もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
と言う訳で最新話投稿です。どうぞ。
冬休みも終わり、新学期である3学期が始まった秀知院学園。しかし生徒会は、割と暇を持て余してしていた。というのも、この時期のイベントと言えば修学旅行と卒業式くらいしかないのだ。
まだ1年生である白銀達には、修学旅行も卒業式もほぼ関係が無い。勿論、生徒会の仕事はそれだけじゃ無いので完全に暇という訳では無いのだが、それでも時間は余りがち。
「会長。紅茶を淹れたのですが、どうですか?」
「ああ、貰うよ」
「じゃあおやつの時間ですね~。今日は昨日お父様から貰ったこのシュークリームを食べましょう~」
「藤原、お前それどこに隠し持っていたんだ?ここ冷蔵庫ないよな?」
「まぁまぁ。細かい事はいいですから」
なので今日はこうして、皆でおやつの時間を取りながら休憩する事もできる。
「む。うまい。これひょっとして高級品か?」
「さぁ?お父様がお土産に買ってきたものなんで、どこのとかは知りません」
「藤原さん?せめてそれくらいは聞いておきません?」
「……」
和気あいあいと休憩をする4人。しかし、京佳だけは何時もと違って静かだ。
「立花?どうかしたのか?」
「え?何で…?」
「いや、なんかずっと静かだから…」
気になった白銀が、京佳に声をかける。
「いや、最近少し寝つきが悪くてね。それでちょっとぼーっとしていただけだよ。心配させてすまない」
「そうなのか?そういう時は白湯を寝る1時間前に飲んでからだと寝つきが良いから試してみてくれ」
「わかった。早速今日試してみるよ」
だが京佳は寝不足なだけのようだ。そこで白銀は、京佳がしっかり寝むれる為のアドバイスを送る。効果があるかどうかは個人差があるが、京佳はそれを早速試そうと決めた。
「それにしても寝つきが悪いですか。私もたまにそういうのありますよ。寝たいのに眠れないって嫌ですよね~。イラついちゃいますし、お肌にも悪いですし」
「そうですね。私も極稀にありますが、あれは本当にイライラしちゃいますよ」
「ああいうのは体内時計が少し狂ってるのが原因って聞くな。まぁ、俺はそんな経験無いんだが…」
「おー。流石ですね会長」
「ま、生徒会長ならそれくらい当然だ」
何時しか話は寝つきトークへ。実際、寝たいのに寝れないのは本当に辛い。なおこの時スマホを弄るのは絶対にやめよう。
(体内時計か…そんな理由だったらどれだけよかったか…)
そして京佳はそんな会話を聞きながら、最近中々寝付けない理由を思い返す。
京佳は最近、白銀の事ばかりを考えている。そしてその結果、寝付けられないでいるのだ。
ほんの少し前まではこんな事なかった。こうなったのは、新年を迎えてから。いや、正確にはそれまでも兆候はあったのだが、京佳はそれらの兆候を無視してきた。
(本当に何でだ?どうして私は、こうも白銀の事ばかりを考えている?)
白銀の事を考えると胸が温かくなる。
白銀の事を考えると鼓動が早くなる。
白銀の事を考えると幸せな気分になる。
この数週間、京佳はこればかり。流石に毎日寝れない訳ではないが、それでも熟睡できない日が多々ある。
(本当になんなんだこれは。いや、嫌な気分ではないんだけど…)
白銀の事を考えるとむしろ心地よい気分になる。それ自体は悪くない。でもそれはそれとして、寝付けない日々が続くのはキツイ。睡眠不足は色々な能力が低下するので、どうにかしたいところだ。
「会長。紅茶のおかわりはどうですか?」
「お、じゃあ貰おうか」
「わかりました」
「それにしても、四宮は紅茶を淹れるのが本当に上手だな」
「小さい頃にお茶の稽古をしていたので。四宮家の人間であれば、紅茶くらい上手に淹れないといけないとの事で」
「やっぱ色々大変なんだな…」
ズキリ
(ああもう、まただ…!)
そして京佳が最近寝付けれないのはそれだけじゃない。
白銀とかぐやが仲良くしているのを見ると、胸が痛いのだ。同時に、イライラもする。
(こんなの、まるで嫉妬じゃないか)
嫉妬。
それは相手の好意が自分ではなく、他の人を見ていると感じた時に、その相手の事をねたんだりしてしまう心理状態のことをいう。同時にそれは、その相手に自分が好意を向けている証拠でもある。
(だから違うって。白銀の事は友達として好きな訳で、そういんじゃない)
でも京佳はそれを否定する。確かに白銀の事は好きだが、それはあくまで友人として。断じて、異性として好きな訳じゃない。
(1度誰かに相談してみるか…?)
こういう時、誰かに話しを聞いて貰うだけで心が軽くなったりする。なので京佳は、近いうちに誰かに相談しようと考え出す。
問題はその相談相手である。出来れば万が一を考えて、白銀に近くない人が好ましい。そういった理由で、同じ生徒会のメンバーであるかぐやと藤原は論題だ。
(やはり恵美?いや最年長者である朝子さん?それとも母さんか?)
友人、行きつけの店の店長、母親。相談相手に相応しいといえばこの辺だろう。
(とりあえず、今日は白湯飲んで早めに寝よう)
そう思いながら、京佳もシュークリームを食べるのだった。
(あ、本当に美味しい)
因みに藤原が持ってきたシュークリームは本当に美味しかった。
翌日、京佳は相談をする事にした。
「で、一体何だよ?」
「ちょっと相談に乗って欲しくて…」
「はぁ?」
同じクラスの龍珠に。
誰かに相談しようと決めた翌日の昼休み、京佳は龍珠と中庭でお昼を共にしていた。元々お昼はよく一緒に食べているのだが、今日は食べるだけじゃない。例の件で話を聞いて貰うからだ。龍珠であれば白銀に話す事も無いだろうし、問題無いだろう。
「まぁ、いいけど」
「ありがとう」
「気にすんな。友達だろ?」
龍珠からも許可を貰えたので、京佳は最近の事を話しだす。尚この時、龍珠は少し照れ臭そうな顔をしていた。
「実はな、最近寝つきが悪いんだ」
「うん」
「寝ようとしても、何でか眠れないんだ」
「うん」
「そういう時って、何故か決まって白銀の事を考えていたりするんだ」
「うん?」
「そして何でかわからないけど、白銀の事を考えると胸がポカポカするんだ」
「……」
「あと白銀が四宮と仲良くしているのを見ると、モヤモヤしたりムカムカしたりするんだ」
「……」
「なぁ龍珠。これ何だと思う?」
要点だけ掻い摘んで話す京佳。そしてそれを聞かされた龍珠は、
(いや、どう考えても恋だろそれ…)
一発で答えがわかっていた。だってどう聞いても、京佳のそれは恋の症状だ。龍珠とてそれくらいはわかる。なんせここまであからさまなのだから。
(つーか人選ミスだよ…なんでそんな相談を私にするんだ…もっとこう、いるだろ)
同時に悩んでもいた。
龍珠桃 彼氏無い歴=年齢。
今まで異性と付き合った事なんて1度も無いし、何なら初恋だって経験が無い。唯一それらしいのといえば、小さい頃に組の若い衆を見てかっこいいと思った事くらいだ。
でもそれは単純な憧れ。恋なんかじゃない。つまり龍珠は、この手の話題に弱いのである。
(でも態々相談してくれたんだ。答えてやらねーと…)
でも龍珠にとって京佳は、秀知院で初めて出来た友達。そんな友達の事ならば、できればこの相談にもちゃんと答えてあげたい。なのでしっかりと、京佳の悩みに答える事にした。
「お前それ、白銀の事が好きだからじゃないのか?」
「え?」
龍珠、直球で答える。周りくどい言い方が嫌いだからだ。だからこそ直球。というかこういう言い方しか出来ない。
「だってよ、白銀の事が好きでもなければ毎日考えたりしないだろ?胸がポカポカしたりもしないだろ?だからさ、お前は白銀の事が好きなんだよ。異性としてな」
それは京佳が自分でも考えていた事ではあった。
「いや、それは違うと思うけど」
しかし京佳は、それを否定する。
「何でだよ」
「確かに白銀の事は好きだ。でもそれは恋愛的な意味じゃないんだよ」
「は?」
「私が白銀に向けている感情はあくまで友情だ。恋心じゃないよ」
「……は?」
龍珠、驚く。なんだそれはと。どうして態々そんな事を言うのだと。だって京佳の話を聞く限り、京佳は白銀が好きなのは間違いない。
なのに京佳はそれを否定する。誰が聞いても明らかに恋なのに、否定する。そして龍珠は、ある考えに至る。
(こいつひょっとして、無意識に自分の気持ちから目を逸らしてる?)
それは京佳が、自分の気持ちを見ようとしていないという事。どうしてこうなっているかは知らないが、ほぼ確定だろう。
立花京佳は、自分の気持ちに嘘をついている。
何かトラウマがあるのか、それとも生まれついてのものなかは知らないが、京佳は間違いなくそうだ。その結果がこれだろう。そうでなければ、ここまであからさまなのに否定なんてしない。
(どうしよう。これ私の手に余る…)
相談に乗って京佳の悩みを解決しようと思っていた龍珠だったが、これは無理だった。ただの恋愛相談ならまだしも、これは無理。
そもそも自分はそこまで人生経験も恋愛経験も豊富じゃない。こういうのは、もう少し歳を重ねている、様々な経験がある人の方が適任だろう。
「そうか。なら私の勘違いだな」
「ああ。でも本当に何だろうなこれ?」
「悪いがわからん。でもまぁ、あれだ。もしまだ眠れない日が続くんだったら、なんかの病気かもしれないから病院に行った方がいい。餅は餅屋って言うしな」
「そうだな。もしまだ続くようなら、そうするよ」
結果、龍珠は京佳の相談を投げた。最初の時に、京佳が自分の恋心を自覚してくれたらまだしっかり相談に乗れたが、そうじゃないなら無理。
それにもしかするとこれは精神的な問題かもしれない。もしそうなら、素人の自分では大したアドバイスが出来ないだろう。だから投げる。
(悪ぃ立花…今度それとなくつばめ先輩にでも聞いておくから…)
そして龍珠は、夏休み中に知り合った頼れる先輩である子安つばめに今度相談しようと決めた。
生徒会の仕事も終えた放課後。京佳は帰路に着いていた。
(私が、白銀を好き…)
昼休みに、龍珠に言われた事を考えながら。
(確かに白銀は好きだけど、それは本当に友人としてであって…別に異性としてでは…)
もう何度目かわからない自問自答。同じ事の繰り返し。そして出てこない答えに少しイラつく京佳。
(違うって。そんなんじゃ無いって)
そうやって考えながら帰っていると、京佳のスマホにメッセージが届く。
『京ちゃんへ。急遽飲み会に行く事になっちゃったから、今夜は夕飯いりません』
メッセージは母親からだった。どうやら今日は飲み会に行くので、夕飯はいらないらしい。
「ふむ」
京佳は考える。このまま家に帰って1人分だけ夕飯を用意するのも勿体ない。それならば、どこかで弁当なり外食なりして家に帰った方が色々楽だ。
「久しぶりに外食でもするか…」
少し悩んだ末、京佳は本日の夕飯を外で食べる事にする。そしてそのまま、何時もの喫茶店へと向かうのだった。
純喫茶 りぼん
「はい、オムライスお待たせ」
「ありがとうございます、朝子さん」
行きつけである喫茶店りぼんで、京佳はオムライスを注文する。そして運ばれてきたオムライスを、スプーンですくい、一口食べる。
「美味しい…」
「ふふ、ありがとう」
相変わらずここのオムライスは絶品だと思う京佳。何杯でも食べれそうである。
(やはり悩みがある時は、美味しいものを食べるのが良い)
人間は食べ物を食べると、幸福感に包まれる。これは人間にとって、食べる事は生きる事だからだ。
そして食べているものが美味しければ、その幸福感は増す。結果、多少なりとも悩みやストレスから解放されたりするのである。
(それにしても、どうしよう?)
だがそれはあくまで一時のもの。根本的な解決にはならない。
(どうして私は、白銀の事を考えるとこうなるんだ?)
正確には自分の事なのだが、京佳の今の悩みは白銀だ。
(この気持ちは何なんだ?何時もポカポカしたりムカムカしたり。まさか、本当に恋?いや、そんな訳…)
そんな訳無いと、必死にそれを否定する。
「どうかしたの京佳ちゃん?」
「え?」
そんな京佳に、店長である朝子が声をかける。
「いえ、ちょっと悩んでる事がありまして…」
「そうなの?ならお話だけなら聞くわよ?年寄りはそういうの得意だし」
「えっと…」
悩む京佳。確かに龍珠に話した時は解決には至らなかった。でも年長者である店長朝子なら可能かもしれない。なので京佳は話す事にした。
「わかりました。実はですね…」
京佳は話した。白銀の事。白銀の事を考えると胸が温かくなる事。白銀とかぐやが仲良くしているのを見ると、ムカムカする事。それら全てを、店長朝子に話した。
「成程ね」
全て聞いた店長朝子は、納得した顔で頷く。
「京佳ちゃん。あなたはその白銀くんに恋しているのよ」
「え…?」
そして龍珠が言った事と同じ事を、京佳に言うのだった。
「そ、そんな訳ありません…!私は、別に…!」
「いやでもお話聞く限り、どう考えても恋してるわよそれ?」
「そ、そんな事…」
またも京佳は否定する。
(違う…だって、だってそんなの…)
頭の中がグルグルする京佳。
だってそれを認めてしまうと、どうなるかわからない。
もしこれが本当に恋でそれを自覚してしまったらと思うと、怖いのだ。だって恋は、決して報われる訳じゃない。そこには、失恋の可能性だってあるから。
「京佳ちゃん」
「な、何ですか?」
「自分に素直になるのが、1番幸せになる方法よ?」
「え?」
そんな京佳に、店長の朝子は優しく話かける。
「悲しい時は悲しいと言い、嬉しい時は嬉しいと言う。ストレスがあったら、ストレスがあるって言う。そして誰かを好きになったら、素直に好きになっていいのよ」
「素直に…」
朝子の言葉を口にする京佳。
「私から質問いいかしら?」
「はい…」
「貴方は、白銀くんをどう思っているの?素直に答えて?」
「……」
朝子は京佳に質問をする。内容は勿論、白銀の事だ。
「白銀の、事を…」
京佳は白銀の事を考える。
(白銀はとっても努力家だ。最初は下から数えた方が早かった成績が、必死の勉強の結果1位になるまでになった。そう言うのかっこいいよな。それに生徒会長になってから、本当に激務なのにも拘わらず、生徒会の仕事をしっかりとやり遂げている。今までミスらしいミスが無いのがその証拠だろう。それは本当に努力しているからだ。でないとそんなの出来る訳が無い。そして、偏見を持たない。だから私の事を見ても怖がらなかった。あれは本当に驚いた…)
考えれば考える程出てくる白銀の事。同時に、胸が温かくなる。それはとっても、心地が良かった。
(ああ、そうか…)
今の今まで誤魔化していた気持ち。必死に違うと思い込むようにしていた自分の素直な気持ち。しかしそれが今、はっきりした。
(私は、白銀の事が好きなんだ…)
立花京佳は、白銀御行に惚れているのだと。
「どうやら、答えが出たみたいね?」
「はい」
この日立花京佳は、自分の素直な気持ちを自覚した。
「ならお祝いにコーヒーサービスさせて貰うわ。ちょっと待っててね」
朝子はそう言うと、厨房へとコーヒーを淹れるために入っていった。
(でも、もう遅いよな…)
しかし自分に素直になった京佳は浮かない顔をする。だっていくら自覚したところでもう遅い。
そもそもの話、白銀が好きなのはかぐやなのだから。
白銀が勉強を頑張ったのも、生徒会長になったのも、全て四宮かぐやの隣に立つにふさわしくなるためだ。
(そうだよ。今更私が入る隙なんてないじゃないか)
最近の2人を見ているとわかるが、あの2人は相思相愛だろう。そこに入る隙なんて、ある訳ない。
(もしも白銀と私が秀知院じゃない他の学校に行っていたら、付き合えたのかな?)
京佳はふと、そんなたらればを考えてしまう。
(やめだやめだこんなの。考えないようにしないと)
その考えを振り払らう京佳。だって所詮たらればだ。そんなの、考えるだけでむなしくなる。
この日京佳は、自分の恋を自覚したと同時に、それが既に終わっている事を理解したのだった。
Q、正月休みに投稿するとか言ってなかった?
A、正月休みって、結構やる事あるんですよ。
ごめんなさい嘘です。本当は今更ぼっち見てました。結果、サイト内の2次創作とか色々読みふけってた。
私も息抜きに書こうかしら。
過去編もあと2~3話くらい(予定)で終わります。もう少しお付き合いください。
次回も頑張りたいよね。
正月の予定は?
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初詣に行く
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餅やお節を食べる
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友達や親戚一同と集まって飲み食いする
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家でゆっくり過ごす
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仕事です…