バンドリ! -その声を、復讐のためにー   作:ハナバーナ

3 / 9
物語の時期的には、アニメの1stシーズン(香澄達が1年生のころ)です。


まずはお試し

晴陽「いらっしゃい、おねーさん達♪」

 

コミュ会から1週間後の休日。晴陽以外の4人は晴陽の自宅に集まっていた。家は内外ともに造りが良く、どことなくソワソワしている者もいる。

 

御雷「な、なんや…晴陽ちゃん()、結構ええとこやんな。」

 

晴陽「あたしが生まれる前からママって結構売れてたみたいだし、パパも海外飛び回る

   キャリアマンだしさ。」

 

雪路「では、お父様は今も海外に?」

 

晴陽「まぁね。帰ってくるのは半年に1回ぐらい。」

 

雨打「…寂しくはないんですか?」

 

晴陽「テレビ電話があるからね~。これでもパパって気遣ってるほうなんだよね。

   『学校行け』とは強く言わないし。」

 

出雲「……。」

 

苦笑しながら頬を掻く晴陽を見て4人はこれ以上なんて言えばいいかわからなくなってしまう。

 

晴陽「っと、そうだった。4人に見せたいものがあるから、ついてきて!」

 

晴陽がそう言って、手招きしながら歩いていく。4人は互いに顔を見合わせながら、晴陽についていく。

 

・・・・・・・・・・・・

 

御雷「うっおぉ…!」

 

4人が晴陽に連れてこられた場所は地下だった。床は木製で、それなりに広く照明もついているという仕様である。

 

出雲「…いいところだ。」

 

晴陽「ありがと♪ この辺住宅街だからさ、歌の練習で近所迷惑にならないようにママが建てて

   くれたの。引退してからはあんまり使わなくなったけど…落ち着くから時々くるんだ。」

 

晴陽は次に「あれ見て」と指を差し、4人は差されたほうを向く。そこにはベース、ギター、キーボード、マイク、ドラム…バンドに必要な一式が揃っていた。

 

御雷「あれ、どないしたん?」

 

晴陽「この一週間の間に、買い揃えた。」

 

雨打「えっ!!?」

 

雨打は驚愕する。バンドの楽器一式を揃えるとしたら、どれだけ安く見積もっても10万を超えるのだ。それを中学生が、一週間で買い揃えたというのだ。

 

晴陽「心配しなくてもいいって。全部あたしのポケットマネーからだし。」

 

雨打「余計に気が引けますけど!?」

 

雪路「……本気、なんですね?」

 

これだけの要素をそろえた…一週間前の宣言が嘘ではないことを理解した雪路は、真面目な表情で晴陽に問いかける。

 

晴陽「あたしは本気だよ? あと必要なのは……おねーさん達の意志、かな?」

 

「「「「……!」」」」

 

表情は笑顔でも、その問いにどこか強い何かを感じ取る4人。思わずゴクッと唾をのむ。

 

出雲「……晴陽、適切な環境・必要な機材・優秀な5人のメンバー……それらを揃える事から、

   君の覚悟が本物だというのはわかった。だけど、問題なのは【実力と相性】だ。僕らは

   会って間もないから互いの実力を知らない。バンドマンにだって相性があるんだ。所詮

   寄せ集めに近い僕らが本当に復讐できるかなんて断言できない。」

 

御雷「せやな。ここまでさせてしもうたことに引け目はあるけど、復讐できる力がない

   バンドにウチら入れへんよ。」

 

出雲と御雷の言葉に、雨打と雪路もうなづく。晴陽は2人の言い分を聞いている間は真顔だったが、聞き終えるとすぐにニコッと笑う。

 

晴陽「うんうん、その意見はもっともだよ。だから、試してみようよ。まず、あたし達5人で

   1曲を真剣に練習する。そしてライブハウスで演奏して、おねーさん達全員をあたしが

   納得させる。そしたらバンド結成っていうのはどう?」

 

晴陽の言葉に、4人は考え込む。しかし、答えるのに時間はかからなかった。

 

雨打「…まぁ、確かにそれが一番手っ取り早いですね。」

 

出雲「うん、自分の力を取り戻すのにもちょうどいいしね。」

 

御雷「晴陽ちゃんの気持ちも分からんでもないしな。付き合うで!」

 

雪路「わたくし、バンドなんて初めてですが……やってみます。」

 

晴陽「ありがとう! 早速だけど、おねーさん達この後予定ある?」

 

晴陽の問いに、4人は首を横に振る。

 

晴陽「分かった! なら早速、今から練習だよ!」

 

雨打「今からですか?」

 

晴陽「やるなら早めにやっておいたほうがいいからね。」

 

晴陽が「飲み物やタオルはあるからねー」と騒ぎ、雨打は呆れ、御雷は苦笑する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晴陽「はい、これが演奏する予定の曲の楽譜ね。」

 

配置についた4人に、晴陽が楽譜を渡していく。

 

雨打「聞いたことない曲ですね……オリジナルですか?」

 

晴陽「うん。作詞・作曲全部あたし。」

 

出雲「…すごいな。この中で一番年下なのに。」

 

晴陽「いつか大人を見返す【何か】を習得しようと思って、時間があれば練習してた。

   こんなに早く役に立つとは思わなかったけどね。」

 

雨打「この歌詞に曲調…テーマは【ゴシックロック】ですか。」

 

御雷「ん、なんやっけそれ?」

 

雨打「音自体は壮大ですが、そこに悲しみな怒りといったマイナス要素を含んだ曲ですよ。

   物事に対するアンチテーゼとかも相当します。」

 

雪路「自分の気持ちを素直に伝える……という程でいいんでしょうか?」

 

晴陽「そだよ~…さ、練習しよ、練習!」

 

晴陽の言葉で、早速練習が開始される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

晴陽「それで、どうだったかな?」

 

一通り練習した後、晴陽は4人に感想を求める。

 

雨打「……悪くはありません。感覚も慣れてきましたし、全員のリズムも一致してます。」

 

出雲「うん、だけど…。」

 

御雷「なんか……なんか足りひんな。」

 

雪路「…はい。」

 

笑顔の晴陽に対し、他の4人はどこか納得いかない表情である。

 

晴陽「あ~…ひとまず休憩にしようよ。あたし、飲み物持ってくるね!」

 

晴陽はそう言って、駆け足で地下室を出ていく。4人はそんな晴陽を見送った後、互いに顔を合わせる。

 

御雷「どないする?」

 

出雲「…ひとまず続けてみよう。続けてけば、足りないものが見つかるかもしれないし。」

 

雨打「でも、もし見つからなかったらどうするんです?」

 

雪路「……。」

 

疑問をはっきりと口にする雨打。その彼女の問いに、少なくともここにいる3人は、答えられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし休憩終わりの練習でも、その日以降の練習でも、【足りない何か】を見つけることができなかった。そして不幸にも、その状態で晴陽がエントリーしておいたライブイベント当日を、迎えてしまうのだった。




感想も募集してますよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。