もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
単行本の最終巻には、追加ページに2人の結婚式とか描かれそう。
今回は少し短かくて中途半端かも。
「~~~♪」
京佳はご機嫌だった。自分の将来の夢の為にと頑張って入学した秀知院学園。だが入学して暫く経っても、クラスでは中々馴染めずにいた。原因は女性にしては高い身長と、自分の左顔にしている眼帯のせい。
そういった見た目のせいで、周りからは常に怖がられながら始まった学校生活。京佳自身、こうなる事はわかっていたのであまり気にはしなかったが、それでも精神的にキツイとは思っていた。思春期の高校生に、ずっとぼっち生活というのは結構クルのだ。
でも今は違う。クラスでは未だにぼっちな状態が続いているが、この昼休みだけは違う。京佳のとって、この学校でほぼ唯一の癒しの時間がある。
「悪い立花。ちょっと遅れた」
「いや、全然大丈夫だよ、白銀」
何故ならこの昼休みだけは、この学校唯一の友達と過ごせる時間なのだから。
秀知院に入学して3週間。白銀と京佳は、そこそこ楽しい学園生活を送っていた。
「ん?おにぎり?今日は弁当でも総菜パンでも無いんだな?」
「ああ、これか。昨日家の近くのスーパーで賞味期限切れ寸前のが売ってたから買ったんだ。半額で安かったし」
「因みに具はなんだ?」
「ツナマヨと昆布。あとおかかだな。この中だとツママヨが1番好きだな」
「わかる。ツママヨは美味しいよな。食べ過ぎると太っちゃうけど、私も好きだよ。まぁ1番はシャケだけど」
「確かに。おにぎりの具といったらうやっぱりシャケだよな。それは凄いわかる」
いつもの様に昼食を一緒に食べる白銀と京佳。その光景は、まさしく友達と楽しく過ごしている高校生そのもの。
2週間前、白銀と京佳は友達となった。
きっかけは京佳が眼帯を落としてしまい、その下の火傷跡を見られた事。絶対に怖がられると思っていた京佳だったが、白銀は全く怖がらなかった。京佳はそれに驚いた。今まで、この火傷跡を見た人は確定で驚いていたのに、白銀はそうではなかったからだ。
そんな白銀に興味を持った京佳と、同じ混院だからなのか話や価値観が合い、一緒に居て楽しいと感じた白銀。この2人が友達になったのは、ある意味必然だったかもしれない。
「そういえば白銀。昨日テレビでやってた『新設 宇宙の真実』って番組見たか?」
「勿論だ。俺は星とかが好きだからあの手の番組は必ず見てるぞ。特に月や火星への移住は科学的には可能ってやつは夢とロマンがあったよな。叶うなら是非生きている間に月や火星に行ってみたいもんだ」
「ああいうのは本当に夢があるよな。最も、私達が生きているうちには難しいかもしれないけど」
「ま、そうだよな。仮に行けるとしても、個人的に宇宙旅行に行けるのはもっと先だろうし」
「だな。でも老後にそういう旅行があったら行ってみたいよ」
「……とろこで立花。その、大丈夫か?何か言われたりしていないか?」
会話の最中、白銀が京佳に質問をする。白銀は京佳の顔の火傷がどういった経緯でできたのかを知っている。他ならぬ、京佳本人から聞いたからだ。
そして京佳が、この見た目のせいでクラスで浮いてしまっている事も。なので、こうして京佳が何か言われたりしていないかを聞いているのだ。秀知院で初めて出来た友達が心配だから。
「ありがとう白銀。でも特に何もないから大丈夫だよ」
「そっか。それはよかった」
(本当は少し陰口みたいなの言われたけどな…)
白銀の質問に大丈夫と答える京佳だったが、これは嘘である。実は京佳、本日の体育の授業の際、更衣室で体操服に着替えている時に、一緒に着替えていた1部のクラスメイトの女子たちからひそひそと何かを言われていた。何を言っているかは聞こえなかったが、ロクな事じゃな無いだろうと京佳は判断している。
しかし、これくらいは日常茶飯事。態々白銀に話す事では無いと思っていた。友達に苦労を掛けたくないから。
「そういう白銀こそ大丈夫か?クラスの人に雑用とか押し付けられたりしてないか?」
「いや全然。というか未だにクラスの奴らとは碌に話せてないし」
「そうか。一緒だな。まぁずっとこのままという訳にはいかないから、どうにかしないといけないけど」
「だよなぁ。何とか話せる話題がほしいけど、聞き耳立てても聞こえてくる話の内容が、どれもこれも俺とは合わない内容でなぁ…」
「あー。例えばブランド品がどうとか?」
「それ!マジそれ!そんな話題参加なんて出来ないっての!!」
「わかるよ。私もそういった物買った事無いし」
お互い愚痴りながら会話を続ける。何度も言っている事だが、白銀と京佳は未だにクラスに馴染めずにいる。このままではいけないのはわかっているのでどうにかしたいのだが、それが中々出来ない。
先ず周りの会話の内容がセレブなので、そういった話題に入れそうにないし、京佳に至っては見た目の問題がある。白銀はとても稀有な反応をする人だったので大丈夫だったが、自分のクラスはそうではない可能性が非常に高い。
というか現在進行形で怖がられているのだ。とてもじゃないが、自分からフランクに話しかける事なんてできない。最悪泣かれる。
「そろそろ時間だな。行くか」
「そうだな」
何時ものように京佳がスマホで時間を確認して、それぞれの教室へと戻る2人。少し前までならここで終わりだったが、今はちょっと違う。
「それじゃ白銀、また明日」
「ああ。また明日な」
今はこうして、また会う約束をしているのだから。
先程まで話していた京佳の事を思い出しながら、自分のクラスへと戻る白銀。
(やっぱり、話し相手がいるっていいよな)
実際、話し相手がいるといないとでは精神的にかなりの違いがある。強い孤独感を感じたり、毎日がつまらなく感じたりしていく。そしてそれが原因で、自ら命を絶ってしまう事だってあるのだ。
白銀も、京佳とこうして話すまでは、つまらない学校へ来てしまったと思っていた。でも今は、多少なりともこの学校へきて良かったと思っている。
(できれば立花以外にも話し相手、というか友達欲しいけどな…)
しかし流石に京佳1人だけはどうかとも思う。別に京佳が嫌な訳ではない。単純にもの欲しいと思ってしまっているだけだ。贅沢な悩みかもしれないが、白銀だって友達が欲しいのだ。できれば同性の。
(まぁ、ボチボチやっていくか。まだ入学して1か月くらいしか経ってないし)
でも今すぐどうにか出来る問題でも無いので、地道に考える事にした。
同じ頃、京佳も自分のクラスへと向かっていた。
(うん。今日も楽しく話せたな)
その顔はどこか微笑んでいるように見える。現状、唯一自分の事を怖がらない同級生、白銀御行。そしてちょっとしたきっかけで、京佳と白銀は友達になれた。
正直なところ、京佳はこんなに早く友達が出来るなんて思っていなかったし、なんなら高校時代は最悪ずっとぼっちかもしれないとさえ思っていた。
しかし現実は違う。かなり幸運だったとはいえ、京佳には友達が出来た。おかげで白銀同様、楽しく昼休みを過ごせている。
(明日も、この調子でいけたらいいなぁ…)
スキップしたい気分に駆られる京佳。だが流石にそれをやると変な噂が立ってしまうかもしれないので自重した。
(それにしても、学校で唯一話せている男の子か…)
ふと考える京佳。現在唯一話せている友達の白銀は異性。そして何時も会う場所は人気の無い校舎裏。まるで密会だ。
(漫画やドラマだったら、最後は結ばれる関係だな)
京佳の思った通り、漫画ならばこの後、2人は様々な障害を乗り越えて、最後は幸せに暮らす事ができる展開が待っているだろう。
(なーんてね…)
だが流石にそれは無い。だって白銀は友達なのだ。確かにこれが恋心に代わる事もあるかもしれないが、京佳にとって白銀は友達である。現状、それ以上の感情なんて無い。
(でもまぁ、白銀みたいに私の事を怖がらない男の子なら、是非付き合いたいな)
それい以上の感情なんて、ないったらない。
翌日
(今日も良い天気だな。少し熱いくらいだ)
この日も、白銀は校舎裏へと足を運んでいた。その手には、昨日自宅近くのスーパーで買った総菜パンとセール品のペットボトルのお茶。要は何時もの昼食を持っている。
そして何時もの校舎裏へ近づいた時、
「ん?」
何やら、妙な気配を感じた。
(何だ?)
妙な気配を感じた白銀は、ゆっくりと壁から除くように顔を出してみる。するとそこには、何時のように京佳が座っていたのと、見しらぬ男子生徒が1人いた。
(え?誰?)
驚く白銀。見知らぬ男子生徒は秀知院の制服を身に纏っており、頭には黒い学生帽。そして、その顔はかなり整っていた。
それを見た白銀は、ある答えにたどり着く。
(まさか、ナンパか!?)
秀知院は国内有数の進学校であるが、同時に生徒の顔面偏差値もかなり高い事で有名だったりする。また、1部の男性生徒が、他校の女子と合コンをしようとしていたのも知っていた。実際白銀も、クラスメイトの男子が『今度〇〇女子高の子と合コンしよう!』なんて話を聞いた事がある。
それらの情報があったから、白銀はナンパという答えにたどり着く。
(確かに立花は眼帯こそしているが顔はかなり美人だしスタイル良いし、ナンパされてもおかしくない!)
ここからでは京佳の顔はよく見えないが、迷惑がっているようには見えない。だがそれはここから見ただけの光景だ。実際は凄く迷惑に思っているかもしれない。
(兎に角、ここは声をかけないと!)
友達が困っているかもしれない。ならば助けないと。だって京佳は、白銀にとって初めての秀知院での友達なのだから。
「ちょ、ちょっと!何やってるんでせうか!?」
「「ん?」」
(やべぇーーー!嚙んだー―ー!?)
意を決して声を出した白銀だったが、まさかの事故。噛んでしまった。恥ずかしい。すっごく恥ずかしい。でも今更止まる訳にもいかないので、このままつっきる事にした。
「何をしているかはわかりませんが、彼女が困っているじゃないですか。そういう事はやめてください」
「いや白銀。私は別に困っていないぞ?」
「え?」
白銀はあっけに取られる。京佳は別に困っていないと言うからだ。
「私はただ声をかけられただけだ。迷惑なんて全く思ってない」
「……マジで?」
「ああ」
京佳がはっきりとそう言った。同時に白銀は思った。これはもうナンパなんかじゃないだろう。
「もしかして、何か勘違いしているんじゃないかな?」
「えーーーっと。そうみたい、です…」
学生帽を被った男子生徒も白銀に声をかける。白銀は顔が熱くなるのを感じながら、頭を下げた。
「すみません。俺の早とちりだったみたいです」
「いや大丈夫だよ。誰だってそんなミスくらいするさ」
「あの、ところで貴方は?」
ナンパでないなら、彼は一体誰なのかが気になる白銀。よく見ると学生帽を被った男子生徒の胸には、金色の職緒があった。混院の白銀だって、それがなんなのか知っている。そして白銀が目の前の男子生徒の正体が分かったと同時に、目の前の男子生徒はこう答えた。
「僕は秀知院学園生徒会のトップ。生徒会長さ」
生徒会長だと。
生徒会室
「どうぞ」
「ど、どうも」
「いただきます」
白銀と京佳、そして学生帽を被った生徒会長の3人は生徒会室にいた。あの後、生徒会長から『ついてきてほしい』と言われ、2人は素直について行った。
そして生徒会へとたどり着き、今こうして生徒会長自ら淹れた紅茶をご馳走になっている。
「美味しい…」
「そうなのか?紅茶なんてペットボトルのやつしか飲んだ事ないからよくわからん」
「多分これ相当高いやつだぞ。ペットボトルのやつとは味が全然違う」
「え?マジでか?」
「いやいや。それはそこまで高くないよ。せいぜい1缶4000円くらいだし」
「「!?」」
高い。庶民の2人にとって4000円は高い。京佳ですらなかなか手が出せない値段だし、白銀にとっては最早雲の上の品だ。
「えっと、もしかしてこれを飲んだから何か命令を言うとか…」
「いやそんな事しないから。僕を何だと思ってるの?」
「す、すみません…」
あまりの値段にびびる白銀は、美人局のように何かされるのではと思った。勿論、生徒会長にそんな思惑は全くない。ただ普通に、紅茶をご馳走しただけだ。
「それで、生徒会長ともあろうお方が、私達に何か用でしょうか?」
京佳が畏まりながら質問する。自分たちは混院の生徒。そんな生徒2人を突然生徒会室へ呼び出す理由がわからない。でも京佳には、少しだけ心辺りがあったりする。
(まさか、私に見た目でクレームがきたとか?)
それは京佳の見た目が怖いというクレームがきたのではという事。でも流石にありえないと思いたい。いくら見た目が怖いからといっても、生徒会長にクレームいれる生徒がいるとは思えない。
「そう畏まりまらないで。とって食べたりしないから」
やや胡散臭い笑顔でそう言う生徒会長。
「実は2人にお願いがあってね」
「お願い、ですか?」
「ああ」
そして2人の目を見て、
「君達2人を、生徒会役員に指名したいんだ」
「「え?」」
想像だにしない事を言い出したのだった。
おまけ
更衣室での女子たちの会話
「ね、ねぇ…あれ…」
「何あれ…すっごい…」
「胸大っきい…腰ほっそい…足長い…」
「何あれ?なんなのあの白い肌?」
「ていうか本当にスタイル凄い…なにあれ?本当になにあれ?」
「綺麗…」
「う、羨ましい…!私なんて、沢山そういう体操とか器具とかサプリとか使っているのに全然大きくならないのに!!」
知ってるか?この過去編、原作だとまだ4ページしか進んでないんだぜ?
あと原作だと、会長は入学して1週間で生徒会に誘われていますが、この作品だと少し間空いてます。
次回、タイトルにもなってるあの子が登場予定。
もしもかぐやが白銀にフラれたら、誰がかぐやを救えると思いますか?
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石上優
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藤原千花
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四条帝
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四宮雁庵