緑のアイツ   作:くらうす

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なんとなく続いてみた


泣いて、笑って

エルフの少女アオイは困っていた

 

偶然とはいえ、聖域に入ってしまったのだから

 

 

 

とはいえ、聖域へ立ち入る事が別にルールとして禁止されている訳でも無い。ただ今までの慣例として不用意に立ち入るべからずといった風潮があるだけなのだから、そこまでアオイが気にする必要も無いのだが

 

 

だが、アオイという少女の様にボッチと呼ばれている者の中には、他者を気にする余り動けなくなっている者も少なからず存在する

 

 

遠く離れた世界にもかつてボッチだった少女がいるが、彼女もまた他人を気にするあまり積極的な行動がとれなかった。そしてそれが自信のなさにも繋がり、元々引っ込み思案だったものが更に悪化する未来もあっただろう

 

もしかしたら、柄の悪い人間や質の悪い悪魔等と親しくなる未来もあったのかも知れない

 

が、彼女はライバルとしていた少女や衝撃的な出会いを果たした野菜との出会いを経て様々な人達と交流でき、今では彼女がボッチであった事を知るもの以外に彼女が元ボッチなどと見えなくなるほど見違えた

 

 

このアオイという少女も人は良いし、気配りも出来る。決して他人から邪険に扱われる人物ではなかったのだが、本人がそれを自覚していない

 

 

 

 

「あああ、ど、どうしましょう

聖域に入ったなんて知られたら。それに聖樹様にもあそこまで近づいてしまったし、あああ」

 

聖樹と呼んでいる大樹はエルフの一部から信仰を集めており、アオイもその信仰している一人だった

 

 

尤も、その信仰により少しばかり聖なる力が強かった唯の大樹が聖樹と呼ばれる程の力を獲たのであるが、誰も知ることのない話であった

 

 

 

 

 

アオイは現在森の中にいた

 

 

家で落ち込んでいてもどうにもならないと思い直したのだ

 

 

 

ここで一つだけ申し上げたい

 

アオイにせよ、ゆんゆんにせよボッチを自称しているにも関わらず、外出を躊躇わないのは凄いと元ボッチである作者は常々思っている

 

ボッチとは他者に関わるのを極度に怖れている。何故なら、他者の視線すら怖いからであると思う。それでも外出出来る彼女たちは素直に称賛するに値するものと作者は考えている

 

 

 

 

 

話がそれた

 

 

森の中を歩いているアオイだったが、被っている帽子の重みが突然無くなった事に気付いた

 

 

 

「へ、へ?うぇっ!」

 

見上げると小鳥が帽子を掴んで飛んでいた

 

「え、ちょっ、待ってください!」

 

アオイは小鳥を追いかける

 

 

 

 

「ええ、またですかぁ」

 

アオイは既に半泣きであった

 

少し前にも同じ事があったような気がするからである

 

 

 

 

 

 

「やっぱりここですよね」

 

小鳥を追いかけた結果、聖域に辿り着いたアオイは嘆息した

 

もっとも、アオイは自分が微笑んでいることに気付いていなかったが

 

 

 

 

 

 

 

「うう、ここは聖域で私はボッチですけど、やっぱり嬉しいです」

 

相変わらず小動物達に囲まれているアオイは嬉しい気持ちが大きいとはいえ、複雑な思いであった

 

「ああ、私も小動物に生まれていればボッチにならなかったのかな」

 

アオイはため息をついた

 

彼女なりに頑張っているのだが、中々人と話す事が出来ない。最近では森で迷っている人もあまりみないため、必然的に人との話すこともなくなっている

 

 

意外かもしれないが、アオイは迷い人を案内したりは何とか出来る。内心いっぱいいっぱいだが

 

 

「へ?え、ちょっと」

 

アオイが物思いにふけっていると、リスの一匹がアオイの『だいじょうぶマイフレンド君一号改』を加えて行ってしまった

 

「ま、待ってくださいぃぃぃ」

 

流石にアオイも会話の練習相手であるマイフレンド君を持っていかれるのは困る為に追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、女神アメスの元にナタルの元いた世界の神が来ていた

 

 

 

「あの」

 

「言わずとも分かる、女神アメス殿

何故此方に来たかということであろう?」

 

困惑するアメスに神はいう

 

放り出した身ではあるが、彼のレタスの身体はそれなりに頑丈に作ってあっても、中身の消耗が想像以上ではないか?と

 

もしも器に異常があった場合に備えて定期的に来訪する事になった、とも

 

「・・・・:え、大丈夫なの?」

 

彼の話を聞いたアメスは疑問に思う

 

そもそも、このアストルムという世界自体がまだ不安定である。そこに高次元の存在であり、魔力の塊ともいえる彼等が頻繁に出入りするのはリスクしかない気がアメスにはするのだか

 

「アメス殿のご懸念は至極当然のこと

貴殿はこのアストルムという世界の残った唯一ともいえる管理者。当たり前だが、この世界の安定を優先するのは極めて自然なことよな」

 

「はあ(え?そこまで分かっているのに、どうして来るのよ)」

 

「実はアレの器に使用したものは特殊な物ゆえ、こちらでは回収せよという者共がいてな」

 

「ええー」

 

 

ナタルに内包されている魔力は元々ナタルが持っていたものよりも遥かに大きいものとなっていた

 

ナタルの器を元通りにしたところで内部の魔力を留め切れないと判断した天界の自称良識派は、ナタルの器を再構成する際に一部特殊な物を使用した

 

この事実を知ったナタルを追放させた者達は「たかだか大罪人の為にその様な物を使うなどもっての他。速やかに回収すべきである」と主張し始めた

 

 

 

だが、自称良識派にも言い分がある

 

そもそもの原因であったリフェは現在、浄化の儀の後に再構成の儀式をおこなっている。にも関わらず、被害者である筈のナタルは別の世界へと追放では理屈が通らない

 

百歩譲って追放を是としたとしても、移送中や追放先の世界で器が崩壊し、内包している負のマナが溢れ出して現地に被害をもたらすのはどうかという事だ

 

故に器の強化は必然であると良識派は判断していた

 

 

 

ところが、反対派は追放したモノにまで責任は持てん。の一点張りである。流石に理屈が通らないと抗弁したのだが、元々反対派は一部の女神を通じて信仰を集める現在のやり方に不満を持っており、ナタルが転生者であることも相まって多数派の感情論で押しきった

 

何せ追放先のアストルムは諸々の事情から重大な爆弾を抱えており、世界が崩壊した場合ナタルの器に使用した物が失われるリスクを重要視したとも言える

 

 

 

 

では張本人たるリフェはどうするのか?と言えば、最早リフェという人格は消滅しており唯の巨大なマナの塊であり、これを自派閥に取り込もうと躍起になっていた

 

当然取り込もうとする以上は素体となったリフェだった頃の罪状等は都合が悪いという生臭い理由があった

 

 

 

であるからこそ、彼等反対派はナタルに全ての悪名を押し付け、消すつもりなのだ

 

更に今回神器を器に使用した自称良識派に対しても、神器の無断使用を追求しており、良識派は窮地に立たされていた

 

 

アストルムが崩壊したとしても、彼等の世界に影響を及ぼさないのも反対派の強硬的な行動に拍車をかけた

 

つまり「(アストルムが崩壊しても)関係ない」ということである

 

 

「え、流石にどうかと思うけど」

 

粗方の事情を聞いたアメスはドン引きした

 

当然である。明らかに被害を被った上に、問題解決に一役かった筈のナタルを自分達の都合で良いように弄んでいる様にしかアメスからは見えないのだから

 

「返す言葉もない」

 

中立である彼もアメスの言葉にはしないが、非難を受け入れる他ない

 

「で?どうするのよ」

 

「見たところ、既に負のマナは消滅しており、無色のマナとなっておる様だ

これならば、貴殿の世界への影響を最小限に抑えられよう」

 

「いやそうじゃなくて」

 

「む、アメス殿の言いたい事は分かるのだが」

 

神の返答にも苦いものが混じる

そもそもアメスとて女神の端くれである以上、ナタルの魔力が既にアストルムに与える影響が殆んどないのは分かっている

 

問題視しているのは影響がないからと消すのか?である

 

別段アメスにはナタルと関り合いは無いとは言っても、多少の罪があったとしても大功で相殺出来る話。寧ろ功績の方が高いのではないか?という心配すらあるレベル

 

 

 

彼等天界の者達は忘れているかも知れないが、彼等の力の源は魔力やマナでなく、信仰である

 

にも関わらず、アメスの聞いている話では地上との窓口である女神エリスと女神アクアは現在の天界の方針に反発しているらしい

 

そこに被害者であるナタルを追放させた上に処断したのならば、天界を見放すのではないか?とすら第三者の立場でも危惧するレベルだ

 

そのリスクを負ってまでナタルを始末する必要はあるのか?アメスはそう聞いていた

 

 

 

 

 

なお、アメスの危惧はある意味では当たっていた

 

 

今回の堕天使リフェによる騒動でエリス教、アクシズ教はその立場を更に固めた。更に両教徒間の関係改善も始まっており、特にアクシズ教のシスターであるセシリーは積極的にエリス教徒との融和を推し進めていた

 

一方で事件以前より、エリス教における女神エリス以外の神の存在も少しずつ周知され始めたにも関わらず、現界した女神エリスと女神アクアと比べて何の恩恵もなかった事により、エリス教は実質女神エリスの一神教となっていた

 

つまり、期せずして天界は信仰を獲得する機会を自ら潰したともいえる

 

結果、女神エリスと女神アクアは更なる信仰を獲得するも、天界への還元は殆んど行われなかった

 

これは女神アクアによる

「先ずはこの事態をキチンと片付けてから。そうでないと、信仰を渡すのはごめんよ」

との発言に女神エリスも同調した為である

 

 

アクア達の天界への不審は洒落にならないレベルになっていた

 

 

 

これに追い討ちをかけるかの様に転生者の間でも天使リフェの愚行は知られていたが、アクア経由で天界の腐敗っぷりも伝えられた為に、転生者という神の存在を知っている者達からも信仰を獲得出来なくなってもいる

 

 

 

魔王軍は元々神々に対して不満を持つものが多いが、今回の件でそれに拍車がかかった

 

 

堕天使リフェにより殆んどが死亡したが、数少ないナタル達と関わった生き残りの野菜や魔物達からも天界への不信感は高まっており、実のところ天界は今まで以上に信仰を失っていた

 

 

 

当の本人達だけがそれを知らないのだが

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く気がのらぬが、仕方あるまい」

 

彼とてこんな貧乏くじをひきたくはなかった

事情を話せば女神アメスからは軽蔑されるだろうし、天界の上層部からも睨まれるだろうし、穏健派からも睨まれるだろう

 

だが、誰かがせねばならないのであれば、せめて以前上司だった者がするのがケジメだとも思っていた

 

 

そう、彼はまだリフェが天使だった頃に不始末から彼女を天界より追放した上司であった

 

今では堕天使リフェの上司として無能の烙印を押されているが、彼はそれを甘んじて受け入れていた

 

 

 

 

だがナタルへと術を発動する、その時

 

 

「え、ちょっと待って、ストップ!」

 

アメスが制止の声を上げるも

 

「な、何故エルフが?

ぐっ!」

 

彼は必死で発動した術式を制御するも

 

「まずい!間に合わんっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメス達が割りとピンチな時

 

 

「はぁー、やっとマイフレンド君を取り戻せました」

 

リスよりブリキ人形『だいじょうぶマイフレンド君一号改』を取り返したアオイは人形を地面に置いて一息ついた

 

「あれ?これなんでしょう

キャベツ、うーんレタス、かな?」

 

マイフレンド君の傍に緑色の物体があった

 

すると

 

「え、ええっ!な、な、何ですかこれぇっ!」

 

アオイの周りが光に包まれた

 

 

 

 

 

 

 

アメス達は

 

 

「む、な、何とかなった、か?」

 

「た、多分そうじゃないかしら?」

 

汗だくの神とアメスは息も絶え絶えに話す

 

いざナタルの処置をしようとしたタイミングでエルフの少女が効果範囲に入ってきたのだから仕方ない事だった

 

彼は必死に術の効果範囲から少女を逃そうとしたが、はたして

 

 

 

 

 

 

 

「う、うーん。な、な何が起きたんでしょうか?」

 

光が収まった後、アオイは意識を取り戻した

 

「あれ?レタスがない?」

 

見るとさっきまであった筈のレタス?が無くなっていた

 

「不思議ですねぇ」「だねぇ」

 

「「ん?」」

 

アオイは独り言を言ったと思ったら、誰かに同意された。不思議に思い、声の方向に視線を向けてみると

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

そこにはアオイの『だいじょうぶマイフレンド君一号改』のみであった

 

(え?いよいよ私幻聴が聞こえる様になったんですか?)

 

アオイは内心泣きそうになったが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、どーも」

 

マイフレンド君が話しかけて来た

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

 

 

 

 

アオイの絶叫が森の中に響き渡った

 

 

 




キャベツ、レタス、長ネギとくれば無機物しかねぇだろ!!(暴論)

ま、神様だって間違える事はよくある話(某水の女神を見ながら)


因みにアメスの所に来た神(元天使)は出世してますが
、うっかり属性持ちです

では御一読ありがとうございました
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