もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 前回のあらすじ

 神りそうになった。


立花京佳と対策

 

 

 

 立花家 京佳の部屋

 

(あああああああああ!!??)

 

 立花京佳は自室のベットの上で悶えていた。それはもう悶えていた。今すぐタイムマシンに乗って過去をやり直したいと思うくらいには悶えていた。

 

 京佳がこれほどまでに悶えている理由、それは数時間前のラブホテルでの出来事だ。

 

 数時間前、京佳は白銀と2人でラブホテルへ行っていた。決してやましい事をする為ではなく、雨宿りの為だ。だがそこで、京佳と白銀は思わず一線を越えかけしまった。もっと言うと神りかけた。

 

(わ、私は!何て事を言ってるんだぁぁぁ!!??)

 

 しかも原因は京佳の一言にある。そもそもの原因は、白銀が誤って京佳をベットに押し倒した事だが、その後京佳は『白銀…いいよ…?』と白銀に言っている。

 その結果、白銀もその気になってしまい、危うく一線を越えかけたのだ。結局一線を越える事は無かったのだが、その後の2人は何とも気まずい空気の中帰宅。そしてこうして自宅へと帰宅した京佳は、思い出して悶えていた。

 

(あ、あと少しで、私は白銀と…あああああああ!?)

 

 何度もラブホテルの時の事を思い出す。白銀の直ぐ後ろで服や下着を脱いで裸になった事。バスタオル1枚だけの状態で白銀と向かい合った事。そして白銀にベットに押し倒されて、一線を越えそうになった事。あの時、白銀のスマホに圭からの電話が無ければ、間違いなく2人は一線を越えていただろう。

 その時の事を思い出すと、もうどうしていいかわからない。顔から火が出そうにもなる。今ならおでこの熱だけでお湯が沸かせそうだ。だが目下最大の問題は一線を越えかけた事じゃない。

 

(明日どんな顔して白銀に会えばいいんだぁぁぁ!?)

 

 そう。明日、学校で白銀にどう合えばいいかと言う事だ。なんせ事が事だ。あんな事を経験しておいて、普通に顔を合わせられる自信なんて無い。というか気まずすぎる。あと、顔を見たら絶対にラブホテルでの事を思い出す。

 

(どうしよう!本当にどうすればいいんだぁぁぁ!?)

 

 悩む京佳は色々解決策を考える。

 

(学校を休む?ダメだ、それは問題の先送りでしかない!目隠しをする?不可能だ。両目に目隠しをしたら歩けない!なら生徒会室に行かない?これもダメだ!これだけ忙しい中私だけ行かないなんて出来ない!白銀を視界に入れない?これも無理だ!周りから怪しまれるし現実的じゃない!!どうすればいいんだぁぁぁ!?)

 

 京佳は悩んだが、結局答えが出る事は無かった。

 

(何やってんのかしらあの子?白銀くんにおっぱいでも揉まれちゃったとか?)

 

 そして京佳の母親の佳世は、そんな娘の様子を静かに見ていた。

 

 

 

 

 

 同時刻 白銀家

 

(ぬおおおおおおおおおお!!??)

 

 そしてここにも、京佳と同じように悶絶している人がいた。言うまでもなく、京佳と一緒にラブホテルに行っていた白銀御行である。

 

(俺は何やってるんだよ!?いや本当に何やってるんだよ!?)

 

 あわや同級生の女子と一線を越えかけた。これが恋人同士だったらそこまで問題は無いが、相手は友達で同じ生徒会の仲間の京佳。一応、白銀も京佳もお互い想いを寄せてはいるのだが、それはそれ。付き合ってもいないのに、肉体関係を構築しかけたのはどう考えてもダメだ。そんな事、許される訳が無い。

 だが白銀は、それ以外に悩んでいる事があった。

 

(俺は明日どんな顔して立花に会えばいいんだぁぁぁ!?)

 

 それは明日京佳に合う時、どんな顔をしればいいかという事だ。

 

(無理だ!今まで通りに接するなんて絶対に無理だ!)

 

 今京佳の顔を見たら、絶対に思い出してしまう。バスタオル越しの大きな胸を。白くて柔らかそうな肌を。色気を放っていた太腿を。それら全てを思い出してしまう。もしそらの事を学校で思い出してしまったら、自分でもどうなるかわからない。

 

(にしても、めっちゃエロかったよなぁ…もし立花と恋人になったら、あの身体を好きにでき…って何考えてるんだ俺は!!身体目当てなんて最低の中の最低じゃねーか!!)

 

 現にこうして京佳の事を思い出すと、邪な思いが出てくる。それほどあの時の出来事は強烈だったのだ。夏休み中のポロリや、誕生日のキスの非では無い。それら全てを上書きするほどのインパクトがあった。だからこそ簡単に消えないし消せない。

 

(でも少し勿体なかったかもしれん…せめて1回くらい揉んでてもバチは当たらない…ってそうじゃない!!そうじゃないだろう俺!!)

 

 再び邪な考えをする白銀。家に帰ってからずっとこうである。白銀は何時も勉強に数時間を要するようにしているのだが、今日は全く手に付かない。

 本当にどうしようかと悩んでいたその時、

 

「うるさぁぁぁぁぁい!!!!」

 

「ぐふぅ!?」

 

 白銀の後頭部に強い衝撃が加わった。

 

「おにぃさっきから本当にうるさい!もう11時なんだけど!?私、明日新聞配達のバイトあるから寝たいのにおにぃがうるさくて寝れないんだけど!?」

 

 白銀の後ろには、枕を持った圭が立っていた。その顔は怒っている。白銀家は狭い。本来1人暮らし用のアパートに、家族3人で暮らしているからだ。

 故にそれぞれの個室など無く、兄妹でひとつの部屋を分けて使っている。具体的に言うと、部屋の真ん中にカーテンをして部屋を区切っている。

 つまり、防音なんて出来ない。ひそひそ話すら丸聞こえだ。そして白銀は、さっきからずっとごそごそしながら悩んでいる。それが原因で、圭は全く眠る事が出来なかった。

 

「あ、ごめん圭ちゃん…」

 

 白銀は日ごろ、常に睡眠不足で生活している。その原因は、バイトや勉強に時間を多くとられているからだ。そんな彼にとって、睡眠というのはとても大切なものである。

 そんな睡眠が、自分のせいで妨害されていた。流石にそれはダメだと思った白銀は、すぐに圭に謝る。

 

「てか何?さっきから何度も何度も頭抱えているみたいだけど。何かあった?」

 

 一方で圭は、兄御行にそんな質問をする。しかしこれは、兄を心配して聞いている訳では無い。最近の兄がこうやって悩んでいるのは、大抵恋愛関係だからだ。そういう話に凄く興味がある圭は、何とか兄から話を聞こうとする。

 

「……別に」

 

「いや絶対嘘じゃん」

 

 あからさまに顔を背けた白銀。しかし白銀は何も言うつもりは無い。というか、言えない。京佳とラブホテルで事に及びかけたなんて言える筈が無い。

 

(い、言えねぇ!言える訳がねぇ!!)

 

 去年色々あったおかげで、圭はかなり京佳に懐いている。そんな圭がもしラブホテルでの事を知ったら、下手をしなくても通報するだろう。そうなっては白銀は来年スタンフォードではなく、刑務所だ。

 

「あのさおにぃ。言いたくない気持ちはわかるけど、さっきから本当にうるさいの。私じゃ解決できないかもだけど、話すだけでもすっきりするものじゃない?だからさっさと話して。そして私を寝かせて」

 

 話の興味半分、安眠欲しさ半分の圭が言う。

 

「……」

 

 白銀は考える。確かにこのままでは何も解決しない。ならば、内容を濁してでも話すべきではないのか。

 

(そうするか。確かに、話しただけでも楽になるかもしれないし)

 

 結局白銀は、圭の安眠の為にも内容を濁して話す事にした。とりあえず、京佳の名前は出さない。

 

「えっとな。実は、俺の友達との話になるんだが…」

 

「うん」

 

「その、な?その友達と、ちょっと気まずい感じになっちゃって」

 

「気まずい?何があったの?」

 

「その、事故で押しちゃった的な」

 

 京佳の名前と場所がラブホテルという事は隠して話す白銀。これなら少なくとも、通報される事はない。

 

「はぁ!?京佳さん押し倒したの!?」

 

「ふぁ!?」

 

 しかし秒で圭にバレた。

 

「いや圭ちゃん!?何でそこで立花が出てくるの!?」

 

「気まずいっていう事は相手は異性!そしておにぃが言う異性の友達って言ったらかぐやさんか千花ねぇか京佳さんくらいじゃん!千花ねぇは除外でいいとして残るは2人!そしてその2人の内おにぃがそこまで悩む相手って言ったら、消去法で京佳さんしかいないじゃん!?」

 

「待って!?どうして四宮除外したの!?」

 

「女の勘!!」

 

「女の勘!?」

 

 まさか妹の洞察力がこれほどまでとは思わなかった。その事に、白銀は大変驚く。同時に、もの凄く焦りだす。

 

(まずい!このままじゃ色々ボロが出るかもしれん!)

 

 このまま話を続けたら、他の事も全部バレるかもしれないと思う。場所がラブホテルだった事や、お互いバスタオルしか身に着けていなかった事とか。それは避けなければならない。

 そして白銀がとった行動は、

 

「あ、なんか急に眠くなってきた。じゃ圭ちゃん。おやすみ」

 

 寝る事だった。こうすればもう聞かれる事は無い。仮に聞かれても、全力で寝たふりをしてごまかせる。本当はこの後勉強をしたかったが、どうあっても今日は手に付く事が出来そうに無いし、圭に色々聞かれるよりマシだ。だから寝る。

 

「いや何寝ようとしてんの!?答えておにぃ!?一体どこで京佳さん押し倒したの!?っていうか本当に事故!?もしかして態と京佳さん押し倒したんじゃないの!?」

 

 兄御行の話を聞いた圭は、既に眠気なんて吹っ飛んでいた。そして兄から今の話を根掘り葉掘り聞こうとする。

 

「……」

 

「おにぃ起きてるでしょ!?ねぇってば!?」

 

 しかし白銀は動かない。目を閉じて布団に入ったままだ。その後、圭は1時間ほど白銀に話を聞こうとしたのだが、流石に眠くなったので寝た。

 

 そして翌日の新聞配達に遅刻しそうになった。

 

 

 

 翌日 放課後 生徒会室

 

「会長。こちらは学校の外で使う文化祭のポスターの原案です」

 

「わかった。後で確認する」

 

「会長~。これTG部の新しい出し物の予定表です」

 

「今度はちゃんとしてるんだろうな?」

 

「勿論!」

 

「わかった。そっちも確認する」

 

「白銀会長。これは風紀委員の文化祭での巡回ルートです。確認をお願いします」

 

「ああ。机に置いておいてくれ。これが終わったら確認する」

 

 生徒会室では、皆が忙しそうにしていた。文化祭までおよそ2週間。既に殆どのクラスや部活の出し物が決定している。おかげで生徒会も結構忙しい。来週には文化祭実行委員会が設立されるだろうから、少しは生徒会の負担も減るだろうが。

 

「ていうか会長。去年も思いましたが、これ生徒会の仕事ですかね?来週作られる実行委員会の仕事じゃないですか?」

 

「それだと間に合わないところがあるんだ。だからこうして少しでも負担を減らすべく動かないといけなんだ」

 

 文化祭というのは、決して実行委員会だけで動かせる訳じゃない。生徒会や教師、保護者会や近隣住民など皆の協力があって成功できるのだ。

 文化祭実行委員会は来週設立される予定なのだが、それでは仕事量的に間に合いそうにない。なのでこうして生徒会が、それらの負担を減らすべく動いているのだ。

 

「よし。次は文実の参加名簿の確認と大まかなスケジュールの確認だな」

 

「あの会長。なにもそこまでしなくても」

 

「いや、去年の経験を少しでも役立てたいんだ。経験者がある程度の事をやった方が文実も楽になるだろうし」

 

 白銀はそう言うと新しい資料の確認をする。

 

(誰かの為にそこまでするなんて。やっぱり会長は素敵ですね)

 

 かぐやはそんな白銀に惚れ直す。

 

 しかし白銀、実はとある考えを持って仕事をしている。それは、昨日の事を思い出さない為だ。白銀は、昨日の京佳とのラブホテルでの出来事を、ちょっとでも気を抜いたらすぐに思い出してしまう。

 そこで兎に角仕事に打ち込んで、昨日の事を考えないようにしようと考えた。結果は良好。今の白銀の頭の中は、昨日の事を思い出す余裕が無い。これならば、京佳が来ても大丈夫だろう。

 

(まぁ、なるべく顔は見ない様にするがな)

 

 だがそれでも絶対とは言えない。今日は可能な限り顔を見ない様にしようと白銀は思う。

 

「にしても京佳さんと石上くん遅いですね」

 

 資料を整理している藤原が、未だに生徒会室にやってこない2人の事を言う。

 

「石上は日直です。サボらないように言い聞かせてきましたし、もう少し時間かかるかと」

 

 石上は日直らしい。

 

「恐らくですが、立花さんは文化祭の事で遅くなってるんじゃないでしょうか?演劇ですし」

 

「あー成程。それなら確かに遅くもなりますね」

 

 かぐやの言葉に納得する藤原。

 

(今日来ないなら来ないでいいんだがな…)

 

 白銀は少しだけ安堵する。もし京佳が来ないなら来ないでいい。これは京佳の事嫌っている訳では無く、顔を合わせづらいからだ。明日からは休日。少なくとも2日顔を合わせなければ、昨日の事も少しは印象が薄くなるだろう。

 

 そう考えていた白銀だったが、現実はそううまくいかない。

 

「すまない。遅れた」

 

 京佳がやってきたからだ。

 

「あ、こんにちは京佳…さ…ん……」

 

「「え?」」

 

(ん?)

 

 しかし様子が可笑しい。具体的に言うと藤原が言葉を詰まらせている。白銀はつい、資料から顔を上げて京佳の方を見た。

 

 するとそこには、

 

 

 

 

 

 (I

 

 

 

 

 

 全体的に黒くて、真ん中に紫色の光が灯っている妙な被り物を被った京佳がいた。

 

「いや京佳さん何ですかそれ!?」

 

「文化祭でやる演劇の台本で、2人は仮面舞踏会で出会ったという設定なんだ。で、その時に使うフルフェイスマスクのひとつを、慣れる為にも1回つけておこうと思ってね」

 

「何でフルフェイスマスク!?」

 

 藤原の問いに京佳は答えた。どうやら演劇で使う小道具の一種らしい。しかし、なんとも不気味な仮面である。

 

「それ、前見えてますか?」

 

「視野はそこまで悪くないぞ」

 

 一体どこから見えているのか気になる藤原。恐らく、京佳の目に当たる部分に除き穴があるのだろうが。

 

「……」

 

「伊井野さん、どうしました?」

 

「いえ、その。何故かあの仮面を見ているとこう、ぞわぞわして…」

 

「はい?」

 

 伊井野は京佳から距離を取る。どうもあのマスクが原因らしいが、よくわからない。

 

 尚、京佳がこうしてマスクをつけている理由は、白銀対策である。

 

 京佳も白銀同様、目を合わせられる気がしなかった。絶対に昨日の事を思い出すからだ。故にこうして『演劇で使用する』という建前を作ってマスクを被り、白銀と可能な限り目を合わせない様にしている。

 

(よし!これなら白銀と目を合わせる事もない!)

 

 ふざけている訳では無く、真剣に考えた結果だ。現に今の京佳は、白銀の方を向いても白銀の顔がはっきりとは見えない。これならば、本日の生徒会の業務もこなせるだろう。

 

「白銀。この資料を整理しててもいいかな?」

 

「え?お、おう…」

 

 そして京佳も皆の同様に仕事に励むべく、机の上の資料を手に取り仕事を始めるのだった。

 

(まぁ、あれなら目を合わせる事はない、か)

 

 一方白銀も安心する。あれなら京佳とば目が合う事は無い。普通に仕事をする事ができるだろう。

 

 だが実は、京佳が被っているマスクにはある欠点があった。

 

(熱い!通気性は最悪だなこのマスク!!)

 

 通気性が悪すぎるのだ。京佳が被っているマスクは、光が灯ったりはするが、内部を快適にするような工夫は全くされていない。

 おかげで京佳は、冬なのに顔だけまるでサウナにいる気分。かなり汗もかいている。

 

(だが我慢だ。今白銀と顔を合わせたら、私は絶対に平常でいられない!)

 

 涼む為には脱ぐしかないのだが、今はまだ白銀と顔を合わせられない。なんとか今日だけはこれで乗り切ろうとし、京佳は我慢する。そして資料整理を続けるのだった。

 

「そろそろ1回休憩しませんか?私、コーヒー淹れますよ?」

 

「そうですね。1度休みましょうか」

 

 京佳が我慢して20分後。藤原が休憩しようと言い出し、かぐやがそれに賛同。そして藤原は全員分のコーヒーを淹れるのだった。

 

「すまない藤原、私は冷たいのにしてもらっていいか?」

 

「え?あ、わかりました」

 

 途中京佳の頼みを聞いて、1つだけ熱くないコーヒーにした。

 

「はい皆さん、どうぞです」

 

「ありがとう、藤原」

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとうございます!藤原先輩!」

 

 コーヒーを淹れた藤原は皆にそれぞれのコーヒーを配る。勿論、京佳には熱くないものをだ。そして京佳もコーヒーを飲もうとしたのだが、ある事に気づく。

 

(しまった。飲むにはこれを外すしかない)

 

 そう。今京佳が被っているマスクはフルフェイス型。首から上が全部隠れている。つまりコーヒーを飲むには、マスクを外すしかない。

 

(仕方ない。直ぐに飲んで直ぐにまた被ろう)

 

 そして京佳はマスクを外そうとした。

 

「あれ?」

 

 しかし、ここでアクシデントが発生。

 

「?どうしました京佳さん」

 

「外れない」

 

「え?」

 

「これ、外れない」

 

 何と京佳が被っているマスクが外れなくなったのだ。先程から強く上に引っ張っても、全然外れない。

 

「え?大丈夫ですか?」

 

「すまない藤原。ちょっとマスクを掴んで引っ張ってくれるか?」

 

「わかりました。じゃ行きます。せーっの!」

 

 藤原にも手伝って貰うが、

 

「ふんぐーーー!?」

 

「いたたたたた!!もげる!首がもげるーーー!?」

 

 全く外れない。このままでは京佳がろくろ首になりそうだ。

 

「おい、大丈夫か立花?」

 

「あまり、大丈夫ではないかもしれん…」

 

 白銀も心配する。

 

「そうだ!今度は皆で引っ張れば!」

 

「待て藤原。そんな事したら立花が怪我するかもしれないだろう」

 

「あ、確かに。じゃあどうするんですか?」

 

「こういう時はまず情報を集めるんだ。なので、マスクをよく調べる」

 

「成程。流石会長!」

 

 そう言うと、白銀は京佳に近づき、マスクをよく確認する。

 

「しかしこれよくできてるな。誰が作ったんだ?」

 

「うちのクラスの衣装部の子だよ。将来、映画の道具関係の仕事に就きたいらしい」

 

 会話をしながら京佳のマスクを調べる白銀。その内心は、

 

(やばい!立花が目の前にいる!これはやばい!直ぐにこれ外して距離取らないとまずい!)

 

 かなりいっぱいいっぱいだった。まだギリギリ耐えられているが、正直かなり厳しい。一刻も早く距離を取って心を落ち着かせなければならない。でなければ、昨日の事を思い出しかねない。

 

「あ、ひょっとしてこれじゃないですか?」

 

 京佳と白銀のすぐ近くにいた藤原が、ある事に気づく。それはマスクの首の部分にボタンの様なものが付いてあった。藤原はそれを押す。すると京佳は首が緩くなるのを感じる。これなら外せるだろう。

 そして京佳は、白銀の方を見ない様に自分で外そうとしたのだが、

 

「これなら外れますね!よいしょ!」

 

 藤原が勝手にマスクを外した。

 

 その瞬間、京佳の目に前には白銀の顔が現れる。

 

「「あ…」」

 

 つい言葉が漏れる2人。

 

 まずい。お互い顔を合わせない様にしていたのに、目の前に現れる顔。

 

(昨日の立花、本当にエロかったよな…あと少しで全部見えていたし。あーくそ。やっぱり1回くらい触っとけばよかったかもしれん。もしあの時、圭ちゃんから電話が無かったら、俺は立花と絶対に…)

 

(昨日の白銀、やっぱり紳士だったよな。普通、男の子ってもっとがっつくと思ってたから、もしかすると私がシャワーを浴びている時に入ってくるかもとか思ってもいたけど全然そんな事無かったし。でももしそうでも、白銀だったら私は別に…)

 

 その結果、あっという間に白銀と京佳は昨日の出来事を思い出していく。

 

(お、俺は何を!?)

 

(わ、私は何を!?)

 

 まずい。本当にまずい。このままでは邪な思いを抱き続けてしまう。もしそれがこの場にいる人達にバレてしまい、そこから昨日の事が知られたら、色々終わりだ。どうにかしなければならない。

 

((こうなったら!!))

 

 そして2人はとっさの判断で、自らの舌を思いっきり噛む事にした。痛みで邪な気持ちを消そうとしたのだ。

 

(うおぉぉぉ!もっとだ!もっと痛みをぉぉ!)

 

(痛みで忘れろ!痛みで忘れるんだ私ーー!)

 

 必死で舌を噛む2人。何とか痛みでこの気持ちを消し去ろうとする。

 

「ちょ、ちょっと2人共!?」

 

「「何だ藤原!?」」

 

「口!口から!!」

 

「「え?」」

 

 藤原に言われ、手で口を触る2人。するとそこには、血がついていた。それも結構な量が。

 

((あ、噛みすぎた…))

 

 どうやら舌を噛み過ぎた様だ。それに気づいた2人は、急に血の気が引くのを感じる。そして、

 

「「ぐふ…」」

 

 そのまま勢いよく倒れた。

 

「会長ーーー!?」

 

「京佳さーーーん!?」

 

「きゅ、救急車!救急車ーーー!?」

 

 突然口から血を吹きながら倒れる2人を見たかぐや、藤原、伊井野の3人はパニックだ。

 

「さ、殺人現場?」

 

 そしてそのタイミングで生徒会室にやってきた石上は、その光景を見て血の気が引いた。

 

 

 

 その後、白銀と京佳は保健室で適切な治療を受け事なきを得た。しかし、その日の夜は碌に食事がとれなかったらしい。

 

 

 




 割と体調が悪い時に書いたので、後で細かい所修正するかも。

 皆さんも体調には気を付けましょう。

 次回も書ききりたい。
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