龍神ボーラスで東方暮らし 作:名無しの永遠衆
|・ω・)つミ【更新】ポイッ
|)三 サササッ
霊気動力鉄道の開通によって、
こうなると各地の都市を治めるための政治体制が必要になってくるわけだが……いまだ各地の野山で妖怪による被害が普通に聞かれる状況なので、それぞれの諸都市が初期対応くらいはできるようにしておかないと冗談抜きで豊聡耳が過労で死ぬ。
そういう訳で、軍事的には永遠衆の配備で中央集権を維持しつつ監視しながら、ある程度の決定権と統治は各都市に派遣する武家の者に丸投げすることにした。
万一にも反乱を起こされると面倒なので、旗下の兵士は全部永遠衆で固め、その上に
徴税やらなんやらの統治面は武家の中の文官側から政務官として派遣して、武官とは別系統として政体を作ってもらった。
つまり、武官による軍を率いる幕僚府……幕府と、文官たちによる
当然、武官の方は源氏から、文官の方は平氏から選ばれるのでお世辞にも仲がいいとは言い難いが……今回の場合はそれでいい。
一番面倒なのは一丸になって反旗を翻そうとすることだし、仲が悪いくらいで丁度いいのだ。
たしか『分断して統治せよ』だったか? 違ったっけ?
政治面で王(と後見する豊聡耳)の地盤はしっかり固まっているので、一応の立場としては文官である平氏の方が立場が上の
でも、実際に自由裁量権が大きいのは武官側だ。
幕府は各地の大都市に鎮守府を開き、
上司に当たるのは
逆に政府側を形成するのは同じく
豊聡耳が統括する以上、文官の専横は否応なしに抑制されるから、現場対応する武官側より行動に圧を感じるだろう。
これは言ってしまえば、大きな自由権益を与えているように見えて、実際は文官は頭の上から、武官は足元からいつでも締め付けられる体制なわけで。
流石は豊聡耳……伊達に何百年も魑魅魍魎の巣食う朝廷で政治家をやっているわけではないな。*1
地方都市での二府体制が根付いてきたころ、九州の鎮守府から
内容としては『戦う気はないから仲良くしませんか?』といった感じのよくある友好を求める文面だったが、届けた国が曲者だ。
元々大陸には大きな国家があったが、近ごろになって北の内陸方面から新興国が現れて既存の国を圧迫している。
南に押し込められた既存の国も必死に防衛戦をしているが、徐々に追い詰められつつあるのが現状だ。
そして、この国書を送ってきたのは北の新興国なのである。
豊聡耳のいる安門京都ではそうでもないが、現王が住んでいる平安京都は隣国の文化を積極的に取り込むことを目指して作られただけに、南の既存国家への親近感が強い。
今のところは北の新興国も友好のみを押し出しているが、実情としては後背を突かれないため、可能なら味方に引き込んで戦力にしたいのだろう。
現王はこの国書に対し、『隣国との長年の友好の義理を欠く訳にはいかず、どちらにも肩入れしないことが貴国へのせめてもの友好である』と返書をしたためた。
つまりは事実上の傍観宣言である。
しかし、相手もさるもの、大陸商人を通じてかこちらの国力・兵力が馬鹿にならないものだと知っているらしく、何度も国書がやり取りされ、大陸国間の戦乱へ引き込もうとする綱引きが行われた。
最終的に新興国から『旗色定かならぬ相手を放置しておくことはできず、これ以上友好に基づいた取引を拒否するようであれば兵を出さざるを得ない』という最終通告が来るに至り、現王は
……とまあ、そんな感じで久方ぶりの大量動員がなされ、九州の鎮守府を中心に上陸してきそうな場所に永遠衆による監視網が敷かれたのだが……相手は思ったよりも手強かった。
もちろん、痛みも疲れも感じない永遠衆は向こうの兵士に負けない力がある。
しかし、相手側も一点集中戦術というべきか、一人の敵を複数で対応する永遠衆に近い戦術を使ってきた。
幸い、相手の使う毒矢や馬上弓は永遠衆には効果が低かったものの、最新兵器らしい火薬武器は一定の効果があり、一騎打ちをしたがる指揮官連中を含めると結構な被害が出た。
永遠衆が文字通り動けなくなるまで戦うのをやめない不死の軍勢だと実戦で体感した彼らは野分*3が来る前に撤退したが……向こうさんの被害が致命的でなかったことを考えれば、第二波があってもおかしくないだろう。
離れ島だったために警戒網が間に合わず敵軍の進駐を受けた九州の島で、新興国軍相手に独りでゲリラ戦を繰り広げた境井
「で、あてはあるのかい?」
「ああ、ある。いい機会だ、特大のを出すことにしよう」
このチャンスに『危機に備えるため』との大義名分を使えば、たとえドデカいクリーチャーを出しても受け入れられるだろう。
ついでに新興国からの侵略第二波が本当にあれば、実戦証明も済ませられていうことないな。
新興国軍の兵士はみんな弓も馬術も達者で集団戦闘が得意というし、あわよくば永遠衆の素体として遺体を少しばかり回収しておこうか……
九州以外の各地方から招集された永遠衆たちと、選りすぐりの人間の指揮官の後に、特別枠の者たちが行進する。
先の迎撃戦で戦死し、新たに永遠衆に加わり雪辱を果たさんとする武者たち……永遠衆の精鋭、戦慄衆。
そして馬揃えの最後、開けた場所に全員が集合すると、龍洞御所から舞い降りた龍神が彼らを言祝ぎ、そして力を行使した。
術師でもない市井の民ですら感じられる圧倒的な力の流れ、それらが凝縮し、荘厳な仏閣すら小さく感じられる巨大な影が三体現れた。
黄泉の国から御国を守るためにやってきた、蛇、鳥、猫の頭部を持つ異形の神。
遥か昔に亡くなった神の
腹の底から力が湧いてくるような感覚*5に、観衆たちは声高に王を、聖徳太師*6を、龍神を讃える。
後にこの天覧馬揃えは、史実に《永遠神の投入》という出来事と共に永く刻まれることとなった。