もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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今回、『かぐや様は告らせたい 同人版』のような回となっています。
苦手な方はご注意ください。

あと一応キャラ崩壊かも?


白銀御行と幸せの象徴

 

 

 立花家 浴室

 

「はぁ…」

 

 湯船につかっている京佳は、思わずため息をついた。

 

(どうしたものか…)

 

 京佳のため息の原因、それは白銀である。この数か月、色々と積極的に動いてはいるが、未だに白銀を自分に振り向かせる事はできていない。恋敵であるかぐやのほうは、少しずつではあるが、着々と白銀との距離を縮めている様に感じる。少し前の相合傘などがいい例だ。

 このままでは、自分の恋は実る事など無く終わってしまう。何とか打開策が欲しいと京佳は考えていた。

 

「…………」

 

 京佳はふと、お湯に浮いている自分の胸をみた。そして思い出した。数日前に今は別の高校に通っている友人から言われたことを。京佳の友人はこう言った。

 

『男の子なんて皆スケベなんだからさ、少しドキっとすることやったら簡単に落ちるんじゃない?』

 

 これはある意味正解である。

 男は女に比べると性欲というものが強い。もしも、かわいい女が近くに居て、その女が自分に対して色々とスキンシップをしてくれば、男はその女と如何わしい事をしたいと思うものだ。その結果として、恋人になりたいと思う人も確かに存在する。悲しいが、男という生き物はそういうものである。

 

(一応、水着ではそういう作戦は考えてはいるが…)

 

 京佳も水着で白銀を悩殺する作戦は考えていた。しかし、夏休みに白銀に水着を見せる機会があるかはわからないし、もしかすると一度も会う事が無いまま夏休みが終わる可能性もある。そして、何一つ進展の無いまま2学期を迎えるかもしれない。そう考えた京佳はお湯に入っているのに寒気を感じた。

 

(それは嫌だな。打てる手は何でも打っておこう…)

 

 そして京佳は、早速明日の放課後にでもある作戦を実行することにした。

 

 

 

 翌日の放課後 生徒会室

 

 この日、生徒会室には白銀と京佳の2人だけしかいなかった。かぐやと藤原は部活に行っており、それが終わるまでこれず、石上は家で会計の仕事をするため、さっさと帰宅した。

 

 

「しかし、今日も暑いなぁ白銀…」

 

「全くだ。これから夏本番が来ると思うと更に嫌になる…」

 

 京佳と白銀は、生徒会室にある長椅子にそれぞれ向かい合う様に座った状態で仕事をしながら会話していた。未だに梅雨は開けておらず、ジメジメとした日が続いており、梅雨が明けると今度は夏が来る。日本の夏は湿度が高いため、かなり暑く感じる。更に最近は地球温暖化の影響もあって、最高気温もどんどん上がっている。今からそんな日が来ると思うと少し憂鬱になるのも仕方ない。

 

「あぁ、こう暑いと本当に嫌になるよ…」

 

 そう言って京佳は制服の首元に指をかけ、パタパタとはたき始めた。そのせいで京佳の谷間が見えそうになっている。また、首元をはたいているため胸も少し揺れていた。

 

「そ、そうだな…確かに嫌だよな…汗でベタついたりとか…」

 

 白銀は書類に目を落としてそう言った。しかし、声に少しだけ動揺が見えた。

 

(ふむ…やはり白銀も男という事か…)

 

 京佳が今回実行した作戦。それは『色仕掛け』である。

 何度も言っている事だが、京佳は非常にわがままな体つきをしている。大きな胸にくびれたお腹。そしてモデル並みの長くて細い脚。180cmという大抵の男より大きい身長と、顔の左側にしている眼帯のせいで人相が悪く見えるが、それすらかっこいいと思う人が沢山いる。つまるところ、立花京佳は非常に魅力的な女性なのだ。

 そして白銀は健全な男子高校生だ。例え学園模試で1位を取り、生徒会長として様々な仕事をこなしていいても、健全な男子高校生なのだ。異性である京佳の突然の仕草にドキっとするのも仕方がない。そして京佳は白銀のそんな反応を見逃さす、再び仕掛けた。

 

「っと、しまった。消しゴムが…」

 

 京佳はわざと消しゴムを床に落として、それを拾うため椅子から立ち上がり、少しだけ勢いをつけて前にかがんだ。すると京佳のスカートの後ろ側が勢いをつけた分、思わず下着が見えそうなくらいにめくれ上がった。その結果、京佳の太ももが一瞬だけ露になった。

 

「っ…」

 

 白銀は直ぐに顔を背けた。正直なことを言うと、見てみたいという思いもあった。しかし、もしここで見てしまい、それが京佳にバレてしまったら、間違いなく生徒会長としての威厳が地に落ちる。更にもしその事がかぐやにでも知られれば、全てが終わる。それゆえ、見てみたいという欲望を必死で抑え込み、視界を外した。

 だが、そんな白銀の想いを知らない京佳は更に仕掛けてきた。

 

「白銀、この書類のここにサインをくれ」

 

「ど、どこだ?」

 

「ここだ」

 

 京佳は前かがみになって、白銀に書類を見せ手でサインする場所を教えた。白銀の目の前には、前かがみになっている京佳の大きな胸が映った。先ほどから色々と京佳が動いたせいで、白銀は普段は殆ど意識しない京佳の胸を思わず凝視してしまった。

 しかしそれも一瞬。白銀は直ぐに書類を受けとり、必要な個所へサインを書き始めた。

 

(な、なんだ?今日の立花なんか変な感じがするぞ!?てか立花ってこんなに無防備だったか!?)

 

 京佳の作戦の効果は抜群だった。実は白銀、結構なムッツリである。もしもかぐやと付き合えたら、絶対にエロいことをしたいと思ってたりする。そんなムッツリな思春期の白銀に、京佳の色仕掛けはまさに効果覿面だった。

 

(いやしかし、藤原書記もそうだが立花もかなりの大きさが…っていかんいかん!煩悩退散煩悩退散!!)

 

 自分のエロイ部分の欲望を必死で取り払う白銀。何があってもここでボロを出さないと必死である。そして京佳を視界から完全に外し、長机に積み上げられている書類に集中した。

 

(効果はあるようだが、思ってたより恥ずかしいなこれ…)

 

 一方、京佳は恥ずかしがっていた。自分で決めて決行した色仕掛け作戦だったが、普段慣れていない行動をしているからである。

 しかし、白銀にもこういう仕掛けが効果があるとわかったので、満足はしていた。これならば、水着作戦も効果が期待できそうだ。その為にも、夏のどこかで作戦を実行できるようにせねばと決意した。

 

(しかしこれ以上はあざとい女と思われるかもしれないな…この辺でやめとこう…)

 

 京佳は作戦終了を決断した。あまり色仕掛けをやりすぎると白銀から悪い印象を受けるかもしれない。こういうものは引き際が大切なのだ。作戦を終了させ、色々と収穫もあった京佳は資料を持って長椅子から立ち上がった。

 

 突然だがメドゥーサという怪物をご存じだろうか?

 ギリシャ神話に登場する怪物であり、ゴルゴン三姉妹の末の妹だ。髪の毛が蛇になっており、口には大きな牙を生やしている。彼女を直視した人間は、恐怖のあまり石化すると言われている。

 しかし彼女は、元々は絶世の美女だった。だがある日、女神アテナの神殿で海神ポセイドンと恋のABCのCを行ってしまった。それを知った女神アテナが、神聖な神殿を汚された思い激怒。その結果、女神アテナにより醜い怪物にされてしまったのだ。

 

 そしてここは秀知院学園の生徒会室。生徒会室は度々神聖な場所と言われることがある。そんな場所で京佳は白銀に色仕掛けを決行。

 結果、罰が当たった。

 

「ぬあっ!」

 

 資料を棚に運び、長椅子に戻ろうとした京佳は突然躓き、そのままバランスを崩して大きな尻もちを着いてしまった。

 

「いっつ…」

 

「大丈夫か!?立ば…な…」

 

 尻もちを着いた京佳に白銀は声をかけ、そして言葉を失った。今、白銀の目にはあるものが映っているからだ。それは京佳が少しだけ大きく開いた長い脚の先にあり、スカートの中にあり、太ももの更に奥にあるも白い布である。

 

(し、白のいちご柄…)

 

 パンチラ

 主に女性用下着が何らかの事情でチラリと見えてしまうことを意味するラッキースケベなイベントである。そしてそれは、全ての男たちにとっての幸せの象徴。普段見えないスカートの下に隠されている黄金郷(エル・ドラド)。もし一目見る事が叶えば、その日は幸せいっぱい夢いっぱいで過ごせる事間違いなしの現象。そんなラッキースケベなイベントが、今、白銀の目の前で起こったのだ。

 

「「っ!!」」

 

 白銀の視線に気づいた京佳は慌ててスカートを抑え、そして京佳のパンチラを見てしまった白銀は視線を外し窓の方に顔を向けた。

 

「……」

 

「……」

 

 沈黙が生徒会室を支配した。長椅子に座っている白銀は今は窓の外を見ており、尻もちをついていた京佳はスカートを押さえたままゆっくりと立ち上がった。

 

 気まずい。

 

 もし他の生徒会メンバーがいればこういう空気にはならなかっただろう。白銀も京佳も、今だけは藤原の手でも借りたい気分だった。

 

「し、白銀…」

 

「な、なんだ立花?」

 

「見たか…?」

 

「…………」

 

 頬を赤く染めている京佳の質問に思わず口を紡ぐ白銀。そして白銀は考えた。正直に答えるか、ごまかすか。こういった場合の嘘が苦手な白銀は正直に『見た』と答え、謝ろうと思ったのだが、数日前に妹のスカートの短さを注意した時に『セクハラ』と言われたことを思い出した。

 もし『下着を見た』と答えれば、それが原因でセクハラで訴えられるかもしれない。最近は少しの事で訴えらる世の中なのだ。十分にあり得る。そうなってしまえば生徒会長としてどころか、人として終わる。故に、『見ていない』と嘘をつくことにした。そうすれば、少なくともセクハラで訴えられることはないだろう。

 

「だ、大丈夫だ…見えていないぞ?」

 

「ほ、ほんとか…?黒い物とか見えなかったか?」

 

「え?白じゃ、あ…」

 

「……」

 

 白銀は京佳の古典的なひっかけに見事にひっかかった。そして立ち上がり京佳に向かって、

 

「すいませんでしたあぁぁぁぁぁ!!」

 

 90度の綺麗な角度で頭を下げ謝罪をした。

 

「本当にすまなかった立花!どんな謝罪でもするから訴えるのだけは勘弁してくれ!!」

 

「お、落ち着け白銀。訴えるってなんだ?」

 

「いや、だって、下着を見ただなんてどう考えてもセクハラじゃないか…」

 

「大丈夫だ白銀。この程度で裁判沙汰にするつもりなど全くないから…」

 

「え?そうなのか?」

 

 京佳の言葉に少しだけ安堵する白銀。

 

「まぁ、例えばいきなり何の脈絡もなくスカートをまくられたら一発殴るくらいはするが、今回のこれは完全な事故だ。別に白銀自身に罪はないだろう?」

 

「そ、そうか。そういうものか……」

 

 京佳の言う事は最もだった。スカートめくりとは違い、パンチラとは本人が意図しない形で起こる出来事である。それを偶々見てしまった白銀に非は一切ない。むしろ先ほどまで白銀に対して色々と色仕掛けをしていた京佳に非があるかもしれない。

 

(しかし立花の奴、意外と子供っぽい物を……はっ!俺は何を考えて!)

 

 白銀は先ほど見てしまった京佳の下着を思い出していた。白銀の勝手なイメージでだが、京佳はてっきり黒い下着だと思っていたからである。

 だが実際、京佳が履いていたのはいちご柄の下着だった。クールな京佳からは想像できない柄である。だが白銀は直ぐにそんな俗な考えを取っ払い、再び謝罪をした。

 

「立花、事故とはいえ、本当にすまなかった。男として最低なことをしてしまった」

 

「いや、いいさ。こちらこそすまない…」

 

 姿勢を正し、頭を下げて心から謝罪をする白銀。そして京佳も、白銀の心からの謝罪を受け取った。

 

「まぁ、あれだ。できれば今見たものは、早めに忘れてくれると私も助かる…」

 

「あぁ、分かった。直ぐに忘れよう」

 

 京佳に言われ、今見た事を忘れると約束する白銀。だが実際は、

 

(いや!絶対無理だから!俺も男子高校生だぞ!?ばっちり脳みそに記憶されちゃってるから!!直ぐには忘れられないから!!)

 

 心の底から無理と断言していた。とてもではないが、暫くは忘れるなんて不可能だろう。なんせ、普段の京佳からは想像もできない下着だったのだ。ムッツリな白銀がその事を直ぐに忘れる事など、とてもではないが不可能に近い。

 だが白銀は、時間が掛かってもちゃんと忘れるよう努力をしようと決めた。それが京佳に対する最大の謝罪と思ったからだ。

 そして白銀が忘れるよう努力をしようと決意していた時、京佳が話しかけてきた。

 

「それと白銀、これはオフレコでお願いしたいのだが……」

 

「なんだ?」

 

「わ、私はいつもはこんな子供っぽい下着は履いていないからな!?今日は偶々洗濯していたやつがこれしかなくて、体育の授業も無く、着替えることも無いから別にいいかと思って履いていただけであって、何時もはもっとこう、フリルやレースの着いた黒や水色や…!」

 

「落ち着け立花!!お前今とんでもない事言っているぞぉぉぉぉ!?」

 

 京佳は混乱していた。

 色仕掛けをしていた時は心構えができていたからよかったが、予定外のラッキースケベなイベントが起こったせいである。そして普段履いている下着について喋りだし、それを聞いた白銀は急いで京佳を落ち着かせようとした。

 

 

 

 

 

 その日の夜 白銀家

 

「煩悩退散煩悩退散煩悩退散煩悩退散・・・」

 

「おにいうるっさい!!」

 

 白銀は京佳のパンチラが全く忘れる事ができず何度も煩悩退散と何度も呟いた。その結果、妹の圭に怒られた。

 

 

 

 

 




別の高校に通っている友人はそのうち出します。

次回はうちにボ卿が届いたら

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