とある幽霊と天気予報   作:車輪軸

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I's a new world ③

どうしてすぐに気がつかなかったのか…

あの時に気がついていればこんなことにはならなかったはずだ…

…暑いなぁ、日本の夏がここまで暑いとは知らなかった…

本当にどうすればいんだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぼくの家はどこなのかなあ…」

 

考えてみれば当たり前のことだった。たとえ『住所』が分かっていてもその『住所』がどこの事を示しているのか分からないなら意味がないじゃないか…

道に迷ったすえに名前も知らない公園に辿りついた…このままでは今夜はここで野宿だ…

…喉が渇いた、どこかでジュースでも飲もうかな…

財布を開いてみると紙幣が数枚と幾つかの硬貨があった。日本のお金のことはよく分からないけどジュースを飲めるくらいはあるだろう。

幸い公園の隅に自動販売機らしきものがあった。

と、そちらの方向に目をやると先客がいた。

…んん?あのスクールユニフォームは白井さんと同じ物か?ついでにあの子に道を尋ねようか…

 

「すぅ……チェイサァーーーッ!」

 

ッ!?彼女は何をやっているんだ!?いきなり自動販売機を蹴り飛ばした!?強盗か?

 

「よっと…うげぇ『苺おでん』か…私これ嫌いなのよねぇ……ん?」

 

まずいこちらに気がついたみたいだ!どうする逃げるか?

 

「あんたも飲み物買うなら気をつけたほうがいいわよ、この自販機お金飲むから」

 

何なんだこいつはッ!強盗行為に及んでいたかと思えば平然と話しかけてくる…頭のネジが抜けてるのか?

 

「う、うん…ご忠告どうも…」

 

じゃあね、と言い残してさっさと行ってしまった…

いったいこの街はどうなっているんだ…

カエル顔の医者に突然消える少女、平然と強盗行為に及ぶ女…何かがずれている気がする…

 

「はッ!しまった道を聞くのを忘れてた…」

 

仕方ない、また別の人を探そうかな…とりあえず今は飲み物を買おう…

それにしても何だこのラインナップは…

苺おでんにヤシの実サイダー、それにウインナーソーセージ珈琲?

日本のドリンクはなんてクレイジーなんだ…

とりあえず比較的まともそうな『ヤシの実サイダー』を選んでおこうかな…

 

 

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

通行人に道を聞いたところ、目的地はさっきの公園から意外と近いところにあったようであっさりマイホームに辿り着くことが出来た。

そこは寮という名前ではあったが実際は、どこにでもありそうなアパートメントのようだった。

ぼくの部屋は404号室だった、日本では『4』という数字はアメリカでいう『13』のように『忌み数』であり部屋割りなどではその数字は避けると聞いたことがあるけど…ここはそういったことを気にしないのだろうか?とにかく入ってみよう…

…おっと、日本では靴を脱いで家に入るんだったな。

 

部屋の中はワンルームで小さなキッチンがついていてシャワートイレ完備のしっかりしたものだった。壁も綺麗で、まだこの建物は建てられてからそう長い年月は経っていないようだった。

部屋の中央には枕の乗ったふわふわした布のような物が敷いてあった、初めて見るけどこれがフトンというやつだろうか?

あとは最低限の家財道具にテレビと本棚と小さな机、机の上には何冊か本のような物が置いてあった。ぱらぱらと捲ってみるとたぶん学校で使うテキストだと分かった。

基本的に物は少ないようだ…ただ本棚には結構な数の本があった。

 

「……ん?…これは!」

 

壁に手をつけてみるとそこにほんの一センチほどの隙間を見つけた。

なんとなく本当になんとなくその隙間に触れてみるとずぶりと指が入っていく。

 

「これはッ!!」

 

さらに腕を押し込んでいくとどんどん入ってゆける。

間違いないぞ、ここには幽霊が『ある』ッ!!

 

隙間を抜けた先にはぼくの部屋と同じようなデザインの部屋があった、ただぼくの部屋よりもどこか古ぼけている。

間違いない…ここは『幽霊部屋』だッ!

試しにこの部屋のキッチンにあった冷蔵庫からコーヒーを取り出して飲んでみた。

苦い味が口の中に広がったあとぼたぼたと顎をすり抜けて地面にコーヒーが零れる。

このコーヒーも幽霊コーヒーのようだし、やはりここは『幽霊部屋』で間違いないだろう。

ぼくの『幽霊』になった物を扱えるスタンド『バーニング・ダウン・ザ・ハウス』はこの世界でも使えるようだ。

これは大きな収穫だ、この世界でもスタンドが存在していることが分かった、それに部屋として使える空間も二倍に増えた。

さらにこっちの部屋にはコンピューターがあった、これで調べ物も捗る。

そういえばウェザーとおねえちゃんから託されたスタンド『ウェザー・リポート』はどうなっているんだろう?向こうの世界でプッチ神父によって頭に差し込まれたままこちらの世界に来たからまだぼくが持っているのか?

 

…試してみるか。

 

「ウェザー・リポートッ!」

 

出た…、雲を固めて人の形を造ったような姿、頭の部分には何本か角のようなものが生えている。

間違いない『ウェザー・リポート』だ、どうやらこちらの世界に来るときにぼくの中に残っていたままのようだ…

戻れと念じると『ウェザー・リポート』はすっとぼくの中に戻った。一度出した影響なのか今は自分の中にいるのがなんとなく分かるようになった気がする。

とにかくこれで少し安心出来た、このスタンドはこの世界において今の所、唯一の仲間だから。

とりあえず自分の部屋に戻っていろいろ整理しよう。入ってきた亀裂を通ると問題なく戻ることが出来た。

今の状況を纏めてみるとこうだ。

 

 ・ぼくはプッチ神父を倒した。

 ・そして気がつくと見知らぬ場所にいた。

 ・状況から推測するにここは日本である。

 ・ぼくは柵川中学校というところの生徒であるらしい。

 ・ジャッジメントとかいう治安維持組織の白井という女の子に連行される。

 ・状況がわからないので白井さんには『記憶喪失』という嘘をついている。

 ・SPW財団が存在しないことから、ここは初めの世界ではない。

 ・さらにこの世界ではプッチ神父はすでに死亡している。

 ・加えて運命を感じられないことからここはプッチ神父のいう世界とも違う。

 ・医者の顔がカエルに酷似している。

 ・白井さんが突然消えた、またすぐに現れたことから『スタンド使い』の可能性あり。

 ・平然とした顔で強盗をする女がいる。

 ・ぼくの家は柵川中学校の学生寮の404号室である。

 ・ぼくの部屋に『幽霊部屋』が存在している。

 ・スタンドを使うことが出来る。

 

まだまだ分からないことが多いのが現状だ、ただ明日になれば再び白井さんから新たな情報が得られる。

気がつけば外もだいぶ暗くなっているし、今日はこのくらいにして休もう。

汗をシャワーで流し、フトンの上に寝転んでみる、少し背中が痛いような気もするがなかなか快適だった。

 

 

 

 

これからいったいどうしようか…もうプッチはこの世界にいない。

 

―――あたしがいたらあんたは逃れられない

 

この世界におねえちゃん達ももういない…

 

―――ひとりで行くのよエンポリオ

 

ぼくが…ぼくだけが生き残ることが出来た…

 

―――あんたを逃がすのはアナスイであり……エルメェスであり、あたしの父さん空条承太郎……

 

みんながぼくを生かしてくれた…

 

―――生き残るのよあんたは『希望』!!

 

とにかく今は生きていこうかな…

みんなの『意志』はぼくに託されたのだから…ぼくはみんなの分まで生きていなくちゃあならないんだ。

 

おねえちゃん…ぼくは生きるよ…みんなのいないこの世界で生きていくよ…

 

 

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