もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 朝日が昇るまでは日曜日。

 いよいよクライマックス(過去編が)。


 追記 16日にちょこっとランキング乗りました。ありがとうございます。


立花京佳は振り向かせたい

 

 

 

 

 

 自分は白銀の事が好き。

 今までその真実から目を背けてきたが、とうとう京佳はその事を自覚してしまった。過去のトラウマのせいで、そういった事はもう2度と無いだろうと思っていたのに、これだ。

 やはり思春期の高校生が恋をしないなんて無理だし、同時に自分の気持ちに嘘をつき続ける事なんてできないのだ。

 しかし、それだけ。普通であれば、この自分の恋を成就させるために動くべきなのだろうが、京佳は動くつもりは無い。その理由はひとつだけ。

 

 最初から、この恋は実らないと知っているからだ。

 

 白銀はかぐやの事が好きである。だからこそ、白銀は勉強を頑張り、生徒会の仕事を頑張り、そして生徒会長になった。

 それからも白銀は兎に角頑張った。生徒会長としての仕事をこなし、勉強もしっかりやり、バイトだって必死にしてきた。これら全ての原動力は、かぐやに恋をしているから。だからこそ白銀は頑張れる。恋の力は、割と無限大なのだ。

 そしてそのかいあってか、最初こそどこかギスギスしていた2人の仲は、かなり良好になっている。一緒に紅茶を飲む事もあるし、一緒に楽しく話しながら生徒会の仕事もしている。あれだけ仲が良いのだ。これはもう、白銀の片想いという訳では無いだろう。少なくともかぐやの方も、白銀に対して友人以上の感情を抱いている可能性が非常に高い。

 質実剛健、聡明英知な生徒会長と、芸事、音楽、武芸と様々な分野に華々しい功績を残している副会長。もしも2人が両想いだったら、これほどお似合いなカップルもいないだろう。

 

「最近、四宮さんをどう思いますか?」

 

「どうとは?」

 

「なんというか、お綺麗になった気がしません?」

 

「わかりますわ!今までもお綺麗だったのですが、最近の四宮さんはそれ以上にお綺麗になった気がします!」

 

「もしかして、恋とか?」

 

「恋!?」

 

「ええ!だって恋する女性は美しいというじゃありませんか!」

 

「だとすれば、相手は…?」

 

「そんなの白銀会長に決まってます!他にいますか!?」

 

 事実、こういった噂をする生徒がチラホラいる。

 

(そりゃそうだよな…お似合いだもんあの2人…)

 

 そんな噂話をしている生徒をしり目に、京佳は廊下を歩いていく。でもその顔は、暗い。

 

(何落ち込んでいるんだ。わかってた事だろう。元から私が入る隙なんて無い事くらい…)

 

 恋心を自覚した京佳だったが、既に遅い。今の自分は出遅れているなんてものじゃない。仮にここからスタートしても、とうてい白銀とかぐやには追い付けない。とっくに勝負なんてついている。

 

(そうだよ。今更頑張っても意味ないじゃないか。それに、そもそも私みたいな女が白銀の隣に立って良い訳ない…)

 

 それだけじゃない。京佳は自分の見た目が、非常にコンプレックスだ。並みの男子より大きい身長も、多くの女子より大きな胸も、顔に装着している黒い眼帯も。その全てにコンプレックスを感じている。こんな物騒な見た目の自分が、白銀の隣に立って良い訳が無い。仮に白銀が許しても、世間が許さないだろう。

 対してかぐやは、小柄でかわいらしい背丈。控えめな胸。綺麗な黒い髪に、非常に整った顔。まるで昔話の輝夜姫そのものだ。自分とは180度反対方向にいる存在。かぐやのような子であれば、白銀の隣に立っても誰1人文句なんて言わなずに、祝福するだろう。

 

(せめてもう少し身長が低ければなぁ…)

 

 身長が白銀より低ければ、京佳もここまで思わない。しかし男性は、自分より身長の高い女性と付き合いたいなんて思わないという。

 そして京佳の身長は、白銀より大きい180cm。秀知院に入る前より、また数センチ伸びている。この大きな身長と物騒な見た目が合わさった結果、京佳は自分が白銀にはふさわしく無いと思っているのだ。

 

(まぁあれだ。私にまた恋をさせてくれてありがとうとでも思っておこう)

 

 なので京佳は、何もしない。白銀にアプローチする事も、かぐやに先んじて行動を起こすような事もしない。だって動いたところで既に遅いし、そもそも自分では白銀と釣り合わなのだから。

 そして心の中にこの想いをしまい、密かに白銀に感謝をしながら生徒会室へ足を運ぶのだった。

 

 

 生徒会室

 

「にしても、今日は随分暖かいな」

 

「そうですね。まだ冬だというのに、少し熱いくらいですよ」

 

「ですねー。でも明日は一気に冷え込むらしいので、寒暖差に気を付けないとですよねー」

 

「そうだな。風邪はひきたくないし」

 

 生徒会室では、生徒会役員が会話をしながら仕事をしていた。といっても対した仕事じゃない。やはり3学期は、どこか暇を持て余す。

 

 (しかし風邪か。もしも俺が風邪をひいたら、四宮が看病に来てくれたりしないかな?)

 

 白銀はふと考える。風邪をひいた自分の元にやってくるかぐや。額の汗を拭いて貰ったり、おかゆを作ってもらったり、あーんとかされたり。そんな妄想を膨らませる。

 

(イイ…)

 

 普通なら逆の立場の方がシチュエーション的には良いのだが、これはこれでいい。

 

(いっそ態と風邪を…ってそんなのダメに決まってるだろ。バイト休む事になるし)

 

 そういったものに憧れはするが、流石にそれがしたいが為に風邪をひく訳にはいかない。風邪薬だって安くは無いし、勉強をする事もできない。何より、家の収入源が減ってしまうのは痛い。

 

(そういうのは、本当に風邪をひいた時まで我慢しておこう)

 

 白銀は我慢する事にした。最も、仮に本当に風邪をひいても、かぐやが白銀家に来るかどうかはわからないのだが。

 

(風邪か…小さい頃にひいて以来無いな…)

 

 一方京佳。彼女もまた、白銀と似たり寄ったりの事を考えていた。

 

(もしも私が風邪をひいたら、白銀が看病にきてくれないかな?)

 

 前に読んだことのある漫画でのシチュエーションを思い返す。風邪をひいたヒロインの元に主人公がお見舞いにきてくれて、おかゆを作って食べさたりした事。汗をかいたヒロインの背中を、主人公が目隠しをした状態で、タオルで拭いてあげた事。ヒロインが寝付くまで、手を握ってあげた事。

 そして京佳は、それらを自分と白銀に置き換えてみた。

 

(いいなぁ…)

 

 ややトリップ気味になる京佳。

 

(って違う違う。そんな事考えるんじゃない。未練たらたらじゃないか)

 

 そういった考えを消し去る京佳。これじゃ白銀に未練しかない。自分はこの恋を諦めているのだ。そんな事を、考えてはいけない。

 

(でももし、四宮が風邪をひいたら、白銀は四宮の看病に絶対行くよな…)

 

 今度はかぐやが風邪をひいたパターンを考える。京佳が思った通り、そうなったら間違いなく白銀はかぐやの元へお見舞いに行くだろう。

 

 ムカムカ

 

(なんか腹立つなこれ)

 

 そう考えると、腹が立つ。なんて羨ましい。自分だってそういうのに憧れているというのに。

 

(だから違うって!そんな事考えるからダメなんだ!考えるんじゃない私!!)

 

 こんな事を考えるからこうなる。京佳は今度こそそういった考えを消し去り、生徒会の仕事をするのだった。

 

 

 

 

 

 夜 立花家 京佳の部屋

 

(眠れない…)

 

 その日の夜、京佳はまた寝付けないでいた。それまでも寝付けない夜はあったが、白銀への恋心を自覚してからは頻度が一気に増えている気がする。

 白湯を飲んだり、睡眠に効くツボを押したり、睡眠導入音楽を聞いたりしているが、効果が無い。どれだけ寝ようとしても、白銀の事ばかり考えてしまう。

 

 白銀がかぐやと仲良くしているのを思い出すと、ムカムカする。

 白銀がいつかかぐやと恋仲になるかもと思うと、イライラする。

 白銀が自分を友達としか見ていないと考えると、モヤモヤする。

 

 結果、寝れない。ベットに入って1時間たっても、眠れない。

 

(これもう病気だよなぁ…)

 

 恋は一種の病気扱いされる事もあるが、まさに今の京佳はそれだろう。これはまさに、恋患いだ。

 

(考えないようにしているのに、どうしても考えちゃう…本当にどうしよう…?)

 

 成就しない恋とわかっているのに、どうしても諦めきれない。だからこそ、こうも白銀の事を考えてしまう。

 

(生き地獄だよこんなの…)

 

 結局、その日京佳が眠れたのは深夜3時を過ぎたあたりだった。

 

 

 

 

 

 翌日 

 

(眠い…)

 

 京佳は睡眠不足で絶不調だった。右目の下には隈もある。そのせいで、人相が何時もより悪く見えてしまっている。おかげで、廊下を歩くだけで多くの生徒が道を自ら開けている。まるでモーゼだ。

 

(寝たいけど、生徒会の人間が居眠りなんてする訳にはいかないしな)

 

 まだ1限目すら始まっていない。出来ればこのままどこかで寝たいが、授業を休む訳にもいかない。休めばそれだけ授業に遅れるからだ。

 それにもし授業中に寝てしまったら、自分を選んだ白銀の評価に響くかもしれない。なので根性で午前中を頑張ろうとしているのだが、

 

(あ、やばい…)

 

 つい足がフラついてしまう。もういっそこのまま廊下で倒れてしまうかと思ったその時、

 

「よっと。大丈夫か立花?」

 

「え?」

 

 誰かに肩を掴まれ、事なきを得た。

 

「白銀?」

 

「ああそうだ。で、大丈夫か?随分フラついてたみたいだが」

 

「ああ、大丈夫…いやごめん。実は凄く眠くてキツイんだ」

 

 白銀から一歩距離を取り、本音を話す京佳。白銀は京佳の顔を見る。

確かに顔色がよくない。それについさっきフラついていた。これではまともに授業を受けるのは難しいだろう。

 

「立花。ちょっと来てくれ」

 

「え?どこに?」

 

「いいから、ほら」

 

 そう言うと、白銀は歩き出す。京佳はその後を、静かについていくのだった。

 

 そして2人がたどり着いた場所は、

 

「保健室?」

 

 どこの学校にもある、保健室だった。

 

「えっと白銀?どうしてここに?」

 

 白銀に質問する京佳。すると白銀は、

 

「立花。今すぐベットに寝るんだ」

 

「え?」

 

 なんか凄い事言い出した。

 

(ベットに寝る?えっと、それは……まさかそういう意味!?

 

 寝不足のせいで正常な判断が出来ない京佳は、白銀の言葉の意味をやらしい意味で捉えた。

 

(いやいや!?まだ朝だぞ!?そもそもここ学校!!それに白銀は四宮が好きなんだろう!?それなのにこんな!?い、いやでも、この恋が実らないのなら、せめて1度だけ体だけの関係を作るのもやぶさかじゃ…)

 

 ぐるぐると頭の中で色々考え出す京佳。そんな京佳に、白銀は喋りかける。

 

「そんな状態で授業なんて出ない方がいい。最悪、授業中に倒れるかもしれない。せめてここで2時限目の終わりくらいまでは寝ておくべきだ。睡眠不足は色んなパフォーマンスを低下させるからな。俺は慣れているから大丈夫だが、立花はそういうのに慣れていないだろう?だから寝ておけ」

 

「あ、ああ。そういう…」

 

 白銀の発言で冷静になる京佳。

 

「でも白銀。休むと授業に追いつけなくなるかもしれないし、それに私は生徒会の人間だ。なのに寝るなんて」

 

「もし授業でわからないところがあったら、放課後にでも俺が教える。それに生徒会役員だって人間だ。体調のひとつくらい崩すから、誰もその事を攻めたりしないよ。だから、兎に角今は寝ておくんだ。立花が眠るまで、俺が傍にいるから」

 

「……そうだな。それじゃお言葉に甘えて」

 

 そう言うと京佳は、保健室のベットに上がり、布団を被る。すると一気に睡魔が襲ってきた。これなら、数分で眠れそうだ。

 

「立花のクラスには俺から体調がすぐれないから保健室で休んでいるって言っておくよ。じゃ、ゆっくり休めよ」

 

 白銀は、保健室にあったイスに座り、ベットとは反対方向を向く。そして鞄から参考書を取り出して、読みだした。恐らく復習をしているのだろう。

 反対方向を向いているのは、京佳の寝顔を見ないようにするため。誰しも他人に寝顔を見られるのは嫌だろうからと思った白銀の、紳士的な行動である。

 

(本当に、優しいな…)

 

 薄れゆく意識の中、京佳は白銀の優しさを感じていた。

 

(殆どの人は、こんな見た目が怖い私を助けようとしない。無視するだけだ。でも白銀は、黙って助けてくれた…)

 

 この見た目から、大勢は京佳に近づこうともしない。今日だってそうだ。廊下では、皆が道を開けていた。

 だが白銀は違う。誰よりも早く、黙って助けてくれた。こんな男の子がいるなんて思わなかった。

 

(ああ、ダメだ…)

 

 そう思うと、もうダメ。必死で考えないようにしていたのに、こんな風に優しくされたらダメ。こんな事されたら、余計に想ってしまう。

 

(やっぱり私は、白銀が好きだ…)

 

 自分の好きな人の事を。

 

 

 

 

 

 数日後 純喫茶 りぼん

 

「それで、相談って何?」

 

 京佳は恵美と共に、行きつけの喫茶店であるりぼんへと来ていた。因みに今日の席は、いつものカウンター席では無く、店内奥に設置されているテーブル席だ。ここならば、誰かに話を聞かれるリスクがかなり低い。

 

「実はな恵美…私今、好きな人がいるんだ…」

 

「詳しく」

 

 親友のまさかの恋愛相談に恵美は食いつく。そして京佳から話を聞くのだった。

 そして京佳は話し出す。白銀の事。かぐやの事。そして自分では釣り合わないので、この恋を諦めたいと思っている事。それら全てを恵美に話した。

 

(どうせ報われないんだし、どうにかしてこの恋を諦めないと…)

 

 どうして京佳がこんな事を言ったかというと、さっぱり諦める為だ。元々自分なんかじゃ釣り合わない相手だ。仮に告白したところで、間違いなくフラれるだろう。

 そもそもこんな自分の事を、白銀が異性してみている訳ないのだから。だからこそ早めに諦めたい。

 しかしどれだけ諦めようとしてもそれが出来ず、むしろその想いは強くなる一方。もう自分ではどうしようも無いので、恵美に相談する事にした。悩んだら誰かに相談。これ覚えておこう。

 

「という訳なんだが、どうしたらいいかな?どうやったら、この想いを捨てられるかな?」

 

 全部話した京佳。そしてそれを聞いた恵美は、

 

「てい」

 

「いた」

 

 京佳のおでこにデコピンをした。痛い。

 

「あのね京佳、あんた馬鹿?」

 

「酷い」

 

 突然の親友からの暴言にヘコむ京佳。だが恵美はそんな事お構いなしに話を続ける。

 

「そもそもさ、一体誰が決めたのよそれ」

 

「え?」

 

「自分とその白銀くんは釣り合わないってやつ」

 

「だ、だからそれは、私みたいなデカくて物騒な女が白銀の隣に立てる訳ないって事で…」

 

「つまり京佳の勝手な判断よね?」

 

 バッサリ切り捨てる恵美。

 

「京佳。確かにさ、京佳は怖がられたりしてるよ?でもさ、その白銀くんはそんな事しなかったんでしょ?」

 

「あ、ああ…」

 

「じゃあどうして諦めるのよ。話聞く限り、その白銀くんて凄い良い子じゃん。京佳を生徒会に誘ってもくれたし、体調が悪い時に保健室まで連れて行ってくれたし、なのより京佳に偏見持ってないじゃん。それなのに、どうして諦めるの?そんな子、早々いないよ?」

 

「それは…白銀は四宮の事が好きだからであって…」

 

「でもまだ付き合ってないんでしょ?その2人」

 

「……」

 

 黙ってしまう京佳。しかし恵美は更に続ける。

 

「2人がまだ恋人じゃないなら全然可能性あるじゃん。流石に既に恋人な2人の間に入って、略奪愛するっていうなら話変わるけど、違うでしょ?だったら今からでも、京佳が白銀くんと付き合える可能性は十分にあるって。出遅れているからだとか、両想いかもしれないからだとか、やる前から諦めてどうすんの」

 

 恵美はコーヒーを一口飲み、話を続ける。

 

「私はさ、京佳には幸せになって欲しい」

 

「恵美…」

 

「だってあんな身勝手な理由で大火傷負わされて、その上その火傷跡を見たやつらから酷い事言われたんだよ?京佳はもう充分ひどい目にあってるじゃん。禍福は糾える縄の如しって諺あるし、そろそろそういった幸せを手にしたっていいじゃん。だからさ、自分じゃ釣り合わないからなんて言わないでよ」

 

 本当に身勝手な理由で、京佳は左目の視力を永遠に失った。そして顔の左側には、未だに消えない火傷跡。この火傷跡を隠すため、京佳は日ごろから黒い眼帯を装着している。

 でもそれが原因で、京佳はかなり人相が悪い印象を持たれてしまった。結果、誰も京佳に近づこうとしない。皆、怖がっているからだ。

 

 だが白銀御行は違った。

 

 京佳を怖がらず、火傷跡を見ても気味悪がらず、今でも京佳の傍にいる。そこになんの打算も無い。そんな優しい男の子が、白銀だ。恵美の言う通り、こんな優しくて素敵な男の子、早々いないだろう。

 

「京佳、私から質問するね?」

 

「ああ…」

 

「京佳はさ、本当にその白銀くんを諦めたいの?」

 

 恵美は確信を突く質問を京佳にする。

 

「そんな訳ないだろう…」

 

 そして京佳はその質問に、素直に答えた。

 

「諦めたくなんてないよ。だって、やっとまた人を好きになれたんだ。もうあんな思いをしたくないから、恋なんてしなくていいって思っていたのに、また好きになれたんだよ。こんな私に友人として接してくれて、色々助けてくれた。そんな白銀を好きになれて幸せだったんだ。だから出来る事なら、私は白銀の隣に立ちたいよ…」

 

 それは本音。今まで閉まってきて、目を逸らしてきた本音。

 

「白銀とどこかに遊びに行きたい。白銀と一緒に勉強をしたい。白銀と一緒にお昼を食べたい。そんな事を、白銀と沢山したい…」

 

「つまり?」

 

 それは勿論、友達としてではない。

 

「私は、白銀の恋人になりたい」

 

 恋人としてだ。

 

「そっか。それが京佳の気持ちなんだね?」

 

「ああ」

 

「なら、今から頑張らないとね」

 

「ああ」

 

 恵美に背中を蹴とばされ、自分の素直な気持ちを口にした瞬間、京佳の中にある想いが生まれる。

 

 かぐやだけには、白銀を取られたくないという想いが。

 

(そんなの、嫌だ)

 

 それだけは嫌だ。自分だって白銀が好きなんだ。確かに2人は両想いかもしれない。でも未だに付き合っている訳じゃない。だったら、この恋愛戦争に自分が参戦したって問題無いだろう。その事に、誰にも文句を言わせるつもりもない。だって恋愛をする権利は、誰にでも平等にあるのだから。

 

 この日京佳は決意した。必ず白銀の隣に立ってみせると。

 

(四宮はとっても手ごわい。見た目も可憐だし、色んなことが出来る。何より白銀と両想いの可能性が非常に高い。私じゃ勝ち目なんて低すぎるだろう)

 

 出遅れているなんてものじゃない。相手はもうゴール手前まで進んでいる。対して自分は今からスタートだ。出遅れなんてものじゃない。下手すれば周回遅れかもしれない状況だ。

 

(でも、それがどうした?)

 

 だがそんな事わかっている。出遅れているのなら、その後ゴール目指して、誰よりも早く加速をすればいいだけだ。

 だって2人はまだ、ゴールにはたどり着いていない。ならば、まだ可能性はゼロなんかじゃない。

 

「良い顔してんじゃん」

 

「そうか?」

 

「うん。かっこいいよ」

 

「ふふ。ありがとう」

 

「じゃ、京佳が覚悟決めたって事で、戦勝祈願しよっか。すみませーーん!ホットケーキを2人分くださーい!!」

 

「戦勝祈願って、物騒な」

 

「恋は戦いって言うし、良い例えだと思うけどなぁ?」

 

 恵美は戦勝祈願と称してホットケーキを注文する。

 

(待ってろ白銀。必ず君を、私に振り向かせてやるからな!そして四宮、君にだけは負けないぞ!この恋だけは、絶対に成就させてやるんだからな!!)

 

 京佳は決意した。必ず白銀を振り向かせると。その為に、一切の努力は怠らないと。そして何時の日か必ず、自分は白銀の恋人になってみせると。

 

 

 

 この日、四宮かぐやが知らないところで、1人の恋敵が生まれたのだった。

 

 

 

 

 




 正直これで過去編終わってもいいかもとか思ってます。蛇足かもしれませんが、あと1話程お付き合いください。

 次回はどうなるか、今週ゆるりと考えときます。
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