もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 いよいよ始まるかぐや様のターン。

 何時の様にノリと勢いで書いています。

 あと暫く京佳さん出てきません。主人公なのにね。
 悪いのは作者。


四宮かぐやと動物園デート(作戦会議)

 

 

 

 

 

 土曜日 四宮家別邸 かぐやの部屋

 

「さて、白銀会長との動物園デートがいよいよ明日に迫った訳ですが、今の気分はどうですかかぐや様?」

 

「緊張で吐きそう…」

 

「えー…」

 

 かぐやの部屋では、かぐやと早坂の2人が向かい合って話していた。内容は、明日のデートについて。明日の日曜日、四宮かぐやは白銀御行とデートをする。偶然出会ったを装ってのデートではなく、本物のデート。

 しかもこれ、かぐやから誘った形だ。ならばこそちゃんとデートを成功させて、京佳をリードしなければならない。

 だが当のかぐや本人はこのありさま。これではとてもデートなんて成功しないだろう。

 

「しっかりしてくださいよかぐや様。明日はまさに千載一遇のチャンスなんですよ?明日のデートが成功すれば、立花さんを大きく引き離す事も可能なんですよ?もしかすると、デート終わりに恋仲になる事も無きにしも非ず。なのにそのままだと、そのチャンスを全く生かしきれませんよ?」

 

「だって、だってぇ!私から誘ったちゃんとしたデートなのよ!?緊張して吐きそうになるのも仕方がないじゃないのよ!!」

 

「大げさですね。いやわからなくはないですけど」

 

 生まれて初めてのデート。それも自分から誘った本格的なデート。誰だって緊張する。事実、京佳も白銀を始めてプールデートに誘った時は緊張していた。

 最も京佳は、デートの誘いを受けてくれた事が嬉しくてそこまで緊張はしていなかったが。

 

「というか本当に大丈夫?私から誘ったんだから『四宮はそんなに俺とデートしたいのか』とか思われない?そのせいでふしだらな女とか会長に思われない?もしそうなら明日会長は『そんな女とデートなんてする訳ないだろう』とか思って待ち合わせ場所に来ないんじゃ…」

 

「被害妄想も大概にしてください。あと声真似似てませんね」

 

「うるさいわよ」

 

 そしてかぐやはいつもの様にそう考える。これではダメだ。この調子では、明日のデートはとても成功しない。一刻も早く、かぐやを落ち着かせないといけない。

 

「兎に角1度落ち着いてください。はい。ハーブティーです」

 

「ありがと…」

 

 先ずはかぐやを落ち着かせる為にハーブティーを飲ませる。それを受け取ったかぐやはゆっくりとハーブティーを飲んだ。

 

「はぁ。落ち着くわ」

 

 かぐやは落ち着いた。流石ハーブティー様様である。

 

「ところでかぐや様。明日のデートは、どうやって過ごすおつもりですか?」

 

 早坂はある懸念がある。それはプライドの高いかぐやが、何時もの様にとんちんかんな考えを持った状態でデートをするというものだ。

 

 つまりは い つ も の である。

 

 それだと、例えデートを楽しめても進展が何一つないかもしれない。なので明日の事について聞いてみる事にした。

 

「どうって、普通に会長とデートをするけど」

 

「いえ、ですからその内容です。動物園でどんな感じにデートをするのですか?」

 

「そうね。先ずは会長と一緒に動物を見て回るでしょ?その時は常に会長の隣をキープ。取り合ずは肩が触れないくらいの距離ね。その後、園内のどこかで昼食。できれば対面しながら食事がしたいからレストランがいいわね。値段もそこまで高くないところ。食後は再び色んな動物を見る。確か触れない動物コーナーがあったからそこに行って会長となんとか写真を撮る。所謂ツーショットの記念撮影ね。とりあえずこういう事をすれば、会長は私を立花さんより意識すると思うのだけれど」

 

「……」

 

 驚く早坂。かぐやのデートプランが、思ってたよりかはしっかりしていたからだ。しかしその予定を聞いた早坂は、

 

「弱いですね」

 

「弱い!?」

 

 バッサリと切り捨てた。

 

「確かに悪くはありません。ですが弱いです。全てが弱い。中学生ですか。まぁ、その予定だとデートそのものは楽しめるでしょうけど、かぐや様の事を立花さんより意識させる事は厳しいと思いますよ?」

 

「え、嘘…これかなり頑張って考えたのに」

 

 早坂の発言に落ち込むかぐや。今言った予定は、かぐやがこの数日、脳をフル回転させて考えた作戦だった。だが早坂から言わせてもらえば、これでは京佳を追い越す事は不可能と言う話。

 

「だって立花さんは既に白銀会長と2回もデートをしているんですよ?それもその内1回は水着デート。更にこの前の水族館デートでは白銀会長とずっと手を握っていたんですよ?それだけインパクトを残しているんですから、それ以上の何かをしないと絶対にそれらの印象を追い越す事はできませんよ」

 

 早坂はきっぱりと言う。その予定では無意味だと。京佳の超える事など出来ないと。

 

「ど、どうすればいいの?」

 

 そんなのは嫌だ。かぐやだって、このままではダメだと思っていたからこそ、自分から白銀をデートに誘ったのだ。

 だが今の自分ではこれ以上の事なんて思いつかない。このままだと、本当に京佳に白銀を獲られてしまう。

 

「だからこそ、今から一緒に考えましょう」

 

「え?」

 

 そんなかぐやに、早坂は優しく話かける。

 

「私がかぐや様が考えた予定を色々手直しします。その手直しした作戦で、明日は白銀会長とのデートに挑みましょう。そして、立花さんを一気に追い越しましょう」

 

 そして一緒に作戦を考えようと言った。全ては、明日のデートを最高の物にする為に。

 

「それじゃあ、お願いするわ早坂」

 

「ええ。お任せ下さい」

 

 かぐやもそれを受諾。こうして2人は、明日のデートの作戦を考えるのだった。

 

 

 

 

 

「さて、先ずは最初の隣をキープするですが、それじゃ何時もとあんまり変わらないかと思います」

 

「そ、そう?」

 

「そこで嬉しそうにしないでください」

 

 照れるかぐや。白銀の隣にいるのが何時もの光景と言われたのが嬉しいのだ。これじゃ話が進まないので、早坂は今後は無視する事にした。

 

「なので、明日のデートでは白銀会長の手を握ってデートをしてください」

 

「手を握る!?」

 

「これくらいしないと、立花さんを超える事はできませんよ?それに水族館で立花さんは白銀会長とずっと手を握ってましたし」

 

「うぐ!!」

 

 その言葉に反応するかぐや。確かに京佳ならこれくらい難なくこなすだろう。だが、かぐやにはかなり難易度が高い。理由は恥ずかしいから。

 前に白銀と肩が触れ合った時も、かぐやはそんままにしておいた。京佳だったら、間違いなく膝枕くらいしていただろう。

 

「さっきも居ましたが、これくらいしないと絶対に立花さんを超える事できませんよ」

 

「でも、どうやったら手なんて…」

 

「迷子になるかもしれないからと言っておけばいけますよ」

 

「ほ、ほんとに?男と手を握りたがりなふしだらな女とか思われない?」

 

「いやありえませんから」

 

 かぐやの考えを論しながら、早坂は話を続ける。

 

「少しあざといくらいに手を握ってと言えば、白銀会長も無下になんてしません。男性は女性と触れ合いたいと思う生き物です。もしかぐや様が手を握れば、白銀会長は間違いなくドキドキします。それはもうすっごく」

 

「そ、そう?」

 

「ええ」

 

「…そういう事なら、明日頑張ってみるわ」

 

「はい」

 

 かぐやは両手を使い、自分の無い胸の前で小さくガッツポーズして早坂の作戦を了承。可愛い。

 

「続いて食事についてですが、会話をしながら楽しく食事をするのはかなりいいです。誰しも楽しそうに食事をする人を見ると元気になりますから。ですが、ただ楽しそうに食事をするだけじゃ弱いです」

 

「じゃあどうすればいいのよ?」

 

「あ~んをしてください」

 

「あ~ん!?」

 

 あ~んとは、所謂彼女が彼氏に食べ物を食べさせる行為の事だ。かぐやもその行為を見た事はある。だが、できるかどうかと言われれば、無理だ。

 

「無理無理!そんなの無理!絶対に恥ずかしすぎて死んじゃう!!」

 

「これくらいしないと印象残せませんよ?」

 

 首を左右にブンブンと勢いよく振りながら無理だと言うかぐや。だが早坂は、これくらいやらないとダメだと言う。

 

 しかし、

 

「絶対に無理!それだけは無理!!だってそんなの、もうキスじゃないの!?」

 

「どこかですが」

 

 それだけは無理だとかぐやは頑なに首を縦には降らなかった。

 

「あーもうわかりましたよ。そこまでいうのなら無理には言いません。普通に楽しく食事をしてきてください」

 

「え、ええ。そうするわ」

 

 これ以上は無理だと思い、早坂はそれ以上は何も言わなかった。

 

「次は写真ですが、これは特に言う事はありません。でも、できれば密着した写真を撮ってきてください。そうすれば、白銀会長は絶対にかぐや様を意識します。そしてその後、撮った写真を見てその時の事を思い返すでしょう」

 

「そういうものなの?」

 

「はい。なので、できれば肩が触れ合うくらいの写真を撮ってきてください。これは絶対にです」

 

「か、肩が触れ合うくらい近く…」

 

 かぐやは顔を赤くする。こういう事は本当にとことん弱いのがかぐやだ。初心すぎる。しかしこれを成し遂げなければ、かぐやは京佳に負け濃厚となるかもしれない。そうならない為にも、何とかして密着した写真を撮らないといけない。

 

「写真って、どうやって一緒に撮ろうって言えばいいのかしら?」

 

「普通に言えばいいじゃないですか。記念に1枚いいですかって」

 

「でも、そんな事言ったら「そんな事言ったらまるで私が会長の写真が欲しいみたいじゃないとか言うのでしたらもう私は金輪際協力しませんよ?」……やるわ」

 

「はいよろしい」

 

 かなり圧を掛けてかぐやにそう言い放つ早坂。それに負けたのか、かぐやは小さく頷いた。

 

「これで、会長は私の意識するのよね?」

 

「正直言うと、もう一声欲しいですね」

 

 かぐやが考えていたデートプランヲ色々改善はしたのだが、やはりどこか物足り無さがある。インパクトに欠けると言うか、なんと言うか。これでは京佳の印象を超える事が出来そうにない気がする。

 決して悪くは無いのだが、どうにかしてもう一声欲しい。2人が頭を悩ませているその時、

 

「失礼しますかぐや様。お風呂の支度が出来ました」

 

 部屋の扉の外から声をかけられた。声の主は眼鏡メイドの志賀だ。

 

「かぐや様。志賀さんにも聞いてみませんか?」

 

「え?志賀にも?」

 

「はい。志賀さんは私達より年上。その分、人生経験が豊富です。彼女ならば、若輩者の私達より適格なデートプランを出してくれるかもしれません」

 

「そうね。知恵が多いことに越した事は無いし。聞いてみましょうか」

 

「かぐや様?もしかして寝ておられるのですか?」

 

 ひそひそ話をするかぐやと早坂。廊下にいる志賀は、かぐやからの返事が無い事を不安がっていた。

 

「いいえ。起きているわよ志賀。ちょっと入ってきてもらっていいかしら?」

 

「わかりました」

 

 かぐやに言われ、部屋の中に入ってくる志賀。

 

「どうかなされましたか?」

 

「ちょっと質問があるのだけれで、志賀は今まで殿方とデートをした事があるかしら?」

 

「はい?」

 

 突然の意図の読めないかぐやの質問に、少し呆気に取られる志賀。

 

「まぁ、ありますが」

 

「そうなの。よければなんだけど、デートってどうするのが大事なのか教えてくれないかしら?」

 

「ご命令とあらば」

 

 志賀はそう言うと頭を下げて、かぐやの前で姿勢を正す。

 

「で志賀は、一体何時デートをしたのかしら?」

 

「初めてのデートは、今のかぐや様と同じ時の頃でしたね」

 

「相手は?」

 

「クラスメイトの男性生徒です。剣道部に所属してました」

 

「へ、へ~」

 

 初めて聞く生のデート体験談。かぐやも早坂も興味津々で聞く。

 

「場所は、地元の小さな遊園地でした。そこの入園入口で彼と待ち合わせをしていました」

 

「ふむふむ」

 

「そして、その後は一緒に時間が許す限り、遊園地で楽しみましたね」

 

「「ほ、ほー」」

 

「一緒にお化け屋敷に入ったのですが、彼ってそういうのが苦手だって忘れてたんですよ。なのでお化け屋敷の中で、悲鳴をあげながら私に抱き着いてきたりして…」

 

 その後も志賀はデートの話をした。ジェットコースターで共に笑いながら楽しんだ事。昼食を獲った時、注文したハンバーガーを分け合った事。最後に観覧車で、記念撮影をした事。

 どれもこれもどこかで聞いたような話ではあるが、それを話す志賀はとても懐かしい様な、嬉しい様な顔をしていた。

 

「そ、そうなの…とても良い話を聞けたわ…ねぇ?早坂?」

 

「そう、ですね。とても、良い話でした…」

 

 そんな志賀の経験談を聞いた2人は、顔を赤らめていた。初めて聞く、生のデート話。その話の熱に当てられたのだ。

 

「因みに、その彼とは?」

 

「今はもう別れています」

 

「そうなの!?」

 

「はい。彼、高校卒業後は自衛隊に入隊しまして、その後合う機会が殆ど無くなってしまったので、そのまま自然消滅みたいな形に」

 

 既にその彼とは別れているらしい。

 

「そうだったの。ところで志賀、デートってどうすればいいのかしら?こう、何をすればうまくいくとか無い?」

 

 あまりその辺の話題を聞く事はしない方が良いと思ったかぐやは、本題であるデートにおける作戦の事を聞く事にした。これで志賀からデートの必勝法でも聞ければ、明日は万全の状態でデートに挑めるだろう。

 

「え?そんなもの無いですけど」

 

「「え?」」

 

 だがその思いは裏切られる。志賀がそんなものは無いと言うからだ。

 

「ほ、ほんとに?何か大切な事とかないの?」

 

「と言われましても、これといって特に思いつきませんし。あるとすれば、遅刻をしない事ですかね?」

 

 折角何かの作戦が聞けると思っていたのに、これでは意味が無い。何とかしてヒントでもいいから聞き出したいかぐや。そしてそれを明日のデートに生かしたい。

 

「デートって、好きな人と一緒にいるだけでとても幸せになれるんですよ」

 

 だがそれは、志賀の一言で無意味な質問だったと気づかされる。

 

「デートをしている時って、本当に幸せなんです。好きな人と一緒にいられる時間が、こんなに愛おしくなるなんてって思います。そんな事しか考えられないから、別にこれといって何かやらないといけないとか無いですよ。強いて言えば、心から楽しむ事じゃないでしょうか?そうすれば、お互い最高の1日を過ごせたと思って、とても良い思い出にもなりましす」

 

「「……」」

 

 目から鱗とはこういうのだろうか。今までの自分たちは、どうやって印象に残すデートをするかしか考えてこなかった。確かにそれも大事だろうが、1番大切な事は、デートそのものをちゃんと楽しめるかどうかだ。

 もしも、明日のデートを白銀と一緒に心の底から楽しめたら、それは本当に幸せだろう。そうすれば、おのずと白銀にも印象に残るデートにもなる。

 

「そうね。それが1番よね。ね、早坂」

 

「はいかぐや様。それが最も大切な事です」

 

「?」

 

 2人の会話の意味が分からず、首をかしげる志賀。

 

「あ、もういいわよ志賀。本当にありがとね。あと、お風呂はこの後直ぐに入るわ」

 

「はい。それでは」

 

 志賀は頭を下げると、かぐやの部屋から出ていった。

 

「かぐや様」

 

「何かしら、早坂」

 

「これ以上の作戦は不要です。明日のデートは、白銀会長ととことん楽しんで来て下さい」

 

「ええ。そうするわ」

 

 こうして作戦会議は終了した。そしてかぐやは、明日のデートを、童心に帰ったつもりで楽しむ事にした。

 

(ふふ。楽しみだわ)

 

 そう言うとかぐやは、風呂に入るべく部屋から出ていくのだった。

 

 

 

 

 




 遂に始まったかぐや様のデート回。果たしてどうなるのか?

 次回も頑張れたら頑張って書きます。
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