もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 朝日が昇るまでは日曜日だと思うの。実際日を跨いだ時よりも、朝目が覚めた時の方が月曜日感ない?

 そろそろ例のR指定のお話を完成させたいのだけど、何分初めて書いているので手こずっております。もう少々お待ちください。

 今回は、かぐや様が動物園で会長とデートをしている時の早坂の回。

 


早坂愛と蹇蹇匪躬

 

 

 

 

 かぐやが白銀と合流する直前、

 

「頑張って下さい、かぐや様…」

 

 早坂はかぐやを無理矢理立ち上がらせて、白銀の方へと歩くくかぐやを見送っていた。

 

「さて、私は私の作戦を開始しますか」

 

 そして早坂もとある作戦を開始するべく、動物園前から足早に去るのだった。

 

 

 

 

 

 時間は少し進んで、都内の某所のショッピングモール。そこには私服姿の京佳と、同じく私服姿の彼女の友達の恵美がいた。

 

「いやー買えた買えた!もう本当に満足だよー!2時間も並んだかいがあったってもんだよねー!」

 

「本当にうれしそうだな、恵美」

 

「あったり前じゃん!この新作バックだけは本当に欲しかったんだもん!だって限定モデルだよ!?これ買うためにバイトだって頑張ったし今日も朝早くから並んだしね!」

 

 京佳の友達の恵美は、欲しかった新作バックを購入できて笑顔だった。因みに京佳はただの付き添いである。そこまでブランドものに興味が無いからだ。

 しかし折角の友達の買い物の誘いだったので、こうして恵美の付き添いという形で着いてきている。

 

「それで、この後はどうする?まだ昼には早いし、映画でも行くか?ちょうどこのモールには映画館もあるし」

 

「今何かやってるの?」

 

「テレビで見たが、確か恐竜の映画と海賊漫画の劇場版が上映しているぞ」

 

「あーあれか。私あの漫画殆ど読んだ事無いしなー。あと恐竜も別に興味無いし」

 

「ならリバイバル上映の恋愛映画でも行くか?イタリアの休日ってやつ」

 

「残念だけどそれ観た事あるんだよねぇ」

 

「ぬ、そうか。ならどうする?」

 

 そして今後の予定を話合う。時間は未だに午前中。流石にこのままバックを買って終わりというのは味気がない。そこで映画にでも行こうと思い、スマホを使って色々調べていた。

 そんな時、

 

「ねぇ、あの人さ…」

 

「ちょっと!目合わせない方がいいって!絶対物騒な人じゃん!行こ!」

 

「う、うん。だよね。あれ絶対ヤバイ人だよね…」

 

 2人の傍を通った同い年くらいの女子がそんな会話をしながら2人の傍を通り過ぎていった。

 

「っ!あいつら!」

 

 恵美は直ぐに今隣を通った2人を追いかけようとする。

 

「いいよ恵美」

 

 だがそれは、他ならぬ京佳によって止められた。

 

「でも京佳!!」

 

「いいって。慣れてるし、ああいった輩は相手にすると逆に面倒だ。無視が1番だよ」

 

「……京佳がそう言うならいいけどさ」

 

 京佳に説得されて、恵美は先ほどの2人を追いかけるのをやめた。京佳は左に装着している眼帯のせいで、最近はあまり無かったのだがよく今のような言葉を投げられる。そして恵美は、見てくれだけを見てあのような言葉を投げる者が許せなかった。京佳が説得しなければ、もしかすると手が出ていたかもしれない程に。

 だって恵美にとって、京佳は親友なのだ。その大切な親友が悪く言われたら、つい激昂してしまうのも無理は無い。

 

「あーもう!でもやっぱり腹立つ!京佳!予定を映画じゃなくてスイーツバイキングに変更!お昼にはちょっと早いけど別に構わないよね!?」

 

「ああ、いいよ。行こっか」

 

 そこでイライラを抑えるべく、糖分を摂取するためにスイーツバイキングに行くことにした。そこでヤケ食いしてやろうと思って。予定も決まったので、2人はスイーツバイキング店目指して歩き出す。

 その時、

 

「あれー?京佳じゃーん?どしたのー?」

 

 京佳に話しかける人物が現れた。声の方へ京佳が振り返ると、

 

「早坂?」

 

 秀知院での友達である、早坂愛がいた。

 

「どうかした京佳…ってあれ?早坂さんじゃん。おひさー」

 

「おひさー由布ちゃん。ところで今日はどうしたの?2人で買い物?」

 

「そうそう。欲しかった限定バックがあってさー。それを買うためにね」

 

「あ、あれね!そっかー。今日発売だったんだー」

 

 他愛の無い会話をする早坂と恵美。そこに京佳も混ざる。

 

「ところで早坂はどうしてここに?恵美と一緒でバック狙いか?」

 

「いや違うよ。ただ暇あったからちょっと街ブラしようって思っただけ。そしたら偶然2人が見えたから声かけただけだよ」

 

 どうも早坂は1人で街をぶらついていたらしい。

 

「そうだ!私達今からスイーツバイキング行くんだけど、よかったら早坂さんもどう?」

 

 そんな早坂に、恵美は一緒にスイーツバイキングへ行かないかと提案をする。

 

「え?いいの?私邪魔じゃない?」

 

「私は構わないよ」

 

「なら大丈夫!どう?」

 

「う~ん、そうだね。なら一緒しちゃおっかな」

 

「よし!じゃあ早速楽園へ!」

 

 早坂の了承を得た恵美は、意気揚々と3人でスイパラ店へ向かうのだった。

 

 

 

(よし。これで立花さんは億が一の確率でも動物園に向かう事はありませんね)

 

 スイーツバイキング店へ向かう途中、早坂は自身の作戦がとりあえずは成功した事にほっと胸を撫で降ろす。

 

 早坂の作戦、それは京佳の阻止である。

 

 本日の京佳が、他校に通う友達と出かけている事は調べがついている。だが億が一の可能性で、白銀とかぐやと鉢合わせしないとも限らない。なので早坂は、京佳に偶然を装って出会い、その後の行動を共にするつもりだ。

 そして、京佳が白銀とかぐやに会わないよう誘導する。これが早坂が考えた作戦だ。最初こそかぐやの後を着けて動物園に入り、ひっそりと援護しようとも思っていたのだが、流石に2人っきりのデートを邪魔するのはどうかと思い、こうして別の作戦を実行する事にした。

 

(でも気は抜けません。慢心は絶対にダメですから)

 

 だがそれでも完璧では無い。天文学的確率で、京佳が動物園に向かうとも限らない。だからこそ、早坂は絶対に慢心しない決めた。全ては、主人であるかぐやのデートを成功させるために。

 

「着いたよー」

 

 そうこう考えていると、目的地であるスイーツバイキング店に着いた。

 

「いらっしゃいませ。何枚様でしょうか?」

 

「女子高生3人です」

 

「わかりました。では奥のテーブル席へご案内いたします」

 

「お願いしまーす」

 

 丁度席が空いていたようで、待つことも無く3人は店内へ案内される。

 

(まぁそれはそれとして、今日は食べますか)

 

 しかしそれはそれ。早坂とて年ごろの女子高生。目の前に色とりどりのスイーツが並んでいれば目を輝かせてしまうのも無理はない。ただでさえ日ごろから、かぐやの無茶な作戦に付き合わせれて大変ストレスを感じる時があるのだ。ここで多少羽目を外して糖分を摂取してもバチは当たらないだろう。

 

「それじゃちょっと行ってこよっか」

 

「そうだな。しかし、こういう所にくるのは久しぶりだな」

 

「だねー。私もかなり久しぶりだよー」

 

 会話をしながらそれぞれが食べる物を選ぶ3人。恵美はケーキを数種類。早坂はケーキとフルーツを。そして京佳はというと、

 

「ちょっと待って京佳」

 

「何だ?」

 

「何それ?」

 

「何って、トマトソースパスタだが」

 

「何でそれなの?いや何を選ぶかは個人の自由だけどさ…」

 

 がっつりフード系であるパスタを選んでいた。

 

「いや、食べたいからって思ったから。あ、勿論だがこの後にケーキとかは食べるぞ?流石にスイーツ食べずに帰る予定は無い」

 

「そ、そっか。ならいいや…」

 

 別に食べてはいけない物では無い。むしろメニューにもしっかりと載っているのだから選択肢のひとつとして全然ありだ。だが折角スイーツバイキングへと来ているのだから、普通は甘い物を選ぶ。恵美はそこが少しだけ釈然としなかったが、別に責める事でも無いのでそれ以上は何も言わない事にした。

 

 そして3人は席へと戻り、それぞれ食べだす。

 

「おいひ~。やっぱここマンゴーケーキ最高~」

 

「わかる~!私もここのマンゴーケーキ超好き~!」

 

「私も好きだが、それよりチーズケーキの方が好きだな」

 

「それわかるー!ていうかここのケーキって全部美味しいよね!」

 

 和気あいあいと会話をしながらフォークを進める3人。皿に載せていたケーキやフルーツはあっという間になくなり、おかわりをしに行く。京佳もパスタを食べ終え、今度こそケーキやフルーツを食べる。

 

「ふむ。やはり美味しいな。ここのスフレチーズケーキは。それにこのティラミスも」

 

「あ、京佳。それ1口ちょーだい!」

 

「いいよ。はい、あーーん」

 

「んーーー!美味しいーーー!ていうか京佳にあーーんされたちゃった!どうする!?私達付き合っちゃう!?」

 

「何でだよ。嫌じゃないけどさ」

 

「でも今のはヤバイよねー。もしもうちの学校にいる子が今みたいな事されたら、絶対にその子気絶するって。京佳って女子人気凄いし」

 

「え?やっぱ京佳って秀知院でも女子にモテてるの?まぁそんな気してたけど」

 

「もう超モテるよ!?間違いなく今の秀知院2年女子では1番だって!!」

 

「私より四宮の方がずっとモテないか?」

 

「四宮さんは超高嶺の花って存在だからモテるって言うより憧れの方が強いんじゃないかな?京佳は気軽に話しかけれる存在だし、それが余計にモテる要因になってると思うよ?」

 

「何か安っぽく聞こえるが」

 

「いやそんな事ないって!全然そんな事ないって!」

 

 新しいケーキやフルーツを食べながら3人は会話をする。こうまで話が弾んでいるのは、早坂の話術をおかげだろう。四宮家に仕える早坂家の従者として、巧みな話術で人を飽きさせない事など造作も無い。そんな早坂のおかげで、3人は楽しく会話が出来ている。

 そうやって暫くスイーツを食べながら会話をしていると、

 

「ちょっとすまない2人共。少し席を外すよ」

 

「んー?どうしたの?」

 

「ちょっとトイレに」

 

「あ、そっか。いってらっしゃーい」

 

「何かやだなそれ」

 

 京佳がお手洗いに行くため席を外した。残されたのは恵美と早坂。

 

「「……」」

 

 やや気まずい雰囲気になる。だって2人は、友達の友達だ。共通の友達がいなければ、こうもなる。

 

(この子から何か私の知らない立花さんの情報を聞きだせるでしょうか?)

 

 そんな雰囲気の中、早坂は恵美から京佳の事を聞き出そうとしていた。一応四宮家の方で、京佳の情報は色々集まっている。だがそれでも、京佳の友達しか知らない情報もあるかもしれない。

 それを引き出せれば、近くに迫った文化祭でかぐやの役に立てるかもしれない。そう思い、早坂は恵美に話しかけようとしたのだが、

 

「早坂さん。ちょっといいかな?」

 

 先に恵美の方から話かけられてしまったので、先ずは話を聞く事にした。

 

「ん。何?」

 

「京佳ってさ、学校ではどう?」

 

「どうって?」

 

「簡単に言うと、いじめとかにあってない?あと嫌がらせとか」

 

 恵美の質問を聞いた早坂は目を丸くする。そんな質問がくるとは思わなかったからだ。

 

「全然そんな事ないよ。まぁ面識のほぼ無い今の1年生とか怖がっている子いたりするけど、2年生は全くそんな事ないって。少なくとも、私が知る限り京佳はいじめの被害なんて無いよ」

 

 早坂は素直にそう答える。

 

「そっか。安心した」

 

「でもさ、どうしていきなりそんな事聞いたの?」

 

 今度は早坂が恵美に質問をする。

 

「知ってるかもだけど、京佳ってあの見た目のせいでかなりひどい目にあった事があるんだよね」

 

 恵美の話は、当然早坂は知っているので、早坂は小さく頷く。

「でさ、私達からすると、秀知院って金持ちの威張った奴らが通うボンボンの学校ってイメージがあるんだよね。そういう奴らってさ、社会的地位があるから自分は何をしてもいいんだって勘違いする奴いるじゃん?だからさ、京佳の事を悪く言う奴がいるんじゃないかって不安でさ」

 

 実際は悪く言う所か、怖がって近づかなかったのが正解だったりする。

 

「実際いたんだよね。昔、京佳に酷い事言った奴らが。まぁそいつら全員私が殴ったけど」

 

「殴ったんだ」

 

「当然じゃん。友達を馬鹿にされて黙ってるなんて出来ないもん」

 

 結構武闘派な恵美に早坂は少し引きつる。余談だが、恵美は当時京佳の事を悪く言った生徒を殴った後、3日間の停学処分を受けている。最も、その事について恵美本人は気にしていないし後悔もしていない。

 

「京佳ってさ、普段はそうでも無く見えるけど、実際は結構泣き虫なんだよね。心が弱いっていうかさ。だから、何ともなく見えても、本当はかなりまいってたりするんだ」

 

「……」

 

 それに早坂は覚えがあった。1学期の時、かぐやと白銀が相合傘で帰っていた時、京佳は泣きそうなくらい悲しそうな顔をしていた。確かに、あの時の京佳は危うく見えた。まるで触れば壊れてしまう繊細なガラス細工の様に。

 

「だからさ…」

 

 恵美は1度息を吸って、早坂の目を真っすぐ見てこう言った。

 

「京佳が助けを求めていたら、どうか助けてあげて下さい。お願いします」

 

 友達を助けて欲しいと。そして頭を下げる恵美。

 

「……」

 

 それを見ていた早坂は考える。ここで断ると恵美から不況を買ってしまう。だがこれを受けると、それは最終的に主人のかぐやを裏切る行為になりかねない。だって京佳はかぐやの恋敵なのだ。

 そして早坂はかぐやにこそ白銀と結ばれて欲しいと思っている。だからこそ、このお願いを聞く義理は無い。数瞬考えた早坂が出した結論は、

 

「うん、わかったよ。私に出来る範囲でなら必ず助けるよ」

 

 笑顔で恵美のお願いを受ける事だった。だがそれはあくまで表面上だけ。もしここで断れば、明らかに恵美から敵意を向けられるだろう。

 折角ここまで楽しい雰囲気で過ごしていた上、恵美からいらぬ疑いを掛けられたくはない。だからこそ表面上は願いを聞き入れて、内面ではその願いを聞き入れないつもりだ。

 

「本当にありがとう!早坂さんってマジ良い人だね!」

 

 恵美は早坂が京佳を助けてくれるとわかり、思わず早坂の手を笑顔で握る。

 

「何してるんだ2人共」

 

 丁度その時、京佳がお手洗いから帰ってきた。

 

「うんうん。何でもないよ!ちょっと友情を確かめていただけ!」

 

 恵美はそう言うと、皿に残っていたケーキを頬張る。

 

「むぐ!?」

 

「何してるんだ恵美。ほらジュース」

 

「あ、ありがと…」

 

 勢いよく頬張ってしまったので、喉にケーキを詰まらせそうになったが、京佳が渡したジュースで流し込む事で事なきを得た。

 

 

 

(本当に、私は最低ですね…)

 

 そんな光景を見ていた早坂は、顔こそ笑顔だが心は沈んでいた。恵美の願いを踏みにじり、友達と思ってくれている京佳を未だに裏切り続けている。

 

(こんな私は、何時の日か地獄に落ちるでしょうね…本当に)

 

 早坂とて、罪悪感が無い訳では無い。出来る事なら、恵美の願いだって聞き届けたい。しかし、

 

(でも、それでも私は、かぐや様にこそ…)

 

 それでも早坂は友達の京佳ではなく、主人のかぐやを選ぶ。全ては、かぐやと白銀が恋仲になって欲しいという願いから。

 

(あれ…あんまり甘くない…)

 

 自分の皿に盛ったケーキを一口食べた早坂だったが、どういう訳か甘さを感じなかった。

 

 その後、スイーツバイキング店を後にした3人は、モール内でウィンドウショッピングを慣行。京佳も恵美も早坂もすこぶる楽しそうに過ごしていたが、早坂だけは心にずっと陰りがある状態だった。

 そして夕方になった後、それぞれ帰路に着いた。

 

 

 

 尚四宮家別邸に帰ったら帰ったで、かぐやからデートの惚気話を延々4時間も聞かされる事になり、その日の早坂は寝不足となったのだった。

 

 

 




 多分この作品1番の被害者は早坂。中間管理職は辛いよね。

 最近、週1更新がキツイと思っているけど、次回も頑張りたい。でももしかすると暫く休むかも。その時は、どうかご了承くださいませ。

もう1度聞きます。どっち派?

  • 立花京佳
  • 四宮かぐや
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