しかし、元祖ヒロインの存在感を上回れるのかは未知数
エルフの少女アオイは混乱していた
何か妙な光があったと思ったら、アオイの持つブリキ人形『だいじょうぶマイフレンド君一号改』が話しかけてきたのだから
「あのー?」
「ヒッ!」
「もしもし?」
「ヒエッ!」
「聞こえますかー?」
「ピョッ!」
「・・・・・」「・・・・・」
「何じゃこりゃー!!」「何ですか、コレー!!」
○タ○は思った
ん?ここどこよ?え?○○ゆ○は○○えに師○は?
あれ?そもそも、俺って誰だっけ?
アオイは思った
え?私の『だいじょうぶマイフレンド君一号改』が喋った?
え?私に話し相手が出来た?
え?これは夢?現実?
わ、私死んじゃうの?(死にません)
アメスと神は焦った
「え?ちょっと?」
「 」
「え?何これ?」
「や」
「や?」
「やっちまったー!!」
「ちょっとー!!」
その頃の天界
「そろそろあやつがアレを回収している頃か」
「うーむ」
「どうされた?」
天界では三人?の神が話をしていた
「何か懸念事でも?」
「懸念事だと!忌々しいあの女神アクアと女神エリス以外に何があるのだ!」
「ふーむ」
「しかし、女神アクアと女神エリスの主張も尤もかと」
「ふざけるな!我等の力無くばあっさり死ぬ様な脆弱な人間と半人前の女神ごときが何をぬかすか!」
「うーむ」
「ええい!さっきから何だ!」
「どうされたのですか?」
「ん?ああ、何少し気になる事があってな?」
「貴様まで人間などとぬかすか」
「どの様な事でしょうか?」
この三人はそれぞれ強硬派、穏健派、中道派に属しているが、意見交換の為に集まっていた
「いや、行かせた奴さ、アレの上司だったわけよ」
「はぁ」
「それがどうした?」
「いや、天使の中では使える奴でな、今まで神になってないのがおかしいくらいに使えるのよ」
「それはまた」
「天使としては破格だな」
天界において天使の極一部は上位者たる神の数人?の推薦により神の位階へと進むことが出来る
勿論、善性を持つのは当然だが、それなり以上の能力や功績が必要となり、大抵の天使は諦める
が、アレことリフェの上司はなんだかんだ言っても、問題児たるリフェを見捨てずに監督していた。その上で自身の業務には問題を起こさせない程度には有能だったのである
「それはまた」
「おかしな事だな。そこまで使えるならば昇格とて問題あるまいに
何故今まで昇格せなんだのだ?」
「いやな、アイツたまにとんでもないポカをするからなぁ」
「ポカ?」
「とな?」
怪訝そうな二人に
「そうなのだ
いや、奴が真面目にしているのは勿論わかっておる
わかっておるのだがなぁ」
思わず昔の事を思い出したのかため息をつく
まだリフェが天界にいた頃の話である
リフェが好き勝手にしている事を不満に思っていた当時天使だった彼は反省を促す為に、とある仕事をリフェと共同で行う事とした
その上司である神はリフェが更正するとは思えなかったが彼の提案を採用した
結果からすると、『あの』リフェですらも思わず手助けするような惨状となってしまい、彼に対してはリフェも少しだけ優しくなった
「お、おう」
「む、むう」
話を聞いた二人は言葉も出なかった
「いやな、本当に真面目だし、能力もある
向上心もある上に常に研鑽を怠らぬのだが、稀にこうなるのよ」
「ならば何故その様な奴に後始末を任せた?」
「それはそうですね、適任は他にいたのでは?」
「奴は曲がりなりにもアレの上司だったのだ
責任を痛感しておる奴に任せぬとは言えなかったのだ」
「ま、まぁ大丈夫であろう。する事はあの転生者めに宿された神器の回収のみよ」
「そ、そうですよ。まさかうっかりするなんて事は」
「そうか?」
「ええい、仕方ない!
私が奢るから食事でも行くぞ!」
「おや、珍しい」
「・・・・良いのか?」
余りに憔悴している状態を見てられなかったのか、強硬派の神は食事に誘うことにした
その提案に穏健派の神は驚きを隠せない
何せ傲慢で不遜で唯我独尊な彼が他者を気遣うなど、それこそ天界が滅んでもあり得ないと評判の彼が。である
「喧しい!さっさと行くぞ!」
「いきますか」
「う、む」
この日珍しく派閥の垣根を越えた三人が共に行動していたのを見た周囲の者達は驚く事になる
が、彼等の思いは裏切られる事になった
「やってしまったorz 」
「え、何?」
「神器ごとあのみょうちくりんな人形の中に」
「ええー!」
落ち込むリフェの元上司の神にアメスは絶句した
同時刻
「む?なんだこれは?」
「どうしたんですか、陛下?」
ランドソルのとある場所で二人の人物が話をしていた
「ふむ、然程に脅威とは思えぬが」
「だから、どうしたんですか、陛下?」
「○○○よ。エルフの森へ行け」
「え?は、はい(え?シャドウでもいいんじゃないの?)」
こうして○○○はエルフの森へと向かうことになる
これから少し後、このランドソルに一人の青年?が降り立つ事になる
がそれはまた別の話
「えっとつまり、なんだ?大丈夫なんとかなの?俺」
「はいい、えっと『だいじょうぶマイフレンド君一号改』です」
「?『だいじょうぶマイフレンド君一号改』?」
「はい、『だいじょうぶマイフレンド君一号改』です」
正気?を取り戻したアオイとブリキ人形は改めて話をしていた
「えっと、アオイちゃん。だっけか?」
「は、はい!アオイです
一応ギルド『フォレスティエ』に所属してます13歳です!」
「あ、うん
ちょっと落ち着こうか?」
やや興奮ぎみのアオイを落ち着かせるブリキ人形
「あ、あのごめんなさい」
いつもならばここまでテンパれば逃げているが、アオイが持ち歩いている『だいじょうぶマイフレンド君一号改』相手なのが幸いしたのか、アオイもまともに会話が出来ていた
「や、別にいいんだけどね
最初言われた事が「あやとりだいすきあや太郎ー」って言われた時にはどうしようかと思ったけどね」
「あ、あう」
因みにアオイの名誉の為にフォローしておくと、彼女は「怪しいものではありませんが」と言いたかった
がいつも通りにテンパった結果「あやとりだいすきあや太郎ー」となっただけである
「まぁ、可愛かったからいいんだけどね」
「かわっ!」
アニメならば『ボンッ!』と擬音のつきそうな勢いで真っ赤になるアオイ
(んー?自分が何かわからんのは辛いけど、まぁいいか)
赤くなったアオイを見ながら割りと危機的状況にも動じないブリキ人形だった
「どうするのよ?」
「むむむ」
「何がむむむよ!不味いんじゃないの、これ」
やらかしたうっかり神にアメスは詰め寄る
アメスとてナタルをそこまで知りはしない
しないが、せめて安らかな眠りだけはどうにかしようとした矢先にこれである
流石にナタルが不憫でならない
「・・・・・」
うっかり神は沈黙していた
「・・・・・」
アメスも黙る
重苦しい空気がアメス達のいる空間を満たした
「かかかか、可愛くなんか、ないですよぉ」
「そっかねぇ?」
アオイの否定にブリキ人形は疑問の声をあげる
なお、衝撃的すぎてアオイは失念しているが、ここは聖域であり、聖樹の傍でもある
ここには小動物達が沢山いるのだが
彼等は一様に口論?をしているアオイとブリキ人形を見ていた
その視線には微笑ましいものを見るような温かなものが含まれているのを二人とも気づかなかった
「で、では個人の嗜好ということで」
「何か納得出来ないのだが」
結局、アオイが可愛いのか?の論争は双方の主張が平行線を辿った為にアオイ発案の個人の嗜好論に落ち着く事となった
ブリキ人形は不満な様であったが、アオイは見ないふりをしていた
「では、そろそろ帰りますね」
「おう、お疲れー」
陽も暮れてきた為にアオイは里に帰ることにした
「???え?」「???は?」
二人もとい一人とブリキ人形はお互いに疑問の声をあげた
「いえ、ですから帰りましょう」
「いや、だからお疲れ様」
「「??」」
噛み合っている様で致命的に噛み合って無いようである
「あの、お疲れ様って?」
「いや、帰りましょうって?」
「ですから、わわわ、わたっ、私の家に帰りましょうと言っているんですよ」
「いやだから、確かにブリキ人形だけどもさ、中身?がいるんだから、不味いっしょ」
「でも貴方は『だいじょうぶマイフレンド君一号改』ですよ?」
「いや、確かにそうだけどさ」
ようやくお互いの認識の違いに気付いたアオイとブリキ人形はまた口論していた
アオイはどんな形であれ、だいじょうぶマイフレンド君一号改である以上は一緒に帰るべきと
ブリキ人形は外身はだいじょうぶマイフレンド君一号改だろうと中身がいる以上、一緒にいるべきではないと
議論は再び平行線となった
「じ、じゃあ、貴方は私と居たくないんですか?」
アオイは瞳に涙を浮かべながら問いかける
「っ!(頭が痛い)」
ブリキ人形はアオイの姿を見て頭痛をおぼえる
アオイではない誰か
黒髪で紅い目をして優しかった少女がアオイにダブって見えた
「だ、大丈夫ですか?」
様子のおかしいブリキ人形にアオイは手を当てる
(今のは)
ブリキ人形には分からない
それが、かつてナ○ルと呼ばれていた頃に大切に想い、想われていた少女だった事は
「あ、うん。ごめんな?アオイちゃん」
「い、いえ大丈夫ならいいんですけど」
謝るブリキ人形に何故か違和感をおぼえたアオイだったが、今はそれを無視した
アオイにせよゆ○ゆ○にせよ、ボッチといわれる人間は他の者よりも周囲を良く見ている事が多い
他者を自分以上に気にかけているのだ
だからこそ、ブリキ人形の細やかな変化にもアオイは気づけたと言える
「あー、うん。アオイちゃん?」
「は、ハイッ!」
ばつが悪そうにアオイに話しかけるブリキ人形
「お言葉に甘えるけど、連れてってくれる?」
「あハイッ!」
満面の笑みを浮かべるアオイを見て、ブリキ人形は何故か目の前の少女を泣かせたく無いと思った
なお、アオイはブリキ人形の呼び方を頭の片隅で常に考えていたが、最後まで口にする事はなかった
まぁ、ボッチだった少女に初対面?の相手の名前を決める等というのはハードルがとても高かったのである
「微笑ましいわね」
「ソウデスナー」
一方でそれを見ていたアメスとうっかり神はそれぞれ感想を口にしていた
「というか、あのナタルって子はどうしたのかしら?」
「む、恐らくは器が崩壊した際に記憶の一部が欠損したのではないか?」
「の割には安定していたけど?」
「うむ。器の強化に使っていた神器がちょうど補強材の役目をはたしたと見ている
見る限りでは完全に元ナタルの魂と同化しておるでな」
本来ならナタルという器を壊して神器を回収する予定であったが、効果範囲への突然のアオイ侵入とうっかり神のうっかりにより、レタスの傍にあったブリキ人形の中にナタルの魂ともいえるものが固着してしまった
しかし、無機物に魂を宿すにはそれ相応の魂側への負担となり、ナタルの魂の一部が欠損。それを魂側か神器側かは分からないが察知して補った形となったのだ
「いやそれで良く人格としてなりたってるわね」
「神たる貴殿と私が言う事ではないが、正しく『奇跡』であろうな」
「そうねぇ」
「崩壊した魂の再構成等、それこそ最高位の神でなくば成せぬ御業よ」
アメスとうっかり神は偶然の産物とはいえ、正に『奇跡』を目の当たりにしたわけである
「とはいっても、神器回収が貴方の仕事だったのに、いいのかしら」
「構わぬさ
神器は回収する際に失われたとでも報告するとしよう
まさか危険をおかしてまでここアストルムにまで来るような物好きはおるまい
それにあの者達を引き離すのは気が咎める」
うっかり神のそれは実質職務放棄になるが、彼は何でも無いように話す
「確かにね」
「何、処分といっても恐らくはここアストルムへの追放になるだろう
間違いなく神器を探せと言ってくる事は目に見えているからな」
ここアストルムとうっかり神のいる世界はとんでもない程に離れている
故に往き来するだけでも命を落とす危険性すら孕んだものになっているのだ
幾ら神器が重要だからとて、煩いだけの強硬派が自らアストルムまで来る事はまずあり得ない
うっかり神は部下であったリフェの不始末の犠牲となったナタルだったからこそ、アストルムに来ただけであり、通常ならば命令でも断る話であったのだ
「な、中々言うのね」
「何、あ奴等に憤懣を溜めているのは女神アクアと女神エリスだけではないのでな」
明らかに黒い発言をするうっかり神に退き気味のアメスであった
「一度戻るが、間違いなく来ることになるだろう
アメス殿には申し訳ないがな」
「まぁ暇だからいいわよ」
その後、うっかり神は元の世界へと一時帰還していった
うっかり神が居ないときに女神アメスはとある存在をアストルムへと導く事となる
「ほんと、あの子がどれだけ幸運だったかが良く解るわね」
アメスの呟きは誰にも聞かれなかった
「と、と、とと、友達ですか!」
「や、落ち着こうや、アオイちゃん。頼むから」
「あう、すみません」
アオイの家に着いたアオイとブリキ人形は話をしていたのだが、ブリキ人形の提案にアオイが驚愕の声を上げたのだ
「そんなに堅苦しく考える事も無いと思うんだけどな」
「いえいえ、何を言ってるんですか
何か用意しないと」
「しなくていいからさ」
アオイの相変わらずのテンパり具合にブリキ人形はもう驚かない
ただ
(どっかで聞いた事がある気もするんだよなー?
何時だったかは分からんけどな)
○る○と○ぐ○んと○んゆ○が話していた
「やれやれだ。友達を作るのにプレゼントがいるわけないだろう?○○ゆ○」
「まったく、いつもそんなのだからふ○○らやど○ん○などにも良いようにつかわれるのですよ?」
「違うから!○タ○さん、○○えと○ぐみ○の言ってる事は違うから!」
殆んどの台詞は出てくるのに、人の名前と姿だけがまったく分からない
「えっと、大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思う?」
「なんで疑問文なんですかぁ?」
アオイの言葉に我にかえったブリキ人形である
「実は私友達が欲しくて、嬉しいです!」
「や、ブリキ人形を友達としてカウントしていいのかは分かんないけどさ」
「いいんです!他の人には意味が解らなくても、私にとっては大きな意味があるんです!」
「いや、ほんと落ち着こう?
とはいえ、人間の友達とアオイちゃんならすぐに出来るって」
「あ、あの手伝ってくれますか?」
初めての友達?が出来た事に喜ぶアオイ。それに対してアオイなら人間の友達もすぐ出来るというブリキ人形
「手伝い、ねぇ。出来る事ならするけども」
「ありがとうございます!
ではバイバイ、ボッチ団。略してBB 団として頑張りましょう!」
「アッハイ」
「BB団、BB団。BB団♪」
バイバイ、ボッチ団ことBB団がアオイとブリキ人形により此処に結成された
楽しそうなアオイを見て
「じゃ、宜しく団長」
「いやいや、団長なんてそんな
団長は貴方がやって下さいよー!」
「え?ナニソレ怖い」
こうして、エルフの少女アオイは終生の友であるブリキ人形を得ることが出来たのであった
これからのBB団の活躍にこうご期待!
という訳で晴れてBB団結成となりました
ブリキ人形の名前、どないしよ?
では御一読ありがとうございました