戦姫絶唱エヴァンゲリオン   作:とりなんこつ

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第3話

無心でアイスを齧り続けるアスカだったが、ふとこちらを見ている視線に気づく。

見返せば、スミレ色の大きな瞳とかち合った。

 

…確か、雪音クリスっていう子だっけ?

 

ふてぶてしい眼差しで受けて立つアスカは苛立っている。

まずは現在の自分が置かれている環境があやふやなことが落ち着かない。

いくら明晰な頭脳を回転させても、情報が少なすぎて何も判然としないことが不愉快だった。

 

更に、この状況で負傷したレイは足手まといになりかねないし、そんな彼女を甲斐甲斐しく世話するシンジも余計に気に食わない。

 

ったく、能天気そうなバカ顔晒してアイスにかぶりついてんじゃないわよ!

 

それら不平不満に鎧われたアスカは十分に攻撃的な気分になっていた。

そんな彼女を注視したクリスは、はっきりいって間が悪い。結果として完全なとばっちりを受ける羽目になる。

 

「あによ。なに見てんのよ、アンタは?」

 

ジト眼の不躾なアスカの発言に、瞬間着火するような昔のクリスではない。

 

「ああ、ワリいワリい。随分毛並みがいいッつーか、珍しい外見だからよ。ちょっと見とれちまった」

 

クリスとしてはアスカの容姿を一応褒めているつもり。

それでも伝法な口調になってしまったのは、彼女の性格というよりはアスカの敵意に反応した結果であろう。

 

「…ふーん?」

 

アイスの棒を唇の端に咥えたアスカは、ツカツカとクリスへと近づくと、

 

「あたしはてっきり、どこぞの小学生でも紛れ込んでいるのかと思ったけれどね?」

 

文字通りの上から目線でクリスを見下ろすアスカ。

身長153cmと小柄なクリスに比して、アスカの身長はやや高い。

挑発的な態度でふふんと鼻を鳴らすアスカだったが、内心では極近距離で見るクリスに激しく動揺していた。

 

…何よ、この胸。こんなちっこいのにミサトよりおっきいじゃない!

 

対するクリスは、もちろん言い返さずにはいられない性分の持ち主。

 

「舐めたこと抜かしてんじゃねえ! あたしは17歳だッ!」

 

「17ッ!?」

 

この事実に、驚愕したのは実はアスカ一人だけだったりする。

シンジとしては、ああそんな年齢だろうな、と見当をつけていたし、レイの鉄面皮からは表面上は驚きが見えない。

ただ一人アスカだけが、ハーフという言葉の先入観と、自身の海外暮らしの経験から、クリスの外見年齢を低く見積もっていた。欧州などの白人圏内では、アジア人が若く見えるのは有名な話だ。

 

「そういうおまえは幾つなんだよ?」

 

「じゅっ、14よ…」

 

答えてから、しまった、と思ってももう遅い。

 

「やっぱり年下じゃねーかッ! そのクセに目上の者に対する言葉づかいがなっちゃいねーぞ!?」

 

クリスとしては当然の物言いも、これまた日本と違う文化圏で幼少期を過ごしたアスカの見解は異なる。

 

人間は、年齢や見た目でなく、その能力で評価されるべきよっ!

 

事実、飛び級で大学を卒業していることが、彼女のプライドを裏打ちしていた。

クリスの剣幕に動じず、言い返そうと息を吸い込むアスカ。

 

もし彼女の口火が切られていたら、どうなっていたか見当もつかない。

だが、現実としては、保護者兼同居人の声がアスカの注意を全力で持っていく。

 

「あ、アスカ! シンジくんたちもいるわね!」

 

「ミサト…!」

 

思わずホッと表情を緩めてしまい、慌てて態勢を立て直すアスカがいる。

 

「ミサトさん!」

 

シンジも腰を浮かしてこちらに駆け寄ってくる。

そんな被保護者たちの前に来たミサトは、おどけるように軽口を叩いた。

 

「二人とも、どうしたの? ひょっとしてわたしに会えなくてさびしかったのかしら~?」

 

ぬひひといった笑みを作るミサトに、アスカは呆れ顔。

 

「ミサト、アンタ、この状況を分かっているの?」

 

刺々しい口調と目線で、それでもさりげなく手に持ったアイスのパッケージの賞味期限を指し示すアスカ。

 

「ええ、当然。モチのロンよ♪」

 

チラリと動いたミサトの視線に、アスカは意図が伝わったことを悟る。

こちらを安心させるように軽くウインクをしてから、ミサトは背後の偉丈夫へと掌を向けた。

 

「三人とも、こちらが特異災害特殊部隊S.O.N.G.総司令、風鳴弦十郎氏よ」

 

「特異災害…?」

 

訝しげな顔付きになるアスカに反し、弦十郎は朗らかな表情と声。

 

「風鳴弦十郎だ。よろしくな、諸君」

 

「そういうわけで、わたしたちは、今からちょーっち風鳴司令と出かけてくるから」

 

オフィシャルとは程遠いミサトの言動に、アスカの頭脳は目まぐるしく回転した。

横目で赤シャツの巨漢の全身をしげしげと観察。

 

ミサトのヤツ、別に脅されておどけているわけじゃないわね。

それでこういう態度なのは、それなりに信用できる相手ってことかしら?

 

「なので、みんなはもう少しここで待機しててちょうだい。ね?」

 

両手を合わせて拝んでくるミサトの背後で、弦十郎は分厚すぎる胸を張る。

 

「申し訳ないが、そういうことだ。君たちにも今少し不自由な思いをしてもらうかも知れないが、どうか了見してくれ」

 

「これからどちらへ?」

 

そんな弦十郎へ声をかけたのは翼だった。

 

「本部だ。…まあ、お互いの認識の溝を埋めるために、百聞は一見にしかずというヤツでな」

 

その答えに響などは盛大に首を捻りまくったが、翼は力強く頷く。

 

「了解しました。こちらは警戒態勢を維持しておきます」

 

「うむ。よろしく頼むぞ」

 

頷き返す弦十郎の背後に、ヘリコプターが降下してきた。

 

「リツコも行くの?」

 

金髪博士も乗り込もうとする姿に、アスカは思わず声を上げる。

 

「ええ。こちらの科学技術をこの目で確認させてもらってくるわ」

 

良く意味が分からない台詞だったが、心なしかリツコの鼻息は荒かったように思う。

リツコの後にミサトが続き、最後に弦十郎を載せてヘリは飛び立つ。

 

「へえ、カッコいいヘリコプターだなあ…」

 

高速機動でたちまち点になった機影を見送って暢気な感想を呟いているシンジを殴りつけてやりたかったが、アスカはギリギリのところで我慢。

 

アンタバカァ!? 大人組と子供組とに物理的に分断されたのよ!?

 

二人きりであれば遠慮なくそう怒鳴りつけたであろう言葉を飲み込み、アスカの耳に蘇るは搭乗前のすれ違いざまのミサトの囁き。

 

〝シンジくんとレイのこと、お願い〟

 

…つまりはこれって、あたしが一番頼りになるってことよね? まあ、当然といえば当然だけど。

 

もともと承認欲求の強いアスカであるから、単純に頼りにされるだけで自分の能力を肯定されているみたいで嬉しい。

くわえて、ここ一番とでもいうべき状況で頼りにされたということも、彼女の高いプライドをくすぐることに一役買っている。

 

もし一連のアスカの心の流れが見えたとすれば、クリスあたりは遠慮なく『チョロい! チョロさが爆発しているッ!』と突っ込んだことだろう。

もちろん読心術を持ち合わせていないクリスは、神妙な面持ちで翼へと語りかけている。

 

「ところで先輩。こっちの化け物は大丈夫かよ?」

 

「先だってエルフナインから説明を受けただろう? S2CAのダメージで自己修復の兆しが見られるが、おそらくあと24時間は行動不能だと」

 

「けどよ、あんな化け物みたことないぜ? そもそもノイズなのか、あれ?」

 

「ふむ。確かに新種のアルカ・ノイズであったとしても、刃を交えた感触は今までのものとまるで違うな…」

 

そんな彼女らの目前で、沈黙していた化け物に急に動きが生じた。

黒焦げに見えた体表が、見る見ると元の外皮をに復元したかと思えば、その巨体はのっそりと立ち上がったのだ。

 

「なッ!?」

 

響は口をあんぐりと開き、

 

「まだ予想時間に達してないぞ!?」

 

「…あのガッカリ錬金術師ッ!」

 

翼とクリスが口々に叫ぶ。

ほぼ同時に、チルドレンたちも気色ばんだ。

 

「いくわよ、シンジ!」

 

「え? で、でも、ミサトさんの指示は…!」

 

「そんなの待っていちゃ、全員踏みつぶされるわよッ!」

 

駆けだそうとするアスカの背後で、レイが腕を吊った三角巾を外すのが見える。

 

「…わたしも行く」

 

「あ、綾波…!」

 

気遣わしげな声を上げるシンジを押しのけて、アスカはぴしゃりと言った。

 

「駄目よ、ファースト。アンタは留守番。だいたい右腕のない零号機なんて足手まといよ」

 

「でも…」

 

言い募る赤い瞳の少女に、アスカは頑として譲らない。

 

「アスカの言うとおりだよ。綾波は待機していて」

 

「…碇くんがそういうなら…」

 

コクンと頷くレイ。

 

「…ッ!」

 

そんな彼女を前に、憤然とアスカは身を翻す。シンジの耳を思い切り引っ張りながら。

 

「いててッ?! なにすんだよ!」

 

「うるさい! いいから早く一緒に来る!」

 

一方、装者たちの間でも、同様のやりとりが展開されている。

 

「どうしてですか! なんでわたしは行っちゃいけないんですか!」

 

憤慨する響に、

 

「立花は先ほどの戦闘のダメージが抜けてないだろう? だから待機だ」

 

「でも…ッ!」

 

「先輩の言うとおりだぜ。黙って留守番してな」

 

言い置いて、クリスはイチイバルを纏い宙へ飛ぶ。

それでも納得できずに迫ってくる響の肩を、翼がそっと抑える。

 

「この異常事態に司令はすぐに戻ってくるだろうが、今の現場の指揮権は私にある。その上での命令だ」

 

「…わかりました」

 

不承不承頷く響だったが、そんな彼女に翼はそっと耳打ち。

 

「だが、何も無聊を囲っていろとは言っていない。―――立花、あの子を頼むぞ」

 

肩越しの翼の鋭い視線の先。

そこには所在なさ気に佇む綾波レイがいる。

 

「最悪の場合、あの子だけでも現状から離脱させるんだ。彼女のことを護ってやれ、立花」

 

翼の真剣な物言いに、響の両眼には力が漲る。人助けこそが彼女の本分であり領分。

 

「…はいッ!」

 

「よし、いい返事だ」

 

微笑んで、天羽々斬を纏い、翼もクリスの後を追う。

 

 

 

 

「いくわよ。―――エヴァ弐号機、起動ッ!」

 

エントリープラグに飛び込むなり、アスカは弐号機を稼働させる。

起動シークエンスをたちまち終えたのは、今の彼女のシンクロ率の高さの証明に他ならない。

少し遅れて初号機も起動。

コックピットの通信ディスプレイにシンジの姿を見つけて、さっそく不安そうな表情を浮かべていることにアスカはげんなり。

 

「なによ、なーに不景気な顔してんのよ、アンタは?」

 

『だって、内臓電源もあまり残ってないんだよ?』

 

「ふん! そんなの、動ける間でケリをつけりゃいいでしょ!」

 

『そ、それに! さっき後先考えず暴れちゃったけれど、ここいらの人たちってみんな避難しているのかな…?』

 

「っ! そんなの…ッ!」

 

大丈夫よ! と言い差して、アスカは口を噤む。

それらを通達してくれる、もしくはこちらの疑問に答えてくれるネルフ本部とは、現在音信不通。

いつもと勝手が違う状況で、シンジの疑念は否定したくても否定できない。

だからといってそのことを確かめる術もないわけで―――?

その時、弐号機のモニターが、複数の黒服たちがかなりの速度で走って避難している様子を発見。どうやらS.O.N.G.とやらのスタッフのようだ。

その中の一人が、こちらへ向かって手を振っている。

なにごと!? とアスカが注意を引かれたのは当然で、柔和な笑みを湛えるその男は、唐突に、まるで主文を聞いた裁判所から出てきた原告団さながらに両手に持っていた半紙のようなものを開く。

ただし、そこに書いてあるのは、『全面勝訴』でも『無罪』でもない。

 

〝周辺地域の避難は完了してます〟

 

「…何なのよ、あの男?」

 

アスカが微かな戦慄とともに首を傾げた相手は、まだ彼女は面識はないが緒川慎次だ。

それでも、今は何より欲しかった情報には違いない。

 

「だってさ! 行くわよ、シンジ!」

 

『う、うん!』

 

気合を入れて謎の使徒へ向き合う弐号機と初号機だったが、そこでまたぞろ眼を見張ることになる。

 

「なにやってんのよアイツら!?」

 

アスカが全力で驚愕の視線を向ける先。

使徒へ向けて銃弾を見舞い、宙へ飛びながら剣撃を飛ばす二つの人影。

むろんシンフォギアを纏ったクリスと翼なのだが、アスカたちにして見れば生身で使徒に挑む狂気の沙汰だ。

にも関わらず、彼女らから放たれる非常識なまでの火力と、超人的な物理機動という矛盾する光景は、アスカをして二の句を失わせている。

それでも、アスカは半瞬で意識を立て直す。

 

―――使徒を倒せるのは、エヴァだけなのよ!

 

その強い信念のもと、弐号機ごと駆け出していた。

 

「シンジ! ついてきなさいよ!」

 

『アスカ! でも…ッ!』

 

「いいから! あんな蚊トンボみたいな連中に、使徒がどうこう出来るわけないでしょ!?」

 

 

 

 

 

イチイバルの斉射を繰り返しながら、クリスは奥歯を噛みしめる。

 

「ちッ! なんなんだ、あのバリアは!?」

 

ガングニールの一撃を弾き返した謎のバリアは、今や完全にクリスにも視認出来ている。

 

『推測ですが、物理的なバリアと一線を画す性質のものと思われます! それと、ガッカリで本当にすみません…ッッ!』

 

通信機越しのエルフナインの泣きそうな声にどうにかフォローしたかったが、生憎クリスにはそんな余裕はなかった。

彼女は、こちらに向かって走ってくる弐号機の姿に気づいている。

 

「お、ようやく騎兵隊のお出まし…」

 

次の瞬間、クリスは盛大に横っ飛び。

弐号機が駆け抜けた先ほどまでクリスがいた位置は、地面が盛大にえぐれていた。

 

「てめえ! あたしを轢き殺す気か!」

 

弐号機に搭乗するのはアスカと知って、クリスは怒りの声を上げる。

だが、残念なことに、エヴァと装者たちの通信チャンネルはリンクしてはいなかった。

もちろんクリスの怒声など露も知らず、アスカは謎の使徒へと体当たりの格好で取りつく。

 

「どっせ~い!」

 

すかさずATフィールドを展開、中和しつつ叫ぶ。

 

「シンジ! 今よ!」

 

ところが、初号機は躊躇うように急停止。

 

『だ、だけど! さっきの綾波みたいになったら…』

 

通信機越しの弱気な声は、今の各エヴァの武装はブログナイフばかりしか存在しないことに由来する。

何をバカなことを、と切り捨てるには、先だっての戦闘の零号機の光景は無惨すぎた。

この使徒の特性は分からねど、初号機まで四肢を欠損する羽目に陥ったら…!

咄嗟に動けなくなるエヴァ両機。

されど、その光景をただ手を拱いて見ているつもりはない防人が一人。

 

「<蒼ノ一閃>!!」

 

ATフィールドを中和する弐号機の肩越しに、翼は刃を振るう。

すると、謎のノイズは僅かにたじろいだ。

 

「…攻撃が、通った!?」

 

まるで無人の野を行くが如き謎のノイズに対し、これは紛れもない朗報。

しかし、翼は追撃をすることは叶わなかった。

デフォルメされた鳥の顔が、こちらを向く。

次の瞬間、その両眼が強烈な光を放つ。

 

「くッ!」

 

咄嗟に天羽々斬を長刀展開させ直撃を防ぐ翼だったが、反射した大威力の光線は、彼女の足元へと向かい炸裂する。

そこにエヴァ両機がいたのだから、たまったものではない。

 

「きゃッ!?」

 

「うわあッ!!!?」

 

威力そのままに地面が抉られ、エヴァも翼も弾き飛ばされてしまった。

 

「…くう…」

 

地面に横たわる弐号機に向けて、鳥の顔が狙いを定める。

 

「…やべえ!」

 

爆発を一人免れていたクリスだったが、謎のノイズの行動を悟り瞬時に跳ぶ。

ようやく上体を起こした弐号機の前に立ち塞がるように浮かぶと、イチイバルのリフレクターを展開。

謎のノイズの光線が弐号機を襲う。

イチイバルによって阻まれた光線は、それでも四方八方に飛び散り、盛大な被害を齎すほどの大威力。

 

「…ぐはあッ!」

 

どうにかビームをやり過ごすも、クリスの身体は代償のバックファイアに襲われた。

力なく宙から落下する彼女を、弐号機の掌が受け止める。

 

「…アンタ…!」

 

アスカは、自身が複雑な表情を浮かべていることを自覚する暇もなかった。

すぐ目前まで、謎の使徒が迫っている。拳を振り上げる使徒に、自身と掌の中を護るために、アスカは全力でATフィールドを展開した。

 

 

 

 

 

 

 

移行していく戦場をトレーラー前で眺めていたレイだったが、意を決したように三角巾を放り出す。

その華奢な左肩を背後から押さえたのは立花響。

 

「…邪魔をする気?」

 

抑揚のないレイの声に対し、響はぶんぶんと首を振る。

 

「ううん。一緒に行こう!!」

 

全く平坦な表情でレイは頷き返すと、二人並んで走り出す。

間もなく二人は零号機へと到達。

響の手を借りて、どうにかレイはエントリープラグの入口まで到着出来た。

 

「へえ~、これがコックピットなんだ」

 

乗り込むのを手伝いながら響が珍しそうにプラグ内を見回す。

 

「…貴女は、どうするの?」

 

レイの疑問はもっともなもので、一緒に行くと頷きはしたが、目前の少女には一体何が出来るというのだろう?

すると響は笑いながら、胸元からギアペンダントを引っ張り出す。

 

「えへへ。わたしにはこれがあるから」

 

すぐ近くで凄まじい戦闘が展開されているとは思えないほどの穏やかな旋律が、箱根の山へ木霊した。

溢れる光にレイが眼を細める。

気がつけば、何やら響はプロテクターを纏ったような格好に。

 

「これがわたしのシンフォギア、ガングニール! 神様だって倒せるとっておきだよ!」

 

「…そう」

 

素っ気なく答えたものの、レイは困惑している。

シンフォギアが何かは知らないけれど、ただの人がそんなプロテクターを装備したとしてどうなるというのか。

もちろんそんな疑問も感情も表に出す彼女ではない。

 

「それじゃ、わたしも行くわ」

 

粛々と起動シークエンスを始めようとするレイ。

 

「うん、レイちゃん。わたしは先に行っているね!」

 

答えて響が跳躍しようとした瞬間、零号機の近くに逸れたビームが着弾。

その衝撃に、

 

「わわわッッ!?」

 

響はバランスを崩す。

思わず手を突いた先は、ちょうど閉じようとするエントリープラグのコックピット。

果たして響の姿はエントリープラグの中へと消え、プラグそのものも零号機の中へと飲み込まれて行く。

 

 

ガングニールの少女を載せ、今まさにエヴァンゲリオン零号機は起動しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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