元々追放時にリフェと呼ばれた駄目天使だったが、彼女にも夢はあった
いや、夢と言うには些細な事だ
自分を誰かに認めて欲しかった。それだけだった
リフェと後に名乗る事になる彼女はいつの間にか天界にいた
突然、訳の分からない環境に放りこまれて適応出来る程に彼女は器用ではなかった
また、周囲に頼ろうにも生来の気質からか言い方や態度が酷く、協力を獲る事は出来なかった
だが、彼女なりに努力した結果、平均より落ちるが何とか天界での立場を得る事には成功した
だが、周囲は彼女を『役立たず』と陰で貶していた
彼女よりも立場の低い者からも陰で噂される程であるからして、どのくらい嫌われてきたのかは想像つくだろう
だが、彼女は折れなかった
しかし、彼女の周囲には彼女の事を真剣に考えるものは居なくなっていた
いるのは彼女を利用しようとするものばかり
極稀に彼女を心配するものも現れたが、彼女を利用するには邪魔である為に、全て除かれた
結果、彼女は自分勝手に出来る環境を手に入れてしまった
こうなると元々独善的な彼女が周囲を見渡す事などありはしない
そんな中で女神アクアと彼女は出会った
女神アクアは清廉ではない。清貧でもない
では賢いのかといえば、そこまで傑出している事もない
どちらかと言えば、彼女は不真面目であるし、冗談も口にする
決して天界基準で考えるなら、好ましいものではなかっま
しかし、彼女は女神アクアに憧れた
美しい外見等ではなく、その在り方に
女神アクアは『自然体』なのである
彼女の様に周囲の影に怯えて反発したり、威嚇したりしない
『あるがまま』に全てを捉えていると彼女は感じたのだ
そして、女神アクアの様になりたい
そう思うようになった
それ以後、彼女は時間を見つけて女神アクアと関わる様になっていく
女神アクアと過ごす時間は彼女が『素顔の自分』を出せる唯一の時間となっていった
そして、女神アクアに自身のノルマ達成の為に仕事をかわってもらう事になる
リフェは王都への道を歩きながら考えていた
自分が天界を追放されたのは、何故か?と
確かに手抜きをしたことは認めよう
だが、それが何だというのか?
彼等は自分が転生特典を貰い、超越者となる事に躊躇いが無かったのだ
ならば、それ相応の代償やリスクは承知の上であるはずだ
それを人間は『奇跡』と呼ぶのだから
だが、事実としてリフェという名前と共に、彼女は地上へと追放された
そして、良い人間と悪い人間に会っている
リフェの中で人間に対する疑念や不満が本人すら分からない内に積もっていくことになる
そして、紆余曲折を経て公爵の元でモンスターと戦う日々を過ごす内に女神アクアとの交流で育まれていた元々少なかった彼女の善性は擦りきれてしまった
残ったのは相手を効率的に殺す方法と、こんな境遇を用意した公爵達への憎悪だけであった
そして彼女は堕天使となった
既に彼女の意識は殆んど失われていたが、それでもアクアに対峙した時にだけ意識はあった
だからアクアに近寄ろうとしたが、それは叶わなかった
リフェには最早肉体を動かす事すら出来ない
だから
ウィズの凍結魔法を受けても反撃はさせない
レタスの爆裂魔法を受けても障壁を張るだけ
これだけがリフェという存在を掛けて出来た事であった
そして
「ア、ア、(アクア様、ごめんなさい。それとありがとう)」
声にならない想いを残してリフェは消滅した
かつて彼女はアクアの髪の色を『空の色』と称した
目指した空は遥か遠く、彼女の手は終ぞ空へと届く事はなかった
この話を何処に差し挟むか分からなかった馬鹿なくらうすです
次回は次回予告?です