クロスオーバーなので慎重にいきたいと思います
何時も通りの駄作ですが、どうぞ
ナタルは眠っていた
大切な紅魔族の少女。その友達の少し苦労人で損な役回りの多い少女。自分に新たな道を魅せてくれたナタルよりも年下の師匠
少しお調子者で、それでも人に優しく出来る自分と同郷の少年。自分がこの状況になった事を悔いている優しくも少し抜けている女神様
こんな自分を『父』と慕い、ナタルの我儘を叶える為に総てを差し出した優しくも強いキャベツ
少しノリの良すぎる素敵なシスター
色々、そう色々な出会いがあった
ナタルは爆裂魔法を放ち、彼女たちを守る為に消える時も決して後悔はなかった
後悔なんて、前世で腐る程していたのだから
ナタルは既に輪廻から外れた存在であり、今のキャベツとしての生を終えた後には何も残らない
何故ならば、彼の転生はイレギュラーな要素が多く天界でもフォロー仕切れない状態だったから
ナタルの消滅と時を同じくして、堕天使こと元天使リフェも消滅した。その意識こそ永遠に無いが、彼女を構成していたマナ、つまりは魔力素は天界に還元される
だが、これが問題となってしまう
堕天使リフェを構成していたマナは堕天に至るまでの行為により『負の属性』を多分に含んでおり、それは天界という『聖の魔力』や『純粋な魔力』に満ちている環境にとっても劇薬であった
更には堕天使という器があったからこそ、周囲への影響は最小限に止められていたものの、堕天使リフェの消滅により、その器自体が崩壊した事により周囲への影響も少なからず及ぼす結果となる
とはいえ、あの現場にいた者の殆んどは魔力操作に優れた魔法使いであり、数少ない例外もまた肉体という器があり且つ女神アクアや女神エリスによる加護を受けている
不幸にもこれに該当しないのはリフェの消滅とほぼ同タイミングに消滅したナタルであった
ナタルは元々キャベツであり、爆裂魔法を行使すれば消滅する程度の魔力しか有しない
それが堕天使というある種の規格外な魔力をもつ者のマナと比較すれば当然ナタルは大いに劣るのは自明である
しかし、この世の生命は肉体という器が消滅した以上は余程の例外でない限りは一度天界へ導かれる(この際に所謂魂と呼ばれる物に護られて天界に行くのが常)
その後に転生等の手続きが行われるのが通例である
が、言ってしまえば言い方はよろしくないが、リフェは異物であり、これは他者にも影響を及ぼす質の悪いものである
リフェが適当に転生させた事により、魂という器が半ば崩壊していたナタルは爆裂魔法という魂自体に負荷のかかる要素と合わさり、中身のマナが剥き出しになっており、同地で同じタイミングで発生した堕天使リフェの負の属性を持ったマナの影響をモロに受けた
ぶっちゃけるならば、リフェのマナとナタルのマナが混在したのだ
故に天界ではそのマナを受け入れる選択肢はなかった
そこで、大元のリフェのマナの塊は『除去』したものの、リフェとナタルの混在したマナについての処置は天界でも意見が割れる事となった
あくまでも天界の平穏を優先する一派はそれを地獄に落とす事を主張した
また別の一派は今回の一件は天界側の失態であり、それを処置したものであるから『浄化』を求めた
なお、この『浄化』とは文字通りのものであり、天使や高位の神などを構成する『純粋なマナ』とする事であり、本来ならば重罪人に対する仕置きであるのだが
少数意見ではあるが、時間をかけてナタルとリフェのマナを分ける意見も存在したが、あまりにも時間を要する事と『罪人』であり『罪人の関係者』と見なされているナタルへの肩入れともとれる見には大半が反発した
感情論として反発したものもかなりいたが、理性的な判断からナタルへの処置に反対したものもいた
これは言い換えるならば白色のペンネームと黒色のペンキが不完全ながらも混合している状態から元通りにするようなものである
ならばいっそのこと廃棄した方が早いのも残酷ではあるが事実であった
それに万が一ナタルとリフェの魔力を分けられたとしても、最小単位であるマナ(魔力素)で見るならば必ず影響は残るのは確実とされていた
別にナタル自身が聖人君子ではないとは言えども、流石に堕天する程の魔力の影響がどの程度となるかは未知数である
更に言えばナタルの前世における行状は善悪で語るならば悪の分類になっていた。いくらキャベツとしては全うな生活をしていたとても、前世における負債は存在する
その上で負の影響を受けたとすれば如何なる変化を起こすかは天界とて想像出来なかった
その様な事情もあり、ナタルは大罪人リフェの残債ともいえる負に傾いたマナを内包したままに彼等の関知しにくい所へと追放となった
ここは『アストルム』と呼ばれる世界にある『女神アメス』のいる空間である
「どうしろっていうのよ」
そこにいる女性、女神アメスは頭を抱えていた
このアストルムは『とある事情』により世界が一度崩壊しかかった事がある
当時の管理者達やアメス達は必死に尽力したものの、世界などという大規模なものへの干渉は如何な管理者とて容易ではなかった。しかも、対処する時間すら殆んど与えられなかったのも不味かったといえる
そんな中で、とある別の世界における管理者たる神々が力を貸すことでどうにか致命的な崩壊は免れる事は出来た
だが、それにより多大なる借りをその神々にしてしまった。本来ならば世界線自体が異なる世界同士、借りを作った管理者達やアメスは勿論の事であるが貸しを作った神々とてこれを精算するなど全く思っていなかった
あの時点では
しかし、管理者達やアメス、神々の予想に反して今回その貸し借りの精算を向こうから求められた
向こうからの要求はただ一つ
「この穢れたマナ(元ナタルとリフェの魔力素混合体)を其方で引き取って欲しい」
であった
諸々の事情から現在のアストルムには管理者と呼べる者は女神アメス一人であり、アメスは熟考の末に此れを受け入れた
とはいっても、アメスとて一つの事象に関わり続けるのは不可能だった為、ランドソル郊外の森にある聖樹へと預ける形とした
アメスとしては聖樹の持つ浄化作用により、ナタルという存在の負のマナをどうにかしようと思っていたのだ
幸いと言うべきかは議論の余地があるのだが彼方から移送する際に嘗てのナタルボディ(キャベツ)を再生しており地上に降ろしたとしても影響は限定的であるとされていた
アメスの権能だけではその様な大がかりな事は不可能だったが、先方の協力もあり何とかナタルを地上に降ろす事も出来た
これは神々としてもナタルという面倒事に繋がり兼ねないものを穏当に『処分』するための必要経費として割り切っていたからこそ、行われた事であったりもする。常ならば異世界への干渉に当たる為に行われない行為に当たるのだが
「はぁ、どうにかなった・・・のかしら?
って、え゛?」
色々と複雑な気分であったアメスだがようやく一息つけたと思って、確認の為にナタルを見たところでらしくない声を上げた
「え、ちょっと待って
あそこは一応エルフ達が『聖域』とか呼んでなかったかしら?
何で傍にエルフが居るのよ?」
アメス自身には地上へと介入どころか監視すら出来ない身であったが、ナタルを押し付けた対価?としてナタル付近のみ見渡せる神器を預かっていた
そこに見えたのは聖樹の傍にいるナタルと、その傍にいる一人のエルフの少女だった
聖樹の周辺は聖なる結界の様な物が存在し、悪意や邪気のあるものは通過出来ない仕様になっている
それに加えてエルフ達はその結界を神聖視しており、聖域として扱っていた
そこに入れるのはエルフの中でも極一部であり、一世代に一人いるかいないかである
故にアメスとしても外界との繋がりを考慮する必要も無いこともあり、聖樹の傍にナタルを置いていたのだ
そして当代のエルフはギルドを立ち上げている関係上、そこまで聖域に立ち寄れないと見ていたのだが
「うーん、不味いのかしらね」
アメスは頭を抱える
ナタルは言ってしまえば異分子であり、アメスが加護を与えた人物とは別の意味でこの世界に影響を与えかねない
といっても前述した様にアメス単体では地上に介入出来ない。出来ると言えばアメスの神託を加護を与えたエルフの少女に伝える程度である
では、それを使って排除するかと言うと、ナタルのいる森と加護を与えた少女の里には直接的関係はなく、幾ら同族のエルフであっても聖域に立ち入らせるとも考えにくかった
つまりは手詰まりである
「あーもう。どうにもならないじゃない!」
アメスの悩みは尽きなかった
一方でナタルを追放した天界では、女神エリスと女神アクアが天界の下した処分に対して大いに反発していた
曰く
「天界の不始末をした功労者に対する仕打ちとは思えない」
「ナタルはリフェの関係者というよりも被害者
それを満足にフォローもせずに放り出すなど有り得ないしあってはならない」
といった主張であった
アクアより事の顛末を聞いたクリス改め女神エリスは天界への信仰の供給を止めるべきだとまで主張する始末。何とかアクアが説得したとはいえど、アクア自身もエリスが激昂していなければ間違いなく激発していただろう
天界側はそんな些細な事よりも早期の魔王討伐を求めており、アクアとエリスはひとまずは引き下がる事になった
この後、エリスは天界よりの指示である神器回収を目に見える形で遅らせる事となり、アクアはパーティーを組んでいるカズマ達と新たに加わったゆんゆんとあるえと共に魔王討伐を目指す事になる
そんな世界すら跨ぐ程の大問題になっていた当のレタスは未だに意識を戻さない
後に『属性の塊』と呼ばれるレタスと『○○○○』と呼ばれる少女の出会いまでもう少し
実はナタルとリフェは死んでも厄ネタと言う話
今作でのアメス様は正しく苦労人
騎士君はその内出す予定
取り敢えずエルフ関係者はそれなりに関わるかも、知れません
では、御一読ありがとうございました