もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 やぁ、久しぶり。何度も書き直したり、リアルで嫌な事がったのでヘコんだり、ちょっと旅行にいったり、かぐや様原作を読み返したり、息抜きにガンダムのSS書いたり、この作品を読み返したり、ルビコンに行ったり、ダイエットに成功したりと色々ありましたが、何とか文化祭編冒頭部分書けました。

 およそ3か月ぶりですが、どうぞです。


秀知院と文化祭(協力者)

 

 

 

 

 

 遂に始まろうとしている秀知院文化祭、通称『奉心祭』。まだ開始前、それも日が昇っていない明け方だというのに、学園内には多くの生徒がいる。皆、それぞれのクラスの出し物を成功させたいので、最後の追い込みをしているからだ。

 

「じゃあもう1度、頭から通してやるよ!」

 

「照明、準備よし!」

 

「音響、準備よし!」

 

「それじゃよーい、はい!」

 

 当然、それは京佳のクラスも同じである。京佳のクラスがやるのは演劇。長すぎず短すぎない長さの演劇で、誰でも知っているシンデレラが題材。そこに色々とアレンジを加えている。

 演劇は、少しでもミスをしたら台無しだ。なのでこうして、最後まで練習を欠かさない。全員、この演劇を成功させたいからだ。

 

 因みに、この日の集合時間は朝5時である。

 

「はいオッケー!!」

 

「ふぅ。お疲れ、龍珠」

 

「何言ってる。これからだろ」

 

 頭から通しでやってみたが、問題なさそうだ。これなら余程のハプニングが無い限り、演劇は成功するだろう。

 

「あ、もう外明るい」

 

「丁度いいや。近くのコンビニで朝ごはん買って食べよう?」

 

「さんせーい!」

 

 朝食には少し早い時間ではあるが、色々とひと段落した今なら丁度いい。京佳のクラスメイトたちは、学園近くのコンビニに行く事にした。

 

「あ、立花さんたちは待ってていいよ」

 

「え?何でだ?」

 

「だって朝から通しでやってたから疲れてるでしょ?私たちが買ってくるから!」

 

 クラスメイトが演者の皆には休むように言う。確かに、演劇で1番疲れるのは演者である。朝早い段階から通しで稽古しているのに、この寒い中コンビニに行かせるのは申し訳が無い。なので少しでも休ませたいのだ。

 

「それじゃ、私は卵サンドとコーヒーで」

 

「あたしは肉まん2つ。あとお茶」

 

「あ、私はササミの入ったサラダで」

 

 京佳に続き、他の演者も次々に注文をする。そしてそれを聞いたクラスメイトは、もの凄く早い指裁きでスマホのメモ機能に記入していく。

 

「よし!それじゃ直ぐに戻ってくるから、皆は待っててね!」

 

 全員分の朝食を聞いた彼女は、そのまま他のメンバーと共にコンビニへダッシュをする。

 

「それにしても、あっという間だったな」

 

「ああ。よくあの短期間でここまで出来たと思えるよ」

 

 朝食の買い出しに行っている最中、京佳と龍珠は話す。準備期間は決して多くなかった。正直に言えば、あと1週間くらい欲しいと思う。

 しかしそんな時間は無いので、がむしゃらに頑張るしかない。そしてクラス皆の頑張りで、ここまで完成する事が出来た。後は本番でミスをせず、しっかりと演劇をやりきるだけだ。

 

「とか思ってると、本番でとんでもないハプニングがあったりするんだよなぁ」

 

「やめてくれ龍珠。そういうのフラグだぞ…」

 

 そういう不穏な事は言わないで欲しい。本当に何かがありそうだ。

 

「ただいまーー!」

 

『いや早くない!?』

 

 そんな風に駄弁っていると、買い出しに行ってきたクラスメイトたちが戻ってきた。時間にして、まだ10分もたっていない。そのあまりの速さに、京佳たちは驚く。

 

「朝だったからさ、あまり混んで無かったんだよね。それに私、陸上部だし」

 

「ああ、成程…そういやまだ6時台だったな」

 

 どうもまだ早朝だったので、あまりコンビニは混んでなかったようだ。それにしても早いと思うが。

 

「はいこれ、立花さんの卵サンドとコーヒー。あ、ブラックで良かった?」

 

「ああ、大丈夫だよ。ありがとう」

 

 京佳はクラスメイトから朝食を受け取る。入学当初なら絶対に無かった光景だろう。あの時は、龍珠以外の皆が京佳を怖がっていたからだ。

 だが今はもう、そんな事は無い。これも生徒会での仕事を全うしてきたおかげかもしれない。今ならば、仮に京佳と白銀が恋人同士になっても、クラス皆は祝福してくれそうだ。

 

「おい立花。ちょっとこい」

 

「え?何だ?」

 

「いいから、ちょっとこい。話がある」

 

 京佳が朝食を受け取り、買い出しメンバーが他のクラスメイトたちに朝食を配っていると、突然龍珠が京佳を連れ出した。どうやら、何か話があるようだ。京佳は朝食を手に持ったまま、龍珠に付いて行く。因みに龍珠の朝食は鮭おにぎりつだ。そして、そのまま天文部の部室へとたどり着く。部室へ入ると、龍珠は部室の扉に鍵をかける。余程誰にも聞かれたくない話なのかもしれない。

 

「えっと、どうした?」

 

 突然こんな場所に連れてこられ、京佳は少し戸惑う。

 

「単刀直入に聞くぞ?お前、白銀にどういう告白をするんだ?」

 

「ぶふ!?」

 

 そして龍珠の突然の質問に拭きだすのだった。

 

「な、何を…!?」

 

「今更とぼけんな。お前私に言ってただろ。文化祭の2日目に告白するって」

 

「……あ」

 

 演劇に集中していたせいで今の今まで忘れていたが、そういえばつい昨日そんな事を言った。でもやはりこうして急に言われると恥ずかしいので勘弁してもらいたい。

 

「……2日目の、キャンプファイアーで盛り上がっている途中に、白銀を別の場所に呼び出して、そこで告白するつもりだが…」

 

 龍珠にここまで知られている以上、今更誤魔化す訳にもいかない。京佳は恥ずかしがりながら、告白の日程を龍珠に教える。

 

「そうか。キャンプファイアーの時か」

 

「ああ…」

 

「何すればいい?」

 

「え?」

 

「だから、私は何をすればいい?」

 

 すると龍珠が、京佳にそんな質問をする。その時、京佳は思い出した。昨日、何か手伝って欲しい事があれば手伝うと龍珠が言っていた事を。

 

「今更だが、いいのか?」

 

 確かに以前、龍珠は手伝うと言った。京佳だって、手伝ってくれるのならありがたいと思う。しかしやはり、自分の恋愛事に巻き込んでしまうので少しだけ気が引ける。

 

「お前の事は、マジで大事な友達って思ってるんだ。だからこそ、そんな友達の恋が成就して欲しいって思うのは当たり前だろ」

 

 すると龍珠は、どこか恥ずかしそうに言う。龍珠にとって京佳は、秀知院で今も自分から離れずにいてくれる友達だ。そんな友達の恋を応援したいと思うのは、極々普通の事だろう。

 いくらヤクザの娘だとか、不良生徒とか言われている龍珠でも、それくらいの心と思いやりはある。

 

「……嬉しいんだが、恥ずかしい事言ってる自覚あるか?」

 

「うるせぇ!いいから何か手伝わせろ!!」

 

 最後は少しヤケクソ気味だが、龍珠が京佳の恋を応援しているのは事実だ。だって本当に、大事な友達なんだから。

 

「それじゃ、ちょっといいかな?」

 

「ああ」

 

 そして京佳は、龍珠にある事をお願いするのだった。

 

 こうして京佳は、1人目の協力者を得たのである。

 

 

 

 

 

(昨日は立花さんにあんな事言ったけど、やっぱり会長に告白なんて…)

 

 一方かぐや。彼女も早朝から学園に来ていた。普段なら、例え文化祭といえどかぐやがここまで早く来る必要な無い。しかし、今は家にはあまりいたくない。家の自室だと、変な事ばかり考えてしまうからだ。

 

(そもそも、告白ってどうすればいいの?)

 

 昨夜京佳からの宣戦布告を受け取り、その後白銀の素敵なところを2人で言うだけ言ったかぐやは、志賀の運転する車で帰宅。そして帰宅した時、早坂から言われた。

 

『立花さんとの勝負を受けたからには、必ず白銀会長に告白をしてください。もし告白しなかったら、今度はグーで殴りますから。そしてここでのメイドの仕事をやめます。幸い貯金はありますし』

 

 こう言われてしまえば、もう後には引けない。確かに素直になって白銀に告白すれば、かぐやは白銀と恋人になれる可能性がぐっと上がるだろう。このまま白銀から来るのをずっと待っていたら、手遅れになる。なんせ恋敵と認めた京佳が、自分からグイグイ行く子なのだ。

 そんな京佳がいるのに、これ以上待ちに徹する事はありえない。なので告白をするべきではある。

 

 問題は、かぐやはその告白の仕方がわからないというところだ。

 

 これまで、白銀から告白されてきた事を散々シュミレートしてきたかぐやだが、自分が告白をするというのは全く考えていなかった。

 

(いえ、難しく考えてはいけないわ。普通に会長に好きだと言えばいいのよ)

 

 かぐや、ここで白銀に告白をした時の事を脳内でシミュレーションする。

 

――――

 

『会長、好きです。私と、付き合って下さい!』

 

『俺も四宮の事は好きだ』

 

『じゅ、じゃあ!!』

 

『でも、この好きと言うのは親愛としての好きなんだよ。別に恋愛感情じゃない』

 

『え?』

 

『だから、ごめん』

 

――――

 

「おえ…」

 

 ついフラれる事を考えてしまった為、かぐやは吐きそうになる。ついでに眩暈もしてきたし、なんなら頭痛もする。まるでRPGで敵モンスターから状態異常を食らった気分だ。

 

(無理!会長にフラれるかもと思うと意識が遠のく!というかもし会長にフラれたら、私絶対に生きていけない!)

 

 かぐやは悲観的になる。もし白銀にフラれでもしたら生きている意味が見いだせなくなり、自分は翌日にでも東京湾に身投げするかもしれない。仮に本当にそうなったら、自分の数十億相当の遺産は早坂に相続させよう。

 

(って悲観的になったらダメ!もっと良い方向に考えないと!!)

 

 これではダメだ。常に後ろ向きな考えをしていたら、良いことも起きない。かぐやは告白をして、白銀からOKを貰えるであろう方向で考える。

 

―――――

 

『会長!あなたの事が大好きです!どうか私と付き合って下さい!』

 

『俺も四宮の事が好きだ。こんな俺でよければ、どうかよろしく頼む』

 

『はい!これからも末永く、よろしくお願いします!』

 

『ああ。こちらこそ、よろしく頼む』

 

――ー――

 

(も、もう会長ったら!そんな急に結婚までなんて!いくらなんでも話が飛躍しすぎです!!)

 

 体をクネクネさせながら、かぐやは1人でにやけている。この気持ち悪い動きを誰にも見られなかったのは奇跡だろう。

 

(ええ、そうよ。もっと自信を持ちなさい四宮かぐや!だって会長は私の事が嫌いでは無いだろうし!むしろ好きな部類に入るでしょうし!)

 

 かぐやは自信と元気を取り戻す。これまで、白銀はかぐやを毛嫌いしてきた事など無い。強いて言えば、生徒会に入った時に少しだけ衝突があったくらいだ。それ以外は、普通に仲良くしている。何なら2人でデートにだって行った。これで白銀が、自分の事を好きでも何でもないのはありえないだろう。

 

(とすると後は、タイミングと場所でしょうね。ベストなのは奉心祭が終わる直後でしょう。その時ならば忙しい会長も時間があるでしょうし、どこか2人きりになれる場所を探してそこで…)

 

 次にかぐやは、告白する場所を考えてみる2人きりで落ち着けて、誰も邪魔が入らずに告白が出来るであろう場所。

 

(生徒会室しかないわね…)

 

 その条件に当てはまると言えば、何時も使っている生徒会しかない。他の生徒会メンバーが入ってくるかもしれないが、その辺は何か策を打てばなんとでもなる。

 場所は決まった。後必要なのは、

 

(勇気、かしら…)

 

 自分から告白をする勇気だけだ。確かに機能かぐやは、早坂に言われて告白をすると決めた。

 

(うう…やっぱり怖い…自分から告白をするなんて…)

 

 だがそれが簡単にできれば苦労しない。どうしても告白してもしフラれたらと考えてしまい、後1歩が踏み出せない。

 

(やはりどうにか会長から告白をするよう…ん?)

 

 どうしようかと考えていると、見知った顔が見えた。

 

「じゃあ無線マイクは第2ステージが終わったら回収します」

 

「すまんな石上。助かる」

 

「いえいえ。こういった器材トラブルはよくある事なので。団長が責任感じる事は無いですよ」

 

「団長はよせって。俺はもう団長じゃないんだから」

 

「あ、すみません。つい癖で」

 

「ま!何時までも応援団の仲は不滅って事だね!」

 

 そこにいたのは生徒会メンバーの石上。そして3年生の風野と子安つばめ。どうやら何かのトラブルで話し合っているようだ。

 

「石上ー。暗幕の余りってあるー?」

 

「あ、それならあっちにあるぞ」

 

「ありがとー」

 

 そこに大仏こばちも追加された。

 

「お!こばちも頑張ってるな!」

 

「うん。先輩も頑張ってね」

 

(ん?)

 

 かぐや、ふと違和感を感じる。何だか、風野と大仏の距離が近い。物理的にじゃなくて、距離感的に。まるで恋人のように。

 

「あれ?大仏って団長と知り合いだっけ?」

 

「知り合いっていうか、付き合ってる

 

「へー、意外だなってええええええええ!?

 

(ええええええええ!?)

 

 というか恋人だった。その衝撃の事実に、石上とかぐやは驚く。だってこんな如何にも『そういうの興味無いんで』みたいな見た目の大仏が、あの男気溢れる風野と付き合っているのだ。そりゃあまり面識の無いかぐやだって驚く。

 

「いやお前!何時から!?」

 

「ほんの数日前から。文化祭の準備を手伝っている時に色々話して、何て言うか流れで?所謂文化祭マジックってやつ」

 

(文化祭マジック!?そんなのがあるの!?)

 

 文化祭マジック。それは文化祭準備から当日にかけて、カップルが続々と成立していく現象の事を言う。クラスが一丸となって同じ目的に向かって行き、多くの時間を共有する。それらの中で何気ない接触や会話が積み重なって行き、結果異性に対する気持ちが膨らんでいく。そして告白をして、恋仲になる。それが文化祭マジックだ。

 

「この間話してたらそういう流れになって、まぁ別にいいかなーって」

 

「軽くない!?」

 

「いや石上。文化祭を女友達と回るって相当ダサイんだよ?それにもうすぐクリスマスじゃん?普通に考えて男いるでしょ?

 

「お前結構肉食系だな!?」

 

 意外な事実。眼鏡を掛け、おさげの髪型をしている大人しそうな女生徒大仏こばちはこういう女だった。現在、他の出し物の見回りに行っている伊井野がいたら卒倒していたかもしれない。

 

「この時期が一番告白の成功率高いんだし、石上も頑張りなよ?」

 

「何をだよ」

 

 何やら含みのある言い方をして、大仏は石上の肩を叩く。

 

「まぁ団長とお幸せにな。じゃあ僕ちょっとトイレ行ってくるから」

 

「うん。ありがとー」

 

 石上はそう言うとその場を後にする。そして廊下に出た瞬間、

 

(うおっしゃああああああ!!きたきたきたーーーー!!)

 

 声を押し殺しながら、映画「プ〇トーン」のあのポーズをするのだった。

 

 石上優は子安つばめが好きである。しかし彼は、最近この気持ちを心の底に押し込んでいた。原因は、団長である風野にある。風野とつばめは、日ごろからとても仲が良い。よく肩を組んだり、軽口をたたき合う程だ。

 故に石上は『あの2人は両想いなのでは?』と考えるようになっていた。実際、あの2人はお似合いだし、そこに自分程度の存在が入り込む隙など無いだろう。なのでつばめが好きという気持ちを押し殺していたのだ。

 

 だが違った。風野×つばめは無い。だって風野は大仏と付き合っているのだから。

 

 つまり子安つばめはフリーの可能性大。これならば行ける。

 

「チャンスきたぁぁぁぁ!!これなら行ける!行けるぞおおお!!!」

 

「ちょっと石上くん。うるさいわよ?」

 

「え!?し、四宮先輩!?」

 

 つい声を出して喜んでいると、すぐ後ろにいたかぐやから声をかけられる。

 

「まぁ、はしゃぎたくなる気持ちもわかるわ。だってずっと気になっていた人に恋人がいなくて、恋敵と思っていた人がそうじゃなかったんだものね?それに、この文化祭で告白をすれば十中八九成功して、憧れの先輩と付き合える。そう考えているんでしょ?」

 

 一部始終を見ていたかぐやは確信を突くように言う。

 

「そんな浅はかな事考えていません!」

 

「え!?これ浅はかなの!?」

 

 しかし石上はそれを否定。かぐやはショックを受ける。だってかぐやはそう思っているからだ。ついでにこの場にいない京佳もだが。

 

「僕がいつ告白したっていいじゃないですか。偶々文化祭の時期にそのチャンスが来たってだけです。だから打算で告白なんてしませんよ。でも、もう時間が無いんです」

 

 かぐやがショックを受けている事に気が付かず、石上は話す。

 

「つばめ先輩は3年生。あと半年もしないうちに卒業します。正月を過ぎたら自由登校になるし、そう簡単には会えない。今のままじゃ僕は、ただの仲の良い後輩で終わる。だから、僕はつばめ先輩の特別にならないといけないんです。勿論、告白は凄く怖いですよ。もしフラれたらって思うと、今にも吐きそうになります。でも、このまま何もしないでいる方がずっと嫌だ」

 

「石上くん…」

 

 いつの間にか石上の手は、小さく震えていた。

 

「本当は期末テストで結果だしてからって思ってましたけど、やっぱり無謀ですかね?こんな僕が告白なんて「いいえ、そんな事ないわ」え?」

 

 石上が振り返ると、かぐやは真剣な眼差しで石上を見ていた。

 

「誰かを好きになるのに、そんな卑屈になってはいけないわ。しっかりと自分の素直な気持ちを伝えなさい」

 

「四宮先輩…」

 

 偶に人を殺してそうな恐ろしい目をしているかぐやが、今は聖母のようにとても優しい目をしている。石上はそんなかぐやに、少しだけキュンっとなった。

 

「ありがとうございます。なんか勇気が出ました。とりあえずは、一緒に文化祭回らないか僕から誘ってみます」

 

 こうして石上は、かぐやに背中を押された事で、文化祭でつばめを誘おうと決めた。

 

(石上くんは、勇気を出すのね。だと言うのに私は…)

 

 そしてかぐや。彼女は石上を、少しだけ尊敬していた。だって自分は未だにあと1歩が踏み出せないのに、石上はまるで京佳のように勇気を出すからだ。

 そしてそんな彼の背中を、少しだけ押したくもなる。どうせなら、石上にはこのまま子安つばめと一緒になって欲しいとも思いながら。

 

(まぁ、石上くんは小心者だから、告白するにしても最後の最後でようやくでしょうね)

 

 けど、これで石上が直ぐに告白をする事は無いだろうとも思っていた。だって彼は根暗の小心者だ。白銀であればそんな事も無いだろうが、石上は無理だろう。仮に告白をするとしても、今日は絶対に無い。

 

(ん?待ちなさい…これはもしや、チャンスなのでは?)

 

 そしてかぐやは、突然閃いた。石上はつばめに告白をする為に文化祭を過ごす。恐らく、色々と準備をするだろう。例えば、奉心祭の伝承に倣ってハートの贈り物を用意するとか。更に告白の段取りなども決めるかもしれない。

 だからかぐやは考えた。

 

 ここは石上と共に、自分も告白の準備をするべきではないのか。

 

 諺にも「三人寄れば文殊の知恵」などがある。石上と協力し、それぞれの恋愛を手助けしあえば、お互いの恋を成就する事も可能かもしれない。まさにwin-winの関係である。ならば、例えこれで自分の想い人が石上にバレるとしても、ここは協力者を得るべきだろう。

 

(そうよ。かの徳川家康だって1人で何もかも出来てた訳じゃない。多くの家臣や部下がいて、彼らと共に一丸となってきたから天下を取れたんじゃない。だったら私も、今だけは四宮の家訓を川に投げ捨ててでも協力を仰ぐべきよ)

 

 なのでかぐやは、石上に自分の恋の手伝いをさせようとした。対価として、石上の恋を手伝う事にして。

 

「石上くん、少しお話が…」

 

 だがかぐや、ここでふと気が付く。

 

 ここで自分の恋の協力を石上にさせてもいいのか、と。

 

 石上は本気でつばめに、自分から告白をするつもりだ。その為に、これから色々と準備をするだろう。だがそこに、自分という異物が入ってもいいのか。確かに協力しあえば、お互いの恋を成就できるかもしれない。

 

(折角石上くんは勇気を出しているのに、それを邪魔する様な事をしてもいいのかしら?)

 

 だが折角石上がやる気を出したのだ。自分が石上の恋を手伝うだけならまだしも、石上に自分の恋を手伝わせるような真似をしていいのだろうか。それは、石上にとって邪魔な出来事にしかならないのではないのだろうか。

 

(それに正直、石上くんが手伝ってくれたとしても、大して戦力にならないでしょうし

 

 同時に、かぐやは石上を戦力外と判断した。だって石上だもん。かぐやを空母で例えるなら、石上はせいぜい震〇くらいだろう。既に空母という戦力があるのに、今更そんな戦力いらない。そもそもあれ、兵器として欠陥品だし。

 

「えっと、何ですか?」

 

「……いいえ、何でもないわ。頑張ってね」

 

「はい。頑張ります」

 

 結果、かぐやは石上に協力を仰ぐ事はしなかった。

 

(手伝わせるのは、早坂だけに絞ましょう)

 

 ここは戦艦クラスの戦力である早坂を用意しよう。早坂であれば、かぐやの恋の手伝いだって快く承諾してくれるだろう。今までもそうだったし。

 

(よし、そうと決まれば私も頑張らないとね)

 

 石上を見送ったかぐやは、自分の恋を成就させる為にも色々と動き出すのだった。

 

 

 

 

 

「という考えなんだが、どうだろうか?」

 

「お前、結構ロマンチストだな」

 

 その頃、京佳は龍珠に色々と作戦を教えていた。

 

 

 

 

 

『それでは、秀知院文化祭の奉心祭、只今よりスタートです!!』

 

 こうして、それぞれの想いが錯綜する文化祭が始まるのだった。 

 

 




 多分だけど、石上は最低でも潜水艦くらいの戦力はあると思う。

 という訳で、多分ここが分岐点のひつと。

 そして本作を見返していたら、割と矛盾がある事に気がづきました。更に以前のお話で、京佳さんが超上から目線で嫌な感じの子になってたりと…。以前のお話は、そのうち少し修正する予定です。
 少し無責任な言い方をしちゃうと、あくまで趣味で書いてる二次創作小説だから、自分が書きたいように書いていいよねって思ってたりしたのであんな風になりました。

 これからそういう事が無いように努力いたしますので、どうか今後も本作品をよろしくおねがいします。
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