童貞捨てますか?それとも世界救いますか? 作:にに(ににんがし)
人生山あり谷ありという言葉を知っているだろうか?
この言葉は何か良いことがあれば、それと同じくらいの悪いことが起こるというものである。
この言葉に俺の人生を当てはめるとするならば、それなりの傾斜の坂がずっと続いていて、いつ変曲点に達するのかもわからないような状態というのが最も的確でかつ端的に俺の人生を表現しているだろう。
高校での一世一代の告白に失敗、そのショックから逃げるようにして今まで以上に打ち込んだ部活でも花開かず、全力で臨んだ大学受験も全て失敗に終わり敢え無く浪人。
おかげさまで俺に残されたものといえば、童貞穀潰し浪人生という不名誉極まりないレッテルのみである。
本当に人生というものはふざけている。
この世の中に、全てが自分の思い通りで一片たりとも不満を感じずに生活している勝ち組が一定数存在するのならば、その逆もまた然り。なにもかも上手くいかず、何かアクションを起こせば全てが裏目にでる人間というのもやはり一定数存在するのである。
そしてさらに怖いのは、一度何かに失敗して人生の下り坂を転がり出すとまるで慣性に従って等加速度で坂を転がっていくボールの様に奈落の底に転げ落ちていくのである。
無論、ボールも人生も最初のうちは止めることが比較的簡単である。
しかし、ある程度転がって十分な速度がついてしまったボールといのは中々止めることが出来ない。
人生というのも同じで、ある程度失敗や負けが続くとある種の負け癖の様なものが付いてしまい、その事実をひっくり返すのはどんどん困難を極めていく。
先程も述べたように、今現在俺は間違いなく人生の下り坂をまるでギアを段階的に上げていくミッション車の様に着々と速度を上げて下降している。
このまま行けば、まず間違い無く負け癖がつき、そこらで今にもくたばりそうになりながら日銭を稼いでその日暮らしをしている排斥者の仲間入りだろう。
そんなのは真っ平御免である。
その為にも何が何でも現状を打破する必要がある。手始めに今年の受験で世間でも名が通っている一流大学に合格することが今の俺の目標である。
俺のことを嘲笑っていたやつのことをどうにかして見返してやりたい。
ある種の復讐心の様なものを胸に、俺は再びペンを走らせ始めた……筈だった。
気がつくと俺は見たこともない場所に立っていた。
先程まで俺の右手に握られていた筈のシャープペンシルはどこかにいってしまっている。俺は恐ろしくなり急いで辺りを見回してみるが、異様な雰囲気を醸し出している木製の扉が真正面にあるだけで、この場所がどこであるのかを示す様なものは何一つ存在していなかった。
嫌な汗が背中を伝う。
…まさか誘拐や監禁の類だろうか?
俺は必死に思考を巡らせて、自分の置かれている状況を把握しようとした。
しかし思い当たる節があるわけでもなく、さらに混乱するだけだった。
思考がどんどん悪い方へ傾いていく。そして辿り着く最悪の事態に俺の体は気付けばガタガタと震えていた。呼吸は浅くなり、皮脂がとめどなく肌から溢れ出している。嫌だ俺はまだこんなところで死にたくない。俺のことを馬鹿にしていた奴らを見返すまでは絶対に死なない。
すると突然、目の前の扉がひとりでに開いた。
瞬間俺の身体は強張り、石になってしまったかのように動かなくなってしまった。
これ全部作者の実体験ていうね…