もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
作者「この漫画読んだことある?」
友達「これか。気になってはいたけど読んではないな」
作者「なんか1巻の表紙とか怖いな…ホラー系?」
友達「2巻見る限りホラーではなさそうだけど…」
作者「じゃあヤンデレ系?4巻の表紙の子とかヤンデレっぽいし」
友達「わかる」
原作に対する第1印象がこれでした。
「京佳さん、ここはどうすればいいんですかー?」
「ここはこっちの文章を読み解けばいいんだ」
「あ!こっちですか!わかりました!」
「ねぇねぇ京佳~。ここの問題ってどうやればいいの~?」
「それはここの公式を使って…」
学園内にある図書室では、京佳が藤原と早坂の2人に勉強を教えていた。藤原には国語を。早坂には数学を。そして京佳は2人に教えながらも、しっかりと自分の勉強もしていた。普段ならこんな光景は見ないだろう。藤原はそもそもあまり勉強をしないし、早坂は四宮家での仕事がある為である。
どうしてこの3人が共に勉強をしているかというと、それは3日前に遡る。
3日前―――
「そういえば、そろそろ期末テストですが、皆さん勉強はしていますか?」
「ぴゅ~…ぴゅ~~…」
「藤原、吹けてないぞ?」
生徒会には生徒会メンバーが全員揃っていた。そして徐にかぐやが、来週に迫っている期末テストに話題を振ってきた。それに対して藤原が口笛を吹きごまかそうとするが、全然吹けておらず京佳に突っ込まれた。恐らく、全然勉強などしていないのだろう。藤原がそうやってごまかしている時、白銀がかぐやの質問に答えた。
「試験勉強なんて必要ないだろう。普段からしっかりと勉強をしていれば問題ない。大体、試験前だけ勉強しても身に着かないしな」
「確かに会長の言う通りですね。そもそも自分の実力を測る為のテストなんですから、自然体で受けるのが一番です」
嘘である。
この2人、テスト勉強なんて全くやっていないと言っているが、実際はかなり真剣に勉強をしている。白銀はバイトも休み十徹に達しようとしているし、かぐやは今度こそ白銀に勝つために本気も本気で勉強をしている。白銀とかぐやにとって、期末テストとはそれだけ重要な戦いなのだ。
「まぁ、石上くんは少しは勉強したほうがいいと思いますが…」
「確かにな…石上、君は確か前回ほぼ全ての科目で赤点だっただろう?今回は少しは勉強したほうがいいんじゃないか?」
「大丈夫ですよ。流石に今回は僕もちゃんと勉強しますって」
かぐやと京佳の言葉に石上は返答して生徒会室から出て行ったが、家に帰って勉強するつもりなど全くなかった。この間買ったばかりの新作ゲームの続きをするからだ。今の彼にとって期末テストなど2の次3の次である。
「うーん、確かに会長やかぐやさんの言う通りかもしれません…でも私、今回のテストで順位をまた下げたらお父様からお小遣い減らされちゃうんですよ…」
藤原が白銀とかぐやの言葉を真に受け始めた。実際、彼女はこれまでも2人の足の引っ張り合いに巻き込まれ、元々それなりだった成績を順調に落としている。
このままでは本当にまずい。故に今回は頑張りたいのだが、人が良いせいか、はたまたアホなのか、またしても白銀とかぐやの口車に乗ろうとしていた。
「なら藤原、私が勉強を教えようか?」
「へ?」
そんな藤原を見て、京佳が提案をした。
「いいんですか!?」
「ああ、人に教えると教える側も勉強になるしな」
「わぁ!ありがとうございます!京佳さん!」
そして藤原は京佳の提案を受け、勉強を教えて貰う事にした。少なくともこれで、前回より順位が下がる事はないだろう。その展開に、白銀とかぐやの2人が心の中で舌打ちをした。しかしかぐやは、舌打ちと同時に、京佳が意外な行動をしたと思っていた。
(立花さんの事だから、てっきりこの機会に会長から勉強を教えて貰うつもりかと思ってたのですが、杞憂でしたか…)
もし、京佳が白銀に勉強を教わるようになっていれば、かぐやはそっちが気になって勉強に集中など出来なかっただろう。だがその心配はなくなった。これでかぐやは自身の勉強へと集中する事ができる。
(ですが、一応保険は掛けときましょう)
しかしかぐやは念のために保険を掛けることにした。
放課後、京佳と藤原の2人は学園内の図書室に来て、テスト勉強を始めた。周りには2人以外にも数人、同じように勉強をしている。
「う~ん…やっぱり国語が難しいですね…私どうしても国語苦手なんですよー…」
「そう落ち込むな。誰だって苦手なものはある。少しでも勉強をすればその苦手が減るんだから頑張ろうじゃないか」
藤原は苦手な国語に頭を悩ませており、京佳はそんな藤原を元気付けていた。
「やっほー、京佳に書記ちゃん」
「ん?」
そうやって勉強をしている2人に、話かけてくる女生徒がいた。
「早坂じゃないか。どうしたんだ?」
「いやー、実はさー。ウチちょっと今回ヤバイんだよねー…だからさ京佳、ウチにも勉強教えてくんない?」
早坂愛である。
先ほど主人のかぐやから指令を受け、勉強を教えて貰うというていを装い、京佳と藤原の元を訪れたのだ。
「それは別に構わないが、そんなに危ないのか?」
「たはは…まーねー…このままだと、前回114位だった成績が更に下がるかもしれないんだよねー」
これは嘘ではない。実際早坂は自分が勉強をする時間が殆どない。それだけ、四宮家での仕事が忙しいからである。
そして早坂が前回の順位を言った時、藤原が言った。
「早坂さん、私より順位下だったんですねー」
「……へ?」
早坂にとって、聞き捨てならない事を。
「ね、ねぇ…書記ちゃん…書記ちゃんは前回のテスト何位だったの…?」
確認のため、早坂が藤原に質問をした。もしかしたら聞き間違いかもしれないと、一途の望みをかけて。しかし、現実は非情だった。
「91位ですよ?」
衝撃の事実!
何と早坂は、あの藤原より順位が下だったのだ。動きが予測できず、思考が全く読めず、知らないうちに場をかき乱し、今まで幾度となく早坂のミッションを壊滅に陥れたあの藤原よりだ。
この事実は早坂にとってあまりにも衝撃が大きかった。早坂はかぐやほど本気でテストを受けない。赤点を取り、補習さえ受けなければいいという考えだからだ。しかし、自分の順位が藤原より低いとわかったら話は変わる。流石にこれには負けたくない。
「京佳、マジで勉強教えて」
「ど、どうした早坂?いきなりそんなに鬼気迫る顔になって…」
「教 え て」
「わ、分かった。分かったから…」
こうして早坂は、かぐやの指令とは別に今回は割と本気で勉強をすることにした。そんな早坂の気迫に京佳はたじろいだ。
そして冒頭に至る。
テストまであと3日。藤原は苦手な国語を、早坂は前回ひどかった数学を京佳から教えて貰いながら着々と勉強をしていた。
「そういえばさー、京佳は前回何位だったっけ?」
問題を解き終わった早坂が京佳に質問をした。
「前回は12位だな。今回は10位以内を目指している」
「いやー、京佳さん流石ですねー。私にはとても無理ですよー」
早坂からの質問に京佳が答え、藤原はその答えに脱帽した。京佳は学年内でも優秀な成績を残してきている。入学してから順位が20位より下になったことは一度もない。白銀ほどではないが、日ごろの地道な努力のたまものである。
「でもさー京佳。本気で10位以内を目指すんだったら白銀会長とかに教えて貰った方がいいと思うよー?」
ここで早坂が動いた。今でこそ京佳から純粋に勉強を教えて貰っているが、元々はかぐやから動向を探れと指令を受け、この場にいるのだ。故に、京佳の内情を探るべく質問をしたのだ。仮に、この後京佳が白銀に勉強を教えて貰おうとするのであれば、あの手この手で妨害するつもりでいた。
「できれば教えて貰いたいが、白銀の勉強の邪魔をしてしまうからな」
「え?邪魔?」
しかし、京佳は早坂からの質問を否定した。
「どういう意味ですかー京佳さん?だって会長はテスト前は勉強をしないって言ってましたよー?」
藤原は京佳の言葉に疑問を感じた。白銀は試験前には勉強をしないと聞いているからだ。
「いや、あれは建前だよ。実際はちゃんと勉強をしているさ」
「そうなんですか!?」
「ああ、白銀の目元の隈がいつもより酷かったからな。恐らくいつも以上に勉強をしているぞ?」
京佳は藤原に自分が思ている事実を伝えた。実際、今の白銀は目つきがいつもより数倍鋭くなっている。睡眠時間を削っている何よりの証拠だ。
(かぐや様もだけど、立花さんもちゃんと見ているんですね…)
早坂は京佳が白銀の事をちゃんと見ている事を知りそんな事を思った。主人のかぐやも昨夜同じ事を言ったからである。
因みにこの後、藤原が『会長に嘘つかれましたー!!』と泣き出したので、京佳と早坂が2人で藤原を何とか宥め、『何か理由があったのだろう』と吹き込み、藤原を納得させた。
「9位か…とりあえず目標は達成できたな」
立花京佳 9位
テストが終わり、結果が発表されたその日。京佳は、藤原と早坂の2人に勉強を教えながらも、目標であった上位10位以内に入る事に成功した。
「京佳さん!ありがとうございます!おかげで成績が前回よりあがりました!!」
「ほんとありがとねー、京佳ー。おかげでなんとかなったよー」
藤原千花 60位
早坂愛 50位
「それはよかった。これで2人の成績が下がっていたら本当に申し訳なかったよ」
そして京佳に勉強を教えられた藤原と早坂は前回より順位が上がっており京佳はひとまず安堵した。成績が上がったおかげで、藤原は父親から褒められ、おこづかいを減らされることが無くなり、早坂は前回よりも大幅に順位を上げただけではなく、藤原より上の順位となり、更には成績優秀者上位50名の中に名前が載っていた。
因みに、この結果を知った早坂の主人であるかぐやは家に帰ったら問い詰めようと心に決めた。
放課後 生徒会室
「テストも終わったし、これで少しはゆっくりできますねー」
「そうっすね。まぁ、どうせすぐ生徒会の仕事をいっぱいしなきゃですが…」
「石上くん?空気読みましょ?少しは余韻に浸らせてくださいよ」
生徒会にはテストを終えた現生徒会メンバーが全員揃っていた。因みに石上は今回も赤点だらけであり、補習が決定している。
(今回も…会長に勝てなかった…)
かぐやは今回も本気の本気でテストに挑んだのに、白銀より順位が下だった事にショックを受けていた。生徒会室に来るまでに、人気の無いところで地団太を踏んだりしていたので幾分マシにはなっていたのだが。
「白銀、少しいいかな?」
「なんだ立花?」
かぐやが落ち込んでいるその時、京佳が問題集を手に白銀に話かけた。
「今回のテストにも出たこの問題が少しわからなくてな、教えてくれないか?」
「ん?ここか?ここはだな…」
そして白銀に勉強を教わりだした。
(しまった!そういうことですか!?)
かぐやが京佳の真意に気づいた時にはもう遅かった。白銀と京佳は生徒会室の長椅子に隣同士に座り、白銀が京佳に勉強を教えていた。かぐやは数日前に、早坂から『問題無し』という報告を受けている。それは京佳が白銀からテスト勉強を教わる事は無いという事に他ならない。その報告にかぐやは安心し、おかげで自分のテスト勉強に集中できた。
しかしそれは間違いだった。早坂の報告には間違いは無い。実際京佳は『白銀の邪魔をしてはいけないからテスト前には勉強を教えて貰うつもりは無い』と言っている。だが京佳は今、白銀から勉強を教わっている。
これはつまり『テスト前には勉強を教わらないが、テスト後なら教わる』ということだったのだ。
(って!2人共すっごい真剣にやってるし!こんなの今更間に入る事なんて出来ないじゃない!もし無理やりにでも入ったら『空気読みましょ?』って言われそうだし!)
既に白銀は京佳に真剣に勉強を教えている。しかも肩と肩が触れ合うかどうかという近距離で。その光景に、思わず握りこぶしを作るかぐや。
(やはり立花さんは色々と目障りね…そうやって身体を接近させて会長に近づくなんて、まるで蛇じゃない…殺虫剤でも吹きかけてやろうかしら…?)
(し、四宮先輩、一体どうしたんだろ…!?)
かぐやは京佳に対して殺気を漏らした。そしてそれをたまたま見た石上は恐怖で震えた。
今回のテスト結果
白銀御行 1位
四宮かぐや 2位
立花京佳 9位
早坂愛 50位
藤原千花 60位
石上優 177位
オリ主に対する格キャラの印象
白銀 『同じ混院の生徒。親近感が湧く』
かぐや 『目下最大の障害。でも色々と認めている部分はある』
藤原 『大事なお友達。あと肩こり仲間』
石上 『かっこいい先輩。舌からビームとか出しそう』
早坂 『スパイ対象。でも最近は普通に友達として接してる』
眞妃 『多分同類。一目見た瞬間仲間と思った』
通算UA4万突破しました。他にもお気に入りやコメントや評価や誤字報告など、本当にありがとうございます!
相変わらず拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします!
次回も頑張ります