バンドリ! -その声を、復讐のためにー   作:ハナバーナ

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他の小説の執筆がうまくいかず、自分が今ハマっているバンドリ系小説にチャレンジしてみました。


プロローグ

都内にあるカラオケ店の一室。そこにはSNSのコミュニティで知り合い、その中の1人の呼びかけに応じた5人の少女がいた。

 

『では、コミュニティを立ち上げ、今回の集会を立ち上げたあたしから、自己紹介させて

 いただきます。名前は蓮沼(はすぬま) 晴陽(はるひ)。中2ですが、通信制で家にこもってま~す。』

 

オーキッドのロングヘアの小柄な少女がマイクで自己紹介し、他4人が小さく拍手する。「では、次の方どうぞ」と、晴陽は自分から見て右側に座っている長身の少女に相槌を打つ。

 

「……旗之台(はたのだい) 出雲(いずも)。羽丘女子高等部1年。趣味で空手をやってるから、空手部に

 入る…つもりかな。」

 

次に来たのは、金と黒のトラ柄のポニーテールをしたメガネの少女だ。

 

「ウチは千鳥(ちどり) 御雷(みかづち)。今年大阪から越してきました、花咲川女子1年です。よろしゅう!」

 

次はウェーブのかかった狐色のツインテールをしたツリ目の少女だ。

 

長原(ながはら) 雨打(ゆた)。羽丘女子中等部3年です。旗之台先輩とは面識がありません…以上です。」

 

最後は萌黄色ロングで垂れ目の少女だ。他の4人に比べて、胸の大きさが服越しでもはっきり分かる。

 

戸越(とごし) 雪路(ゆきじ)、月ノ森女子学園2年です。部活はやってません。趣味で、お菓子作ってます。」

 

全員が紹介を終え、晴陽が「わー」と大きな拍手を交わす。

 

晴陽『ではでは、せっかく集まったことですし、今は大いに楽しみましょう!』

 

晴陽がそう言って大きく手を上げるが、それについていけてるのは、関西人である御雷だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後

 

“晴陽ちゃん、歌うまいやん! なんかやっとったん?”

 

“ちっちゃい頃に、歌手やってたんだ♪《NEON》って芸名で。”

 

“あっ、聞いたことあるよ僕。幼いのにプロ並だったって話”

 

“旗之台先輩は《サイン》ってギタリストでしたっけ? 私は《YUTA》ってベーシスト

やってました。”

 

“2人とも一流みたいやね。ウチは《雷々》ゆードラマーやってたんや。関西やとブイブイ

言わせとったんやで?”

 

“わたくしは……《ANGE》という名でピアノやってました。歌も歌ってたので、

ピアノ歌手ですかね?”

 

“へぇ、おねーさん達もすっごい業界人だったんだね~♪”

 

…とまぁこういう具合で、コミュニティ会は順調に進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……しかし、数十分後

 

御雷「ふっざけんなやっ!!」

 

御雷が怒りを露わにした表情で、テーブルをガンッと殴っていた。御雷のみに限らず、他の4人も明らかに不機嫌な表情をしていた。正確には出雲は無表情なため、顔には出ていないのだが、おそらくいい感情は持っていないだろう。

 

出雲「まぁある程度覚悟はしていたけど…これほどとわね。」

 

雨打「あーやだやだ! 飲まなきゃやってられますかっての!!」

 

さっきまで真面目そうだった雨打は、酔ったおっさんのごとく飲んでいる。飲んでいるのは酒ではなくジンジャーエールだが。

 

雪路「ええ…そうです…そうですよ…………大人なんて…………。」

 

雪路は顔を下に向け、呪詛のごとくぶつぶつとなにかを唱えまくっていた。

 

晴陽「……。」

 

晴陽は不機嫌そうな表情で背中をソファに任せ、照明の付いた天井を向いていた。

 

---------彼女らには、【小さい頃に大人に裏切られ、業界を追放された】という共通の過去がある。

 

 

 

 

 

出雲は、その才能を事務所を経営していた両親に見込まれ、ギターを始めた。誇りだった。しかし、結果としてそれは、両親の望む形ではなかった。両親の期待に応えようと努力しても、結局は見限られ、縁を切られ、事務所を追放された。

 

 

 

 

御雷は、小さな事務所ながらも売れるなにわバンドチームのドラム担当だった。しかし守銭奴だった社長は高値で事務所を売り、所属チームも全く新しいものとなった、存続を訴えても大人は聞く耳を持たず、結局は解散となり、それを機に仲間も大人を信じなくなり、チームは離れ離れとなった。

 

 

 

 

雨打は、ドームライブも期待されていたエースベーシストだった。しかし事務所の得意先の愛娘が、雨内より実力が低いにも関わらずベースでのドームライブを望んだ。この時から生真面目だった雨打は抗議を申し出たが、それが得意先を怒らせ、即除籍を命じられた。得意先に世話になっていた事務所も、それに応じざるを得なかった。

 

 

 

 

雪路は、卓越したピアノ技術と人魚のような歌声で人々を魅了するピアノ歌手だった。しかし今後の活動に必要な投資のために売春行為を条件に出され、それを断った時、身に覚えのないスキャンダルをかけられ、非難の声を浴びせられ、結局業界を追放された。

 

 

 

 

そして会の主催者である晴陽は…プロ顔負けの小学生歌手だった。母親がプロの歌手であったのがきっかけだったが、それを除いても彼女の才能は一級品だった。しかし、母親が事務所が組み立てた無茶なスケジュールに倒れ、過労死したことをきっかけに「七光り2世歌手」などと後ろ指をさされ続け、挙句の果てにイメージを守るためという理由で事務所を脱退というあんまりな結果である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨打「私や千鳥先輩も相当ですが、ショックで旗之台先輩は表情をうまく作れず、戸越先輩は

   喉に異常をきたして碌に歌も歌えない有様ですもんね……。」

 

御雷「せやけど、一番ひどいのは晴陽ちゃんやん! なんで、なんで母ちゃん死んだんにそこまで

   言われなあかんのや!! なんで一番責任ある連中にやめろ言われなあかんねや!!!」

 

御雷は怒りに身を任せてテーブルと叩く。晴陽にいたっては、学校でいじめを受けていたという話もあるから引きこもりになるのも無理ないと思うほどである。むしろよくぞグレて問題を起こしたり、自殺を図らなかったなと思うほどである。

 

晴陽「…ねぇ、おねーさん達。」

 

その時、今まで口を閉ざしていた晴陽が、上を向いたまま口を開く。

 

御雷「ん、なんや?」

 

晴陽「おねーさん達ってさ、その時の楽器って今でも弾ける?」

 

御雷「あぁ、しばらくは叩いてへんけど、その気になればブランクは帳消しにできるで?」

 

出雲「僕も御雷と同じく。」

 

雪路「わたくしは……感覚を忘れたくなくてよく弾きます。声は出せませんが。」

 

雨打「私はストレス発散のために時々……って、何考えてるんですか?」

 

雨打が怪訝な表情で問うてくる。晴陽は表情を変えぬまま上に向けていた顔を4人に向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴陽「ねぇ……あたし達でさ、バンド組んでみない? 復讐のために。」

 

彼女たちの中で止まっていた音楽の針が、動き始める。

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