もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
あと本日は冬至ですね、カボチャ食べてゆず湯入らないと。
新生徒会が発足して早1ヵ月。白銀の生活は、多忙を極めていた。生徒会が発足して直ぐにある大きなイベントの体育祭。各部活動の予算審査。更にそれらの仕事をしながら自分の勉強とバイト。正直、その辺のブラック企業より酷いかもしれない生活を毎日送っていた。
だがその努力あってか、これまでミスらしいミスを何も起こしてない。体育祭は成功。予算審査は多少のもめ事がありはしたが解決。
そして勉強も、しっかりと授業についていけている。この前の小テストも満点だった。まさに生徒会長とでもいうような優秀な生徒に、白銀はなっていた。
しかしその一方、かぐやとの仲は全く進展していなかった。ほぼ強制に生徒会に所属したかぐやは、仕事は完璧にこなすのだが、それ以外で白銀と話そうとしない。生徒会室での会話も、殆どが生徒会の業務に関する会話だ。
白銀がなんとか頑張って世間話に持って行こうとしても、かぐやの方からそういった話を切っていく。おかげで全然楽しい会話なんてできない。
(どうすれば、四宮ともっと話せるんだろう…)
落ち込み気味に、書類に判子を押す白銀。せっかく生徒会長になれたのに、これでは意味が無い。早々にどうにかしないと、何の進展のないまま生徒会の活動を終えてしまうかもしれない。
「みなさーーん。コーヒー淹れましたよー!」
「ありがとうございます」
「ありがと藤原」
「いえいえ~」
新しい生徒会の書記である藤原が、全員分のコーヒーを渡す。
「はい。これは会長のです」
「おお、ありがと藤原」
「どういたしまして~」
にへーっと笑いながら白銀にもコーヒーを渡す。
(俺もこれくらいコミュ力あればなぁ…)
明るく元気で、誰とでも仲良くなれる藤原。そんな彼女のおかげで、生徒会はかなり明るい空気で過ごしていえう。もし彼女がいなければ、今の生徒会の空気はもっと悪かったかもしれない。白銀はそんな藤原の明るさを羨ましがりながら、コーヒーを飲む。
(あ。何時ものより濃くてうまい…)
ついでに、藤原の淹れるコーヒーはやっぱり上手いと再認識した。
一方でかぐやは、白銀を警戒しながら毎日を過ごしていた。突然自分にテスト勝負を挑んできて、その後どういう訳か生徒会長になった白銀。
そしてその時、白銀はかぐやを生徒会の副会長に任命した。これだけの事が、1月足らずで起こったのだ。何か裏があるのではと疑わない方がおかしい。
真っ先にかぐやが思いついた事が『白銀が四宮家に近づこうとしているのでは?』という事だった。優しい顔をしてかぐやに近づき、どうにか四宮家に取り入ろうとする。これまでの学校生活で、そういう生徒はかなりいた。
なんせかぐやの家はあの四宮家である。総資産200兆。ゆうに千を超える子会社を持つあの四宮家だ。
そして秀知院に通っている生徒の殆どは、どこかの会社社長や役員の子供。または政治家や官僚の子供である。そんな人達にしてみれば、自分の子供が四宮家の子供と同級生と聞けば、どうにかして子供を通じて伝手を作りたいと思うもの。
(どうせこの男もそんな連中と同じでしょう)
更に白銀の身辺調査をした時、白銀の家は酷く貧乏だと知った。そういった貧乏人が、どうにかして金持ちにすがるのはよくある話。なのでかぐやは、白銀もこれまでの連中と似たような理由で近づいてきたのだろうと思っているのだ。
(そもそも、無償で誰かに優しくするなんてありえませんしね)
それだけじゃない。そもそもかぐやは、白銀の事を全く信用していなかった。身辺調査の際、白銀が怪我をした野球部の部員を、肩を貸しながら保健室まで運んだという情報があった。その部員は、国内でもかなり大きい輸送会社の社長の息子だったので、最初この事を聞いたかぐやは、前に自分が血溜池でやった時と同じ事をしたのだろうと思った。
だがそれから、その男子生徒と白銀は全く会っていない。1度たりとも話してもいない。早坂は、ただ純粋に人助けをしたんじゃないかと言っていたが、そんな事をかぐやが信じる筈もなかった。
(その化けの皮、直ぐに剥がしてがあげますよ)
白銀の事をそんな風に思いながら、かぐやもコーヒーを飲むのだった。
「え?池の掃除ですか?」
「ああ。1学期にもしているんだけど、また池の周りが結構ゴミとかで汚れているらしくてな。今日の放課後に、生徒会のメンバー全員で掃除をする予定だ」
「でも白銀、私達は全員合わせて4人だぞ?流石のこの人数で掃除は無茶じゃないか?」
「そこは大丈夫だ。やるのはあくまで池の周りだけ。それならこの数でも十分だろう」
「成程。そういう事なら」
ある日の放課後、生徒会のメンバーは全員で池の掃除をやる事になった。場所はあの血溜池。
1学期に、白銀がかぐやと初めて出会ったあの池だ。
でも今回は1学期と違い、掃除するのは池の周辺。それなら4人でも何とかなるだろう。
「俺は1度掃除用具を取ってから行くよ。3人は先に向かっていてくれ」
「わかりました~」
「わかりました」
「了解だ」
こうして4人は2手に別れるのだった。
「あ!京佳さん!ちょっといいですか?」
「何だ?」
その道中、藤原が京佳にある事を聞く。
「白銀会長って、どんな人なんですか?」
「ん?それはどういう意味でだ?」
「いえ、私とかぐやさんは、まだ白銀会長と知り合って1月くらいしか経ってないので、生徒会以外での会長の事を教えて頂けたらと思いまして」
「ああ、そういう事か。なら、知っている範囲で話すよ」
それは白銀の人柄について。まだ生徒会が発足して1月程なのだが、京佳以外は白銀の事をそこまで詳しく知らない。なので藤原は、この3人の中では1番付き合いの長い京佳にその辺の事を聞いてみる事にした。
(ナイスよ藤原さん)
これはかぐやにとってもチャンス。身辺調査では知りえない事が聞けるかもしれないからだ。なのでかぐやは聞耳を立てる。
「そうだな。先ず優しいな。最近の世に中は誰かに優しく出来る人が少ないと言われているが、白銀はそれに当てはまらないと思うよ」
「あ、それは私も知ってます。私もこの間、会長に勉強教えてもらいましたし」
(ふぅん。藤原家にも伝手を作ろうとしているという事ですか)
かぐやは白銀を不信に思う。
「他には、結構負けず嫌いなところがあるぞ。意外と子供っぽいというか」
「へぇ~、それはいい事聞きました。今度TG部から何か持ってきて、会長に勝負を仕掛けて悔しがらせてみます!」
「いや悪趣味な」
(精神が幼稚と)
かぐやは白銀を見下した。
(それにしてのもこの子、随分と白銀さんを信頼してるんですね)
ふとかぐやは、藤原と話している京佳に目をやる。かぐやの中で、京佳は特に問題にならない生徒という認識である。生まれも普通。育ちも普通。どういう訳かあの龍珠桃と仲が良いらしいが、別に暴力団関係者でも無い。そんな普通の混院の生徒が京佳だ。
(まぁ、初日のあれには驚きましたが…)
だがかぐやは、京佳を事を『その他大勢の生徒』という認識ではなく、個体認識していた。その理由が生徒会が発足したその日、京佳が取った行動にある。
その日京佳は、左目の眼帯をかぐやと藤原の前で取ったのだ。
そして2人は、京佳の眼帯下の火傷跡を見て絶句。更にどうしてそんな事をしたのか聞いてみる。すると本人曰く『これから一緒に仕事をする仲間には教えるべきだと思ったから』と京佳は言う。
そんな京佳にかぐやは、やや不振に思いながらも好感を持った。これ程の秘密を、自分たちを信用して話してくれたのだ。もしかしたら、何か裏があるのではとも思ったが、京佳といくつか話すうちにそれは無いだろうと結論づける。
そういった京佳の行動のおかげで、かぐやの中で京佳は信用は出来るであろう人物という評価に収まった。
(ま、今は彼女より白銀さんですね。どういう思惑で私に近づいたのか、見極めないと)
だが今の優先事項は白銀である。なのでかぐやは、京佳の事は藤原に任せて、自分は白銀に集中しようとするのだった。
血溜池
「じゃ、さっさと終わらせて帰るぞ」
「了解しました~」
池についてすぐ白銀が竹ほうきやゴミ袋を持ってきたので、4人はそれぞれ血溜池周辺の掃除を始める。冬が近い事もあってか、落ち葉が多い。更に誰が捨てたかわからないゴミもある。これは中々時間がかかりそうだ。
(う、風が…)
かぐやが折角集めた落ち葉が風で散る。
(1度風が来ないところに集めましょう)
しかし直ぐにかぐやは行動を起こし、風が当たらない木の陰に落ち葉を集める。
「見て下さい京佳さん!カマキリの卵がありましたよーー!!」
「元あった場所に返してきなさい」
そのころ藤原はカマキリの卵を見つけていた。それもかなりデカめのを。
(それにしても、この私が池の周りのゴミ集めとは…)
普段の自分なら先ずしないであろう仕事。ある意味新鮮な体験ではあるが、ただそれだけ。別にこれを機に奉仕精神になんて目覚めるつもりもない。そもそも無償の奉仕なんてごめん被る。
だがこれは生徒会の仕事なので仕方が無い。白銀が言う通り、さっさと終わらせて帰ろうとかぐやは思うのだった。
(手が汚れましたね…)
一通りゴミや落ち葉を集めたかぐや。手を見てみると、土で少し汚れていた。なのでかぐやは、ポケットからハンカチを取り出して汚れを拭こうといする。そんな時、
「あっ!」
突風が吹いて、かぐやが手にしていたハンカチが飛ばされたのだ。
「ちょ、ちょっと!」
かぐやは珍しく必死な顔で追いかける。あのハンカチは、今年のかぐやの誕生日に早坂に貰ったものなのだ。かぐや自身、物に執着のある性格では無いが、せっかくの誕生日プレゼントのハンカチである。こんな不注意で失いたくない。
「あ…」
しかし、現実は無常。血溜池に掛かっている桟橋まで追いかけたのに、風に飛ばされたハンカチは、血溜池の水面に落ちて行った。
(泳がないと取れないわね…)
棒を持っても届かない距離。ボートでもあれば話は別だが、ここにそんなものある訳無い。
(早坂には、謝っておきましょう…)
早坂には悪いと思いつつも、かぐやは諦めた。そして今日の夜にでも、早坂にしっかりと謝ろうと決める。
「え?」
しかしその時、かぐやの視界に何かが写った。そしてそれは、勢いよく池に飛び込んで水しぶきをあげる。
「白銀さん?」
池に飛び込んだのは、生徒会長の白銀御行だった。よく見ると腰のロープ巻いて、それにペットボトルを括り付けている。
「よし!取れたぞーーー!!」
「藤原!力いっぱい引っ張れーーー!!」
「了解ですーーー!!」
白銀の号令と共に、京佳と藤原が力の限り白銀に巻かれているロープを引っ張る。すると白銀は、ゆっくりと岸に近づく。それを見ていたかぐやも、白銀が上がるであろう岸に向かって走り出す。
「ほら。今度からは飛ばされないように気をつけろよ」
「あ、ありがとう、ございます…」
びしょ濡れになった白銀は、かぐやに風で飛ばされたハンカチを渡す。
(いえ待ちなさい。これこそ彼の狙いなのでは?)
この時、かぐやにある考えが浮かんだ。それは1学期に自分がしたように、ここで恩を売るというもの。
このハンカチは、かぐやにとって大事な物だ。それを白銀は、態々池に飛びこんでまで取ってくれた。これは恩を売る最大のチャンスだ。少なくともかぐやならそうする。
「それで、私に何を望むんですか?」
単刀直入に聞くかぐや。こういうのは、相手に流れを持っていかれたらダメなのだ。主導権はあくまで自分が握らないと。
「……?何がだ?」
「え?」
しかし白銀はきょとんとしていた。
「いや、だってハンカチを池に飛び込んでまで拾ったんですよ?つまり、何か私にあるんですよね?」
「いや、別に無いけど…」
「は?」
今度はかぐやがきょとんとする。強いて言えばかぐやと仲良くなりたい白銀なのだが、そんな恩を売るような真似を彼がするはずもない。
「へっくしゅ!!」
「会長!そのままだと風邪ひいちゃうので今すぐ部室棟の温水シャワー室に行って下さい!」
「そうだぞ白銀。急いだほうがいい。残りは私達がしておくから」
「ああ、そうだな。じゃあちょっと行ってくる。あと頼んだぞ」
そう言うと白銀は、そそくさと温水シャワーを浴びに行った。
「じゃ、じゃあ…どうして?」
その場に残されたかぐやは混乱していた。何も対価を望まないのなら、どうして態々池に飛び込んでまでハンカチを拾ったのか。あれだけずぶ濡れになりながらも、どうして何も自分に望まないのか。
「ただの善意だと思うぞ」
「え?」
そんなかぐやの疑問に、京佳が答える。
「白銀は基本的に善人なんだよ。だからこうしたから対価をよこせとか言わないって。あれは本当に、ただ善意から来た行動だと私は思うよ」
それは無償の善意。見返りなんて求めない究極の善意の形。白銀は今、それを行ったのだと京佳は言う。
「それじゃ私達は掃除を再開するとしようか」
「わかりました~」
「え、ええ…」
京佳の言葉と共に、3人は掃除を再開する。だがかぐやは、心ここにあらずといった感じになっていた。
(ありえるの?そんな事が?)
今まで人を使う事を教えられ、誰かを助けるにしてもそれを無償では決して行わない。かぐやはそうやって生きてきた。
しかし白銀は、そんなかぐやとは真逆の行動を取った。無償の善意を行う人間なんて、この世に存在しないと思っていたのに、そんな人が存在した。
(白銀御行…)
初めて出会う存在。これまで出会った事の無い人。
もっと彼の事を知りたい。
氷のかぐや姫と呼ばれたかぐやの中に、とある感情が生まれる。それは白銀を意識すると胸が少し苦しくなり、愛しいと思うてしまう。
この日を境に、かぐやの白銀に対する疑惑は消えて、白銀に対して別の想いを向けるようになっていった。
そしてそれが、初恋と呼ばれる感情だとわかるのに、そう時間はかからなかった。
でもだからと言って、白銀と何か進展がある訳でも無い。あれからまた数日が過ぎた。その間、特に白銀と何かあった訳では無い。
というのも、どうしてもかぐやは素直になれない性格をしていたからだ。
ある時は、優しくしたいのに白銀を思いっきり引っぱたいてしまった。
ある時は、素直になりたいのに嘘で誤魔化した。
ある時は、心にもない事を言って白銀を陥れようとした。
(違う…こんな事したいんじゃないの…)
本当はしたくない。もっと普通の事がしたいのに、生まれついての性格のせいでどうしてもそれができない。
(どうすればいいの?)
悩むかぐや。そんな彼女に、ある光景が写る。
「会長!昨日テレビでやってた『世界のミステリー』って特番見ましたかー?」
「ああ、見たぞ。個人的には空飛ぶヤギが気になったな」
「あれですねー。もし本当にいたら面白いですよねー」
視線の先には、白銀と楽しく談笑する藤原。2人共、実に楽しげだ。そんな2人を見たかぐやに、また別の欲求が芽生える。
普通の女の子になりたい。
普通に笑ったり、泣いたり、叫んだりする、そういう普通の女の子になりたい。それは大昔に捨てた筈の欲求。でもそんな欲求が、かぐやの中に生まれ出た。
いきなり全部変えて普通になれるとは思っていない。何事も、地道にやってこそなのだ。なので先ずは、見えるところから変えてみようとかぐやは考え実行する。
「かぐや様、何ですかそれ?」
「似合ってるかしら?」
「いえ全然」
「……そうよね。これは無いって私も思っていたわ」
その日の夜、かぐやは藤原の髪型を真似してみた。藤原が普通の女の子かと言えるかは置いておくとして、あの明るい性格は学ぶところがある。
なので藤原の髪型をそっくりそのまま真似してみたのだ。でも似合っていない。全然似合っていない。これじゃ出来の悪いモノマネだ。
「早坂。私に似合う髪型って何があるの?」
「そうですね…」
そして早坂の手を借りて、かぐやは普通の女の子っぽい新しい髪型を試すのだった。
「これは?」
「しっくりこないわね」
ポニーテールは却下された。
「じゃあこれは?」
「なんか落ち着かないわ」
お団子ヘアーも却下。
「それならこれは?」
「貴方遊んでるでしょ?」
「まぁ、ちょっとだけ」
早坂と同じサイドテールも却下する。
「それなら、これはどうでしょう?」
「……悪くないわね」
試行錯誤を繰り返し、かぐやはある髪型にたどり着く。
翌日 生徒会室
「おはようございます」
「おお!どうしたんですかかぐやさん!!」
「ああ、これですか。その、ちょっとイメチェンをと思いまして」
新しい髪型をしたかぐやが生徒会室へ行くと、藤原が目を輝かせながらかぐやに近づく。
今のかぐやは、長い髪を後頭部でリボンを使って纏めた、ひとつ結びに近い髪型だ。今までストレートロングな髪型しか見てこなかったのに、突然のイメチェン。おかげでかなり新鮮味がある。
「すっごくかわいいですよーー!」
「へぇ、いいじゃないか」
「ありがとうございます」
藤原と京佳が素直にかぐやを褒める。しかしそんな2人の反応なんてどうでもいい。重要なのは白銀だ。
「四宮」
「何ですか?」
するとさっそく、目標の白銀が話しかけてくる。そして、
「その髪型、凄く似合ってるぞ」
白銀は素直にかぐやの髪型を褒めるのだった。
「ふふ。そうですか。ありがとうございます、会長」
「……え?」
「さて、仕事をしましょうか。確か今日は文化祭に向けた予算の資料整理でしたね」
「おい待て四宮!今お前、俺の事を会長って…!」
「?どうかしましたか?あなたは会長なんですから、可笑しい事なんてないでしょう?」
「え!?いや!?ええ!?」
そう言うとかぐやは、黙々と資料整理を始める。
一方白銀は、唖然としていた。今までかぐやは自分の事を『白銀さん』と他人行儀な呼び方をしていたのに、突然の会長呼び。
しかもそれだけでは無い。先程、白銀がかぐやの髪型を褒めた時、かぐやは間違いなく笑った。あの氷のかぐや姫と呼ばれたかぐやが、はっきりと笑ったのだ。
(これは、まさか…)
考える白銀。今まで微塵も笑わなかったかぐやが、髪型を褒めたら笑った。それはつまり、褒められて嬉しいという事だろう。でなければ笑うなんてしない。
そして、そんなかぐやの反応を見た白銀は、
(こいつ俺の事好きなんじゃね!?)
というトンデモ無い結論に至ったのだ。
実は白銀、これまでの人生でそこそこモテてきた。しかし白銀に好意を向ける人が、揃いも揃ってイロモノな人達ばかり。結果、1度たりとも交際に至った経験なんて無い。
しかしこれが余計な自信を白銀に付けさせてしまった。こうも沢山の人から迫られる。つまりそれはモテているという事。そういった経験のせいで『俺はモテる』という非常に強い自信だけを白銀につけさせたのだ。
そう、この男こそ底なしの自信を無垢な貞操を兼ね備えた歪み、モンスター童貞なのである。
そして今、あの氷のかぐや姫がはっきりと笑った。ギャルゲーで例えると、無表情系ヒロインが初めて笑った瞬間である。間違いなくイベントCG、もしくはイベントスチルが見れるだろう。
またそういったヒロインが笑う瞬間といえば、好感度が上がった時。そういう話を中学の時の友達から聞いていた白銀は、かぐやの自分に対する好感度が上がった、もしくはデレたのだと認識。つまり、かぐやは自分に好意を向けているという事だろう。
中々にアレな考えだが、モンスター童貞である白銀だからしょうがない。だが白銀、更にアレな考えをする。
(まぁ、あれだ。四宮がどうしても付き合って欲しいと言えば付き合ってやるけどな!!)
生徒会長になり、様々な業務をこなして色んな自信を付けた白銀。そこにモンスター童貞魂が悪魔合体した結果、白銀のプライドはかなり高くなってしまった。
そのせいで、かぐやがどうしてもと言うなら付き合うというかなり上から目線な考えをするようになったのである。
(ふふふ、これはもう時間の問題だろうな)
そうほくそ笑みながら、白銀は仕事をするのだった。
(ふふ、あれは間違いありませんね。私がちょっと髪型を変えたとたん褒めるなんて。私に対する好意が見え見えですよ)
一方かぐや。彼女もまた、白銀と似たり寄ったりな事を考えていた。
(ですがこれでわかりました。恐らく、会長は私に恋愛感情的を向けているのでしょうね)
そしてかぐやはある結論に辿りついた。それは、白銀が自分び好意を向けているから生徒会へ誘ったというものだ。
(まぁ、この私に恋焦れない男なんて地球上にいませんし、これは仕方が無い事ですね)
これまでもかぐやにそういった想いを向けてきた男子生徒はいた。しかしどれもこれも有象無象の雑草ばかり。そんな輩に、かぐやが降り向く訳も無い。だが白銀は違う。十分自分に相応しい条件を持っている。
(確かに会長はこの私にテストで勝利し、更に生徒会長という役職を自力で手に入れ、優しい人で、そして何より目がいいです。彼なら、この私と付き合う可能性がギリギリのギリギリくらいはあるでしょう)
白銀のような突然変異みたいにプライドが高いのでは無く、生まれ持ってプライドの高いかぐや。結果、普通の女の子のになって白銀と楽しく過ごしたいという当初の目的を放り投げ、そんな考えを持ってしまう。
(まぁ、会長がどうしても言い、身も心も全て私に捧げると言うのなら、付き合ってあげてもいいですけどね)
そして本心では白銀が好きにも関わらず、素直になれない性格が災いし、色々言い繕ってそう思うようになってしまった。
(でもあの様子じゃ、会長から告白してくるのも時間も問題かしらね?ふふふ)
そう思いながらかぐやも、生徒会の仕事をするのだった。
(なんか知らんがあの2人から変な空気を感じた。気のせいか?)
そして最近すっかり蚊帳の外の本作主人公の京佳は、そんな事を思いながら仕事をするのだった。
Q、かぐや様チョロくない?
A、原作でも大体こんな感じだから
次回から京佳さんの出番ちゃんと増やします。あと過去編ももうすぐ終わりだけど、多分年内に終わらせるのは無理です。ごめんなさい。
次回は土曜日投稿予定。理由は日にち。
クリスマスの予定は?
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1人で過ごす
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友達と過ごす
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恋人と過ごす
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家族と過ごす
-
嫁(2次元)と過ごす
-
仕事です