もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 長年貯めていたCB貯金を遂に解放。結果、天井前にはお迎えできました(150連)。

 文化祭決戦前の前哨戦?、の2話目です。


恋する乙女達と文化祭偵察デート(deux ドゥ)

 

 

 

 

 

 夜 京佳の部屋

 

『マジで?』

 

「マジで」

 

 京佳は自室で、スマホを使い恵美と電話をしていた。内容は、明日の北高の文化祭について。元々恵美から『白銀くんを誘ってきてね』と言われていたので、京佳は昨日の放課後に白銀を文化祭偵察デートに誘った。何時もなら、ここですんなりデートに誘えたのだが、今回はそうはいかなかった。

 

 何故なら白銀が、かぐやと一緒に文化祭偵察デートに行くと言ったからだ。

 

 それを聞いた時、京佳はかなり動揺した。白銀がかぐやを好きだからこそ、自分を意識させるべく京佳は必死になって動いた。最近はそういった行動のおかげで、白銀との距離もかなり近いと感じている。なのでこの誘いも、白銀は受けてくれると思っていた。

 

 だがここに来て、白銀はかぐやとデートをすると言い出した。

 

 これでもし2人がデートに行ってしまえば、秀知院の文化祭本番前に2人は付き合う事になるかもしれない。そんな事になったら、今までの苦労が水の泡だ。

 だがどうすれば白銀の答えを曲げさせて、自分とデートする事が出来るかなんて、京佳にはわからなかった。それにそんな事してしまえば、下手をすると白銀の不評を買うかもしれない。

 だから京佳は今回だけは引こうと決めたのだが、白銀とかぐやの行先が北高と知り、そこに活路を見た。結果として明日の北高の文化祭には、白銀、京佳、そしてかぐやの3人で行く事となったのである。

 

『にしてもそっかー。もしかして、その四宮って子も本気出してきたって事かな?』

 

「多分な。それにしても危なかったよ。あの時、もう少し早坂と話していたら間に合わなかっただろうし」

 

 京佳にとって予想外だったのは、かぐやからこのデート話をしたというところ。今までのかぐやは、どういう訳か自分からそういった誘いをしなかった。そういったかぐやのおかげで、京佳は白銀を振り向かせる事に成功している。

 しかし今回は、何故かかぐやから誘ってきたという。これはもう、かぐやも白銀を京佳に獲られまいと動き出してきたと考えるのが普通だろう。

 

『だとしたら、まずいかもね』

 

「そうだな。四宮に本気だされたら勝ち目が一気になくなるし」

 

 もしもかぐやが京佳程素直であれば、白銀とかぐやは1年生の時点で恋人になっていただろう。なんせ2人は、相思相愛なのだから。

 だからこそ、2人が再び近づく前に、自分がより近づかないといけない。でなければ、負けてしまうから。

 

「そこでだ恵美。すまないんだが、明日の北高の文化祭で、私と白銀を2人きりにできるよう頼めないか?ただしお化け屋敷以外で」

 

『あ、やっぱりお化けまだダメなんだ』

 

 なので京佳は、恵美に頼んで白銀と2人きりになれるよう動く。京佳は白銀が好きだ。それこそ、変わりなんて誰もいないと思える程に。この数か月、その想いを胸に動いてきた。

 だから、この恋は絶対に諦めたくない。相手が誰であろうとも。

 

『安心して京佳!明日は私がバッチリ援護してあげるから!!』

 

「ああ。色々頼むよ」

 

 1人では無理かもしれないが、京佳には助けてくれる友人がいる。そしてその友人である恵美は、京佳の恋の成就を本気で願っている。とても心強い味方だ。京佳は改めて、自分は友人に恵まれたなと思いながら、明日に備えるのだった。

 

 

 

 

 

 同時刻 かぐやの部屋

 

「早坂。どうしてあと3時間くらい立花さんを足止め出来なかったのよ。おかげで折角のデートに最大の邪魔者が着いてくる事になったじゃない」

 

「一言くらい感謝の言葉くれてもよくないですか?泣きますよ?」

 

 かぐやの部屋では、かぐやが早坂に文句を言っていた。折角白銀と2人きりでデートに行けるところだったのに、京佳が生徒会室にやってきたせいで、それがダメになった。もし早坂があと少し足止めをしておけば、こうはならなかっただろう。

 

 だとしても、これは酷い。そもそも早坂の情報が無ければ、かぐやは京佳が白銀をデートに誘う事すら知らなかった。もしそうなっていたら、白銀とデートに行っていたのは間違いなく京佳の方だ。それを事前に早坂が察知できたおかげで、早坂はかぐやを説得させる事ができ、白銀をデートに誘える事が出来た。

 なのにかぐやは、早坂に対してお礼の一言も無い。最近、早坂はマジで1回くらいこの主人を殴っても許されるのではと思うようになっていた。

 

「冗談よ。確かに邪魔者が着いてくる事にはなったけど、そんなの現場でどうとでもなるもの。と言う訳で早坂。明日のデートではあなたも変装して着いてきなさいよ」

 

「そんな事だろうと思って既に変装一式揃えてます。明日は男装の方のハーサカくんでいきますね」

 

「用意がいいわね」

 

 でも、それは既に過ぎ去った事。今するべき事は、これからどうするかだ。具体的に言うと、明日の北高の文化祭でどうやって邪魔者を排除するかだ。

 その為には、早坂にも協力して貰う必要がある。何故ならこういった事は、かぐや1人では決してできないからだ。

 

「とりあえず、明日の北高の文化祭は立花さんを会長から引きはがす事から始めるべきね。流石にいきなり引きはがすのは怪しいから、最低でも1時間くらいは一緒にいるべきかしら。その後に適当な理由つけて追い出せば、あとは会長と2人きりのデートが楽しめる筈。理由はそうね、迷子になったとか、変装した早坂にナンパされたとかにしましょうか?邪魔者さえいなければ、もうどうにでもなるわ。ふふ、今から楽しみね」

 

 早速京佳という邪魔者を排除する作戦を考えるかぐや。その顔は笑顔だが、目が全く笑っていない。もし石上がこれを見たら全力で逃げるだろう。まるで22年の天●賞秋の古太平洋のように。

 

「念のため言っておきますが、ナンパとかはまだしも、立花さんを誘拐とかはしませんからね?」

 

「……え?」

 

「何ですかその信じられないような人を見る顔は。普通に考えてする訳ないでしょ」

 

 どうやらかなり危ない排除方法を考えていたようである。最も、例えかぐやが京佳の抹消命令を出しても早坂がそれを聞く事は無い。普通に犯罪だし、流石に人を殺めたく無いし。

 

「……まぁいいわ。兎に角、何かしらの方法で立花さんを排除して、何としてでも会長と2人きりになるわよ、そうすれば、会長に対して色々出来るんだから」

 

「はぁ…」

 

 そんな主人を見て、早坂はため息をつく。そもそもだ。かぐやが最初から素直になっていれば、こんな事になんてなっていない。それどころか、京佳が割って入る事すら無かっただろう。

 何時まで経っても素直にならなかった結果が、これだ。そして早坂は、そんな面倒な主人の作戦にまだ付き合わされている。

 

(まぁ、これでかぐや様が焦ってくれたらいいですけど…)

 

 しかし良いと思われる事もある。明日の文化祭偵察デートで、京佳は間違いなく素直に白銀にアプローチを仕掛けるだろう。それを見たかぐやは、絶対に焦る。そうなれば、いくらかぐやとて今以上に自ら積極的に動く筈だ。そうなってしまえば、かぐやが白銀と付き合うのも時間の問題になる、筈なのだ。

 ていうかもしそれでも特に動こうとしなかったら、早坂は真面目にもうかぐやを助けたくない。いい加減にして欲しいから。

 

(明日は、色々大変かもですね…)

 

 明日の文化祭偵察デートは、天王山とまではいかないだろうが、重要なデートになるだろう。早坂はそう思いながら、明日の準備をかぐやと共にするのだった。

 

 

 

 

 

 翌日 北高付近の公園

 

(そろそろ時間か)

 

 公園入口には、白銀が1人制服姿で立っていた。今日これから、白銀はかぐやと京佳の3人でデートを行う。名目こそ秀知院での文化祭を成功させるための偵察となっているが、本心は全然違う。

 

 今日のデートで、可能な限り自分の気持ちをハッキリさせたいのだ。

 

 白銀は、かぐやと京佳の2人を同時に好きになってしまっている。そして、未だにどっちを選ぶできか悩んでいる。世界と神様が許してくれるのであれば、2人共幸せにしたいという気持ちもあったりする。俗に言うハーレムだ。

 だが、そんな事は許されない。恋人として付き合えるのなら、どっちか1人だけ。

 

(俺、こんなに優柔不断だったんだな…自分が嫌になる…)

 

 質実剛健、聡明英知。これまで様々な決断をしてきた生徒会長の白銀だが、これほど悩んだ事なんて無かった。これに比べたら、海外進学を決めた事なんて簡単な選択だった。

 

(でも決める。今日は無理でも、文化祭当日までには必ず決める。それすら出来なかったら、俺はスタンフォードになんて行ける訳ない)

 

 時間はもう殆ど無い。残された時間の中で、白銀はどっちかを選ばないといけない。例えそれが、選ばれなかった方を悲しませる事になっても。

 しかし、白銀はそれでも2人のうちどちらかを決めると誓っている。そうしないと、死ぬまで後悔すると理解しているから。

 

(そもそも俺が悪いしな。今は出来るだけ悩んでおこう)

 

「おはようございます、会長」

 

「おはよう、白銀」

 

 そうやって白銀が悩んでいると、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「あ、ああ。おはよう2人とも…」

 

 白銀が視線を動かすと、そこには私服姿のかぐやと京佳がいた。

 

 かぐやは白いケーブルニットに、その上から袖の無い茶色のセーター。首にはピンク色のマフラーをしており、下には黒いマキシスカート。靴は灰色のブーティ。そして手には小さめの茶色のバッグがある。可憐なかぐやにとても似合っているコーデだ。

 

 京佳は胸元が少し空いている白のデニムシャツ。その上から白茶色のハーフ・コート。下にはインディゴブルーのストレートジーンズ。肩からは小さめの黒いシュルダーバッグが掛かっており、足には黒いスニーカーブーツ。綺麗な京佳に凄く似合っているコーデである。

 

(え?めっちゃ可愛い…)

 

 そんな2人に、白銀は目を奪われた。惚れ直したと言ってもいい。普段制服姿しか見ないので、こういった私服姿は本当に貴重だ。そして何より可愛い。意中の女子がこんな可愛い姿をしていたら、男なら誰だってこうなる。

 

「会長?」

 

「白銀?」

 

 いきなり固まった白銀を見て、心配そうに声をかける2人。

 

「あ、ああ。すまん。ちょっと見惚れてた」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 

「ふふ、ありがとう白銀」

 

 つい、お世辞無しの本音で言ってしまう白銀。言い終わった後に『何か恥ずかしい事言ってないか?』と不安になったが、別に2人は特にそういった反応をしていないので安心する。

 

(会長に見惚れたって言われた…ふふふ)

 

(白銀に見惚れたって言われた…えへへ)

 

 そして白銀にそう言われた2人は、顔にこそ出さなかったが内心小躍りしそうになっていた。

 

(これで隣に立花さんがいなければ、もっと喜べるのに…)

 

(これ隣にで四宮さえいなければ、もっと喜べたとのに…)

 

 同時に、できれば邪魔者がいない2人きりの時に言ってもらいたかったとも思う。そうすれば今よりずっと喜べるし、幸せな状態でこの文化祭偵察デートを初められたというのに。

 

「てか、今日は2人とも私服なんだな…?」

 

「はい。他校の文化祭の偵察とはいえ、どうせならと思いまして」

 

「私も同じ意見だ。それに、女子というのはできればおしゃれをしたいと思うものなんだよ」

 

「成程。そういうもんなのか」

 

 自分は制服なのに対して、2人は私服。さおの少しアンバランスな3人の組み合わさせに、やや引け目を感じる白銀。

 

(こんな事なら、俺も私服着てくればよかった…でもなぁ、俺本当に服持ってないんだよなぁ…)

 

 お金さえあれば、自分もおしゃれが出来るというのに。白銀は改めて、自分の貧乏を嘆いた。

 

「会長。私も立花さんも気にしてませんよ?」

 

「え?」

 

「そうだぞ。それに、そっちの制服の方が白銀らしいし」

 

「そうか?」

 

「ええ」

 

「ああ」

 

 白銀の内情を察したのか、かぐやと京佳は白銀を慰めるように言う。2人共、白銀家の事情を知っているからだ。2人にそう言われて、白銀は嬉しくなる。

 

(こんな子たちを、俺は好きになってるんだよなぁ…)

 

 白銀はかぐやと京佳の両方を愛おしく思う。恐らく世界中探しても、こんなに好きになったしまった女性はいないだろう。

 

(だからこそ、俺は選ぶ。絶対に…!)

 

 そして改めて、絶対にしっかり決めると誓う。どっちかを悲しませる事にはなるが、それでも選ぶ。じゃないと、自分はこの2人を同時に裏切る事になってしまうのだから。

 

「それじゃ、行くか」

 

「はい」

 

「ああ」

 

 こうして3人は、北高の文化祭へ行くのだった。

 

 

 

 

 

 北高 校門前

 

「これは…」

 

 校門前まで来た3人は、その光景に動きを止める。別に校門前が変な訳では無い。むしろ飾り付けがかなり凝っており、写真を撮っておきたいくらいだ。校内に入る人も随分楽しそうにしており、これは入る前から期待が出来る。

 しかしその上、校舎の上から垂れ下がっている弾幕。そこに書かれているスローガンを見て、3人は足を止めていた。

 

 バイブスブチアゲ! キャパいメモリーこみこみでずっしょでプチョヘンザ!!

 

(((いや何語…?)))

 

 わからない。辛うじてメモリーは思い出という事はわかるが、それ以外が全く分からない。3人とも秀知院では成績優秀者だ。英語だって勿論出来るし、かぐやに至っては数か国語が話せるし読める。

 しかし、今目に写っているスローガンはわからない。読めるけど意味がわからない。早坂あたりなら解析できるかもしれないが。

 

「あれは、参考にはならんだろうな…」

 

「ですね…」

 

「待て白銀。確かうちの学校も似たようなスローガンだったぞ」

 

「嘘だろ…?何してんだ文実の奴ら…」

 

 一応しっかり仕事はしている。でも白銀は、スローガンに関しては再考させようと決めた。

 

「あ!京佳ーーー!!」

 

 そうやって校門前で立っていると、3人に話しかけてくる北高の生徒がいた。

 

「恵美。おはよう」

 

「やっほー京佳!」

 

 その生徒は、京佳の親友で北高に通っている由布恵美だった。

 

「今日は誘ってくれてありがとう」

 

「いいって!私と京佳の仲だしさー」

 

 笑顔で京佳と話す恵美。

 

「ところで、そっちの2人が?」

 

「ああ。紹介するよ。こっちは秀知院の生徒会長の白銀御行くん。そして副会長の四宮かぐやさんだ。そして2人共。この子が私が前に話していた、他校に通っている友達の由布恵美だ」

 

「どうもはじめまして!京佳の親友やってる由布恵美って言います!よろしくね!」

 

「あ、ああ。よろしく」

 

「どうも」

 

「今日は楽しんでいってねー!」

 

 テンションの高い恵美に少しだけたじろぐ白銀。こういった生徒が秀知院にも数名いるし、何なら知り合いに1人いるが、やはり慣れない。別にギャルが嫌いとか苦手とかではない。ただ慣れないだけだ。

 

(これが立花さんの友人ですか。なんとまぁ、随分頭の軽そうな女ですね。これなら藤原さんの方がマシじゃないかしら)

 

 そしてかぐやは恵美の事を見下していた。基本ナチュラルに人を見下す事があるかぐや。そんなかぐやにとって、早坂のような演技でもないのにこんな雰囲気を纏う恵美は、そういう対象であった。

 もしこの心の声を京佳が聞いたら絶対にキレるだろうが、口にしなければ問題無い。

 

「それじゃこっちこっち!!」

 

 そんなかぐや達に手招きしながら、恵美は先を歩く。

 

「行くか」

 

「そうですね」

 

「そうだな」

 

 3人はその後を着いていく。

 

(とりあえず、暫くは立花さんを泳がせましょう。いきなり逸れさせたら怪しまれますし)

 

(最初は3人で行動しておこう。時を見て恵美に援護して貰って、少しの時間でいいから白銀と2人きりになるよう頑張ろう)

 

 かぐやと京佳は、胸にそんな思いを抱きながら。

 

 こうして、3人の文化祭偵察デートは始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 




 かぐや様の私服姿→リコ●コ9話のた●なのイメージ。
 京佳さんの私服姿→ミ●ターCBの私服のイメージ。

 中々お話進まないけど、それは作者がこの期に及んでどっちを選ぶべきか会長以上に悩んでいるからです。でも必ずどっちかを決めて完結はさせますので、どうか気長にお待ちください。
 それと、可笑しいところや矛盾点がありましたら言って下さい。修正いたしますので。

 次回も頑張りたいけど、先の事だからわからない。
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