今回は題名にある通りifのお話です
割りと救いのない話ですので、少しばかり今までとは違ったお話です
あらかじめ御承知の上でご覧下さい
キャベツの里にゆんゆんが来た。ウィズさんからアークウィザードのスキルを教わったらしい
冒険者として徐々にだが、
いろんな人とパーティーを組む様になって、あまりこちらに来れない事を謝ってきたが、俺としては友達が元気ならそれでいいのだ
ウィズさんから受け取ったスキルポーションをゆんゆんに渡したら、ゆんゆんはビックリしていた
「ほい、ゆんゆんあげる」
「え、こんなにスキルポーションが
だ、駄目ですよ。これはミドリカワさんが」
「キャベツにどうしろと」
まぁ、こんな感じでゆんゆんは渋ったが、無理矢理押し付けた
最近はベルディアさんもバニルさんも忙しいらしいから、元の生活に戻った様な感じになった
キャベツの里にいたキャベツ達は旅立って行った
最後に俺の周りをぐるぐる回っていたのは別れの挨拶だったのだろう
以前の様に小さな種キャベツも居ない
そのせいかジャイアントトードや一撃熊もいなくなった
空を飛んでいた鳥たちも次第に姿を消しているから、遠くない内にいなくなるだろう
恐らくはもうかつての様にキャベツ達で賑わう事も無いだろう
バニルさんとウィズさんが久しぶりに来た
2人とも浮かない顔をしていたが、俺を見て驚いていた
ベルディアさんが冒険者パーティーに倒されたらしい
人間達にとっては魔王軍の幹部だったんだろう
俺にとっては優しく、立派なヒトだったが
里の一角にバニルさんとウィズさんとでベルディアさんのお墓を作った
ウィズさんが頻りにどうにかならないのか聞いて来た
元々の身体がキャベツなのだ
寧ろ長生きしたと思う
バニルさんは何も言わなかった。でも寂しそうだった
バニルさんとウィズさんが帰る時にゆんゆんに伝言を頼んだ
あの娘の泣くところは見たくない
最近は起きているのも、億劫になってきた
でも、まだ生きているから
ウィズさんの所でバニルさんが手伝いをしていると久しぶりに来た2人から聞いた
ゆんゆんは最近、王都でのクエスト等で活躍しているらしい
ウィズさんの所にはゆんゆんから手紙が来ているそうだ
「早くアクセルに帰ってキャベツの里で俺に逢いたい」
らしい
ゆんゆんらしいとは思うけども恐らくはもうゆんゆんには会えないと思う
ウィズさんは泣いていたし、バニルさんは仮面越しでも分かる位に無表情だった
俺は素敵な友人がいた事を再認識した
湖面に見える自分はボロボロで、茶色になっている
もう自分で飛ぶこともほとんど出来ない
今居るところは初めてゆんゆんと出逢った所だ
少し俺が入れる祠みたいなのをベルディアさんに作って貰っていたものだ
この祠の奥にはベルディアさんに代筆して貰った俺の遺書と最後の贈り物がある
ああ、こんなにも空は青い
ゆんゆんはミドリカワに会ってから少しずつクエストに誘われる様になっていった
ゆんゆんとしてはミドリカワに会いに行きたいが、冒険者としての生活を優先すべきと当のミドリカワに諭された
そうして、アクセルの街から王都に拠点を移す固定のパーティーに入った
パーティーに入った以上単独行動は難しくなるし、仮にキャベツの里を知られたら大変な事になりかねない
だからゆんゆんは会いたいのを我慢していた
その代わりにスキルを教えて貰ったアクセルのウィズに暇があれば様子を見に行って貰える様に頼んだ
ミドリカワは冒険の話をとても楽しそうに聞いてくれる。だから、ゆんゆんはしっかりクエストを受けていた
ある日、ウィズからの手紙でなるべく早くキャベツの里に行くように。との一文があった
日付を見ればもう一月も前のものだ
この世界ではそこまで物流がしっかりしておらず、管理体制も杜撰な為にそこまで珍しい事ではなかったから、ゆんゆんも気にしない事にした。
パーティーメンバーに話せば、暫く休みをくれるというので、ゆんゆんはキャベツの里に向かった
ゆんゆんは我が目を疑った
あれだけキャベツ達で賑わっていたキャベツの里には何もいなかった
上空の鳥もいない
ゆんゆんは寒気を覚えて、いつもミドリカワがいる場所に向かった
誰もいない
ゆんゆんは半ばさけびながらミドリカワを探した
ある祠の前にウィズとバニルが立っていた
「ゆんゆんさん」
ウィズは泣いていた
「来たか、紅魔族の娘よ」
バニルは呟くような声で言った
ゆんゆんは嫌な予感がした
祠の中を見たくなかった
それでも見てしまう
そこには茶色でボロボロになったミドリカワだったものがあった
ゆんゆんは泣き叫んだ
どうして?どうしてミドリカワさんが?
気絶したゆんゆんを辛そうに見るウィズとバニル
「マクスウェルの仕業か」
バニルは呟く
『辻褄合わせのマクスウェル』
元アクセル領主アフダープに使われていた悪魔である
実はゆんゆんへの手紙と同じタイミングで王都へとアフダープの悪行を記した書類が送られており、マクスウェルの力により『なかった』事にされていた
マクスウェルの力の影響がなくなった為に王都へと配送されゆんゆんの元へと届いたのだ
『見通す悪魔』の能力を使えば何か出来たかも知れないが、アクセルには『忌々しい女神』と『それに近い』何かがいる
迂闊に能力を行使しようものなら、どちらかに捕捉されるのは間違いなかった
バニルだけならば、残機が減るだけだが、ウィズもリッチーである以上危険だった。『忌々しい女神』はカズマがどうにかできるが、もう1つの方が問題だった
『女神アクア』がいた以上『女神エリス』がいないとは言い切れない
そしてエリス教はアクシズ教より悪魔等に厳しい
最悪問答無用で始末される可能性は高かった
だが、ゆんゆんの状態を見るとバニルとてリスクを承知してでも能力を使うべきだったと後悔していた
その後目が覚めたゆんゆんは祠の中で見つけた手紙と贈り物を見て泣き崩れた
ゆんゆんへ
多分これを見ているなら俺は死んだんだと思う
元々長生き出来るとは思っていなかった
この手紙も偶々ベルディアさんに体調の悪いところを見つかって書いて貰っている
多分、ゆんゆんは自分を責めているだろうけど、責めないで欲しいかな
俺は楽しかった
元々別の世界で死んでから此方に転生したらしい
だから、あまり気にしないで
後同封している物を最後に贈らせてもらう
最後に
ありがとう
ゆんゆんは同封している物を見た
中央に高品質のマナタイトがあるネックレスだった
ゆんゆんは声を上げずに泣いた
後年、偉大な魔法使いとして必ず名前が上がる人物がいた
『紅と緑の魔法使いゆんゆん』
彼女はある時から冒険者を辞め、辺境の森や湖を護り続けた
それと共に人間を襲わない魔族や魔物を保護した
理由を聞かれると「友達との思い出」を護りたいからと必ず答えたという
彼女は生涯独身であり、死ぬ間際に
「私、頑張りましたよ。いっぱい褒めて下さい」
と言い残し、安らかな表情で永眠した
死後は墓を建立される予定もあったが、生前から彼女の希望で里の一角にある祠に埋葬された
不思議な事にその祠はゆんゆん氏の移住前から存在していたと伝わる
余談ではあるが、彼女の葬儀には著名な人物が参列したとされる
『魔王を倒した英雄』サトウカズマ、その仲間でゆんゆん氏の親友でもあった『爆裂魔法の申し子』めぐみん、『守護騎士』ララティーナ、『氷の魔女』ウィズ等である
『とある人物』の協力を得れなかった場合、こうなります。というお話
誰も幸せになれない世界です
御一読ありがとうございました
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