龍神ボーラスで東方暮らし 作:名無しの永遠衆
不定期な更新ですが、今年もよろしくお願いします。
新年。それは暦が新しくなるということであり、基準となる暦の作り方が違えば、おのずと新年の時期も違ってくる。
暦の作り方は天文学と大きな関りがあり、大きく分ければ月の満ち欠けを主軸にするか、太陽の運行を主軸にするかである。
この国では大陸から伝わった月の満ち欠けを主軸にする暦『太陰暦』を使っていたわけだが、一年、二年と使い続けると暦の日付と季節がズレ始める。
季節と暦のズレは、農業をする上で種まきの時期などの基準にできなくなるので非常に困った問題だ。
だから頻繁に朝廷の陰陽寮が暦を再計算して
故に陰陽寮の者たちが必死になって新たな暦の発明のために頑張っていたんだが……
俺の知ってるグレゴリオ暦がこの次元世界でそのまま使えるのかも分からないしな、アモンケットとか太陽二つあったりするし。
詳しい計算は専門家がした方がいいだろうと黙っていたが、ようやく成果が出た。
カギとなったのは、安門京都近郊に出しっぱなしで放置されていた《王神の玉座》である。
陰陽寮のある職員が、夏至の日だけ太陽が《王神の玉座》の角飾りのちょうど真ん中を通ると気づき、これを基準に天体を観測して一年を三百六十五日と少しと計測した。
太陽を基準とする暦『太陽暦』の発明である。
……まあこの次元世界にエジプトに当たる地域があるなら、別地域での再発見ということになるのだろうか。イラストが替わった再録カードみたいなものだな。
なお、新年の一日目、元日をどこに据えるか結構な議論になった。
冬至や立春などの現行の太陰暦の新年に近い時期にするべきか、発見のヒントとなった夏至の日にちなむべきか、はたまた現王の誕生日などにすべきか……
俺も意見を聞かれたけど、まあ、現王の誕生日はやめた方がいいんじゃないかなとは思った。後の王が真似して暦を更新しはじめたら面倒臭いし。
そして断固として"降臨祭*1"を元日にするのは拒否した。流石にそれは原作ボーラスポイント高すぎるよ……
でも結局、暦の名称が『龍神暦』になってしまったのは遺憾の意を表すところである。
お隣の大陸国家間での戦争は、義勇兵として永遠衆を取り入れた新興国があっという間に既存国を平らげてしまった。
基本的に元からあった政治機構をまるまる利用する方針らしく混乱は少なかったが、国が一つ征服されたのだから良きにしろ悪しきにしろ隣国として影響を受けるところはある。
主だったところだと通貨だな。大陸の方が国土が広い分硬貨を作るための金属も豊富に産出するから、この国でも流入してきた既存国の通貨が重宝されてたんだが……亡んじゃったからなぁ。
新興国はさらに内陸から領土を広げてきただけあって国土も人口も桁違い。なんでも貨幣不足で紙幣の発行まで始めてるって話だ。
規模的にもこのままでは経済侵略も警戒しなければならないレベルになってきているので、ここは一つ、この国でも独自に新貨幣を造ろうという話になった。
貨幣ってのは難しいもんだ。信用が無ければ素材の価値しか認められないし、流通するうちに摩耗やらなんやらで減っていく。
そういう意味で国が信用の後ろ盾になる紙幣はいい考えだと思うが、他国がそれを素直に受け取れるかっていうと、難しいよなぁ……
──────というわけで、この国でしか作られていないエーテリウムを混ぜ物にした新貨幣を造ってみた。
エーテリウム電池ほどのマナが生み出せるわけじゃないが、たくさん集めれば専用ゴーレムをしばらく動かせたりするぐらいの出力が出せる。
しかも使い切っても土地のマナから徐々に充填して再利用できるオマケ機能付きだ。まあ、一か所に集めすぎると土地のマナの残量の関係上回復が遅くなるけど。
エーテリウムが混ざってるから、普段から触ることが多い商人とかは知能向上とかの恩恵にあずかれる……かも? 影響の確認はまだしてないが。
製造のために俺個人用のエーテリウム電池製造ラインを停止させないといけないのが残念だが、龍洞御所地下にだいぶ蓄えたし大丈夫だろう。
これからはその製造ラインで貨幣鋳造素材用のエーテリウムを作って、他の金属と混ぜ物にして新貨幣を造っていくわけだ。
貨幣鋳造は専用ゴーレムと永遠衆が行うので警備も万全。流通量の計算に関しては文官と豊聡耳たちに丸投げだな。
外国にはまず専用ゴーレムと使い切りのエーテリウム電池を幾つか贈って、以降は新貨幣で動かしてくださいとでも言えばいいだろう。
専用ゴーレムも販売できるようになるし、新貨幣の需要も生み出せる。うんうんこれは良い考えなのでは?
まず初めは一種類だけ流通してみて、好評そうならエーテリウムの含有量を増やした高額貨幣なんかも造っていきたいな。
まあ俺ができるのは大まかな案と指示を出すことと、月一の献血*2くらいなんだけど……
各地方都市の二府統治体制も世代交代を重ね、それぞれの土地に根を張る家系になってきている。
当然、その中では都で任命されてその都度派遣される幕府・政府のトップより、土地に根を下ろして地縁を持った部下たちの方が影響力が強くなることも珍しくない。
例えば、陸奥の奥州藤原氏とか関東の北条氏とかだな。
権力的に言えば鎮守府大将軍を務める源氏の棟梁と政府首班の平氏の棟梁の下なんだが……それぞれ血の交流があって関係が複雑なんだよなぁ。
部下だけど舅、とか母方の伯父とかもあるから、結構気を遣うものらしい。
まあ万が一にもクーデターなんぞ企てたらカウンターで《造反者潰し》が発動するので、そこまで愚かじゃないと思うが。
ちなみに未だ起きた事はないが、規定では国家反逆罪級の事を企てた首謀者はすぐさま周囲の永遠衆をフル動員して《造反者潰し》→《強制的永眠》→《最後の報賞》の流れで処理されることになっている。
流石に生きたまま石棺に入れて死ぬまで放置*3なんてことはしないよ。
どっちにしろ普通の奴ならそこまでの罰を食らうことなんてないがな。せいぜい労役免除から除外とか冥田没収とか監視下で無償労働とかそんぐらい。
厳しい処罰とか連発するとボーラスポイントが溜まるから*4、これからも大人しく統治されていてほしいものだ*5。