もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 朝日が昇るまでは日曜日なのです。
 
 アニメ最終回見ました。ありがとう!アニメスタッフの方々!

 同時に『これ京佳さん勝てる?』とかも思いました。

 今回も特別編です。ご了承下さい。


特別編 四宮かぐやは入れ替わる(二)

 

 

 

 

「相変わらず、大きな家だな」

 

「京都の本家はまだずっと大きいですよ」

 

「そうなのか」

 

 かぐやになった京佳は、四宮家別邸を見て呟く。自分では住む事など無いであろう大きな家。だが京佳になったかぐや曰く、京都になる本家はまだ大きいらしい。

 

 何故この2人が四宮家別邸に来ているのかと言うと、京佳(かぐや)の提案である。

 

 ―――

 

「どうして、四宮の家に?」

 

「現状、私達はいつ元に戻るかわかりません。一晩寝て、翌日目が覚めたら元に戻っているかもしれませんし、もしかすると10年経っても元に戻らないかもしれません」

 

「それはそうだな」

 

「そこでです。うちには優秀な使用人が大勢います。先ずはその使用人達に事情を説明。その後、皆に手伝ってもらいながら元に戻れるかを色々検証。それでも元に戻らなかったら、明日以降の事を皆で考える。と言う訳で、私の家にと」

 

「成程。確かに私達2人んだけでは解決しそうに無いしな。協力者がいて方がいいだろう。そういう事ならわかったよ。母さんに今日は友達の家に泊まると連絡しておく」

 

「わかりました。なら私も今から別邸に連絡をしておきます」

 

 ―――

 

 という事があったのが30分ほど前。諺でも3人寄れば文殊の知恵というのがある。ならば事情を知っても大丈夫そうな協力者を見つけ、その人達と共にこの入れ替わり問題を解決していけば、おのずと解決策が見つかるかもしれない。

 そういう訳で、2人は四宮家別邸へと来ているのだ。

 

「こっちです。事情を知っている使用人が数名待っていますから」

 

 そう言うと、玄関へ歩き出す2人。京佳になったかぐやは、帰る前にスマホを使って早坂に事情を説明した。尚その時早坂からは『頭でもぶつけました?』と聞かれている。そりゃ誰だって『中身が入れ替わっているので助けて欲しい』と言われても信じないだろう。

 だが京佳(かぐや)は必死でメッセージを使って説明。その必死さが伝わったのか、早坂はとりあえず信じる事にした。そして高橋と志賀の2名に助けを求めたのだった。

 

「今帰ったわ。皆」

 

 玄関を開けると、そこには執事の高橋。メイドの志賀と変装した早坂ことハーサカが待っていた。この3人なら信用できると思い、声をかける京佳(かぐや)。

 

「お待ちください、仮称かぐや様」

 

「仮称!?なにそれ!?」

 

 だが高橋の言葉に驚く。

 

「ハーサカから事情は説明されてますが、あまりにデタラメな内容で正直信じられません。お2人が私達をからかっていると言われた方がまだ信じられます」

 

 高橋の言う事は最もだ。だって普通はこんなデタラメな出来事起きない。

 

「ですので、私がかぐや様にしかわからない質問をいたします。それに答えられましたら、仮称を取らせていただきます」

 

「成程。そういう事なら仕方ないわね」

 

 そこで高橋はかぐやだけが知っている事を質問する事にした。本人しか知らない事を答えられたら、一応は信用できる。

当然の考えでもあるだろう。

 

「それでは」

 

 そして高橋は一息いれ、京佳になったかぐやに質問をする。

 

「かぐや様が5歳の頃。本家の庭にあった池である事がありました。それは何ですか?」

 

「……」

 

 しかし、高橋からの質問を聞いた京佳(かぐや)は何も答えない。

 

(どうしたんだ四宮?何で何も言わないんだ?これでは信用されないぞ?)

 

 かぐや(京佳)は心配そうに京佳(かぐや)を見る。この質問に答えられないと、目の前の使用人達から協力が得られない。京佳(かぐや)もそこは承知している筈なのに、何も言わない。

 

「おや?答えられないのですか?」

 

「……」

 

 高橋の言葉に反応せず、顔を反らす京佳(かぐや)。高橋も疑惑の眼差しを向けてきている。

 

「これでは仕方ありません、お2人は我々をからかっていたと「池の…」はい?」

 

 2人がからかっていると判断しようとした時、ようやく京佳(かぐや)は答えた。

 

「池の鯉に、餌をあげようとして、その鯉が私手を口に入れてきたので、それにびっくりして、バランスを崩して、顔から池に落ちました…」

 

「その時の手は?」

 

「右手…」

 

「使っていた餌は?」

 

「朝食に出た、パンの残り…」

 

「その時着ていた服は?」

 

「白い、ワンピース…」

 

(あー…)

 

 京佳(かぐや)答えを聞いたかぐや(京佳)は察した。ようは恥ずかしかったのだ。質問に答えるのが。幼い頃の出来事を話すのが。

 

「成程。貴方は間違いなくかぐや様ですね」

 

 質問の答えを聞いた高橋は、2人が本当に入れ替わっていると信じた。

 

「高橋!!どうして寄りにもよってそんな質問をしてきたのよ!?もっとこう!他にあったでしょう!?」

 

「これはこの場では私とかぐや様しか知らない出来事でしたので。この質問が1番手っ取り早いんですよ」

 

「だからってなんでその質問!?あと後ろの2人!笑わないでよ!」

 

 高橋の後ろにいた志賀とハーサカは肩を振るわせていた。あの四宮かぐやに、よもやそんな面白い出来事があったとは。特にハーサカは笑いをこらえるのに必死だった。今度弄ってやろうとも決めた。

 

 余談だが、池に落ちたかぐやを助けたのは高橋である。そして助け出した後のかぐやは、どこにでもいる子供の様にワンワン泣いていた。その後、暫く池には近づかなかった。

 

「ですが、これでようやく言えます」

 

 高橋、志賀、ハーサカは姿勢を正し、頭を下げる。

 

「「「おかえりなさいませ、かぐや様」」」

 

 そして何時もの様に、かぐやにおかえりのあいさつをするのだった。

 

「ええ。ただいま皆」

 

 落ち着きを取り戻した京佳(かぐや)も、何時もの様にただいまと言うのだった。

 

 

 

 

 かぐやの部屋

 

「しかし、本当に入れ替わってるんですね。学生の頃に見た漫画みたいですよ」

 

 かぐやの部屋に集まった使用人3人と入れ変わった当人2人。メイドの志賀は、入れ替わっている2人をまじまじを見ながらつぶやく。

 

「入れ替わった原因は、お2人がぶつかった衝撃でしょう。現状、それ以外考えられませんし」

 

 高橋は冷静に状況を分析。

 

「それで高橋。どうすれば元に戻るかしら?」

 

 京佳(かぐや)は高橋に質問する。幼い頃よりかぐやの傍にいたベテラン執事。かぐやに礼儀作法を教え、時には家庭教師もしきた。そんな彼ならば、この奇天烈な現象も解決できるかもしれない。

 

「と言われまして…」

 

「…まぁ、そうよね」

 

 だが流石に無理があった。なんせ状況が状況だ。人が生きていて、こんな出来事に出会う機会なんて普通は無い。いくら何でも出来るベテラン執事とはいえ、流石にこれを解決させる事は出来そうにない。

 

「漫画とかだと、同じような衝撃を与えれば元に戻るのがありますが」

 

「「それはもうやった」」

 

「あ、そうですか」

 

 ハーサカも提案するが、既に2人はそれを実践済み。結果は、ただ痛いだけ。もう2度とやりたくない方法である。

 

「先ずは、一緒に寝てみるというのはどうですか?」

 

「寝る?」

 

「はい。少し前に見た映画だと、寝て起きたら元に戻ってるってのがありましたので」

 

 今度は志賀が提案する。それは石上も電話で言っていた事だ。

 

「じゃあ、とりあえずやってみますか」

 

「そうだな」

 

 そう言うと、かぐやと京佳はベットに入る。

 

「……何か妙な感じですね」

 

「わからなくはない」

 

 誰かと一緒に寝るという中々無い体験をしている2人。そこはかとなく、変な気分だ。

 

「では電気を消します」

 

 高橋がそう言うと電気を消す。とたんに真っ暗になるかぐやの部屋。そして2人は目を閉じ、寝てみる事にしたのだが、

 

「「寝れない」」

 

 無理だった。なんせまだ夕方の6時だ。小学生ですら起きている時間帯。この時間に寝るのは、夜中に夜勤に出勤する人くらいだろう。

 

「これは後で試します。他に何か無い?」

 

 京佳(かぐや)が起き上がり、他の案は無いかと聞いてくる。

 

「なら、催眠療法はどうでしょう?」

 

「催眠療法?」

 

「イップスになってしまったスポーツ選手も使う治療法です。もしかすると、お2人はストレスからそのような事になっているかもしれませんし。その手のものに私には少しだけ心得がありますので、試してみませんか?」

 

 今度は執事の高橋が提案をする。

 

「試してみましょう」

 

「お願いします」

 

 偶に勘違いしている人がいるのだが、催眠療法はオカルトではなく立派な医療手段だ。簡単に言うと『リラックスした状態で、その人間の深い部分に様々なメッセージを届けて、行動や考え方を変えたりして症状をなくすこと』である。

 これでこの現象が治るかはわからないが、物は試しと思い2人はそれをやる事にした。

 

(というか高橋は本当に何でもできるのね)

 

 京佳(かぐや)はベテラン執事の高橋の凄さを再確認した。そしてメイド2人が、どこからか2つのロッキングチェアを持ってきて、それに座るかぐやと京佳。更に部屋にアロマも焚いて、リラックスできるようクラシック音楽も流す。

 

「それでは2人共、目を閉じてゆっくり息を吸って、ゆっくり吐いてください」

 

「「すぅーーー。はぁーーー」」

 

「もう1度」

 

「「すぅーーー。はぁーーー」」

 

「それでは普段の呼吸に戻してください」

 

 通常の呼吸に戻す2人。

 

「力を抜いて、リラックスしてください」

 

「「……」」

 

「ゆっくり、ゆっくり」

 

 高橋は時間をかけて2人をリラックスさせていく。

 

「貴方達は、深ーい深ーい、潜在意識の中へと入っていきます」

 

「「……」」

 

「深ーい深ーい心の中に」

 

(ん?ちょっと待って)

 

 これからという時、京佳(かぐや)はある事に気づく。

 

(潜在意識…つまり私の心の中…それってつまり…)

 

 それは、このままでは自分の中身が京佳に暴露されてしまうのではという事だった。これがただ腹黒い事を知られてしまえばそれはそれで構わない。だがもし、知られたくない事まで知られてしまえば大変だ。

 

 例えば、白銀に対して過去に色んな作戦(笑)をしていた事とか。

 

 今だから言える事だが、正直過去の自分はストーカー手前の事とかしてた。白銀の家に懸賞で当たったという体の映画チケットを送ったり、白銀の生まれた病院を調べたり、たこさんウィンナー欲しさに白銀の好きな食べ物ばかりはいっている弁当を作らせたりとか。

 

 これが高橋や志賀にバレるだけならまだいいが、隣にはかぐや(京佳)がいる。もしも、彼女がこれらの事を知ったら、

 

『え、そんな事してたのか?気持ちわる…』

 

 ひかれる。絶対の絶対にひかれる。そしてもしも、これらの事が白銀にバレてしまえば、

 

『四宮。お前それは、もうストーカーだろ…』

 

 京佳以上にひかれる。

 

(そ、それはダメーーー!?)

 

 そう考えた京佳(かぐや)はロッキングチェアから跳び起きる。

 

「高橋!!やっぱりこれはやめましょう!とても嫌な予感がするから!!」

 

「はい?」

 

 突然の主人の言葉に、呆気に取られる高橋。

 

「え?どうした急に?」

 

 かぐや(京佳)も驚く。

 

「そもそもこういうのはもっとこう心身ともに限界の人がやることです!なのでやめましょう!」

 

「あの、かぐや様?」

 

 主人の豹変ぶりに驚く高橋。尚ハーサカだけは『またトンチンカンな事考えているんだろうな』と思っていた。自分だけは見慣れているから。

 

「兎に角やめましょう!ね!?」

 

「ま、まぁ。四宮がそれほど嫌だと言うなら。無理やりするのも何だし…」

 

 かぐや(京佳)も無理強いは良く無いと思い、この方法を断念した。

 

 

 

 

「自己暗示はどうでしょう?自分は入れ替わっているのではなく、元からこのような」

 

「それ結局解決してないじゃないの」

 

「キスはでそうですか?私が学生の頃に読んだ漫画ではそれで入れ替わったりしてましたが」

 

「ダメ!そもそも女同士でキスなんてできないわよ!」

 

「やはりここは、原点に戻って痛みを」

 

「それも却下!あれ本当に痛いもの!!」

 

 その後も様々な案を出してみるが、どれもしっくり来ず断念。何個か試したものもあったが、これも元に戻る事は無かった。

 

「あーもう!本当にこれどうやったら元に戻るのよーーー!!」

 

「落ち着け四宮」

 

 若干ヒスが入っている京佳(かぐや)を落ち着かせるかぐや(京佳)。それを見ていた3人の使用人は以心伝心していた。

 

 『めんどくせぇ…』と。

 

 無論、主人を元に戻すのは大事だ。というか最優先事項である。だが何をやっても元には戻らず、こちらの案をいくつも却下しだす我らが主人。流石に面倒と感じるのも仕方が無い。

 

 皆が頭を悩ませているその時、

 

 きゅるるる

 

 可愛らしい音が鳴った。

 

「かぐや様…」

 

「待ちなさいハーサカ。今のは私じゃない。今の私はこっちなのよ」

 

「あーもうややこしいですね」

 

 今のはお腹の音。そして鳴ったのは、かぐやの方。だが今のかぐやは京佳だ。

 

「す、すみません…」

 

 頬を赤くするかぐや(京佳)。

 

「ふむ。時間が時間ですし、夕食にしませんか?」

 

 ここで高橋が、息抜きもかねて夕食を提案。

 

「そうね。もしかすると、食べているうちに何か解決策が出てくるかもしれないし」

 

 その提案を了承する京佳(かぐや)。こうして2人は、夕食を食べる事にするのだった。

 

 

 

「凄いなこれ…」

 

「そうでしょうか?普通だと思うのですが…」

 

 食堂に移動したかぐやと京佳。そしてそれぞれが椅子に座り待っていると、直ぐに食事が出てきた。だがそれは普通の食事では無い。少なくとも京佳にとっては。一般家庭出身の京佳にとっての夕飯といえば、コロッケや唐揚げといった感じの料理が馴染み深い。

 だが目の前に出された料理は、少なくとも京佳が家で食べる様な物じゃ無かった。先ず出されたのはパン。だがその辺のスーパーで売っている様なパンじゃない。普通に買えば、ひとつ二千円はするであろう高級パンだ。

 四宮家ではこれが普通だが、庶民の京佳にとっては普通なんかじゃない。そういう料理に畏縮しているかぐや(京佳)だが、それ以外にも緊張しているところがあった。

 

(確か、こういうところのパンって、ちぎって食べるんだよな?あれ?合ってるか?)

 

 テーブルマナーである。京佳は庶民だ。無論、テーブルマナーなんて習った事など無い。これがただのお泊り会などだったら、かぐやにでも聞けばいい。

 だが今の京佳はかぐやである。もしも自分のテーブルマナーが原因で、かぐやにマイナスのイメージがついてしまえば、申し訳が無い。

 

(どうしよう…こんな事ならテーブルマナーとか習っとけばよかった…)

 

 悩むかぐや(京佳)。しかしそんな彼女に、高橋が話しかける。

 

「立花様。ここには我々しか存在しません。なのでそう緊張なさらずに、どうか落ち着いて食事を楽しんでください」

 

「高橋さんの言う通りです。どうかリラックスしてください」

 

「あ、どうもです…」

 

 かぐや(京佳)の内情を察したのか、高橋と志賀はリラックスするよう言ってきた。もしこれが本家の人達が集まった会食なら大問題だが、今ここにいるのは事情を知った人達のみ。これなら恥をかく事もないだろう。

 そうこうしているうちに、新しい料理が運ばれてくる。

 

「かぐや様。今日のメインは鴨肉のコンフィです」

 

「あら。良い香りね」

 

(コン…何?どういう意味?)

 

 聞いた事も無い料理に疑問符を浮かべるかぐや(京佳)。因みにコンフィというのは、鴨肉や鶏肉、豚肉、砂肝などに塩をすり込み、ひたひたの油脂の中で低い温度でじっくり加熱した料理の事である。

 

「……」

 

「……」

 

 食事中、2人の間に会話は無い。何を話せばいいかわからないというのもあるが、何時もと違う状況に、とても和気あいあいと会話する気になれないのだ。ここに藤原がいればまた違ったかもしれないが。

 

「そういえばかぐや様。本家より、今度の会食はかぐや様が出ておいて欲しいと連絡がありました」

 

「ああ。あの会食ね。顔を出すだけでいいのよね?」

 

「はい。それで十分かと」

 

「そういう事ならわかりました。予定を入れておいて頂戴」

 

「かしこまりました」

 

 京佳になっているかぐやはそう言うと、黙々と食事をする。それこそ、何時もと同じように。

 

(しかし、四宮は幼い頃からこういう食事をしてきたのだろうか?)

 

 食事中、かぐや(京佳)はふとそんな事を思った。一般家庭の夕食と言えば、和気あいあいといった感じだろう。その日あった事を話したり、明日の天気の事を心配したり、テレビを見ながら食べたりなど、一家団欒のひと時となる。

 だが四宮家という家に生まれ育ったかぐやは、そのような食事をしてきた事が無いのかもしれない。今日は自分という存在がいるが、いつものかぐやは使用人を後ろに待たせながら、1人で食事をしているかもしれない。

 そして今の様に、家の会食や何かしらのパーティに出る為に日ごろから色々準備をしているのかもしれない。

 

(やはり、四宮は大変なんだな)

 

 四宮家という、国内有数の財閥に生まれたかぐや。そんな普通とは違う家に生まれたかぐやは、一体どれほど大変なのか、京佳には想像もつかない。

 

(元に戻ったら、もう少し四宮と話す機会増やそう。もしくは藤原や伊井野も誘って皆で遊びに行こうかな)

 

 そして元に戻ったら、かぐやの心労を少しでも減らせればと思い、そんな事を考える。

 

 その後、特に会話も無く食事をとる二人だった。

 

 

 

 

 

「立花さん。食事もすんだ事ですし、このままお風呂に入りませんか?」

 

 食事後、京佳(かぐや)が入浴を提案してきた。

 

「別に構わないが、なら入浴が終わったらまた部屋で色々試すのか?」

 

「はい。その予定です。高橋達にも色々調べさせていますから」

 

「そうか。ならそうしよう」

 

 かぐや(京佳)はこれを承諾。そして2人揃ってお風呂場へと行くのだった。

 

 で、脱衣所へと行った2人だったが、

 

(何これ…すっごい…)

 

 京佳(かぐや)は立ち尽くしていた。その理由は、今の自分の身体だ。風呂に入るには、当然服を脱がなくてはいけない。そこで服を脱いだのだが、その時目に入ってきたのは所謂ボンキュボンな身体つき。

 以前、夏休みに軽井沢へ旅行へ行っていた時にも見た事はあるのだが、改めて見ると凄まじい。バストは大きくてハリがある。腰回りはかなりくびれており、余計な脂肪がついていない。

 そしてヒップには程よい丸みがあって、それがまた色気を出している。はっきり言って、凄くエロい。

 

(私もこんな身体つきだったら、とっくに会長を落せているのに…)

 

 同性のかぐやから見ても、京佳の体つきは素晴らしいと言えるものだった。もしかぐやがこの身体つきだったら、白銀は1学期の時点で落ちていただろう。

 

「どうした四宮?」

 

「いえ、何でもありません」

 

 かぐや(京佳)に言われはっとする京佳(かぐや)。そして下着も脱ぎ、最後に眼帯を取ろうとしたのだが、

 

「あれ?これどうやって外すの?」

 

 京佳(かぐや)は眼帯の外し方が分からず、苦戦した。

 

「それはこうして……ほら、外れたぞ」

 

 見かねたかぐや(京佳)が近づき、眼帯を慣れた手つきで外す。そして眼帯が外れ、鏡に映った目に映った自分の姿を見た京佳(かぐや)は、

 

「っ」

 

 思わず、息を飲んだ。そこに写ったのは、掌ほどの範囲のある焼け爛れたた顔の左側。肌は赤く変色しており、所々小さな傷もあるし、血管も浮き出ている。そして当然、左目は全く見えていない。

 

 「あっ!すまない四宮。大丈夫か?」

 

 鏡で自分の顔をみた京佳(かぐや)を心配するかぐや(京佳)。自分は見慣れているからマシだが、かぐやは違う。もしかすると、かなり気分が悪くなっているかもしれない。

 

「大丈夫ですよ」

 

「ほ、本当に?」

 

「ええ。本当に大丈夫です」

 

「そうか。それならいいんだが」

 

 だが京佳(かぐや)は大丈夫と言う。かぐや(京佳)はその言葉を信じる事にした。

 

(これほど酷い傷があるのに、よく…)

 

 一方かぐやは、改めて京佳の凄さに驚く。いくら普段は眼帯で隠しているとはいえ、このような顔になっているのだ。普通であれば、この火傷跡を見るたびに悲しい気持ちになるだろう。もしかすると精神的にまいってしまい、引きこもりになる事だってあるかもしれない。

 だが、京佳は毎日学校へ通っているし、顔にこのような火傷跡など最初から無かったかの様に過ごしている。無論、それは普段のかぐやから見ただけの視点での話で、本当は酷く落ち込んでいるかもしれないが。

 

(それにこれ、私が慣れていないってのもあるのだろうけど、本当に歩きにくい…)

 

 それだけじゃない。片目しか見えないのは、非常に不便なのだ。単純に視野が半分になるので、普段より大きく首を動かさないといけない。それに足元が見えづらいので歩きにくい。実際ここに来るまでの間に、京佳(かぐや)は何度か足を壁にぶつけそうになっていた。

 

(立花さんは、普段からこんなに大変な思いをしているのですね…)

 

 そして京佳(かぐや)は、京佳が普段どれだけ大変な思いをしているかを把握する。眼帯をしている事で、周囲から好機の眼差しを向けられる事もあるだろう。

 

(本当に凄いわね…この子)

 

 そして京佳(かぐや)は、改めて京佳が凄い子だと認識。これ程の子は、中々いないだろう。

 

「それじゃ、さっさと入ろうか」

 

「そうですね」

 

 脱衣所で着ているもの全てを脱いだ2人は、風呂場へと行き身体を洗う。

 

「……」

 

「どうした四宮?」

 

「何でもありません」

 

 全裸になって改めて思ったが、デカイ。本当にデカイ。ナニがとは言わないが、本当にデカイ。

 

(元に戻った時、1割でいいから私の身体に宿らないかしらこれ)

 

 そして叶わない願いを掛けるのであった。

 

 

 

 

 




 お互いを少しだけ理解できた2人。

 中途半端ですが今回はここまで。ちゃんと次回で終われたらいいなぁ…。

 もう少しだけお付き合いください。

会長と京佳さんの過去編を予定しているのですが、見たいですか?

  • 見たい
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