もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 本編ガン無視の特別編のネタ回です。多分これが今年最後の投稿になると思う。2部7章やるので。

 今回、キャラ崩壊注意です。それとやや百合のお花畑表現もありますので、それもご注意してください。


特別編 天照様はみている

 

 

 

 

 

 秀知院女学園。

 近年では珍しい、全寮制の女子高。所属している教師も8割が女性。残った2割も男性ではあるが、年配の人しかいない。それだけ聞くとただの偏った女子高に聞こえるが、無論そうじゃない。この秀知院女学園は、国内トップレベルの進学校なのだ。

 授業内容も非常に高く、毎年開催される全国模試では、上位20名は全員ここの生徒。入学試験も非常に難関で、ここに合格できればどこの大学にだって合格できると言われている。

 更に所属している生徒も、大企業の娘、政治家の孫、芸能人の娘など多種多様。そういった生徒の為にも勉強だけじゃなく、マナー講座や華道、乗馬や茶道などの色んな授業を取り入れている。

 そしてそんな女子しかいない学園は、世間の男子からは『百合の園の学園』とも言われている。

 

 事実、それは間違いではない。

 

「あ、お姉さま。おはようございます」

 

「おはよう。あら、髪にほこりがついているわよ?」

 

「ええ!?すみません!!直ぐに落としてきます!!

 

「ふふ、そんな慌てなくていいのに。私が落としてあげるわ」

 

「そ、そんな!いけません!お姉さまの手が汚れてしまいます!」

 

「いいのよ。それであなたの髪が綺麗になるのなら、こんなのどうってことないわ」

 

「お姉さま…」

 

 小等部から高等部まで女子のみの学校。その間、同じ年の異性がいない為、こういったように女子同士で距離が超近くなってしまう生徒が後を絶たないのだ。故に、百合の園。

 また卒業後、そのままの価値観で社会に行ってしまう生徒が幾人か存在し、結果、異性に恋が出来な者がいる。

 最近は学園長が本気でこの事に悩んでおり、いっそ共学にするべきか思案しているくらいだ。

 

(入る学校、間違えたかしら…)

 

 そんな学園に今年入学した生徒である四宮かぐやは、たった今見た女子同士の絡みをみて、入学した学校を間違えたと思っていた。

 

 

 

 四宮かぐやは、高等部から編入してきた一般家庭出身の生徒である。生徒の殆どが、社長令嬢や家柄の良い子で占めている秀知院女学園ではかなり珍しい。どうしてそんな彼女がこの学園に入学したかというと、父親から暫く離れたいと思ったからだ。

 かぐやの両親は、お互いの歳がかなり離れている。父親は60を超えており、母親は40手前。歳の差実に20歳差以上である。問題はここからで、そんな傍からみたら祖父と孫にしか見えないかぐやの父親が、未だにかぐやを溺愛してくるのだ。

 歳がかなりいっている時に出来た愛娘。そんなの可愛いに決まっている。故に溺愛するのだが、正直それがうざい。

 そこでかぐやは、全寮制の高校を受験。それがここ、秀知院女学園だ。1度入学したら土日以外は学校の外に出れる事がほぼ無く、親に会えるのは年数回。あのうざい父親から距離を置く為に、かぐやはここを受験した。

 

 尚娘がこの学校を受験した時、父親はガチ泣きした。愛娘と離れ離れになるのが嫌だったからである。

 そしてここに来る前、つまり家を出た時に『いくなぁぁぁぁぁ!!かぐやぁぁぁぁぁ!!』と近所迷惑を考えないで大声で叫んでもいた。超恥ずかしかった。

 そしてそんな父親を母親はグーで黙らせた。怖い。

 

(でもまさか、女子同士でここまで距離が近かったなんて…)

 

 でも既に後悔している。他にも全寮制の学校はあったのだが、ここの方が費用の保証が手厚かったので選んだのだ。しかしあそこまで女子同士の距離が近い学校とは思わなかった。これなら、普通の高校に通っていた方がマシだったかもしれない。

 

(それより今は、私の部屋にいかないと)

 

 でもそんな事言っても後の祭り。既に入学しているので、今更他の学校へ編入なんて出来ない。それより今は、この寮の中にある自分の部屋にいかないといけない。

 今のかぐやは、大きいスーツケースと小さめのリュックサックを背負っている。これは全て、かぐやの私物が入っている。今はこの私物を寮の自分に与えられた部屋に置きたい。

 

(えっと203号室は…あった)

 

 すると直ぐに、これから住む事になる部屋が見えてきた。

 

(さっき職員に説明されたけど、確か相部屋なのよね?どんな人かしら?)

 

 ここに来る前、かぐやは学園の職員にこれから住む事になる部屋は相部屋であると言われている。正直不安だ。人間、相性の悪い人間とはとことん相性が悪い。もしそうだったら、これから3年間は地獄になるかもしれない。

 

(せめて普通の人でいて)

 

 ルームメイトがそうでない事を祈るかぐや。そして扉をノックする。

 

『どうぞ』

 

「失礼します」

 

 了承を得られたので部屋に入るかぐや。そして入ると、

 

「君が私のルームメイトかな?」

 

 なんか物騒な眼帯している女子がいた。

 

(え、こわ…)

 

 かぐや、少しビビる。扉を開けたら物騒な眼帯を装着している生徒がいた。まるで出来の悪いドラマのような展開。

 

「ん?どうかしたのか?」

 

「い、いえ…」

 

 しかしかぐやは前に進む。確かに見た目は怖いが、声は優しい。もしかしたら、良い人なのかもしれない。

 

「えっと、初めまして。今日からお世話になる、四宮かぐやと言います」

 

「初めまして。今日からルームメイトの立花京佳だ」

 

 自己紹介をする2人。これにより、かぐやの京佳に対する恐怖心が薄まった。

 

「そっちにある、君から見て右側のベットと机を使ってくれ」

 

「わかりました」

 

 京佳に言われ、スーツケースから荷物を出す。その間、京佳は本を読んでいた。

 

(何か会話をした方がいいのかしら?)

 

 荷物を整理する音だけはする部屋。何か会話をしないと、どこか気まずい。しかし相手とは初対面である為、なんて会話をすればいいかわからない。

 

「ちょっといいかな四宮さん」

 

「はい。何ですか?」

 

 そんな時、京佳の方からかぐやに話かけてきた。

 

「少し聞きたいんだが、君はどうしてこの学園に?」

 

 京佳が聞いてきた事は、入学理由。

 

「あー…」

 

 それを聞かれて、言葉を詰まらせるかぐや。だって言いたくない。60を超えている実の父親は超溺愛してきて、それがうざく感じたから態々ここを選んだなんて言いたくない。普通に恥ずかしいし。

 

「実は、ちょっと家で色々ありまして…」

 

「もしかして、暴力とかか?」

 

「いえ!そんなんじゃありません!ただ、少し言いづらい事が…」

 

「そうか。だったらこれ以上は聞かないよ」

 

 そう言うと、京佳は再び本を読む。その間かぐやは荷物を全て出し切って、机やクローゼットに整理しながら収納するのだった。

 

 

 

「こんな感じですかね」

 

「お疲れ様」

 

 一通り荷物を整理し終わり、かぐやはベットに腰かける。

 

「そうだ四宮さん」

 

「なんですか?」

 

「パートナーは決めたかな?」

 

「ああ、あれですか」

 

 京佳の言葉を聞いて、怪訝な顔をするかぐや。その理由は、京佳が言った『パートナー』にある。

 

 この学園では、生徒は可能な限りパートナーと呼ばれるペアを作らないといけないのだ。元々は生徒が孤立するのを防ぐために、学園主導で2人組を作らせて、生徒の孤立化を防ごうとしたのが発端である。

 しかし今では、まるで恋人のような意味合いに変貌している。勿論、学園の生徒全員がそうではない。だが1部の生徒が、そういう意味でパートナーを選んでいるのもまた事実。故にそういった話を、ここに来る前に聞いていたかぐやは怪訝な表情をしているのである。

 だってそんなの、普通の学校じゃしないのだから。

 

「というか、本当に必要なんですか?パートナーだなんて」

 

「いれば色々楽にはなるぞ。例えばパートナーと一緒に勉強ができれば成績も上がるだろうし、孤立する事もないだろう。それに、誰かと一緒というのは楽しいもんだぞ」

 

「うーん。でも…」

 

 京佳がメリットを話すが、簡単に納得は出来ない。別にそういう意味で選ぶ訳じゃないが、それでもはやり躊躇してしまう。

 

「ま、決して強制では無いんだ。思うところあったら、無理に選ぶ必要はないと思うよ」

 

「え、ええ。そうですね…」

 

「私もいないしね」

 

「そうなんですか!?」

 

「まぁ、色々あってね…」

 

 京佳の発言に、驚くかぐや。てっきり、京佳にはパートナーがいるかと思っていたからだ。

 

「そうだ。そろそろお昼だし、一緒に食堂へ行かないか?」

 

「そうですね。では、ご一緒させてください」

 

 時刻は12時前。ちょうどいい時間だ。こうして2人は、学園内の食堂へ赴くのだった。

 

 

 

 

 

「ここは、食事も凄いですね…」

 

「まぁ、一応国内トップの進学校だしね」

 

 食堂のメニューが凄いことに驚くかぐや。普通、学校の食堂に『鴨肉のコンフェ』とか『舌平目のムニエル』とか無い。普通はかつ丼とかうどんだろう。

 しかもこれ、全部無料。そりゃ驚く。周りにいる生徒は、それを臆する事も無く食べている。それも完璧なテーブルマナーで。

 因みにかぐや、殆どどんな料理か想像できなかったのでオムライスにしている。

 

「見つけたわ。京佳」

 

「ん?」

 

 かぐやが食事をしようとした時、後ろから声が聞こえた。

 

「四条か」

 

「ええ。で、そろそろ決心ついたかしら?」

 

 振り向くと、なんか目つきの鋭い女子が1人いた。どうやら四条というらしい。

 

「あの話か。それなら断っただろうに」

 

「あなたねぇ…!この私がパートナーになってあげるって言ってるのよ!どうして断るのよ!!」

 

 しかもなんか怒ってる。あとかなり上から目線だ。

 

「だから、私はパートナーは作らないって言ってるだろ。誘ってくれる気持ちは嬉しいけどね」

 

 話が見えてきたかぐや。どういう訳か知らないが、この四条と呼ばれている子は京佳をパートナーにしたいらしい。

 しかし、京佳はそれを断り続けているのだろう。

 

「そう。あくまで断るのね」

 

「ああ。もうあんなのはごめんだ」

 

(あんなの?)

 

 京佳が頑なにパートナーを選ばないのは、何か理由があるみたいだ。でもそれを指摘する事なんて、今のかぐやに出来る訳が無い。

 

「でも残念。そうもいかないのよね」

 

「何?」

 

 だが四条は、ほくそ笑みながら言う。

 

「実はね、理事長であるお父様に頼んで、あと5分以内にあなたがパートナーを見つけないと退学にするって事にしたのよ」

 

「「な!?」」

 

「退学が嫌なら、今すぐパートナーを作るしかないわよね?」

 

 それは脅し。完全な脅し。京佳もかぐやもこれには驚く。まさかこんな手段を使ってくるとは思ってもみなかったからだ。

 

「さぁ京佳。選びなさい。この私とパートナーになるか、退学か。ま、正解なんて1つしか無いと思うけどね」

 

「あ、あのちょっと!」

 

「は?誰よあんた?」

 

 溜まらずかぐやは四条に話かけてしまう。

 

「そんなの横暴ですよ!いくらなんでも、そんな権力を使うなんて!」

 

「あなた馬鹿なの?権力者っていうのは、権力を使えるから権力者なのよ」

 

「な!?」

 

 横暴。あまりに横暴。こんな生徒までこの学園には所属しているのかと驚愕するかぐや。

 

「さぁ京佳!残り1分よ!どうするの!!退学になりたくはないでしょ!?」

 

 京佳に対し、勝利を確信したような顔で言う四条。それに対して京佳は、

 

「3つ目だ」

 

「は?」

 

「だから3つ目の選択肢だ」

 

 3つ目の選択肢を選ぶ。そしてかぐやの肩を抱き寄せ、宣言する。

 

「私立花京佳は、この子、四宮かぐやをパートナーに選ぶ」

 

「は?」

 

「はいぃぃぃぃぃ!?」

 

『ええええええーー!?』

 

 かぐやを、パートナーに選ぶと。そんな京佳の行動に、周りも絶叫する。

 

「立花さん!?あなた急に何を!?」

 

「そうよ京佳!私じゃなくて、こんなどこの誰ともわからない子を選ぶってどういう事なの!?」

 

 かぐやは驚き、四条は憤慨する。

 

「いや、決めた。もう決めたんだ。だから、君のパートナーにはなれない。すまん」

 

 しかし京佳は譲らない。こうなったら、梃子でも動かぬだろう。

 

「えぇ、そう。そういう手段を取るのね」

 

「ああ。こういう手段を取らせてもらう」

 

「このオタンコナス!!自分勝手!!もう知らない!!京佳の馬鹿!!」

 

 そう言うと四条は、その場から走り去って行ってしまう。残されたのは顔を赤くしているかぐやと、未だにかぐやの肩を抱き寄せている京佳。そして色々な反応をしている生徒達。

 

「あ、あの、立花さん…?」

 

「と、言う訳だ四宮さん。今日からよろしく頼むね」

 

「は、はぃぃぃ?」

 

 こうして、四宮かぐやの忘れられない3年間の学園生活が幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 英集社 第3相談室

 

「ふむ…」

 

「「……」」

 

 そこには、眼鏡を掛けたスーツの男性が原稿を読み、それを緊張した面持ちで見ている金髪で右耳にピアスを付けている男と茶髪で眼鏡をかけている男。

 

 彼らは今、漫画の持ち込みをしている。そう、今上記に書いていた事は、全部彼から描いた漫画の内容だったのだ。

 

 事の発端は数か月前、2人で花火大会に行った時の事。そこで2人は、とある光景を目の当たりにしてしまし、一念発起して漫画を描きだした。それまで都内と普通の高校生として生活していたのだが、漫画を描くと決めてからは本気で漫画家を目指すようになっていった。

 

「うん」

 

「「!!」」

 

 出版社の編集者が持ち込んできた原稿を読み終えた。2人は思わず息を飲む。

 

「まず、ストーリー自体は悪くない。初めてに描いたにしては中々いいよ」

 

「そ、そうっすか」

 

「ありがとうございます」

 

「でも、絵の方はまだまだ練習が必要だね。このレベルじゃ、うちでは掲載できない」

 

「な、成程…」

 

「はい」

 

「あと、コマ割りももう少し勉強しないと。ところどころ読みづらいコマがある」

 

「は、はい!」

 

「わかりました」

 

 やはりと言うべきか、辛口なコメントばかり。もしかしたら、これを機に連載まで持って行けるかと思っていたが、現実は厳しい。

 

「さっきも言ったけど、初めて描いたにしてはかなりいいよ。初めてでここまで描ける人はそうはいないし」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「ありがとうございます」

 

 でも褒められもしている。それを聞いた2人は、今後はもっと沢山色々勉強して漫画を描こうと決意する。人は褒められると、やる気を出すものなのだ。

 

「どうか諦めないでね。また新しいのができたら、持ち込んできていいから」

 

「「ありがとうございます!!頑張ります!!」」

 

 こうして2人は、その後も何度も何度もダメ出しを食らったりしたが決して諦めず漫画を描き続け、数年後には見事連載を勝ち獲った。

 

 その漫画のタイトルは『天照様はみている』。

 

 これが日本中のあらゆる青少年たちの性癖を破壊し、更にアニメ化もすると人気が爆発。累計発行部数2000万部という大記録を打つ立てた。

 そしてそれから更に数年後。とある雑誌で作者の2人組がインタビューを受けた時、

2人はこう答えた。

 

 『今の僕たちがいるのは、あの日花火大会で出会ったとあるカップルのおかげです』と。

 

 

 




 ※登場しているのは名前と見た目が偶然一致しているだけの別人です。

 次回はちゃんと本編書きます。

 それじゃちょっと早いかもだけど、皆さん良いお年を。

クリスマスの予定は?

  • 1人で過ごす
  • 友達と過ごす
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  • 家族と過ごす
  • 嫁(2次元)と過ごす
  • 仕事です
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