もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
うん。お待たせしちゃって本当にごめんね。色々あってモチベが下がってまして…。
でも今年中には絶対に終わらせます。最低でもどっちかのルートは。
でも今回、リハビリも兼ねて書いたので少し短いしあまりお話進んでない…。ごめんなさい。
生徒会室
「何だかんだで、結局私達はここに来ちゃうんですよねー」
「まぁ、ここが1番落ち着く場所ですしね」
文化祭も落ち着いてきた夕方、生徒会のメンバーは生徒会に集まっていた。
「皆、少し早いが今日は1日お疲れ様」
「ありがとうございますー」
白銀が生徒会メンバーにねぎらいの言葉をかける。文化祭は実文が主に取り仕切っているが、自分のクラスの出し物は別。これだけ大勢の人が来てくれたのだ。当然、各クラスの仕事も多くなっているだろう。
「かぐやさん、大丈夫ですか?」
「ええ…少し疲れただけですから…」
そんな中、かぐやだけは人1倍疲れた顔をしていた。自分のクラスの出し物であるコスプレ喫茶に現れた店長朝子。彼女からコーヒーのダメ出しをされ、おまけに何でか彼女が自分のクラスで働く事に。
その結果、当初の想定を遥かに超える繫盛具合となってしまった。更に追い打ちをかけるように、白銀父が来店。この対応にも追われたおかげで、体力があるかぐやも流石に疲労困憊だ。白銀も来店しなかったし、散々である。
「立花先輩は演劇だったから、凄く大変だったんじゃないんですか?」
「確かに大変ではあったけど、主役よりは出番も少ないしそこまでじゃなかったよ」
京佳も疲れてはいるが、かぐや程じゃない。恐らく、京佳のクラスで1番疲れているのは龍珠だろう。主役のシンデレラ役だったし。
「私も見たかったな…」
「クラスの子が録画しているから、よかったら今度データを渡すよ」
「いいんですか!?ありがとうございます!」
かなり乙女思考の伊井野にとって、シンデレラは大好きなお話。そんな彼女ならば、演劇のシンデレラを見てみたいのは当たり前。なので京佳の提案は嬉しかった。そして文化祭が終わり次第、必ず映像データを見ようと伊井野は決める。
尚、この選択を伊井野は後悔する事になる。
「ところで藤原先輩ってちゃんと仕事してました?僕のイメージだと1日中遊んでいた感じなんですけど」
「石上くん?またハリセンで叩きますよ?」
石上がいつものように藤原にそんな事を言う。一応だが、藤原だって仕事をしていた。ただし、他のクラスメイトに比べてちょっと少ない。
「まぁ皆、楽しんでいたようで何よりだ」
「会長はあまり回っていないんですか?」
「ああ。保護者の案内で多少は見ていたが、しっかりと見たのは立花の演劇くらいだな」
本当はかぐやのところにも行きたかったのだが、あの繁盛具合では行けそうもなかった。結果、見たのは京佳のシンデレラの演劇だけ。
最も、それも途中で記憶が飛んでいるのだが。
「なら白銀。もしかしてお昼も食べてなんじゃ?」
「そうだな。途中で缶コーヒーを飲んだくらいだ」
(よし。これならいける)
質問の答えを聞いた京佳は、準備していた作戦を実行に移す。
「だったら丁度よかった。実は先程、たこ焼きをいくつか買ってきたから皆で食べないか?」
「あ、さっきから良い匂いがすると思ったらそれだったんですね」
京佳はソファに乗せていたビニール袋から、どこにでもある普通のたこ焼きを5パック程取り出す。出来立てでとても美味しそうだ。
「わぁ…美味しそう…」
「ありがとうございます京佳さん!」
さっそく食いつく伊井野と藤原。しかし、これだけではまだダメ。もう一押し必要だ。
「しまった飲み物が無い。たこ焼きは粉物だし、これじゃ少し食べるのがキツイな。どうしよう?」
京佳はわざとらしく、自分が飲み物を忘れたそぶりを見せる。
「あ!だったら私が皆さんの分の飲み物を買ってきますよ!丁度喉渇いていたところですし!」
「私も藤原先輩と一緒に買ってきます。1人だと重いでしょうし」
「そうか。じゃあすまないがよろしく頼む」
「わかりました!それじゃ行きましょう!ミコちゃん!石上くん!」
「え?僕もですか?」
「石上くんは女の子に重たい物を持たせる白状な人なんですか?」
「いや買っても6人分だから大した重さないでしょうに。あーもうわかりましたよ。行きますよ。そもそも藤原先輩に飲み物頼んだら変な物買ってきそうですし」
「普通にお茶しか買いませんよ!?私を何だと持ってるんですか!?」
京佳の作戦通り、藤原は伊井野と石上と共に生徒会室から退出。石上まで着いていったのは嬉しい誤断だ。これで少なくとも、5分は戻ってこないだろう。これで外野の誘導は出来た。後は白銀に、例のたこ焼きを渡すだけ。
「「はい、白銀「会長」」
しかし白銀にたこ焼きを渡したと同時に、かぐやも白銀にたこ焼きを渡した。それも京佳と同じ、ハート型の器に入ったたこ焼きを。
「四宮、それは?」
「これですか?会長は忙しくて何も食べていないと思っていたので、私も先程1つ買っておいたんですよ」
「…ほう」
両者、視線がバチバチとぶつかる。
この2人、ただ空腹の白銀にたこ焼きを渡したいだけでは無い。このたこ焼きには、ある仕掛けが施されている。
2人は少し前、校内の屋台で偶然あるものを見つけた。それは、秀知院の奉心伝説に全力で便乗していたハート型の器に入ったたこ焼き。中身は6個入の普通のたこ焼きに見えるが、実は1つだけハート型のカマボコが入ってる。もしこれを白銀に渡す事が出来れば、一気に意識させる事が可能だ。
しかし、流石に他のメンバーがいる状態で渡す事は出来ない。主に藤原が邪魔だ。なので先程、京佳は邪魔者3人を排除したのだ。これならば、そのまま渡せる。
以前のかぐやならこんな事恥ずかしくて出来なかっただろうが、京佳に宣戦布告されている今の状況では、恥ずがってもいられない。
というか早坂にあれだけ言われて、流石に何もしない訳にはいかないのである。
「2つは流石に胃がもたれるよな?」
「そうですね。どっちか1つだけの方がいいでしょうね」
以前にもこんな事があった。あの時は2人共、アルコールで酔っていたのであんな事になっていたが今回は違う。完全にシラフだ。なのにこれである。これでは、また喧嘩になりかねない。
「ストップだ2人共。丁度腹減っていたし、2つとも食べるから喧嘩しないでくれ」
このままではいけない。そう思った白銀は喧嘩を避ける為、2人の差し出したたこ焼きをどっちも食べる事にした。
「そうか。ならどうぞ」
「会長。どうぞです」
出来れば自分のだけを渡したかったがしょうがない。2人共、喧嘩せずに同時にたこ焼きを白銀に差し出した。
「あー…ところでいいか?」
だが食べる直前、白銀がある質問をしてくる。
「なんでこれ、ハート型なんだ?」
それは、たこ焼きが入っている器について。どう見たってハートだ。そしてハートといえば、秀知院奉心伝説。当然、白銀だってその伝説は知っている。
そして白銀とて、バカではない。くそ恥ずかしい勘違いでなければ、2人が自分に対して普通以上の好意を向けているのは理解している。
だから聞いておかないといけない。もしこれが2人からの告白だとすれば、ここで答えを出す事になる。
「いや、丁度普通のたこ焼きが机の上にあるやつで売り切れでこれしかなかったんだ」
「そうですね。私も普通のがもう売っていなかったので、これを買いました」
「そ、そうか…」
だがどうやら、偶々これしか売っていなかったので仕方なくこれを買ったとの事。つまり、ハートを使った告白では無い。ならば大丈夫だ。大人しくたこ焼きを食べる事にしよう。先ずは、京佳がくれたたこ焼きをひとつ食べてみる。
「ん、うまいな」
(く、アレじゃない…!)
(あれかしら!?今会長が食べたやつかしら!?)
次に、かぐやがくれたたこ焼きを食べる。
「うん。こっちもうまい」
(あれか?あれだったりするのか?)
(それじゃない!もうひとつ隣のです!)
無論、この2人がただ空腹の白銀にたこ焼きを食べさせたい訳が無い。これは京佳とかぐやにとって告白では無いが、自分をより意識させる為にやっている作戦ではある。
ハート型のたこ焼き。
奉心伝説を知っているものからすれば、これを受け取って意識しない訳が無い。更にいえば、ハートの形をしたかまぼこを密かに白銀に食べさせて、しれっと永遠の愛を獲得。これが本命だ。
勿論、これで本当に永遠の愛を手に入れる訳ではないだろうが、それでも打てる手は打っておきたい。2人共、僅かでも可能性があるならやっておきたいという思いは同じであった。藁にも縋るとも言う。
だが、これにはある問題がある。自分のはわかるが、相手のどのたこ焼きにハート型のかまぼこが入っているかわからない事だ。相手の顔を見ればそれもわかるかもしれないが、2人共今はポーカーフェイスを貫いているので判断できない。だってそうしないと、顔がにやけてしまいそうだから。
(どれだ!?一体どれが四宮のどれにハートのかまぼこが入っているんだ!?)
(どれなの!?立花さんのどれにハートのかまぼこが入っているの!?)
黙々と食べる白銀。しかし未だに、相手の当たりたこ焼きがどれかわからない。別に相手のを白銀が食べるのはいい。
しかしできれば、先に自分のを食べて欲しい。そうしないと、なんか意味が無さそうだし。
そしてそれぞれのたこ焼きが半分を切った時、
「ただいまですー」
「戻りました」
「取り合えず、自販機でいくつか買ってきましたよー」
藤原たち、想定より早く帰還する。
(マズイ!まだ白銀は食べ終わってない!もしこれを藤原に見られたら…!)
今白銀は、ハート型の器に入ったたこ焼きを食べている。もしこれを自称恋愛探偵で超恋愛脳の藤原に見られたら、絶対に面倒な事になる。風紀委員の伊井野も、何かしてくるかもしれない。こんな事なら、飲み物以外にも何か買わせてくればよかった。
「「……」」
その時ふと、京佳とかぐやは目を一瞬だけ合わせ、瞬時に理解する。
「あれ?藤原さん。今肩に虫がいませんでしたか?」
「伊井野、足元に何かいないか?」
そして阿吽の呼吸で、藤原と伊井野の視線を白銀から逸らす。こういう時は直ぐに協力できるので、やはりこの2人は白銀が絡まなければ仲が良いのかもしれない。
「えー?本当ですかー?」
「え!?嘘嘘!?」
2人共、正面にいた白銀から視線を逸らし、自分の肩や足元を見る。これで少しは時間が稼げた。
「あ、石上くん。よければ2人を見てくれますか?もしかしたら体のどこかにいるかもしれませんし」
「まぁ、いいですけど」
そして石上も、2人へ視線を誘導させる。これで更に時間が稼げた。
「石上くん?あんまりジロジロ見ないでくださいね?セクハラになりますからね?」
「いや四宮先輩に頼まれたからさっと見てるんですよ。じゃなきゃ見ませんって」
「石上。あんたどさくさに紛れて変な事したら本当に警察に突き出すから」
「しねーよ。お前自意識過剰もいい加減にしとけ」
憎まれ口を叩かれながらも、石上は2人の体をさっと見る。
(やっぱこうしてみると、藤原先輩でかいなぁ…うちで1番大きいのは立花先輩だけど、それに匹敵してるし。伊井野は、こいつよくわかんねーんだよなぁ…多分大きい方なんだけど…)
その最中、光の速さで石上は2人の体の感想を思う。一目見てわかる大きな藤原。胸だけじゃなく、尻も大きい。正直、抱き心地が凄く良さそうだ。
大して伊井野は、着やせするタイプなのかよくわからない。でもかぐやより大きいのはわかる。
(まぁ、1番は絶対につばめ先輩だけど)
本当はあまり好きな人に対して、こんな風に思ってはいけないのだが、やはり男の子。どうしても、そういった事を考えてしまう。
「何もいませんよ。多分ハエとかが止まってて、どっかに飛んで行ったんじゃないですか?」
「そうですか。まぁお2人の体に着いていないのならいいです」
「だな。しかしハチとかじゃなくてよかったよ」
「12月にハチはいなくないですか?」
「いや、スズメ蜂なら偶にいたりするぞ」
「マジっすか?」
「ところで石上くん。今何か変な事考えてたりしませんでしたか?」
「いや全然考えてません!!」
これで時間は稼げた。そう思った2人は、白銀の方を見る。
「ご馳走様」
すると白銀は既にたこ焼きを食べ終えており、ビニール袋に空の容器を入れていた。
((よし!))
ああなれば、ビニール袋から出さないともうわからない。これでもう安心だ。
「あー!ズルイです会長!先に食べちゃうなんてーー!」
「いやすまん。結構腹減っててな」
「もう仕方ありませんね。じゃあ飲み物も買ってきましたし、皆で食べましょうか」
「はい」
「いやたこ焼き買ってきたの立花先輩ですからそれ言うの立花先輩でしょう」
少しだけ白銀に当たった藤原だったが、直ぐにたこ焼きの誘惑に負けて意識を移動させる。
「いただきまーす」
「いただきます」
こうして生徒会メンバーで、ちょっとしたたこパが行われた。
(ところで、結局白銀はどっちを先に食べたんだ?)
(会長は一体、どちらを先に口にしたのかしら?)
他のメンバーがたこ焼きを摘まんでいる最中、京佳とかぐやはある事が気になっていた。それは、白銀がどっちのたこ焼きを先に食べたかである。
(白銀はたこ焼きを全部食べている。つまり、私たち両名のハート型かまぼこを食べたという事だ)
(問題は、一体どっちを先に食べたか。さっきまで藤原さんたちの妨害をしていたせいで見れませんでしたし、どうなんでしょうか…)
白銀は間違いなく2箱完食している。しかしその瞬間を、藤原たちに割いていたので見れいない。
(いやもういい。これ以上気にしたら終わらない。この件はここまでだ)
(あまり気にしすぎるのもダメですね。こうなったらあとは天運に任せておきましょう)
だがもう確認する手段が無い。これ以上考えていてもどうしようもないので、2人はこの件について考えるのをやめた。
(なんだか少し小腹が空いたな…私も少し食べよう)
たこ焼きの匂いに当てられて、京佳も少し空腹感を覚える。なのでたこ焼きを食べようとしたのだが、
「……え?もう無い?」
既にたこ焼きは空となっていた。全部で5パックはあったのに、もうそれが無い。
「ミコちゃんよく食べますね~」
「うう…」
そして目の前には、恥ずかしそうに顔を背けている伊井野。口の周りには、ちょっとだけ青のりが付いている。ほぼ間違いなく、この量のたこ焼きを食べたのは伊井野だろう。
「伊井野…あまりこういうのは言わない方がいいんだろうが、食べすぎは身体に毒だぞ…?」
「ち、違うんです立花先輩!これは、そう!私今日お昼食べてなかったもので!だからお腹減ってて!!」
「嘘つけ。僕知ってるぞ。お前昼に焼きそば2パックとアメリカンドッグ3本食べてるだろ。大仏に聞いたぞ」
「こばちゃんーーー!?」
親友に裏切られた気分になった伊井野はつい叫ぶ。しかし本当に、この小さな体のどこにそれだけの量が入るか疑問である。
「にしても、やっぱりこうして皆でいるのは楽しいですねー」
「まぁ、そうっすね。何だかんだで」
藤原の発言に同意する石上。喧嘩や言い争い。奇妙なゲームや大量の仕事。生徒会は、決して楽ではない。しかし、このメンバーで一緒にいるのはとても楽しい。
「そうだ!来年の文化祭では生徒会で何かやりませんか!?コントとか!」
「あ、それいいかもです。そうすれば生徒会はもっと親しみやすくなるでしょうし」
「悪くない案かもですけど、コントはやめた方がいいですよ。絶対にスベリますし」
「それに藤原。来年となると、白銀はもう生徒会長じゃないぞ」
「そうですよ藤原さん。来年の文化祭では、新しい生徒会が発足されてます。それに私たち2年生も、もう生徒会には所属してませんし」
「うー…そうでした。だったらこのメンバーで何かやりませんか?事前に申請出しておけば友人同士で何かするのも大丈夫でしたし」
「まぁ、来年になったら考えるよ」
随分と気が早いが、それはそれで面白そうだ。秀知院最後の思い出として、何かやるのはアリかもしれない。
「皆、ちょっと聞いて欲しい事がある」
その時、白銀が改まった顔をして話だしてきた。
「何ですか会長ー?は!まさか私に告白とか!?」
「ねーよ」
「ぶー。もうちょっとノってくれてもいいじゃないですかー」
(よかった。つい藤原さんを殺すところでした…)
藤原の発言に殺意を覚えたが、今は落ち着いて白銀の話を聞くべきだ。
「これを」
「なんすかそれ?」
白銀が出したのは、1枚の紙。それを全員が見る。
「え?スタンフォード大学?」
「会長。これって…」
「ああ。スタンフォードの合格通知書だ。皆にだけは、早く言っておかないといけないと思ってな」
それは、アメリカにあるスタンフォード大学の合格通知書。しかも、飛び級で大学に迎えるといった内容だ。
「そこに書いてある通り、俺は1年飛び級で大学に行く。つまり、俺が文化祭を体験できるのは明日までなんだ」
解釈違いとか矛盾があったらごめん。
次回もモチベを上げて書くよ。