もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
そしてコメントで京佳さんの見た目が上手くイメージ出来ないとご指摘を受けたので、今更ながら京佳さんの見た目が作者的にはどんなイメージかというと、あくまで大雑把なイメージですが『アイ〇ルマス〇ー シャ〇ニーガー〇ズ』の緋〇美琴というキャラクターが、その髪を黒っぽくして、左目に眼帯を装着しているといった感じが作者的には1番しっくりきています。でもあの肩にかかってる白っぽいくせ毛?は無い感じ。因みに作者はア〇マスやった事ありません。
いや、本当に今更言う事じゃない… 何で私は何時もこうもヘマをするんだ…
今後も何かご意見などがありましたら、どうぞ遠慮なく言って下さい。可能な限り対処いたします。
「俺たちを、生徒会に?」
「えっと、そういうのって生徒会が発足した時に決めるものなのでは?私たちは今年入学したばかりの新入生ですよ?」
突然の生徒会長直々の生徒会への勧誘。それを聞いた白銀と京佳は困惑した。
「普通の学校の生徒会ならそうだろうね。でも秀知院の生徒会は、生徒会長自ら役員を好きな時期に決める事が出来る。目ぼしい人材が入る4月に役員を決めるのも珍しくない。そんな訳で、毎年4月は部の連中と人材を奪い合う青田刈りのシーズンなのさ」
「成程…要は人材のヘッドハンティングですか」
「そういうこと。学校や大学を卒業したら、本当にそういう機会が来るかもしれない。そういう意味でも、とても良い練習になるしね」
困惑気味の2人に、丁寧に答える生徒会長。やはり国内有数の進学校は色々と他とは違うようだ。
「…立花はわかりますけど、なんで俺…僕もなんですか?僕より優秀な人なんて、それこそいっぱいいるでしょう?」
「白銀。あまり自分の事を自分で卑下するのはいけないぞ?それはより自信を失うきっかけになっちゃうから」
「いや、でもなぁ…」
京佳は秀知院の編入試験にトップ合格で入学している。それに最近行われた小テストも満点だった。対して白銀は、編入試験はギリギリの補欠合格。この前の小テストもギリギリ赤点じゃなかったくらいだ。
そんな自分が、国内有数の進学校である秀知院の生徒会に誘われるなんておかしい。何か裏があるのではとつい勘ぐってしまう。
「勿論理由はちゃんとあるよ。我々秀知院の学生、君たちにわかりやすく言うと純院の生徒たちは、この箱庭で生きてきた者たちばかり。そういった者は、ひとたび外の世界に出たら、それまでの常識が通じず、失敗を重ねる生徒も少なくない。ならば学生のうちから、そういう生徒の常識を少しでも変えるようにするべきだと僕は思っている。だからこそ、外の世界をフラットな目線で見たきた君たちの目線が是非欲しい」
「……」
生徒会長は丁寧に説明する。しかし、それを聞いた白銀の顔は晴れない。
「やっぱりわかりません。いくら外部入学の混院の生徒の目線が欲しいと言っても、僕みたいな補欠合格者を誘うなんて。秀知院の生徒会ならもっと優秀な人材の方がいいでしょう。それこそ、隣にいる立花みたいな」
「白銀…」
いくら生徒会長直々の誘いとはいえ、今の白銀は自分に自信が全くない。京佳のように成績優秀ならわかるが、自分はあくまで補欠合格。そんな落ちこぼれな自分に、生徒会長が勧誘する理由がわからない。
そして京佳は、そんな落ち込んでいる白銀を心配した。
「ふむ。君は随分自分に自信が無いみたいだね」
「そりゃ無いですよ。例えば、入学式で新入生挨拶していたあの子、四宮さんでしたっけ?ああいう家柄も才能もあるような人見ちゃうと、どうしても比べちゃいますし…」
白銀は思い出すのは、入学式で新入生挨拶をしていた生徒。黒くて長い髪、控えめに見ても整っている顔。そして誰しも聞いた事がある『四宮』の名。その名は、四宮かぐや。
入学して暫く経った後、彼女に関する事を色々耳にした。
曰く、どんな事もそつなくこなせる天才。
曰く、とてつもないお金持ち。
曰く、まるで氷のような女。
最初この話を聞いた時、なんだそれはと白銀は思った。自分は何も持っていないのに、その四宮かぐやという女生徒は何でも持っている。生まれからして自分とは全然違う。そういう人物こそ、生徒会に入ればいいのに。
「すみません。生徒会に入った時のメリットってなんですか?」
「え?立花?」
白銀がそうやって自分を卑下していると、京佳が生徒会長に質問をする。
「うん。まず、成績以外の内申点が凄く貰える。秀知院の生徒会はとても多忙なんだ。体育祭に文化祭、部活動の予算審査、その他生徒主導のイベントが様々。そういったイベントを円滑に進めないといけないから本当に忙しい。でもその反面、それらの仕事をしっかりとこなせたら教師からの評価はとても高くなる。それだけじゃない。生徒会長特権になるけど、生徒会長を務めた生徒には、学校から『秀知院理事会推薦状』が貰える。これは世界中のあらゆる学校や企業へのプレミアムチケットみたいなものだから、これ欲しさに生徒会長をやりたいと思う生徒もいるよ」
「成程。内申点が…」
1つ目のメリット。それは内申点だ。生徒会長が説明した通り、秀知院の生徒会は兎に角多忙である。だがそれら多忙な仕事をしっかりとこなせれば、教師からの覚えも良くなるだろう。勉強の内申点は頑張れば取れるが、それ以外の内申点は意外と難しい。将来弁護士になりたい京佳にとって、これは嬉しいメリットになるだろう。
「他には、やっぱり色んな人との交流が増える事かな?生徒会は色んな人と関わる事が多いからね。特に今の秀知院は本当に多種多様な家柄の生徒がいる。自衛隊幕僚長の息子や、経団連理事のお孫さん。果ては外国の王子様まで。そういった、ここにしかいない人たちと交流できるのはとっても有意義になると思うよ。今はただでさえ国際交流が盛んな時代だしね」
2つ目のメリットは、人との交流。秀知院は元が貴族や士族といった上流階級の人の為の学校である。当時の彼ら彼女らは、この学校でしか出来ない様々な交流をし、家や企業とのつながりを深めていった。特に現代は人との交流が盛んな時代だ。今のうちにそういった人と交流できる機会があるのは良い事だろう。
「確かに。でも王子様は流石に冗談ですよね?」
「いやマジだよ。本当にいるよ」
「え?本当に?」
「うん、本当に」
「うっそぉ…」
京佳の質問に大真面目に答える生徒会長。まさか本物の王子様までいるとは思わなかった京佳はあっけにとられる。
(にしても、メリットはかなり大きいな。勉強との両立大変そうだけど)
それはそれとして、生徒会に興味を示す京佳。今聞いた限りの話では、生徒会に所属するのはかなり美味しい。だがここは進学校の秀知院。当然だが、普段の授業内容や、試験の内容はかなり難しい。
そんな学校で、多忙と言われている生徒会に入ったら、果たして成績は維持できるのか。そこが不安だ。
「立花。ひょっとして、生徒会に入るのか?」
「正直考えてはいる。内申点が多く貰えるのはありがたいし」
「あー…まぁ、確かにそれは…」
京佳が生徒会に興味を示しているのを知った白銀は、驚くと同時に納得していた。
(当たり前か。立花も俺より優秀だしな…)
京佳は弁護士になりたいから、秀知院を選んだ事を白銀は知っている。この歳でもう将来をそこまで見据えているのだ。そんな京佳は、自分より優れているのは間違いないだろう。
「でも、私が生徒会に入っても大丈夫でしょうか?私はこんな見た目ですし…」
一方、生徒会に入るか悩んでいる京佳は、勉強以外にある事が不安だった。京佳は、この見た目のせいで未だにクラスメイトから怖がられている。
そんな自分が、生徒会に入っても大丈夫なのか。もしかしたら生徒会に迷惑がかかるのではないか。京佳はそこも心配だった。
「それこそ問題ないよ。僕は人を見た目で判断なんてしない。もし、立花さんの見た目が怖いから生徒会に入っているの納得できないなんていう生徒がいたら、生徒会長として絶対に許さない」
「そうだぞ立花。俺だってそんな奴許さない」
「あ、ありがとうございます…白銀も、ありがとう…」
どうもこの生徒会長も、これまで出会ってきた男子とは違うようだ。彼も、白銀と同じ人種なのかもしれない。
「それでどうだい?生徒会に入らないかい?」
「えっと…」
「んー…」
悩む2人。白銀は自分が選ばれた理由がよくわからいないから。京佳は入ったら勉強と両立が出来るか不安が残るから。そうやって悩んでいる2人を見ていた生徒会長が、ある提案をした。
「ならばそうだね。1度生徒会の仕事を体験してみないかい?」
「体験ですか?」
「そう。何事も体験したり経験するのは大事だよ?時間が許すのであれば、今日の放課後はどうだい?」
話を聞いただけど、実際に体験するのでは大きな違いが出来る。例えば、面白いと言われているゲームのレビュー記事を読むだけと、そのゲームの体験版を遊んでみるとでは、全然印象が違うものだ。
「まぁ、今日はバイトも無いのでいいですけど…」
「私もかまいません」
「じゃあ決まりだね」
2人は生徒会長の提案を受け、今日の放課後に生徒会の仕事を体験する事となった。
「それはそうと、2人共お昼は大丈夫?」
「「あ」」
その後、白銀と京佳は急いで昼飯を食べた。それを見ていた生徒会長はせめて昼食を食べ終えてから誘えば良かったと思い、申し訳ない気持ちになった。
放課後
「ところで2人は、どうして秀知院を?」
放課後になり、生徒会長から『ついてきて欲しい』と言われ、白銀と京佳が生徒会長の後ろを歩いていると、生徒会長から質問が飛んできた。
「私はここなら普通の高校よりしっかり勉強が出来ると思ったのと、特待生の補助が手厚かったからです」
「へぇ。しっかりと将来を見据えているんだね」
京佳は将来の夢の為の足掛かりとして、秀知院を受験した。まだ入学したての1年生にしては、しっかりと将来の事を考えていると思った生徒会長は関心する。
「俺は、本当は適当な公立高校へ行く筈だったんですけど、うちの父親が勝手にここの願書提出してて、それで試験受けたらギリギリで合格しちゃったんです」
「え。それで受かったのかい?凄いじゃないか」
「立花にも同じ事言われました」
白銀は父親が勝手にここの願書を出したかららしい。まさかそんな理由で編入試験を受けて合格する人がいるとは思っておらず、生徒会長は驚く。
「けど、こんな面倒な学校って知ってたら来ませんでしたよ。まさか生徒が区別されていたなんて…」
「はは、確かに面倒だよね」
秀知院は外部入学生を混院、小等部や中等部から上がってきた生徒を純院と区別している。現代でこそただ区別しているだけだが、昔は純院の生徒が混院の生徒を奴隷のようにこき使っていた差別的な時代もあった。
「白銀くんは、この学校に来た事を後悔しているのかい?」
「……最初こそそうでした。でも今はそこまで後悔していません。友達が出来ましたし」
「それはそこにいる立花さんの事かな?」
「はい」
「……そうはっきり言われるとこそばゆいな」
少しだけ顔を赤くする京佳。友達とはいえ、面と向かってそう言われるのは、やはり恥ずかしい。
「ところで生徒会長。私達以外の生徒には声をかけないんですか?」
顔が赤くなっているのを誤魔化す為にも、京佳は生徒会長に質問をする。
「何人かには既に声をかけているけど、望みは薄いだろうね」
「そうなんですか?」
「ああ。自分をしっかりと持っている子は、簡単には動かないから」
生徒会長は、既に今年高等部へ進学してきた1年生に声をかけていた。元総理大臣の孫の天才ピアニスト、広域指定暴力団組長の娘、巨大財閥四条の令嬢。
しかしそういった生徒は、決して簡単には動かない。おかげで生徒会長は、新しい人材の勧誘に苦戦している。
(俺は自分を持っていないから、こうも簡単に動いているのかな…)
やはりそういった人と自分は全く違う生き物なんだと再認識し、白銀は暗い顔をする。
「どうした?大丈夫か白銀?」
「あ、ああ。大丈夫だよ」
「それならいいんだが…」
そんな白銀を心配し、京佳は声をかける。そしてそうこうしているうちに、3人は目的地にたどり着く。
「今日の活動内容はこの沼の掃除だよ」
「水でも抜くんですか?」
「いやテレビじゃないんだからそこまではしないよ。ここは『血溜沼』って言うんだけど、長い間排水官が詰まっていてね。今度専門の業者に修理してもらうんだけど、その前に可能な限り綺麗にしておかないといけないんだ。藻が大量に発生していて不衛生だしね」
「具体的には何を?」
「網やバケツを使って藻やゴミを拾い上げる。そして広い上げたゴミを1度集めて後で纏めて捨てる。それだけだよ」
そう言うと生徒会長は、どこからか取り出した取っ手の付いた網を2人に渡す。
「他にもボランティアで何人か掃除をしてくれているけど、僕たちも少しは働いてポーズを取らないとね。それじゃ、やろっか」
「は、はい」
「わかりました」
生徒会長から網を受け取った白銀と京佳は、言われるがままに沼の掃除を始める。
「にしても、血溜沼って…随分物騒な名前ですね…」
「今でも、大昔に討ち取った武将の首が沼の底に沈んでいるらしいよ?」
「……冗談ですよね?」
「はは。もし見つけても網で拾い上げないでね?普通に事件になるし」
そんな物騒な話を聞いた白銀は、ビビりながら掃除を続ける。
「うっわ…マジで汚いな…」
1回網で沼の表面をすくっただけで、網には藻やゴミが大量にすくいあげられる。おかげで、網が非常に重い。
(俺、何してるんだろ…)
黙々と掃除をしながら、白銀は暗い表情でそんな事を思った。
(生徒会への勧誘とかいうけど、結局のところは体よく使われているだけじゃないのかこれ?あの生徒会長だって、本心では俺の事を貧乏人とか補欠合格者とか思って見下していたりするんじゃ…)
やや疑心暗鬼な白銀。生まれも普通、成績は中段よりやや下、容姿に特別優れている訳でもなく、何か特別な才能だって持ってない。周りが金持ちや、何かしらの特別な才能や、成績がよかったりと、そういった人たちばかりの秀知院。
いくら京佳という友達が出来て、心に余裕が出来たとはいえ、今の白銀は劣等感の塊だ。だから生徒会長の事も、どうしても何か裏があるのではと思ってしまう。
「白銀。私は1度、あっちの方へこのゴミを捨ててくるよ」
「え?ああ、わかったよ」
京佳は先ほどすくいあげたゴミをバケツにいれて、指定されたゴミ捨て場所へ持って行った。
(やっぱり、立花は生徒会へ入るんだろうか?結構興味津々ぽかったし…)
自分とは違い、成績優秀者な京佳は生徒会へ入るかもしれない。もしそうなったら、白銀と京佳は合う時間が減るだろう。生徒会は多忙だと生徒会長から言われているし。
出来ればそれはやめてほしいが、そんな小さい子供の駄々のような理由で生徒会に行くなとはとても言えない。そんな我儘な子供のような考えを持ってしまった白銀は、本日何度目かわからない自己嫌悪に陥る。
(ほんと、何してんだろ俺は…)
そして網ですくったゴミをバケツへ移していたその時、
「きゃあああ!?」
「え?」
直ぐ近くで悲鳴が聞こえた。白銀が振り向くとそこには、1人の女生徒が沼に落ちて溺れていた。
「これに捕まって!!」
「あ、足に…!何か絡まって…!!」
近くにいた男子生徒が網の取っ手部分を女生徒へ伸ばすが、届かない。どうやら何か足に引っかかっているみたいだ。
「どうする!飛び込むか!?」
「で、でも…ここ飛び込んでも大丈夫なの?変な病原菌とか…」
「そ、それは…」
周りにたボランティアの生徒たちがどうするか悩んでいる。
(おいおい!んな事言ってる場合かよ!?人が1人死ぬかもしれないんだぞ!?)
一向に誰も女生徒を助けに行かないのを見て白銀は焦る。その間にも、沼に落ちた女生徒は溺れている。このままでは本当に溺れ死ぬかもしれない。
(俺は泳げないし!誰でもいいから誰か…!!)
そうやって自分もその場から動けけずにいた時、
「え?」
誰かが腰にロープを巻いた状態で勢いよく飛び込んだ。そしてそのまま直ぐに溺れている女生徒を両手で掴む。
「おいロープだ!ロープを引っ張るのを手伝ってくれ!!」
「あ、ああ!わかった!!」
何時の間にかゴミ捨てから戻ってきていた京佳がロープを引っ張るよう周りの生徒たちに指示する。そして周りにいた生徒たちは、皆で協力してロープを引っ張った。その中には、当然白銀もいた。
「ひっく…えぐ…」
沼に落ちた女生徒は無事救助された。今は沼近くに設置されている桟橋の上で泣いている。
(ああすれば、泳げなくても、助けに行けた…)
白銀は助かった女生徒ではなく、助けにいった女生徒であり、入学式で新入生挨拶をしていや四宮かぐやへ視線を向ける。彼女の腰にはロープが巻かれており、こうすれば白銀のように泳げなくても、誰かに引っ張ってもらえば大丈夫だ。
(俺は、動けなかった…ぐちぐちと言い訳ばかりをして、考える事をやめていた…立花だって、誰より早くロープを引っ張るよう指示を出していたのに…)
ふと京佳の方を見ると、先程のロープを回収していた。そして生徒会長はどこかに電話していた。
(金持ちだとか、生まれつき才能があるとか関係ない…動くべき時に動ける…それが出来る人間は―――)
そしてもう1度飛び込んだ女生徒、四宮かぐやの方を見て白銀は、
(例え泥に塗れていても、綺麗だ―――)
その姿に、完全に心を奪われてしまった。
「どうした白銀?」
「……」
「白銀?大丈夫か?」
「はっ!?」
何時の間にか隣に立っていた京佳が声をかけるが、白銀は暫く反応できなかった。先ほどの助けに入った四宮かぐやに、完全に見惚れていたからである。
「すまん。ちょっとぼーっとしてた」
「ん、そうか」
「しかし、立花は流石だな。冷静に状況を観察して、皆にロープを引っ張るよう指示できるなんて。俺にはできないよ」
白銀は先ほどの京佳の行動を褒める。いくらロープを腰に巻いた女生徒が目の前にいたとしても、とっさにあのような指示は中々だせないだろう。先ず理解が追い付かない。
「いや、あれは私の指示じゃないよ…」
「え?」
どうみても京佳が指示しているように見えたが、どうやらさっきのは京佳の指示ではないらしい。
「じゃあ、誰が?」
「さっき飛び込んだ四宮さんだよ」
「え?」
―――――
(どうする!?飛び込むか!?でも兄さんが溺れている人がいたら無暗に飛び込むなって言ってたし!確かこういう時はペットボトルとかクーラーボックスみたいな水に浮かぶものを投げ込めば…そんなものどこにあるっていうんだ!?)
「ちょっとすみません」
「え?」
「今から沼に飛び込むので、私があの子を掴んだらすぐにこのロープを引っ張って下さい」
「え、え?」
「それじゃお願いしますね」
「ちょ!?」
―――――
「と言われてね。最初は何が何だかわかっていなかったが、その後直ぐに無我夢中でロープを引っ張ったよ」
「成程…」
さっきの京佳の指示も、飛び込んだ四宮かぐやによるもの。白銀はますます四宮かぐやへ興味をひかれる。
「私には海上自衛官の兄がいるんだ。その兄から溺れた人の正しい救助方法を聞いていたんだが、何も出来なかったよ…」
「俺もだよ…」
京佳も白銀と同じように、先ほど何も出来なかった事を悔やんでいた。そうやって2人が会話している間に、四宮かぐやは、助けた女生徒をどこかへ連れて行った。恐らく保健室にでも連れていくのだろう。
そしてその後ろ姿を、京佳はじっと見つめる。
(海上自衛官の兄さんから、正しい救助方法を聞いていたから飛び込まなかったなんて言ったが違う。私は怖かったんだ…この沼に飛び込む事が…)
京佳は別にカナヅチでは無い。兄から正しい救助方法を聞いていたから、あえて飛び込まなかった訳でもない。ただ、こんな不衛生な沼に飛び込む勇気が沸いてこなかっただけだ。
(それなのにあの子は、飛び込んだ…誰よりも早く…)
溺れていた子が友達だったからなのか、ただ我武者羅に助けにいっただけなのかはわからないが、助けにいったのは四宮かぐやだけ。
(凄い勇気がいる筈なのに、それが出来るなんて…)
そんな彼女に、京佳は敬意を払った。
(私も、四宮さんみたいに勇気を出して動けば、何か変わるのかな?)
京佳は自分の見た目がコンプレックスだ。黒い眼帯に高い身長。それが原因で相手に怖がれてしまい、簡単に友達が出来ない。京佳自身も、自分が怖がられているのは知っているので、態々自分から相手に話しかけたりしない。
しかし、それは自分が傷つくのが怖いからなのだ。無理に声をかけて、それが原因で怖がられるのなら、最初から声をかけなければいい。だからこそ、京佳は自分から声をかけない。
(でも、このままずっとは…)
でも、このままで良い訳ない。何時かは必ず限界がくる。誰とも話さないで学校生活を過ごすなんて、不可能なのだから。
(私も少しだけ、勇気を出してみようかな…)
先程の女生徒、四宮かぐやの行動を見た京佳は、ほんの少しだけ勇気を出してみようと決めたのだった。
「あの、生徒会長。彼女の隣に立てる人物って、どんな人ですかね?」
「僕は大丈夫だよ?なんたって、生徒会長だからね」
「成程。生徒会長か…」
そして白銀には、ある目標ができた。
尚この時のかぐや様
『沼に落ちた子は新聞社局長の娘やん。恩売っとこ』
まぁ、この時は氷でしたし。
因みに生徒会長は保健室へ電話してました。
次回も捏造過去編が続きます。できれば今年中に終わらせて、新年から文化祭決戦編を書けたらいいなーって思ってます。でもあくまで予定ですので、あまり期待はしないでください。
今後も、必ず完結だけは目指して書きますので、どうかよろしくお願いいたします。
最後にアンケートを再設置しました。よろしければ、お答え願います。
もしもかぐやが白銀にフラれたら、誰がかぐやを救えると思いますか?
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藤原千花
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早坂愛
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石上優
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四条眞妃
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四条帝
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四宮雁庵
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四宮雲鷹