龍神ボーラスで東方暮らし   作:名無しの永遠衆

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思いついたので書きました!(悪質な開き直り)


古代編
第一話 龍神になった凡人


 皆さんはMagic: The Gathering(マジック:ザ・ギャザリング)(以下MTG)というカードゲームを御存じだろうか?

 

 世界初のトレーディングカードゲームであるMTGは、プレイヤーが様々な世界を内包した多元宇宙を渡り歩くプレインズウォーカーと呼ばれる存在となって呪文を唱えて対戦相手と戦うゲームだ。

 

 様々な土地からマナを生み出し、得られたマナで呪文を唱える。

 呪文はクリーチャー(生物)、アーティファクト(人工物)、インスタント・ソーサリー(魔法)、エンチャント(呪い・加護)と多岐にわたり、中には同盟者としてプレインズウォーカーを唱える事すらできる。

 

 勝ち方もクリーチャーで殴り合うだけでなく、ダメージを与える呪文での勝利・カードの効果による特殊勝利・対戦相手のデッキをすべて失くすライブラリアウトなど現在の対戦型トレーディングカードゲームの基礎を築いたといっても過言ではない。

 

 さて、そんなMTGだがカードにまつわるストーリーも充実している。

 初期はカードの雰囲気付けのいわゆるフレーバーテキスト程度だったが、最近ではカードセットの展開(エキスパンション)ごとに小説まで書かれているのだ。

 主人公は名のあるプレインズウォーカー達、舞台はカードセットで描かれる多元宇宙の中の世界の一つである。

 彼らは各地で起こる騒動や事件に遭遇しながら、様々な次元世界を旅していく。

 

 では、そもそも彼らは()()()()()()()()()()()()()

 

 それはプレインズウォーカーの秘める《灯》によるものだ。

 知性を持つ種族……人、獣人、悪魔、あるいはゴーレムや巨大な海棲生物(リバイアサン)に至るまで、己の身の内の《プレインズウォーカーの灯》を燃え上がらせた者は多元宇宙の世界を渡り歩くことが可能となる。

 その力は理解の及ぶ範囲で全能に近いものだったが、次元世界でのプレインズウォーカー達の度重なる魔法乱用の影響による《時の裂け目》の発生とその修復である《大修復》により《プレインズウォーカーの灯》は大きく変質し、その力は大きく衰退した。

 

 ほとんどのプレインズウォーカー達は《灯》の変質を受け入れたが、全盛期の力を取り戻そうと野望を抱く者がいた。

 

 

 それがエルダードラゴンのプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスである。

 

 

 彼はドミナリアという次元で最古のプレインズウォーカーと呼ばれていたほどの古株で、一度死を経験しながらも復活し、全知全能の力を目指して多元宇宙に陰謀を張り巡らせた。

 その計画は最終的にラヴニカという次元で灯争大戦という大きな戦いとなったが、最後には名前すら失い、自分の双子の兄弟に死ぬまで幽閉されることとなる。

 

 まぁ長々とこんな話を何故したかというと……

 

 

俺がニコル・ボーラスになってたからだよ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 始まりは突然だった。

 俺は自分の部屋で、買ってきた『灯争大戦』のパックを剥いていて、神話レアのプレインズウォーカー・カード《龍神、ニコル・ボーラス》の絵違いFoil*1を当てて歓喜の叫びを上げた……筈だった。

 

 しかし、気付けば手に持っていたはずのカードは無く、雑多に物が散らかっていた部屋は鬱蒼とした森に、歓喜の叫びは恐ろしい咆哮となっている。

 突然まったく違う場所にいる事の衝撃よりも、せっかく当てたレアカードの消失に打ちひしがれて顔を両手で覆ったのはカードゲーマーのサガだった。

 

 だが、両手を顔に当てると嫌でも気付く手や顔の骨格の人間との違い。

 現実逃避したい気持ちを抑えて恐る恐る目を開いて両手を見つめると、そこには鉤爪のある3本指の鱗に覆われた手があった。

 

──────なんだ? 俺は爬虫類にでもなってしまったのか?

 

 理解不能な状況に気持ちが荒ぶり、それに呼応するように周囲にバッサバッサと激しい風が吹き荒れる。

 ……否、視界の端に見えてしまった。

 風が吹いているのではない、俺の背中についているコウモリのような翼が()()()()()()()()()()

 

 爬虫類になったという仮定の時点でおかしいのに、その上に翼が生えている。

 こんな珍獣、見つかったら間違いなく保護という名の監禁だ。

 カフカの「変身」で出てくる青年よりマシかもしれないが、「レアカードを当てたら羽トカゲになりました」とか不条理にもほどがあるぞチクショウ!

 

 憤懣のままに合わせても6本しかない指でガシガシ頭を搔くと、頭の上にぶっといツノが2本生えているのが分かった。

 ……羽とツノの生えたトカゲとか、それもうドラゴンじゃん。

 マジかよ、俺ドラゴンになっちゃったの? たしかにボーラス様とか好きだったけど、それとこれとは話が別──────ん? ボーラス?

 

 改めて両手を見る。

 次に無意識に忙しなく動いてしまう巨大な皮膜の翼を見て、頭に生えたツノを触って形状を確かめたところでどっと冷や汗が流れ出す。

 

 この特徴的な湾曲した2本角……まさか……

 

 頭を屈めて角の間に伸ばした手が、卵型の硬い物に触れた時に予感は確信へと変わった。

 

 

──────俺、ニコル・ボーラスになってる……!

 

 

 なんだよこれウギン*2仕事しろ! いややっぱしないで! 見つかったら死ぬまで幽閉とか保護珍獣コースよりヒデェじゃねぇか!?

 

 どうすれば……精神が入れ替わりましたって言ったら分かってもらえるかな……?

 ……いや、無理だろ。

 ボーラスが生きてるって知れるだけでも影響力が半端ないのに、瞑想領土*3から抜け出した後に精神が入れ替わったので幽閉しないでとか胡散臭すぎる。

 

 

とりあえず、なんとしてでもウギンに見つからないようにしなくては……!

 

 

 ここがなんていう名前の次元世界かは知らないけど、危険な生物の蔓延る世界はいくらでもある。

 まずは落ち着ける場所を探さないと。

 

 こうして突如ニコル・ボーラスとなった俺は、ウギンという脅威の存在が明確になった事でなんとか落ち着きを取り戻し、森の中から移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

*1
光沢を出す箔押し加工を施されたプレミアムカードの通称。対戦用途よりコレクションとしての側面が強い。

*2
ニコル・ボーラスと同じ卵から生まれた双子の兄弟。一度はボーラスの手で葬られたが、過去に赴いたプレインズウォーカーによる歴史の修正により復活。灯争大戦を経て名を失ったボーラスを死ぬまで監視する役目を担った。

*3
ボーラスが名を失った後に幽閉された場所。かつては命を失ったボーラスが残留思念として復活まで過ごした場所だった。




なおこの世界は東方なのでウギンはいない

「カードとしての効果」と「ストーリーでの役割」、どちらを重視して欲しいですか?

  • 「カード効果」に準拠して欲しい
  • 「ストーリーの役割」っぽく柔軟に
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