もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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ごめんなさい、今回は完全なネタ回です。本筋は全く進みません。


ガチャは悪い文明。

追記:9月4日 活動報告を書きました。


石上優とガチャ宗教

 

 

 

「会長、お願いがあります」

 

「どうした石上、改まって?」

 

 ある日の生徒会室。かぐやと京佳が長椅子に座って資料を纏め、白銀が机で書類にペンを走らせている時、石上が真剣な顔で白銀に話しかけてきた。白銀は、もしや何か重大な事でもあるのかと想い身構えた。そして石上は一度深呼吸をし、ポケットからスマホを取り出して―――

 

「十連ガチャやってくれませんか!?」

 

「は?」

 

 白銀に頭を下げながらスマホを白銀に差し出した。

 

「すまん石上…ガチャとはなんだ?」

 

「あ、ガチャっていうのはですね…」

 

 十連ガチャ

 近年急速に発展したソーシャルゲームにおける有料のくじ要素である。ソーシャルゲームでは様々なキャラクターと共に冒険をするというものが多いのだが、共に冒険をするキャラクターの殆どは、ガチャで自分が当てるしか無い。そのキャラクターを当てる要素が十連ガチャである。

 また、十連ガチャをするためには特別なアイテムが必要なのだが、それはゲーム内のストーリーやクエストをクリアすると貰える。しかし、自分でお金を払い手に入れることも可能だ。そのため、稀に自分がどうしても当てたいキャラクターのために大金をつぎ込む人もいるくらいである。

 

「成程。ようは宝くじみたいなものか」

 

「大体あってます」

 

 石上の説明を聞いた白銀はとりあえず十連ガチャというものを理解した。しかし、石上がどうしてそれを自分に頼むかという疑問が残っため、更に石上に質問をした。

 

「で、何でそれを俺に頼むんだ?自分でやればいいだろう」

 

「簡単にいうとジンクスです」

 

「ジンクス?」

 

「十連ガチャにはガチャ宗教っていうジンクスがあるんです」

 

「宗教…なんか怖いな」

 

「そのうちの一つに『他人教』ていうのがあります」

 

「他人教?」

 

「自分じゃなくてそのゲームを全く知らない人にガチャを引かせる事によって、お目当てキャラを引き当てることができるっていうやつです」

 

 石上は説明をした。ようはただのジンクスである。それを聞いた白銀は少し考えを巡らせた。石上の説明を聞く限り、自分が金銭的にダメージを負う事などない。しかし自分が十連ガチャを引いて、大したものが当たらなかった場合、石上に嫌な思いをさせてしまうのではないか?という思いが白銀の中にあった。だが、大切な後輩のお願いを無碍にすることもできない。白銀は数秒考えたのち―――

 

「わかった。やろう」

 

「ありがとうございます、会長」

 

 石上のお願いを聞く事にした。そして白銀から了承を得た石上はお礼を言い、白銀が使っている机に上にスマホを置いた。

 

「で、結局俺は何をすればいいんだ?」

 

「簡単です。この画面の右側の『10回引く』ていうのを押してくれればそれでいいです」

 

「成程。因みに石上が当てたいキャラクターってのはこの左に写っているやつか?」

 

「はい。性能が凄いんですよ。おまけにイラストも僕の好きなイラストレーターさんが描いてますし」

 

 白銀がガチャの操作と石上が欲しがっているゲームキャラを聞き、石上がそれに丁寧に答えた。そしてそれを長椅子に座っているかぐやと京佳は特に口を開くこともなく、黙って聞いていた。興味が無いし、石上の言っていることがよくわからないからである。

 

「お、なんか出たな」

 

「あ、このキャラですか。もう既に持っているやつですけど、これで必殺技の威力があがりますね。ありがとうございます」

 

「そうか、大外れとかじゃなくてよかったよ」

 

 白銀のガチャ結果は、石上が未所持のキャラを当てる事が出来きたのでそれなりとなった。

 

(お金を賭けてまでゲームをするなんて、理解できませんね…)

 

 かぐやは石上がゲームにお金を賭ける事が理解できないでいた。藤原が、偶に生徒会室に持ってくるテーブルゲームなどを購入する時にお金をかけるのはわかるが、当たるかどうかもわからないガチャというものにお金を出すことが理解できない。そんな考えだった。

 

(いえ、待ちなさい。これはひょっとしてチャンスなんじゃ?)

 

 しかしかぐやは、ガチャというものにある可能性を見出した。

 

(もしも、例えゲームでも、私が1回で大当たりを出したら…)

 

 ――――――

 

『四宮先輩凄いです!大当たりですよ!』

 

『流石四宮だな。まるで幸運の女神だ。私にはとても無理だよ』

 

『ふふ、そんなことありませんよ』

 

『いや!運というのは非科学的ではあるが重要なファクターの1つだ。こういう結果を出せる四宮はやはり素晴らしい!』

 

『そ、そうでしょうか…?』

 

『ああ!俺の人生の全てを四宮にBed(ベット)したいくらいだ!』

 

『か、会長!それは…!』

 

『俺と付き合ってくれ四宮!そして、俺だけの女神になってくれ!』

 

『か、会長…!』

 

 ――――――

 

(なんてことになるはず!!)

 

 そうはならんだろうと思うが、かぐやの中ではそうなる予定である。相変わらず、この四宮家のご令嬢は稀にアホになる様だ。かぐやは直ぐに立ち上がり、石上に近づいた。

 

「石上くん?私もそれやってみていいですか…?そういうのを1度もやったことなくて…」

 

「え?し、四宮先輩もですか…?」

 

「どうしました?何か問題でも?」

 

「いえ!なんでもありません!是非どうぞ!!」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

 何故か石上が少し怯えてるように見えたが、かぐやは特に気にする事もなく、石上からスマホを受け取り、先ほど白銀がやっていた様に『10回引く』と書かれている部分を押した。

 

(まぁ、私は四宮家の娘。生まれ持ったものというのがあります。石上くんの言うレアキャラというのも簡単に引き当てるでしょう…)

 

 かぐやには自信があった。なんせかぐやは自他共に認める天才だ。あらゆる事をかなりのレベルでこなし、他の者が出来ないことも簡単に出来てしまう。そしてそれらを、特に努力せず成し遂げる生まれ持った才能というものがある。であれば、運という要素も持っていても不思議はない。ならばこそ、宝くじのようなガチャも簡単に引き当てる事ができるだろう。少なくともかぐやはそう信じて疑っていなかった。しかし結果は―――

 

「石上くん?これはどういう結果でしょうか?当たりというものですか?」

 

「うっわ。イベントアイテムすらないゴミですねこれ」

 

「そ、そうですか…」

 

 イベント限定のアイテムすら出ないありさまだった。爆死である。最も十連ガチャではよくある事なのだが。

 

(しょ、所詮ゲームですし…気にする必要なんてありません…)

 

 かぐやは石上にスマホを返しながら、先ほどとは掌を返し正反対の事を思った。

 

「そうだ、立花先輩もどうですか?」

 

「では1回…」

 

 かぐやからスマホを受け取った石上は、今度は長椅子に座っている京佳にスマホを手渡した。石上からスマホを受け取った京佳は、白銀とかぐやがやったように『10回引く』という部分を押した。

 

「お、イベントアイテム出ました。これ結構使えるんですよね」

 

「そうなのか?私には全くわからんが…」

 

 結果はそこそこ。京佳は期間限定でしか排出されないアイテムを出すことに成功した。

 

(嘘でしょ?ひょっとして私は幸運じゃなくて不運を持っているんじゃ…?)

 

 かぐやは冷や汗を流した。自分は大した結果ほ出さず、白銀と京佳はそれなりの結果を出したからである。その結果、自分は幸運ではなく不運というものを纏っているのではないかと思い始めた。

 

(ま、不味い…!このままじゃ…!)

 

 ――――――

 

『全く、俺と立花は同じ条件で良い結果を出したというのに…四宮は使えないやつだな』

 

『ほんとですよ。四宮先輩はまるで疫病神か貧乏神ですね』

 

『四宮、すまないがお祓いに行ってきて、その不吉な瘴気を落とすまで生徒会室に来ないでくれ。皆に不幸な出来事がおこるかもしれない』

 

『立花の言う通りだ。どこかの神社でお祓いに行ってこい。それまで俺に近づくな四宮』

 

『そ、そんなー!』

 

 ――――――

 

(なんてことになるかもしれない…!どうにかしないと…!!)

 

 ただの被害妄想でしかない。少なくとも、現生徒会メンバーは誰一人そんなことは言わない。かぐやがそうやって人知れず焦っている時、生徒会室の扉が開いた。

 

「あれー?皆さん何してるんですかー?」

 

 ゆるふわ書記、藤原登場。

 生徒会室に入ってきた藤原はそのまま石上と京佳に近づいた。そして石上が持っているスマホを見て理解した。

 

「それはひょっとして、ガチャと言われているやつですか?」

 

「あ、藤原先輩は知ってるんですね」

 

「やったことはありませんけどねー」

 

 藤原は石上が持っているスマホから見える画面に興味津々だった。家の事情でそういったゲームができないからだ。TG部のメンバーがやったりするので知識だけはあるのだが。

 

「藤原先輩も一回どうですか?」

 

「え?いいんですかー?じゃあ遠慮なくー」

 

 石上に言われた藤原は『10回引く』と書かれている部分を押した。家の事情で禁止されているが、これは自分のスマホではないから問題ないと判断したためである。

 

「あれ?なんか虹色に光りましたね?」

 

「え?」

 

 するとガチャ画面が虹色に光りだした。そして次の瞬間、石上が欲しがっていたキャラクターが出てきたのだ。

 

「マジで!?」

 

 石上は驚愕した。既に白銀、かぐや、京佳と合わせて三十連しているがどれもかすりもしなかった。そのため、やはり当たる訳ないと思っていたのだが、ここにきて急にお目当てのキャラが当たったのだ。驚かない方が無理である。

 しかも、ただお目当てのキャラが当たっただけでは無かった。キャラクターの登場シーンが終わり、ガチャ結果画面に映った時、石上は再び驚愕した。

 

「うっそだろ!?十連で3枚抜き!?」

 

「へ?」

 

 まさかの3枚抜きである。それも全て石上が欲しがっていたキャラで。

 

「よかったな、石上」

 

「はい!」

 

 近くにいた京佳が石上に祝福の言葉を送り、石上は元気よく返事をした。

 

「藤原先輩!本当にありがとうございます!!今度何か奢らせてください!いやマジで!!」

 

「え?あ?ふえ?」

 

 石上は藤原に感謝の言葉をのべ、、両手を握って上下にブンブンと揺らした。これほどの結果が出たのだ。テンションは上がるしその結果を出した藤原に感謝をするのも当然だろう。

 故に本気で藤原に何か奢るつもりだった。あまりに高級なものは勘弁だが。一方藤原は何が何だかわからない顔をした。

 

(そうだったわ…藤原さん…こういうのが何故か強いんだった…)

 

 そしてかぐやは、藤原がこういった事がどういう訳か強いのを思い出していた。

 

 

 

 因みに数日後、石上は藤原に有名な店のケーキを奢った。それなりの出費だったが、お目当てのキャラを3枚抜きしてくれたことに比べれば安いものだと石上は思った。

 

 

 




偶にはこういうネタ回もいいかなって…


次回も頑張って投稿したい。

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