もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 無事に女教皇様をお迎えできたので投稿です。やっぱ性能より見た目ですよね。

 今回、会長がちょっとアレな感じになってるので注意。


恋する乙女達と文化祭偵察デート(un アン)

 

 

 

 

 

「それでさー、その時のバイト先の店長が本当に面倒くさい人でさー。私が態々用意したものを『やっぱいらない』とか言うんだよ!酷くない!?」

 

「それは酷いな。元々自分で言い出した事なのに急にそんな事言うのは、人としてどうかと思うよ」

 

「だよね!私マジ手出そうになったもん!」

 

 昼休み。京佳は久しぶりに早坂に誘われ、中庭で昼食を共にしていた。京佳は自宅で作って持ってきた弁当を。早坂は購買で購入したサンドイッチを。

 2人は楽しく話しながら、というか主に早坂が愚痴を言って、それを京佳が聞くという構図でそれぞれ昼食を食べていた。

 

 尚、早坂の愚痴の内容は全部かぐやの事である。勿論、実名は出せないのでぼかしているが。

 

「そういえばさ京佳。ちょっといい?」

 

「何だ?」

 

「文化祭でさ、白銀会長を誘ったりするの?」

 

 ここで早坂が質問をする。早坂が京佳を昼食に誘ったのは、情報を集める為だ。京佳は早坂の主人であるかぐやと同じで、白銀御行に好意を抱いている。

 そしてかぐやと違い、京佳は常に素直にその想いを伝えてきた。結果、最近の白銀はあきらかに京佳を意識している。主人の恋を成就させたい早坂にとって、それはよろしくない。

 そして京佳ならば、文化祭で白銀に何かをするだろうという予感があった。なのでここで少しでも情報を集めておく必要がある。これはそれ故の昼食なのだ。

 

 後、溜まっているかぐやの不満を愚痴として吐き出したいという思いも少しあるが。

 

「そのつもりだよ。1日目はクラスの出し物で忙しいから無理だろうけど、2日目は白銀を誘って一緒に文化祭を回りたいと思ってるよ」

 

「うっはー。そう言える京佳ってやっぱ凄いやー。普通は少し恥ずかしくて抵抗ない?」

 

「あるけど、折角のチャンスを棒に振る方がよっぽど嫌だからね。自ら動かないと、どんなチャンスも手にする事さえできないし」

 

 そしてやはり、京佳は文化祭で白銀誘い、共に色々回るつもりらしい。

 

(なーんでかぐや様はこれが出来ないかなぁ…)

 

 改めて、己の主人の事を嘆く早坂。かぐやが特に動かず、白銀から告白されるのも待ち続けた結果、京佳はかぐやに追いついた。

 今ではもう、当初のアドバンテージなんてどこにもない。完全に拮抗状態だ。もしかぐやが京佳の半分くらい素直だったら、京佳はとっくに敗北してたというのに。

 

「でもその前に、今日にでも白銀をデートに誘おうと思ってるんだ」

 

「え?」

 

 そう思っていると、京佳が聞き逃せない事を言い出す。

 

「前にスイパラで会った恵美って子がいただろ?あの子の学校が、今度文化祭をやるんだ。是非来て欲しいって誘われてね。そこに『文化祭の偵察』という名目で白銀をデートに誘うつもりだ」

 

 秀知院の文化祭は12月後半と結構遅い時期にある。その為、他の学校と文化祭が被る事が先ず無い。更に他校の文化祭の偵察という名目も、デートに誘いやすい。これを断るというのは、中々いないだろう。

 

「えっと、でもどうして?」

 

「いや、白銀に告白する前にもう少し私の事を意識させようと思ってね」

 

「……それって」

 

「ああ。私は、文化祭で白銀に告白をするつもりだ」

 

 思わず手に持っていた紙パックのコーヒー牛乳を落としそうになる早坂。なんと既に京佳は、白銀に告白をする事を決めていたのだ。かぐやは未だに、そんな事をハッキリとは言えないというのに。

 

(まずい…これ本当にまずい…)

 

 これはかなり危機的な状況だ。現状、白銀は間違いなく京佳を意識している。そんな白銀に、京佳との文化祭前デート。そこからの文化祭本番での告白というコンボ。

 こんな事されたら、ほぼ確実に白銀は京佳の告白を受け入れてしまう。つまりそれは、かぐやの敗北を意味する。

 

(でも、どうすれば…?)

 

 だがここでその文化祭デートをやめさせようとするのは、明らかに怪しい。というか不自然だ。それに京佳なら、例えこちらが何を言っても、白銀との文化祭デートを慣行するだろう。

 

「どうかしたのか早坂?」

 

「い、いや、何でもないよ。ただ、少し驚いちゃっただけだから」

 

 自身の内情を悟らせないよう取り繕う早坂。同時に、どうすればいいか考える。しかしどうすればいいのか、全く思い浮かばない。

 

「まぁ、あれだ。デート頑張ってね?」

 

「…?ああ。そりゃ勿論」

 

 不信に思われないよう、京佳には激励の言葉は送っておく。京佳はそれを受け止め、残りの弁当を食べる。早坂も紙パックのコーヒー牛乳を飲み干す。

 

(先ずはかぐや様に報告かな…)

 

 このままではラチが開かないので、とりあえずこの事を主人のかぐやに報告する事にした。それまでに何か案を出せればいいとも思う。

 

(頑張って、未来の私…)

 

 早坂は未来の自分にそう願うのだった。

 

 

 

 

 

 放課後 空き教室

 

「という事が昼休みにありました」

 

 普段誰も近づかない空き教室で、早坂は昼休みの事をかぐやに報告していた。京佳はこの放課後に白銀をデートに誘うつもりなので、今のうちに報告しておかないと間に合わない。

 尚、その京佳は掃除当番の為、今はまだ生徒会室に向かってすらいない。最も、時間の問題ではあるが。

 

「……」

 

 そしてそれを聞いたかぐやは、目からハイライトをさよならさせた。同時に、体中から憎悪を纏ったオーラも出す。コワイ。

 

「早坂、今すぐあの女を殺してきてちょうだい」

 

「だーからそういうのはしませんって。てか学校内でそんな事出来る訳ないじゃないですか」

 

 そのままの状態で、早坂に京佳の抹殺命令を出すかぐや。

 

「問題ないわ。どんな場所にも死角というのはあるもの。そこまであの泥棒猫を誘い込んで、背後からスタンガンを当てて気絶させる。その後四宮家が所有している薬品工場に運んで綺麗に消してしまえば行方不明扱いになるから大丈夫よ。この日本では年間何百人も行方不明になってるし」

 

「人はスタンガンでは早々気絶しませんよ。あとどうやって学校から外に運ぶんですか。目立つでしょ」

 

 嫉妬深いかぐやは京佳を始末しようとするが、そんな作戦がそう簡単に行く筈無い。そもそも早坂は、京佳を亡き者すするつもりなんて全くないし。

 

「かぐや様、本当にいい加減にしません?」

 

「何がよ」

 

「そういうのです。そもそもの話、そんな事しなくてもいい方法があるじゃないですか」

 

「え?」

 

 早坂のその言葉を聞いて、急に殺気を消してスンッとなるかぐや。

 

「そ、それはなに?今すぐ教えて早坂」

 

 先程まで目に無かったハイライトも元に戻り、急にしおらしく早坂に尋ねる。普段からこれくらいの状態ならいいのにと早坂が思ったのは内緒だ。そして早坂は、ここに来るまでに考え付いた事を口にしする。

 

「簡単です。かぐや様が立花さんより先に白銀会長を誘うんです」

 

 それは単純に、先手を打つ。つまり京佳が誘うより先に自分が誘ってしまえばいいのだ。

 

「な、成程…」

 

 顔を少し赤くしながらも、かぐやは納得する。冷静に考えたらそうだ。邪魔者を消してしまうより、こっちの方がずっと健全で正攻法なのだから。

 

「幸い、立花さんはまだ掃除の最中で生徒会室には行ってません。その間に『文化祭を成功させるために他校の文化祭を偵察する』とい体で白銀会長を誘うんですよ。今の白銀会長であれば、前に動物園に誘った時と同じように、その誘いを受けると思います」

 

 少し前に、かぐやは勇気を振り絞って白銀をデートに誘った。その時、白銀はその誘いを受け入れてくれた。その事例があるので、今回もうまくいく筈である。

 

 だが、

 

「で、でも…」

 

「何ですか?」

 

「……恥ずかしい」

 

「は?」

 

「会長に直接言うなんて、恥ずかしくてできないわよ!!」

 

「はぁぁぁーーー!?」

 

 かぐやはここでヘタれた。前回は、電話越しに白銀をデートに誘った。だが今回は、生徒会室で直接誘う事になる。それがすっごく恥ずかしい。とてもじゃないが、白銀の顔を見ながら直接デートに誘うなんて出来ない。

 

「いやこの期に及んで何言ってるんですかかぐや様!?」

 

「だって恥ずかしいんだもん!無理よ!!会長に直接そんな事言うなんて無理よ!!」

 

「前回は誘えたでしょ!!今回は前回の延長戦、もしくは応用と思えばいいんですよ!!」

 

「無理!無理なものは無理!!」

 

 もう本気でグーで殴りたい。早坂はこの時真面目にそう思った。そんなんだから京佳に追いつかれるどころか、今では追い抜かされそうになっているというのに。

 

「そうだわ。今日家に帰ってから会長に電話すればいいのよ。そうすれば会長だって私の誘いを受けてデートに行ってくれる筈…」

 

「立花さんはこの後誘う予定なんですよ?それじゃ間に合いません」

 

「貴方が立花さんを足止めしておけばいいじゃない」

 

「いや限界がありますって。足止めするにしてもせいぜい数十分。今日生徒会室に行かせないようにするのは無理ですよ」

 

「そこは半日くらい何とかしなさいよ!!」

 

「そんな無茶な」

 

 最早ブラック企業の上司みたいな事を言うかぐや。何時もこんな感じではあるが、今回のは何時ぞや病院での恋の病診断並みに酷い。

 

「もうマジでここで勇気出さないで何時出すんですか?そのまま勇気を出さないでいると、本当に白銀会長取られますよ?そんなのは嫌だって言ってますたよね?」

 

「で、でも…」

 

「でもじゃありません」

 

 手が出そうになるのを押さえながら、早坂はかぐやを説得させる。今ここで先手を取るようにしておかないと、本当に取り返しがつかない事になりそうだからだ。だから何としてでも、かぐやにはこの後、京佳より先に白銀をデートに誘って貰う。

 

「やっぱり恥ずかしい…」

 

 だが当のかぐやがこれである。早坂は、そろそろ1回本気で顔に拳をお見舞いしてもいいのではと思う。

 

「想像してください。立花さんと白銀会長が仲良くデートしている様子を」

 

「……」

 

 でもその感情を抑えて、口での説得を続ける。

 

「2人は仲良く屋台のある道を歩いて、一緒にタコ焼きとかを食べたりします。そしてその時、あーんとかもするかもですね」

 

「……」

 

「その後、校舎内でやっているお化け屋敷に一緒に入って、お化け役に驚いて立花さんは白銀会長に抱き着いたりするでしょうね。胸があれだけの大きさがありますから、白銀会長もまんざらでもないでしょう。白銀会長だって男ですし」

 

「……」

 

「その後の秀知院での文化祭では、立花さんはガチで告白するでしょうね。そして白銀会長は、ほぼ間違いなくその告白を受け入れると思いますよ。だってそれだけ立花さんを意識してきているのですから」

 

「……」

 

「それから2人が正式に付き合ったら、もうかぐや様が入る隙なんて存在しません。2人が幸せな恋人生活をしているのを、日陰から見ている事しかできません。敗北者としてね。それでも、いいんですか?」

 

「……」

 

 早坂の言葉を聞いて、俯いてしまうかぐや。当然、そんなの嫌だ。だってかぐやは白銀が好きなのだ。それもただ好きという訳では無く、大好きというくらいに。だからこそ、京佳に白銀を獲られたくない。

 

「それが嫌なら、頑張って勇気を出して下さい」

 

「……うん」

 

「声ちっちゃ」

 

 こうして早坂の必死の説得のおかげで、かぐやはこの後、白銀をデートに誘う事にするのだった。

 

 

 

 

 

 生徒会室

 

「はぁ…」

 

 白銀はため息が出るくらい悩んでいた。

 

(マジで最低だよな俺…)

 

 責任感が強く、正義感もある白銀。そんな彼にとって、同時に2人の女性に好意を向けている現状は精神的に悪いのだ。だってこんなの、まるで女たらしである。

 

(本当に、どっちか決めないと…)

 

 自分の為にも、何より2人の為にもどっちかを選ばないといけないのに、選べない。こんなの最低だって理解しているのに、選べない。このままでは本当に、どっちも選べずにアメリカに行ってしまうかもしれない。

 

(なにかこう、きっかけでもあればいいんだけどなぁ…)

 

 停滞している時は、何か新しいきっかけがあればいい。それが原因で前に進めたりする事もある。殆ど神頼みたいな事だが、そう思う程白銀は悩んでいた。

 

「失礼します」

 

 そうやって悩んでいると、かぐやが生徒会室に入ってくる。

 

「あの、会長。少しよろしいでしょうか?」

 

「何だ?」

 

 入って来るなり、かぐやは白銀に近づき、緊張した顔で話しかける。

 

「えっとですね、文化祭まで、もう少しじゃないですか?」

 

「え?まぁ、そうだな」

 

「それでですね…その…」

 

「うん?」

 

 何か言いたげなかぐや。白銀はそんなかぐやに首をかしげる。

 

(何で俺から顔背けてるんだ?)

 

 ついでにかぐやが自分と視線を合わせようとしないところにも。

 

(は!まさか、俺は気が付かないうちに四宮に何かやらかしていて、そのせいで四宮は俺と顔を合わせたくないとか!?)

 

 そんなかぐやの言動を見た白銀は、そう考えた。思えば最近の白銀は、かぐやと京佳の事で悩んでばかり。そんな状態ならば、自分が気が付かないうちにかぐやに何かしていたのも頷ける。

 実際、生徒会長選挙後直ぐの頃には、聞き間違いで大変な目にあっているし。

 

(全然記憶に無いけど、もし何かやらかしていたら直ぐに謝ろう…)

 

 白銀は密かに謝罪する体制を整える。

 

「実は、同じクラスの子から聞いたのですが、秀知院の文化祭の前の週、つまり今週北高で文化祭があるらしいんです」

 

「え?ああ。そういやそうだな…」

 

 しかしどうやら白銀が危惧していた事ではないみたいだ。

 

「文化祭は主に実行委員会が仕事をしますが、やはり学園の代表である生徒会役員も他校の文化祭を色々調べて、それを秀知院の文化祭に活かすべきと思うんです。なので、その…」

 

 そっぽを向いていたかぐやは、白銀の顔をしっかり見て、自分の右手を顔の左側に添えてから遂に言う。

 

「文化祭を成功させる為にも、私と共に北高の文化祭に行きませんか?」

 

 白銀に直接、デートの誘いを。

 

「……えっと、それは」

 

 白銀は固まる。そして理解する。

 

(まさかこれってデートの誘いか!?)

 

 今、かぐやは自分をデートに誘ったのではないかと。

 

(ああ…!言っちゃった!とうとう会長に直接言っちゃった…!どうしようどうしよう!!)

 

 そしてかぐやは、表面こそ平然を装っているが、内面は酷いものだった。顔から火がでそうだ。恥ずかしくて、今すぐこの場から立ち去りたい。

 でもかぐやは言った。勇気を出して言ったのだ。白銀を京佳に取られたくないからこそ、勇気を振り絞って言ったのだ。

 

「会長、どうでしょうか?」

 

 しかしここで白銀がこの誘いを受けてくれないと意味が無い。かぐやは未だに右手を左頬に添えている状態だが、このルーティンもそろそろ限界だ。なので早く白銀の答えを聞きたい。

 

(落ち着け俺。落ち着くんだ俺!!)

 

 そしてその白銀も、かぐやに負けず劣らずパニックしていた。かぐやからデートに誘われた事は素直に嬉しい。

 しかし白銀は今、かぐやと京佳の2人に好意を向けている。それに悩んでいるのに、この誘いを受けてもいいのだろうかという葛藤が白銀にはあるのだ。

 

「会長?えっと、もしかして何か用事が…?」

 

 かぐやが不安そうに尋ねる。

 

(本当にすまん四宮!俺が最低なばっかりに!!)

 

 白銀は自分を攻めた。自分が、同時に2人の女性を好きになっていなければこんな事にはならなかったのに。そうやって白銀が葛藤していると、

 

「私は、会長と行きたいんです…ダメ…ですか?」

 

 かぐやが目をうるうるさせてそう言ってきた。所謂、おねだりである。これは早坂が、いざという時にこうしろと言われたやつだ。男は、女の子がうるうるさせてお願いされるのに弱いからと。

 

(あ、可愛い…)

 

 そしてそれを見た白銀は、つい陥落しそうになる。効果は抜群であった。

 

(そうだよ。そもそも俺は四宮に相応しい男になる為に生徒会長になったんじゃないか。それに先に好きになったのは四宮の方だ。立花には世話にこそなったが、そういう想いを抱いたのはずっと後。なら俺が選ぶべき人は…)

 

 白銀は覚悟を決める。そして遂に、2人の内どっちかを決めようとするのだった。

 

「えっと、そうだな…それじゃあ」

 

「失礼する」

 

 だがその時、タイミング良く京佳が入ってきた。

 

「ん?どうかしてのか2人共?」

 

「い、いえ。何でも」

 

「あ、ああ。何でもないぞ」

 

「?」

 

 流石に第3者がいる時に答えは出せない。かぐやもそれを察したのか、ゆっくりと白銀から距離を取るのだった。

 

(早坂…もう少し足止めしときなさいよ…)

 

 早坂には京佳の足止めを頼んだのだが、その時間は僅かだった。せめてあと3時間は足止めしていと欲しいとかぐやは思った。

 

「そうだ白銀。ちょっといいかな?」

 

「何だ?」

 

「実はな、友人の学校が今度文化祭を開くんだ。それに誘われたんだが、よければ一緒に行かないか?」

 

「え?」

 

 そして京佳は、当初の予定通りに白銀を誘う。

 

「今度うちの学校も文化祭だろう?だから文化祭を成功させる為にも、他の学校の文化祭を偵察しておこうと思うんだが、どうだろうか?」

 

 ほぼかぐやと同じ事を言う京佳。当然、これは京佳からのデートの誘いである。

 

(よし。スムーズに誘えたぞ。これで白銀がこの誘いを受けてくれれば、文化祭デートの疑似体験が出来る。そこで白銀により私を意識させれば、文化祭で私が有利になる筈だ…!)

 

 全ては文化祭で白銀に告白する時、成功率を上げる為。その為に、京佳は白銀を誘っている。京佳も、かぐやと同じくらい白銀の事が好きなのだ。

 だからこそ、必死で白銀の後を追いかけて、こうしてかぐやに並ぶまでになった。でも最後まで手は緩めない。勝って兜の緒を締めろという諺のように、最後まで慢心してはいけないのだ。

 

(まさか、会長は私じゃなくて立花さんのお誘いを受けるんじゃ?)

 

 一方かぐやは気が気でなかった。まだ白銀からは、明確な答えを聞き出せずにいる。もしかすると早坂の言う通り、白銀は京佳と一緒に出掛けるかもしれない。

 

(恋愛の神様お願いします…もっと素直になるからどうか私に幸運を…)

 

 結果、普段全く信じていない神に祈る。

 

「立花、それは何時なんだ?」

 

「今週の土曜日だ」

 

「……すまん。それなら俺はいけない…」

 

「……え?」

 

 そんなかぐやの祈りが通じたのか、白銀は京佳の誘いを断った。

 

「実はな、土曜日は既に四宮と共に他校の文化祭の偵察をしようとさっき決めたんだ。だから、その文化祭の偵察にはいけない」

 

(会長…!!)

 

 かぐやはついガッツポーズしそうになる。何なら泣きそうでもあった。それほど嬉しいのだ。白銀に、このデートの誘いを受けて貰えた事に。

 

(ありがとう神様…)

 

 そして神に感謝した。家に帰ったら祈りを捧げようとも決めた。

 

「そ、そうだったのか…それなら、仕方ないな…白銀は1人しか、いないもんな…友人の学校には…私1人で行ってくるよ…」

 

「あ、ああ…」

 

 肩を落とし、明らかに落ち込んでいる様子の京佳。

 

(俺は最低なクソ野郎だ…本当にすまん立花…)

 

 そんな京佳を見た白銀は、心の中で京佳に謝った。同時に2人を好きにならなければ、こんな事にはならなかった。全ては自分が揺らいでしまったのが悪い。許されるのなら、今すぐ土下座のひとつくらいしたい気分だ。

 

(哀れね立花さん。兵は神速を貴ぶとも言うように、もっと早く動かないからそうなるのよ)

 

 かぐやは勝ち誇った顔をしながら京佳は見下した。でも元々早く動こうとしなかったのは誰なのか、今一度思いだしてほしい。

 

「ところで、2人はどこの学校に行くんだ?」

 

 文化祭前偵察デートが叶わない以上、もうどうしようも無い。でもせめて2人がどこに行くかくらいは把握しておきたい。それを知って何か出来る訳では無いが、せめて知っておきたい。

 

「北高だ」

 

「…え?北高?」

 

「え?」

 

 しかし、ここで流れが変わり出す。

 

「私が行こうとしている学校も、北高なんだが…」

 

「え?」

 

(はぁーーー!?)

 

 なんという偶然。京佳の友人である恵美が通っている学校とは、白銀とかぐやが行こうとしている北高だったのだ。

 

「そうか。なんか、凄い偶然だな…」

 

「ふふ、そうだな…」

 

 そして京佳は、ここに活路を見出した。

 

「それなら話が早い。同じ場所に行くのなら3人で一緒に行かないか?」

 

「え?」

 

(ちょっとーーー!?)

 

 即ち、皆と一緒に作戦である。抜け駆けは許さないとも言うが。

 

「いや、だって同じ場所に文化祭の偵察に行くんだろう?それぞれがバラバラになるより、一緒に行った方が効率が良いじゃないか。3人寄れば文殊の知恵ともいうし」

 

 ずいずいと白銀に近づきながら提案する京佳。これなら2人っきりの状況を作らせない事が可能だ。だから何としてでも、白銀にはこの提案を受け入れて貰わないといけない。

 

「え、えっとだな。それは…!」

 

 焦る白銀。既にかぐやと約束をしている彼だが、京佳に対して罪悪感があるのも事実。その結果、先程決また事が揺り動いている。

 

(これはマズイわ!何としてでも阻止しないと!でもどうやって!?割って入ったらそんなの私が嫉妬しているのは丸わかり!それにここで強引にでも阻止したら、私が嫉妬深い女と思われるかもしれない!どうすれば…!?)

 

 かぐやも必死に考える。折角の白銀と2人きりのデートのチャンスなのだ。それはふいにしたくない。だがその阻止の仕方がわからない。

 

(ここは心苦しいが、断るしか…!)

 

 そうやってかぐやが焦っている中、白銀は胸が痛いが断ろうと思っていた。

既にかぐやと約束をしている。それなのに新しい約束を取り付けるのは出来ない。そんなの、かぐやに対する裏切りだ。

 

「ダメ…かな?」

 

 だがここで、京佳もある作戦を実行。それは先ほどかぐやが行った作戦である、うるうる作戦だ。それもかぐやより白銀と圧倒的に近いく距離で。

 

(めっちゃかわええ…)

 

 そして揺らいでいる白銀にこれは効果絶大だった。

 

「……ま、まぁ。多い方が助かるか。手分けして色々調べれるだろうし、3人でいくか」

 

「ふふ、そうだな。そうだよ」

 

 結果、白銀は折れた。

 

(俺は地獄に落ちる日が来るだろうな…)

 

 そして何時の日か、報いを受ける日が来る事を確信する。こんなに優柔不断なのだ。何時か必ず罰が下るだろう、と。

 

(天におられる神よ。地獄に落ちなさい)

 

 かぐやは神を呪った。何時か絶対にこの代償を支払わせてやると。

 

(すまないな四宮。でも、こっちも諦めたくなんだよ)

 

 そして京佳はかぐやに謝った。こんな食い入るように割って入るなんてみっともない。そんなの京佳だってわかっている。でも、それでも京佳は白銀を諦めたくないのだ。

 

(本気で好きになった人なんだ。だからこそ、私は絶対に諦めない)

 

 恋愛にトラウマのある京佳が、本気で好きになれた人。それが白銀だ。京佳は、この恋を絶対に成就させてやると思っている。

 その為には、こんなみっともない真似だってしてみせる。全ては、白銀と恋人になる為に。

 

 こうして、3人のよる文化祭偵察デートが始まるのだった。

 

 

 

 

 

(なんか中から凄い怖い空気を感じる…僕帰ろうかな…)

 

 そして石上は、生徒会室の中から怖い空気を感じ取り、生徒会室の扉の前で立ち往生していた。

 

 

 

 

 




 原作と話の順序が少し違うのは許して。

 そんな訳で優柔不断な会長回。そして文化祭決戦前の前哨戦準備回でした。長くはしません多分。

 次回、間に合えば水曜日に本筋無視の特別編投稿予定です。

犬と猫、どっち派?

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