目が覚めたのはすでに太陽が真上を過ぎている頃だった。
そういえば忘れていたが、ぼくはいま中学生だ。学校に行かなくてもよかったのだろうか?
正確な時刻を確認しようと思ったのだが、この部屋には時計が無かった。この世界でぼくはいったいどうやって時間を確認していたんだ?
…ああそうか、携帯電話があったな。
とりあえずぼくの物だと思われる携帯電話を開いてみると、時間表示より先に着信履歴があることに気がついた。
『学校』という名前で登録された番号からの電話が二件ほど入っていた。
まずいな…このぶんだとぼくはサボり扱いになってそうだな…
この世界で生きていくにはこれからお世話になるだろうしあまり悪い印象は持たれたくなかったんだけどなあ…
とりあえずまた後であのカエル顔の医者の所に行って記憶喪失の証明書でも書いてもらおう、記憶喪失になりましたと言っておけば学校側も文句は言えないだろう。それにうまくすれば逆に同情を買われて印象もよくなるかもしれない。
「とりあえず今は…白井さんの所へ向かおう…」
実際のところ今は『学校』に通うことよりもこの世界の情報を得る事のほうが優先順位は高い。
聞きなれない単語や白井さんが消える現象について、それから念のため近くにスタンド使いがいないかも確かめておきたい。
この時間だと白井さん達もまだ学校にいる時間だろうし、ゆっくりと街中を散策してから向かうことにしよう…
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外の通りは昨日と比べて異常に人が少なかった、この規模の街ならこの時間はもっと人が沢山いてもいいような気がするんだが…
それにドラム缶のような形をしたロボットが街中を走っているのにも驚いた、暫く追いかけてみると、どうやらゴミ掃除をしているようだった。
こんなロボットはアメリカでも聞いたことがない!日本の技術はここまで発展していたのか?
目新しい物が沢山あったのでついつい時間を忘れて散策しているといつの間にか人通りが多くなっていた。
ん?通行人達のほとんどがスクールユニフォームを着ているな…、それも同じ学校のものじゃあないな…
この辺りには学校が集中しているのか?
「ん?あれは…」
たしか初春さんだったか?昨日ジャッジメントの支部にいた…一緒にいるのは黒いロングヘアーで初春さんと同じ制服を着た女の子、そしてもう一人…ッ!彼女は昨日の強盗!
初春さん達は彼女と親しげに会話しているが、ぼくは昨日彼女の犯行を見ている!昨日は何もしてこなかったが彼女は危険だッ!
どうする!?初春さん達を助けるか!?
まずい!考えている間に彼女達は何かの建物に入っていってしまった!
チッ!とにかく後を追うか…
建物には『Seventh mist』の看板、ショーウインドウには衣服が展示されている、どうやら服屋のようだ…
中に入ると既に彼女達の姿は無かった。上の階に行ったのか?
…暫く彼女達を探し回っていると突然店の奥から客が出入口に集まってきた。適当に一人捕まえて何があったのか聞いてみると、何でも爆発物が発見されたようでそのため避難しているのだという。
まさかあの強盗がやらかしたのか!?マズイッ!初春さん達が危険だッ!
ぼくはあえて客が避難してきた方向に向かった、そうすれば必ず事件の中心に出られるからだ。
二階上がるとに彼女達の姿があった。
強盗が何かしでかした様子はないな…初春さんも無事のようだ、それとあのツンツン頭の青年は誰だ?
「初春さんッ!」
「エンポリオさんじゃないですか!こんなところで何をしてるんです!早く避難をッ!」
「…その前に初春さん…その隣の女から離れるんだ…」
「えっ?何を言ってるんですか?どうして御坂さんから…?」
「いいからッ!彼女は危険だ!」
「ッ!」
「…ちょっとあんた何者よ?初春さんの知り合いみたいだけど、私がどうして危険なのよ?」
「とぼけるなッ!ぼくは昨日見ていたぞ!お前が自動販売機を蹴り飛ばして強盗行為に及んでいたのを!」
「み、御坂さん本当ですか!?」
「ビリビリ…お前ちょっとばかり元気が良すぎると思っていたけど…まさか犯罪に加担していたとはなあ…上条さんは悲しいですよ…」
「ちっ、違うわよ!?あの自販機は去年私の万札飲んだんだからいいのよ!」
「御坂さんやっぱり…」
「ビリビリ…お前ってやつは…」
「だぁーーッ!違うって言ってるでしょ、初春さんもそんな目で私を見ないでぇー!」
どうやらツンツン頭の上条とかいうやつも彼女の知り合いみたいだな…
「分かっただろ初春さんとそこのツンツン頭、彼女は危険だッ!この事件もお前の仕業だろ!」
「ま、待ちなさいよ!このさい自販機蹴っ飛ばしたことは認めるけど、この事件は私は関係ないわよ!」
「しらばっくれても無駄だッ!お前が危険人物であることには変わりないッ!ここで
「…へぇ、私に喧嘩売ろうっていうの?いいわ相手になってやろうじゃない!」
「あ、あの二人とも少し落ちつい「おねーえちゃーん」えっ?」
子供!?何故避難していない!?それになんだあの手に持っているぬいぐるみは?
「メガネ掛けたおにーちゃんがおねーちゃんにわたしてって」
「おっ、よかった無事だったみたいだな」
何故あの子はこのタイミングであんな物を届けにきたんだ?妙な違和感があるぞ…メガネのおにーちゃんとはいったい何者だ?
「ッ!!逃げて下さい!」
初春さんがぬいぐるみを子供から奪って遠くに投げ飛ばした!?まさか…あれが『爆弾』!
「あれが『爆弾』ですッ!」
何が起こっている!ぬいぐるみがメキメキと音を立てて圧縮されていく!こんな形状の爆発物は聞いたことないぞ!?
初春さんは子供を守るように抱えて動けない!このままでは爆発に巻き込まれる!
「ウェザー・リポォォォット!」
だが遅い!『爆弾』はすでにウェザー・リポートの『射程範囲』に入っているッ!
ぬいぐるみが完全に凝縮される前にウェザー・リポートに投げさせる!
…チッ!まだ少し距離が近い!
「うおおおおおお!!」
ツンツン頭ッ!?馬鹿か!何故爆弾の前に飛び出した!?
「何をやっているんだぁーーーッ!!」
駄目だ間に合わない!爆発するぞッ!
「伏せろおおおおおお!」
耳が一瞬聞こえなくなるような巨大な爆発音が鳴り響いた。
マズい…次に来る爆風に備えなければ…!
……………???どうなっているんだ、何故爆風が襲ってこない…?
「おーい、みんな無事かー?」
ッ!?このツンツン頭は何故五体満足で立っていられるんだ!!ぼくは確かにこいつが爆弾目掛けて突っ込んでいくのが見えた!あの距離で爆発を受けて何故無事でいられる!?
「お前は…いったい…?」
「お、無事みたいだな。いやぁ~よかったよかった」
「お、お前は今何をした…?」
「何って?」
「とぼけるな!爆発は相当な物だった筈だぞ、なのに何故お前自身はおろかぼく達も誰一人怪我をしていない!?」
ぼくと初春さん達がいた所を避けるようにこのツンツン頭を頂点とした放物線の形で爆発したあとが全く無かった。
「ああそれな…『
「異能の力…?」
「ああ、超能力とかな」
「ッ!超能力っていうのは…スタンドのことか?」
「スタンド?何それ?お前の能力名かなんかか?」
こいつ自覚していないスタンド使いか?
「ああああ!!」
「な、なんだッ!」
「悪い!俺これからタイムセールスの時間だから、今日は千円以上お買い上げでもれなく卵一パック付いてくんだよ!そういうわけであとは任せた!」
「は…?ふざけているのか?」
「おふざけだったらどんなにいいことか…、上条さんとっては本当に死活問題なのですよ」
「おい、ちょっと待て!」
「そういえば名前聞いてなかったな、俺は上条当麻」
「…ぼくは…エンポリオ」
「そうかエンポリオまたな」
上条当麻…スタンド使いの可能性がある…警戒しておいたほうがいいだろう…
ん?そういえばあの強盗はどこへ行ったんだ?
「初春さん」
「あ、エンポリオさんお互い無事でよかったです」
「うん、それよりあの彼女はどこへ行ったのかな?」
「彼女…?あっそういえば御坂さんがいませんね」
彼女は逃げたのか?やはりこの事件も彼女の仕業だったと考えるのが妥当か?
「初春さん、ぼくは彼女を探してくるからこの場を頼む」
「は、はい…って駄目ですよ!関係者は残っていてもらわないと…」
「ごめん、すぐに戻ってきます」
「あっちょっと待って下さーい!」
悪いが今はこの事件を起こした犯人を捕まえるのが先だ…
店の外まで出てきたが彼女はどこへ行ったのか…
落ち着け…ぼくならどこへ逃げる?人通りの少ない路地裏か?それとも人に紛れて大通りを逃げるか?
路地裏を通るのは逆に目立つ、ならば大通りを逃げるはず…
それならぼくはさらにその裏、大通りと見せかけて路地裏だッ!
どこか人気の少なそうにあえて向かっている人物がいるはずだ…
「…見つけたぞ」
間違いない彼女だ!