もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 朝日が昇るまでは日曜日。そして会長の相談相手がまさかの人選である。

 あと言い訳になりますが、作者は基本、執筆が超追い込み型です。例え3連休とかで時間があっても、書かずに別の事しちゃう。なので日曜日に仕上げているのですが、そのせいで文章などに粗が目立ってるかもしれません。ごめんなさい。


白銀御行は相談したい

 

 

 

 

 

「ふふ…ふふふふ…」

 

 月曜日の朝。多くの学生や社会人にとって憂鬱であろうこの日、四宮かぐやはとってもご機嫌だった。理由は言うまでもないが、白銀との動物園デートが大成功したからである。途中、思っていたのとは違う展開になったりはしたが、結果的にはとても楽しかったデートとなった。

 その為、顔が少しほころんだりにやけたりしてしまっているのだ。尚、昨日の夜からずっとこれである。

 

「ねぇねぇ。今日の四宮さん、凄く機嫌良さそうだよね?」

 

「そうね。何か嬉しい事でもあったのかしら?」

 

 かぐやのクラスメイト達もそんなかぐやの様子を見てひそひそと話す。何時ものかぐやならあんな顔はしない。気になってそう話してしまうのも仕方が無いだろう。

 

(あれでいいのかぁ…?)

 

 早坂はそんなかぐやを少し離れているところから見ていた。本当なら一言注意しておきたいのだが、今の早坂はクラスメイトの早坂である。故にそういった事はあまりできない。自分の正体がバレるかもしれないから。

 

(まぁでも、かぐや様が幸せそうならいっか…)

 

 しかしそれはそれとして、今のかぐやはとても幸せそうだ。最近は京佳が怒涛の追い上げで白銀を意識させる事に成功しており、かぐやはあまり白銀との仲が発展していないように感じた。

 それが昨日のデートでは、一気に白銀との仲を発展させる事ができたという。これでもう、京佳に比べて大幅に遅れていると言われる事も無いだろう。

 それに昨日のデートは、本当に楽しかったらしい。それもこれまでの人生で1番と言えるくらいに。今のかぐやはその余韻に浸っているのだ。だったら今日1日くらい、その余韻に浸らせてもいいだろう。

 

(ボロが出ないといいんですが…)

 

 でもうっかりボロが出て、アホかぐやにならないか。早坂はそこだけが心配だった。

 

 

 

 

 

(さて、昨日はあんな事言われて納得はしたけど、実際誰に相談しようか?)

 

 自転車を漕ぎながら登校中の白銀は悩んでいた。昨夜、父親に相談をした結果、誰かにちゃんと相談すると決めたのだが、その相手が決めきれない。人選を間違えるととんでもない事になりかねないからだ。

 

(当人である四宮と立花に相談するのは論外。伊井野は正論でぶった切りそうだからちょっと…だとすると石上か?でも石上には、前に似たような事相談してるしなぁ…)

 

 生徒会長としての威厳を保つ為、今までこういった相談をしなかった白銀。だがこのままでは、誰も決められずにアメリカに行くことになってしまうかもしれない。だから誰かに相談しようとしていたが、その相手が全く決まらない。

 因みにだが、藤原は最初から論外である。

 

「おはよう、白銀」

 

 そうやって悩んでいると、校門近くで京佳と会った。

 

「お、おう立花!おはよう!!」

 

 悩みの原因から急に声をかけられたので、少し白銀はきょどってしまい、思わず大きな声であいさつをかえす。

 

「ふふ。白銀は元気だな」

 

「あ、ああ。元気がなければ生徒会長なんてやってられんしな」

 

 何とかごまかせたようだ。白銀は安堵した。

 

「そうだ白銀。今のうちに言っておくけど、放課後の生徒会業務なんだが、もしかすると今後はあまり参加できなくなるかもしれない」

 

「ん?もしかして、クラスの演劇関係でか?」

 

「ああ。私は一応主役で出番と台詞が多いからね」

 

「だったら仕方が無いさ。折角の主役なんだ。生徒会の仕事は気にせず、クラスの出し物の集中してくれて構わない」

 

「ありがとう白銀」

 

 会話をしながら歩く2人。そんな時である。

 

「ところで白銀…」

 

「ん?」

 

「その、だな。よければなんだけど、文化祭当日、私のクラスの演劇を観に来てくれないだろうか?」

 

 京佳がそう言った。

 

「も、勿論、白銀が忙しかったらいいんだ。別のそこまで大した演劇でも無いし…」

 

 誘った瞬間、気恥ずかしくなる京佳。いくら最近は白銀との距離が縮まったといっても、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。なので少しヘタれながらも、保険を入れるような言葉を発してしまった。

 そしてそれを聞いた白銀は、

 

「ふむ。今はまだ当日に時間が取れるかわからないが、時間が取れたのなら是非観に行こう」

 

 と言った。

 

「……本当か?」

 

「ああ」

 

「ふふ、そうか。なら、その時は是非観に来てくれ」

 

 京佳は歓喜した。まだ確定では無いが、自分の好きな人が来てくれるのだ。これは素直に嬉しい。

 

(今以上に練習頑張ろう)

 

 そしてそんな事を決意しながら、演劇の練習を頑張ろうと決めた。

 

(マジで選ばないと…)

 

 一方白銀は、多少の罪悪感を覚えながらそう決意する。もう文化祭まで時間がない。それまでにしっかりと決めないと。

 

(そのためにも相談だ。必ず誰かに相談しよう!)

 

 そして今日、必ず誰かに相談すると決めた。

 

 

 

 

 

 放課後 生徒会室

 

「え?僕と伊井野で文化祭実行委員会のヘルプですか?」

 

「ええ。明日には入って欲しいそうなの」

 

「そもそも実行委員会って何やるんですか?」

 

「色々あるわ。企画の精査、広報や装飾、式典の計画。会場割り振りや器材配置、パンフレット作成。他にも生徒との折衝に見回りや雑用。言い出したら切りが無いわね」

 

「うへぇ…」

 

「やっぱり文実は仕事が多いんですね」

 

「そうだな。聞いてるだけで気が滅入るよ」

 

「ですね~…私は無理ですよ~…」

 

 文化祭実行委員会。通称、文実。

 どの学校でも、文化祭をやるうえでは必要不可欠な組織である。その役割は文化祭を円滑に運営し、成功させる事。その為にはあらゆる事をしないといけないのだが、その仕事量は多いではすまされない。下手をすればこの僅か数週間の間だけ、その辺のブラック企業に負けず劣らずになる事もある。

 だがそれだけ文実の役割は重要なのだ。全ては、楽しく思い出に残る文化祭をやる為に。そんな文実に、かぐやは石上と伊井野の2人を生徒会からのヘルプとして文実へ送ろうとしていた。

 

「もう聞いてるだけで疲れてくるんですけど」

 

「あんたやる前からそんな事言ってどうするのよ?」

 

「いやそうは言うけどさ」

 

 伊井野が石上にそう言う。

 

「勿論、これは強制では無いですよ?でも、文実の実行委員長は子安つばめですよ?」

 

「やります。やらせてください」

 

「え?何その手の平返し」

 

「どうした急に」

 

 突然文実に行く事を決めた石上に驚く伊井野と京佳。こうして石上と伊井野の2人は、翌日から文実のヘルプへ行くこととなったのだった。

 

(しかし石上。嬉しいんだろうが、分かりやすすぎるぞ…)

 

 京佳は、石上がかぐやから『子安つばめが委員長である』と聞いた瞬間、文実へ行く事を決めたのを見てそう思った。京佳は、石上が子安つばめに想いを寄せているのは知っている。だから、少しでも一緒にいたい、もしくは文実で良いところをみせたいから行くことを決心したのだろう。でも今のはあからさまだ。バレバレである。

 

(にしても、藤原が全く何も言わないとは…)

 

 ついでに自称ラブ探偵の藤原が、今の石上に何も言わないのを見てそうも思った。

 

「そういえば、会長がまだ来てませんね?」

 

 ふと、石上がまだ生徒会室に来ていない白銀の事を口にする。

 

「確かにな。日直だろうか?」

 

「会長の日直当番は4日前でしたから違うと思いますよ」

 

 京佳が日直だから遅れていると言ったが、かぐやがそれを否定。事実、白銀が日直だったのは先週である。

 

「あー。会長は、今日は用事があるから先に帰るって言ってましたよー」

 

「え?そうなんですか藤原先輩?」

 

「はい。だから今日のお昼休みに1人で生徒会室で仕事してましたし」

 

 藤原から白銀の事を聞かされる生徒会メンバー達。どうやら白銀は、本日は既に帰宅しているらしい。そして他のメンバーの迷惑にならない様に、昼休みに仕事を超スピードで終わらせていたとの事。皆は、それならここに来ていないのもしかたがないと思った。

 

「そうだったんですか。それなら仕方がないですね。では、そろそろ私達も仕事に取りかかりましょう」

 

「わかりました~」

 

「うっす」

 

「はい」

 

「了解だ」

 

 かぐやの言葉で一斉に仕事を開始するメンバー達。

 

(……いや待て、何で四宮は白銀の日直の日を知ってるんだ?クラス違うよな?)

 

(何で四宮先輩、会長が日直じゃないって知ってたんだろう?)

 

 仕事のしている途中、京佳と石上はどうしてかぐやが白銀の日直の日を知っているか疑問に思っていた。白銀のクラスメイトは藤原である。藤原なら知っていてもおかしくないが、別のクラスのかぐやが知っているのはおかしい。

 

((あまり考えないようにしとこ…))

 

 でもこれ以上この事を考えていたら、嫌な妄想をしてしまいそうだったので、京佳と石上の2人は思考を仕事に集中させた。

 

 尚その日の仕事は、白銀が昼休みに前もって色々やってくれていたので早めに終わった。

 

 

 

 

 

「……」

 

 自宅から少し離れた小さな公園。白銀はそこでスマホを取り出していた。ある人物へ連絡をする為である。今日1日、誰に相談するか悩んでいた白銀。

 最初こそ石上か田沼に相談しようと思っていたのだが、田沼からは『恋愛マスター』と思われているから相談できない。石上は相談しようにも、そもそも似たような事を既に相談しているので勘づかれるかもしれない。流石にそれは嫌だ。

 

 そこで白銀はある人物へ相談する事にした。

 

 その人は、白銀にとって秀知院での学校生活を変えるきっかけになってくれた人であり、今でも恩を感じている先輩だ。

 しかし最近はもの凄く忙しいらしく、学校に来ることさえ稀なので学校で相談をする事はできない。だが下手に学校で相談をして、それが他の生徒会メンバーにバレたら大変だ。その点は良いのかもしれない。

 

「すーーーっはーーーー…」

 

 1度深呼吸をする白銀。今でも1番尊敬できる先輩である人へ相談。しかし彼は多忙だ。正直、そんな多忙な彼にこんな相談をするのは申し訳ない。でも、ここで誰にも相談せずにいるのがもっと大変な事になりかねない。だから、恥を忍んで相談をする。

 

「よし」

 

 そして白銀はスマホの電話帳を開き、ある人物の番号を押して、ゆっくりとスマホを耳に当てる。耳に鳴り響くコール音。それが数回なった時、

 

『もしもし?』

 

 その先輩が電話に出た。

 

 

 

 

 

「お久しぶりです。会長」

 

 

 

 

『ああ。久しぶりだね、白銀君。でも今の僕はもう会長じゃないよ?』

 

「あ、すみません。つい癖で」

 

 電話の相手は、前秀知院生徒会長だった。彼は白銀と京佳が入学して間もない頃、2人を生徒会に誘った人物でもある。そして白銀にとっては、ある意味恋のキューピットとも言えなくもない人物だ。

 

『それで、どうしたんだい?君から電話をしてくるなんてとっても珍しいけど』

 

 何かを察しているかのように白銀に喋るかける前会長。

 

「はい。相談があるのですが、今お時間は大丈夫でしょうか?」

 

『いいよ。どうしたんだい?何でも言ってごらん?』

 

 多忙だろうに、白銀の相談を受ける前会長。

 

「実は…」

 

 そして白銀は、その言葉に甘えて相談をする事にした。

 

 白銀は全部喋った。

 

 自分が2人の女性を好きになってしまっている事。そのどちらかを男らしく選ばないといけないのに、選べない事。だからこうして、情けないと思いつつも相談をした事。その全てを包み隠さずに話した。

 

『成程ね…』

 

「本当にすみません…忙しいのにこんな相談を…」

 

『それは気にしなくていいよ』

 

 全て聞いた前会長は電話越しで頷く。白銀は本当に申し訳ないと思い、謝罪する。最も、前会長は全く気にしてなさそうだが。

 

『そうだね。僕も恋愛経験が豊富とは言えないけど、ひとつだけアドバイスがあるかな』

 

「アドバイスですか?」

 

 そして白銀の相談を受けた前会長は、あるアドバイスを白銀に送った。

 

『原点を思い出す事』

 

「原点…」

 

『そう。どうしてその子を好きになったのか。一体どこが好きになってしまったのか。そして自分は、そのためにどうしたのか。それを思い出す事から始めるといい。何事も、初心忘るべからずだからね』

 

 初心忘るべからず。その意味は、何かを始めた頃の気持ちを忘れてはいけないという意味だ。

 

『今の白銀くんは、色んな感情がごちゃごちゃになってる気がする。そのせいで、本来の自分の気持ちがわからなくなってるかもしれない。だからこそ、最初の気持ちを思い出してみるといい』

 

 前生徒会長のアドバイス。それは原点回帰である。どんな事にも言える事だが、人間には何かを始めたきっかけが必ず存在する。

 幼い頃にプロのピアニストのコンサートを観たからピアニストを目指す人。事故に会ったが医者のおかげで怪我が治り、医学に感動して医者を目指す人。歌が好きで歌っていたから、歌手を目指した人。兎に角様々なきっかけがある。

 そしてそれは勿論、誰かを好きになったきっかけだって同じだ。だからこそ、前会長はそうアドバイスをする。

 

(本当、この人は流石だよなぁ…)

 

 前会長の言葉に目から鱗な白銀。やはりこの人に相談してよかった。本当にこの人には、頭が上がらない。もしあの池での事がなければ、自分は生徒会長にならずに、この人を再び生徒会長にするべく尽力していたかもしれない。

 

『それか、1度何もかも忘れてぱーっと遊んでみるといい。リフレッシュは大事だからね。有名な作家だって、悩んだら仕事を忘れて遊び惚けるって言うし』

 

「……それ父親にも言われました」

 

『あ、そうなのかい?』

 

 因みに父親と同じようなアドバイスも言われた。

 

「会長。本当にありがとうございます。鵜呑みにする事はしませんが、そのアドバイスを参考にして、しっかりと自分の気持ちを整理します。あと、お時間をとらせてしまって申し訳ありませんでした」

 

『気にしてないからいいよ。じゃ、頑張りなさい、白銀くん』

 

 そういうと白銀は、数秒置いてから電話を切った。

 

「原点、か…」

 

 ふと空を見上げると、月が登っていた。

 

「そういや秀知院に行かなかったら、2人に出会う事も無かったんだよなぁ…」

 

 ぼそりと呟く白銀。元々父親に無理やり受験させられて入学した学校だ。最初こそ金持ちだらけの嫌な学校という印象だったが、今はもう違う。むしろ受験を受けさせてくれて感謝しているし、秀知院という学校そのものも気に入っている。

 

「あれから、もう1年以上も経ってるのか…」

 

 そして白銀は昔の事を思い出す。

 

 それはかぐやと京佳、2人と出会った頃の事だ。

 

 

 

 

 




 という訳で、会長が相談したのはCV島〇さんの前会長でした。いや、だって他にいなかったんだよ。頼れそうな人。前会長、情報が無さすぎるのでこんな感じに相談に乗ってる人になってるけど、いいかな?もし解釈違いだと思われたのなら、申し訳ありません。果たして、この相談がどう転ぶか。

 因みに前も言いましたが、会長よりも悩んでいるのが作者です。本当どうしようかと常に悩んでいる。一番の悩みの種はかぐや様。だってあの子、会長にフラれたらどうなるかわからないんだもん。でも書き始めた以上、よほどの事が無い限りは絶対に書ききります。

 そして次回から白銀会長と京佳さんの過去編(1年生編)に入ります。長くならないよう頑張りますので、何卒お付き合いください。
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