アルマダ・ブレーダーズ   作:公私混同侍

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無敵の絆

問6、ブレーダーは車両に含まれるが緊急走行である時、いかなる場合であっても速度超過して良い。

 

 

「緊急時なら急がなきゃいけない。だからマルだ!」

 

「正解はバツ。『いかなる場合であっても』じゃなくて『道路状況や交通状況に応じて細心の注意を払えば』だよ」

 

「そんな謎なぞみたいな答えアリなのか?ああ、ムシャクシャしてきた」

 

病院のベットに横になりながら問題を解くパドン。ケイコはページを捲り次の問題を出す。どうやら学科試験の問題を解いているようだ。

 

 

問17、青信号は『進め』である。

 

 

「これは簡単だぜ。当然マルだ!」

 

「答えはバツ。『進め』じゃなくて『進んでもよい』だよ。こんな調子で本当に大丈夫なの?」

 

パドンは頭を掻きむしりながら余白にメモを取る。話は真面目に聞いているようだ。

 

「じゃあ次の問題だね」

 

解説役のケイコがペースを握る。

 

 

問23、ブレーダー免許の有無に関わらず、 その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密はいかなる理由があっても第三者に漏らしてはならない。

 

 

「この問題は良問だね。パドンに解けるかな?」

 

「うーん。『いかなる理由であっても』ってところが引っ掛かるなぁ」

 

「ちゃんと覚えてるね。あとは『例外』を頭に思い浮かべられたら正解に辿りつけるよ」

 

「『例外』ねぇ。パドン様の頭脳もってしてもなんも思い浮かばねぇ……」

 

「クスッ、個人情報は依頼主の同意があった時とか、裁判で証人として証言しなきゃいけない場合は第三者に漏らしても罪には問われないんだよ。だから正解はバツだね」

 

「くぅ!ブレーダーの学科試験ってこんなに難しいのかよ!やれんのかオレ?」

 

隣で本を読んでいたヒューガーが欠伸をする。

 

「リーダーって頭良かったんだな。免許持ってるんだし」

 

「当たりめぇだ。免許がなかったらチームなんて作れるわけないだろ。それよりどうして急に学科試験なんて受けようと思ったんだ?金に目が眩んだか?」

 

「金は……否定できないけど事務書類とかの手続きって色んな縛りがあって、実際にやってみて思ったんだけど決まりごととかしがらみって言うのかな?ルールを知ってるのと知らないのとでは天と地ほどの差があるし、知識があった方が任務も事務もやりやすくなる。だよなケイコ?」

 

「クスッ、そうだよ」

 

「ケイコの受け売りかよ。ちょっとは進歩したと思った自分を殴りたい」

 

ケイコがヒューガーの手足の感触を確かめている。手足が修復されており、日常生活にも支障のないぐらいまでに雑務をこなせるようになっていた。

 

「やっぱりパドンに頼んで良かった。みんな帰ってきてくれたから」

 

「あんな酷い目に合うのはこれっきりにしたいぜ。背中がまたヒリヒリして寝返りもうてないなんてさ。ラーシュの兄貴なんかオレより辛かったはずなのにネフェルの姉さんのために命まで投げ出そうとするし、オレもみんなみたいになれるかな?なぁ、リーダー?」

 

「そんなこと聞いてる暇があったら勉強しろ。わからなかったら俺たちが教えてやるから」

 

「リーダーが教えてくれるなら入院中も安心だね。ラーシュもネフェルもいるし、パドンの味方しかいないね」

 

「んん~?それってスパルタ合宿の幕開けか?頭がクラクラしてきた。って愚痴ばっか吐いてちゃダメダメ。よしっ、やってやるぜ!」

 

パドンが参考書を舐めるように読み始めた。すると廊下から足音がする。

ケイコが様子を見るため廊下に頭を出した。

 

「やっぱりラーシュだ。それにネフェルも。体はもう大丈夫?」

 

ケイコがネフェルの腕に抱きつく。ラーシュは自動販売機の前で商品を眺めている。

 

「ああ、まだ肩を動かすと痛みはある。明日退院するけど、リハビリもしないといけない。でも時間が経てばすぐ良くなるよ」

 

「悩み事があったら抱え込まないでね。みんなネフェルの味方だから。困った時は助け合いだよ」

 

「ケイコに頼りっぱなしで自分の力で乗り越えようともしなかった。でもこれからはみんなの役に立てるように――」

 

「そんな肩に力が入ってたら身が持たないよ。苦しいとき辛いときはラーシュに甘えればいいんだよ。ねっ、ラーシュ」

 

「ぶふっ!?」

 

フルーツジュースを飲んでいたラーシュは呼びかけられ吹き出した。

 

「クスッ、顔がびしょびしょだよ。はい、ハンカチ」

 

「う、うむ」

 

気まずくなったのかラーシュは四本のボトルを片手に持ちながらヒューガーたちの病室に入っていった。

病室ではパイナップル男がやって来たとパドンが騒いでいる。

 

「フフッ、ラーシュが誰かに甘える姿なんて想像できないな」

 

病室に五人が揃う。終始和やかな空気の中会話は弾み、つかの間のひとときは過ぎ去っていく。

 

「みんなに伝えなければいないことがある」

 

病室内が静まり返った。ネフェルに視線が集まる。

 

「ケイコ、いつも相談に乗ってくれてありがとう。まだまだ半人前なこんな私だけど、これからも色んな悩みを聞いてほしい」

 

「うん、任せて」

 

「パドン、ラーシュとヒューガーを助けてくれてありがとう。心配や不安な思いをさせてしまったけど、今度は私がみんなを守れるように努力する」

 

「へへっ、面と向かってネフェルの姉さんの言葉を聞くとなんだか照れちゃうな。よーし、元気が湧いてきた。このパドン様がアルマダの心臓としてネフェルの姉さんを全力でサポートをするぜ!」

 

「ヒューガー、せっかくアルマダに入れてくれたのに情けない格好ばかり見せてしまってごめん。犯した過ちはこれからの働きで返していく。無敵の絆に誓って約束するよ」

 

「ネフェルのお陰で免許に傷がついちまったし、パドンのことも悪く言えなくなっちまった。その分ネフェルにはチームの手足として必死こいて貢献してもらわないとな」

 

ヒューガーの表裏のない言葉にネフェルは安堵の表情を見せる。

 

「ラーシュ、あの時の言葉の返事はいつか必ずする」

 

「……そうか。しかし、あまりもたもたとしている答えを急かしてしまうかもしれぬ。私は嫉妬深い性格ゆえ待つのは苦手なのだ」

 

「じゃあ今答えを出そうか?」

 

「な、な、何を言っている!?皆がいるではないか!?」

 

ラーシュは顔を紅潮させ慌てふためく。挙動不審な動きに病室内は爆笑に包まれた。

凶極刀騒擾事件は五人の絆をより強くさせた。

そよ風に揺れる木々の葉が音を奏でる。まるで五人の再会を喜んでいるかのように……。

 

 

問49、ブレーダー免許を所持するものが教官であり、かつチームに所属している場合、両罰規定に基づきチームとして処罰を受けた時、教官としても処罰される。

 

 

「パドンには難しいかも。現役教官のネフェルなら簡単だよね?」

 

「ラーシュはもう忘れてるみたいだ」

 

「何をいう。一度学んだことは死ぬまで忘れぬものだ。主君もそうであろう?」

 

「まあな。じゃあパドン、がんばれよ」

 

「本当にみんなわかってんのか!?」

 

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