

 

 

 

明日という夢を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






ええい!最近増えていくお気に入りがプレッシャーになっている

やめて!くらうすはプレパラートの心臓なのよ!


その内改稿しますが、とりあえずは完結を優先したく思いますので、御容赦ください

では、御一読ありがとうございました


感想くれてもいいんですよ?(小声)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。