もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
追記、少し気に入らなかった部分があるので、一部展開を加筆しました。
2日目の文化祭も既にお昼が過ぎた頃、
「早坂ぁぁぁーー!!会長がどこにも見当たらないんだけどーー!?」
かぐやは1人、校内で白銀を探していた。探している理由は勿論、白銀と文化祭デートをする為である。ここでデートに誘い、自分を最後まで徹底的に意識させる。
そして文化祭最後に行われるキャンプファイアー。弓道が得意なかぐやは、それの火付け役をする予定だ。弓道で使う袴を身に纏い、鏃に火が付いた矢をキャンプファイアー目掛けて発射。暗い中、鏃にのみ灯された小さな灯で照らされるかぐやの顔を見れば、白銀はドキドキする事間違いなし。
その後2人で屋上へ行き、他の皆がキャンプファイアーの周りでフォークダンスでもしているのを眺めながら文化祭の成功を祝う。
そしてかぐやは手にしたハートのアクセサリーを白銀に手渡し告白をする。
というのが早坂の考えた『ドキドキ マル秘ばっちりプラン』である。告白の台詞で早坂とひと悶着あったが、かぐやもこの作戦は気に入った。なので作戦の第1歩として、白銀を文化祭デートに誘う事にしたのだ。
だというのに、その白銀がどこにも見当たらない。折角新しいハートのキーホルダーも買ったというのに、これでは意味が無い。
『こっちも見つかりません。一体どこに行ったんでしょうね…』
電話越しの早坂も白銀を探しているが、全く見つからない。クラスメイトから、先程妹の圭とたこ焼きを食べていたのは聞いたが、早坂が屋台の方に行った時には既にいなかった。そこからどこかに移動したのだろうが、その移動先が全然わからない。
「まさか、既に立花さんと学校外に出かけているとか!?」
『いや、流石にそれは無いと思います。仮に白銀会長が立花さんと一緒に行動していたとしても、校内にいる筈です』
白銀が見つからないのでかぐやはそう不安がるが、早坂はその可能性を否定。確かに京佳なら白銀を学校の外に連れ出しそうではあるが、責任感の強い白銀が文化祭を最後まで見届けずに出ていくのは考えづらい。
『だからこうなる前に、午前中に白銀会長のところに行った時に午後の約束をしておけって私言ったんですよ』
「うっ…」
早坂の台詞に、言葉を詰まらせるかぐや。確かに、昼前に白銀の所に行った時に誘っておけば、こんな風に探す事は無かっただろう。
「だって…会長からの白鳥が嬉しくて忘れていたんだもん…」
『もんって…いや嬉しい気持ちはわかりますが…』
あの時かぐやは、白銀から白鳥のバルーンアートを貰ってとっても嬉しかったので、その辺まで考えが及ばなかったのだ。その結果がこれなのだが。
『幸い、まだ時間はあります。私は校庭の出店の方をもう1度探してみますので、かぐや様は体育館の方を探してみてください』
「わかったわ」
かぐやはそう言うと電話を切って、体育館の方へ行く。
(確かこの時間は、演劇部が本格的な時代劇をやってるんでしたっけ?)
今回、演劇部はかなり本格的な時代劇をする事になっている。使う道具も、映画やドラマで使う本物を用意したとのこと。
だが同時に、そういった道具の扱いに慣れていない為、何かしらの事故が起こるかもしれない。白銀ならば、そういった演劇を安全の為に見回りをしていてもおかしくない。もしかするとそこで会う事が出来るかもしれないので、かぐやは体育館へ足を運ぶ。
「はぁ…本当にどうしよう…」
「ん?」
だが体育館へたどり着いた時、誰かが落ち来んでいる声が聞こえた。
「つばめ先輩?」
「あ、かぐやちゃん…」
声の主は子安つばめ。石上が猛アタックをしている上級生だ。
「そうだ!ねぇかぐやちゃん!かぐやちゃんってモテるよね!?」
「え?ま、まぁそれなりには…」
まるで地獄に仏と言わんばかりの顔で、つばめはかぐやに近づいて、突然手を握り尋ねてきた。
「当然、告白もされているよね?」
「そうですね。月に1度くらいは…」
因みにこれ、マジである。かぐやは誰もが認める黒髪の美少女。そんなかぐやに恋心を抱く人間は、何も白銀だけでは無い。白銀以外にもかぐやを好きになってしまった男子は、数多く存在する。
当然、それらの男子は皆玉砕してきているのだが。
何せかぐやが好きなのは白銀ただ1人なのだ。その他の男子なんて、その辺の雑草くらいの認識しか持てないから、付き合うなんてありえない。
かつては自分宛のラブレターを利用して白銀と恋愛頭脳戦(笑)をした事もあったが、それはそれ。今まで、白銀以外の男子の告白は全て例外なく断ってきている。
「だったら少し聞きたいんだけど、その時どうやって断ってるの?」
「はい?」
そんなかぐやにつばめは、何とも奇妙な質問をしてきた。
「つまり今までのような軽いノリの告白では無く、真剣な告白をされたから、どう断ればいいかわからないと」
「そうなの…今までみたいなのだったら直ぐに断れるんだけど…」
体育館外の脇。そこでかぐやはつばめの悩みを聞いていた。本当なら直ぐに白銀を探さないといけないのだが、つばめがあまりにも必死で相談してきたので、こうして相談を聞いている。
「因みに、先輩はその人の事をどう思っているんですか?」
「凄く良い子だとは思ってるよ?もしも恋人になったら、多分私を最優先してくれると思えるくらいには。でもね、私って誰かを好きになったら周りが見えなくなっちゃうの。そのせいで迷惑をかけるかもだし、進学予定の大学も微妙に遠いし、でもそれが理由で断るのはなんか違うし…」
誰に告白をされたか知らないが、つばめが悩んでいる理由は相手が嫌いだとかでは無い。どちらかと言えば好きな部類に入るだろう。告白を断りたい理由は、あくまで複合的なものである。
(流石3年のマドンナと言われるだけはありますね…これは石上くんに協力な恋敵が出来たと見て間違いないわね。私でいうところの立花さんみたいな)
かぐやは冷静に分析に、ある決断を下す。
この機会に、石上の恋敵を倒しておこう、と。
そうすれば石上のつばめに対する告白のハードルはぐっと下がる。恋に本気になった可愛い後輩の為にも、ここは一肌脱いでやろう。
(先ずは、相手の情報収集ね)
情報を制する者が戦を制する。孫氏の言葉である。相手がどんな生徒かわからなければ、対策のしようがない。なので先ずは話を聞く事にした。
「つかぬ事をお聞きしますが、告白してきたのは誰ですか?」
「えっと、優くんだよ」
「………え?」
そしてつばめの返答を聞いて、かぐやは呆気にとられた後、驚愕した。
(嘘でしょ!?あのヘタレの石上くんが告白したの!?)
まさかの事実。なんとあの石上が告白をしたというのだ。
(しかも話を聞く限り、つばめ先輩は告白を断る気満々じゃない!?それはダメだわ!このタイミングで石上くんが告白失敗してしまえば恋愛自粛な空気になっちゃう!?そうなったら私が会長に告白できないじゃない!!)
もしもここで、石上がつばめに振られたとしよう。そうなったら、石上は激しく落ち込む事間違い無し。そうなれば、かぐやや白銀は石上を励ますだろう。
だが同時に、周囲がフォローに回りすぎる結果、まるで喪に服すかのように恋愛自粛といった空気が出来てしまう。つまり、この文化祭で白銀に告白する事が出来なくなってしまうのだ。
(まぁ、立花さんも告白出来なくなるだろうから、一概に悪い事ばかりじゃないけど…)
尤も、それは京佳も同じ。もしもそうなったら、次の告白の機会は修学旅行になるだろうが、それならそれでも構わない。それまでに準備をする事が出来るし。
(って思ったけど、やっぱりダメよ。折角奉心伝説に肖って告白をしようとしているのに、今更そんな先延ばしなんてダメに決まってるじゃない)
だがその考えをかぐやは直ぐに否定。そもそも学校では、文化祭での告白成功率が1番高いのだ。それを無視するなんて出来ない。それに今更告白を先延ばしにするなんて、流石にやってはいけない。早坂との約束もあるし。
(なんで石上くんはこのタイミングで告白をして…って私がけしかけたんだったわーー!?)
石上に文句を言おうとしたかぐやだったが、そもそものきっかけが自分だった事を思い出す。これでは文句なんて言えない。
「かぐやちゃん?どうかした?」
1人でウンウン悩んでいるかぐやが心配になったのか、つばめがかぐやに話しかける。
「えっとですね…ちょっと驚いただけですので…」
「そ、そう?それで、どうすればいいかな…?」
「そうですね…」
ここでかぐやは、つばめが石上を振らない方向へ方針転換。何としても石上には頑張って貰う事にした。
「バッサリ振るのは絶対にやめた方がいいですね。勇気を振り絞って告白をした人にそんなのは鬼畜の所業。最悪、一生のトラウマになって引きこもりになる可能性すらあります」
「や、やっぱりバッサリは良く無いよね…」
とりあえずは、即振るというのは避ける。もし石上にそんな言い方をしてしまえば、本当に首を吊るかもしれないし。
「だったらどうすれば…」
「えーーっと…」
だが正直、良い案が思い浮かばない。石上の良いところでもつばめに言えれば良いのだが、それすら思い浮かばない。せめて石上がもう少し白銀っぽく成長していれば色々言えるのだが、今の石上はまだ成長途中。おかげで、本当に何も思い浮かばない。
(あーもう!せめて石上くんが会長みたいな目をしていればつばめ先輩にそれでプレゼンできたのに!)
それで喜ぶのはかぐやだけである。
「お聞きしますが、別に石上くんを嫌ってはいないんですよね?」
「うん。それは間違いないよ」
「……でしたら、態々今日決めなくてもよろしいのでは?」
「え?」
「断る断らないが絶対な解答でもありません。もう暫くじっくり考えてもよろしいと思います。急いては事を仕損ずるとも言いますし」
ここでかぐやが考えた作戦が、先延ばしである。そもそもつばめは石上を嫌ってはいない。告白を断ろうとしている理由も、複合的な物だ。
ならば、もう少し時間を持ってから返事をしても大丈夫だろう。人間には考える時間が必要なのだ。
「成程…」
かぐやの言葉に、小さく何度も頷くつばめ。どうやらつばめは、かぐやの提案に納得している様だ。
「そうだね。私、少し焦ってたみたい。かぐやちゃんの言う通り、もう少し優くんを知ってから答えを出すよ」
「ええ。それがよろしいかと。では、私はこれで」
「うん。ありがとう、かぐやちゃん」
こうして、つばめは石上からの告白の答えを保留する事にした。かぐやもつばめが納得したようなので、白銀探索の続きをする事にする。
(石上くん。まだ脈はある筈よ。頑張りなさい)
かぐやは心の中で石上にエールを送りながら、その場を離れる。
因みにだが、石上はつばめに告白をしたという自覚が全く無いのを2人は知らない。
つばめと別れたかぐやは、その後も白銀探索を続ける。教室、生徒会室、屋台、体育館、果ては学校近くのコンビニに早坂を向かわせて確かめさせたが、白銀は見つからない。白銀のスマホに電話をしてみたが、どうも電源が入っていないようで繋がらない。
なので屋上から、目視で探してみる事にした。視力の良いかぐやであれば、その探し方でも可能だ。それに屋上には、白銀が作った龍の玉のオブジェクトもあるし、もしかすると今もそこで作業をしているかもしれない。
「あれ?」
だが屋上へ続く階段を上がろうとした時、ある物が目に入った。
『点検中の為、屋上への侵入禁止』
「何かしらこれ?」
何かの点検をしているのだろうが、少なくともそんな話をかぐやは聞いていない。そもそも設備に何かしらの不備があったとしても、文化祭のこの日にする事はないだろう。
とその時、マスクをした作業員らしき人物が現れた。
「すみません。これは一体?」
「あ、これですか?実は空調が少し調子悪いんですよ。なのでその点検を急遽行っているところです。あと20分程で終わる予定ですので、もう暫くお待ちください」
「えっと、態々今日やっているんですか?」
「はい。この学校の学園長に急遽依頼を受けてきましたが」
成程。それなら納得だ。あのちゃらんぽらんな学園長なら、文化祭当日に設備点検を依頼するのもありえる。そもそもこの厳しい冬の日に、空調が使えないというのは、現代人には少しきつい。なのでさっさと空調を直す為、文化祭当日とか関係無しに依頼をしたのだろう。
「わかりました。それでは失礼します」
20分程で屋上が開くのならば、また後でくればいいだけである。かぐやは屋上は後回しにして、別の場所で白銀を探す事にした。
「ふぅ…何とごまかせたかな」
そしてかぐやが去った後、作業員はそんな事を呟きながら、屋上へと向かうのだった。
そんな作業員の事など知らないかぐや。再び生徒会室に行ってみようとした時だ。
「ん?早坂?」
かぐやのスマホが鳴り、画面を見ると早坂の名前。かぐやは周りに人がいない事を確認すると、直ぐに電話に出た。
「どうかしたの、早坂」
『はい、かぐや様。白銀会長を見つけました』
「本当!?今どこに!?」
朗報である。ようやく件の人物を見つけた。後は早坂から居場所を聞き、勇気を出して白銀をデートに誘って、キャンプファイアーをするだけである。
『今白銀会長は昇降口前にいます。ただ…』
「ただ?」
『今デートに誘うのは、ちょっと無理かと…』
「は?」
だがどうやら、そうは問屋が降ろさないらしい。
「すみません。ここの教室に行きたいんですけど、どうやって行けばいいですか?」
「その教室なら3階ですね。向こうの昇降口から3階へあがれば行けますよ」
「あの、ちょっと尋ねたいんですが、体育館はどちらでしょうか?」
「体育館ならあちらですね。よろしければ途中までお送りします」
「すみません!この子が漏れそうなんですけど、トイレってどこですか!?」
「トイレは昇降口から入って右に行けばあります」
同じ頃、白銀は多忙を極めていた。圭とたこ焼きを食べて以降、どういう訳か多くの人から声をかけられ、その対応に追われている。あっちへ行ったり、こっちへ行ったりと校内を右往左往している。この行動をおかげで、かぐやは早坂は白銀を中々探せずにいるのだ。
(急がないといけないのに…)
見た目こそ平然を保っている白銀だが、内心は結構焦っていた。実は白銀、文化祭最後のキャンプファイアーをする時に、ある事を実行に移すつもりでいる。その為の準備は既に終えているのだが、やはりもう1度確認をしたい。
困っている人を見捨てれば直ぐにでも自分の為に動けるのだが、責任感が強く、優しい白銀にそんな真似は出来ない。
(つーか何で今日に限ってこんなに人多いんだよ。これ昨日より多くないか?)
というか多い。昨日より明らかに人が多い。今日は生徒のみが参加できるキャンプファイアーがあるので、一般参加の人が入れる時間も昨日より短い筈なのに、多い。おかげで、こんなに多くの困り人が発生している。
(仕方が無い。最悪確認はあいつに任せよう)
本当なら直ぐにでも確認をしたいが、流石に困っている人を見捨てる訳にはいかない。
よって白銀は、自分のほぼ唯一の協力者に確認を任せる事にした。
「すみません!赤いコートを着たポニーテールの5才くらいの女の子を見ませんでしたか!?私の娘なんですが、逸れてしまって!!」
「え!?迷子ですか!?わかりました!直ぐに放送委員に連絡をして校内放送をさせます!」
そして白銀は、更に出てきた困り人を助けるのだった。
「成程。こういう事ね」
「はい」
それを校舎の3階から見ている生徒がいた。勿論、かぐやと早坂である。かぐやは早坂の連絡を受けた後、下が良く見える様3階へ移動。そしてそこから白銀を見ていたのだ。
「確かに、あの状況で会長を誘うのは無理ね…」
「残念ながら…」
出来れば今すぐにでも、白銀をデートに誘いたい。しかし今、人助けをしている白銀をデートに誘うなんて無理である。もし今の白銀を無理矢理にデートに誘ってしまえば、間違いなく空気が読めず、自分の事だけを考えている最低女とか言われるだろう。
それに、探すのに時間が掛かってしまった結果、もうあまり時間が無い。例え今誘ったとしても、精々どこかの屋台や占いをやって終わるという短いデートしか出来ない。
「でも、やれることはあるわ」
「え?」
しかし、かぐやは動き出す。
「会長、お疲れ様です」
「お、四宮か?」
「お手伝いします。1人では大変でしょうし」
「すまん。助かる」
そう言うとかぐやは、白銀に尋ねている人の対応をする。確かにこの状況では、デートには誘えない。しかし、白銀と一緒に仕事をして、彼を助ける事は出来る。
(そうよ。こういうのでもいいのよ。会長と一緒にいられるんだもの)
出来ればデートに行きたい。だがそれが無理というのならば、せめて何時ものように、白銀と一緒にいよう。これはこれで自分を意識させる事ができるだろうし。
「すみません。ここの演劇ってどこにいけば?」
「それでしたら、1階の方でやっていますよ」
こうしてかぐやは、白銀と一緒になって、大勢いる来場者の対応をするのであった。
「ふぅ…なんとかなったわ」
「お疲れ様です。かぐや様」
数多くいた来場者を捌いたかぐやは、再び早坂と合流し、空き教室で一息ついていた。ただし、あまり時間は無い。この後、キャンプファイアーの火付け役があるからだ。
「かぐや様が手伝ったおかげで、白銀会長はかぐや様を少なからず意識したと思いますよ。こういう時でも、仕事をしてくれるんだと」
「ふふ、ありがとう早坂」
早坂の言葉に元気が出るかぐや。
「でもやっぱり、会長と文化際デート、したかったなぁ…」
けれど、やはりどうしても残念な気持ちはある。我儘を言えば、やはり白銀と文化祭デートをしたかった。あんなに大勢の来場者さえいなかったら、それも可能だっただろう。
「仕方が無いわ。切り変えていきましょう。そもそも要はキャンプファイアーの時に会長がいればいいのよ。その時にはもう秀知院の生徒しかいないし、流石にもう緊急の仕事も無いでしょうからね。そもそも会長とのデートなんて、付き合ったらいくらでも出来るもの」
「そうですね」
しかし、かぐやは直ぐに頭を切り替える。こうなったらもうキャンプファイアーに全てを懸ける。何度でも言うが、白銀と学生最後の文化祭デートが出来ないのは残念で仕方が無い。が、今はそれより告白を成功させる事が重要なのだ。
「早坂。頼みがあるのだけど」
「はい」
そしてかぐやは、隣にいる早坂の顔を見て、命令を下す。
「私が火付け役をしている時、立花さんを見張ってて頂戴。多分、動くとしたらその時だろうし」
「かしこまりました」
最大の障害である京佳が動くならば、皆がキャンプファイアーをしている時であろうとかぐやは当たりをつける。
その時に白銀を呼び出して、人知れず告白をする。もしくはキャンプファイアーで皆が盛り上がっている中、群衆に紛れた状態でそっと告白をする。京佳ならば、これくらいするだろう。
ならば徹底的にマークをする。そんな告白なんてさせるものか、と。
「それじゃ、行きましょう」
「はい、かぐや様」
こうしてかぐやは火付け役の大任を果たす為、そして白銀への告白を成功させる為に動くのであった。
午後5時。
辺りは暗くなり、既に校内には秀知院の学生のみしか残っていない。そしてほぼ全ての学生が、校庭でキャンプファイアーを見る為に集まっている。
「見て!かぐや様よ!!」
「きゃーーー!!袴姿がとってもお美しい!!」
そこに袴姿で、弓を持ち、長い髪をポニーテールにしているかぐやが現れる。同じ弓道部の同級生が、かぐやの手にしている弓矢の鏃に火を点けている間、かぐやはそっと周りを見てみる。
「やはり緊張感があるな」
「そうだねー。失敗したら大変だし」
まだ火が点く前のキャンプファイアーを囲んでいる群衆の中に、京佳と早坂の姿を確認。どうやら早坂は、かぐやの命令を遂行したようだ。
「ところで早坂。何で私の腕に抱き着いているんだ?」
「いやー、ちょっと寒くてさー。だからね」
おまけに早坂は京佳の腕にがっつり抱き着いている。これなら下手に動く事も出来ないだろう。
尚、その2人の光景を見て1部の生徒が黄色い声を上げてたりする。
(よくやったわ早坂)
これで京佳は問題無い。残るは白銀である。そして火矢を構えた時、
「ごめんね御行。ここまで肩かして貰っちゃって」
「気にするな。それより、足は大丈夫か?」
「まぁね。ちょっと捻っただけだし、2~3日で完治するわよ」
向かい側に、白銀が眞妃と共にいた。なんで眞妃と共にいるのかは知らないが、まぁよしとしよう。これで火付けに集中できるし、当初の予定通りに事が進んでいるし。
かぐやは集中し、火の点いた矢を放った。矢は真っすぐに目標に命中し、一気に炎が燃え盛る。そして直後、歓声が上がる。
(これで良し。この後1度着替えてから会長を屋上へ誘って、そこで私は…ん?)
その時だ。空から何かが大量に降ってきたのは。
「なにこれ?」
「さぁ?」
「何だろ、手紙?」
よく見ると、それは何かが書かれた手紙だった。周りにいた生徒たちも、一様に訝しむ。
「これは、3枚目の犯行予告です!!」
降ってきた手紙を手にとった藤原が叫ぶ。そこには『文化祭はいただく』と書かれた犯行予告。
「はーはっはっは!!文化祭はこの私が頂いたぞーーー!!」
『!?』
瞬間、上の方から声がした。その場にいた生徒皆が上を見上げると、そこには白銀が作った龍の玉のオブジェクトが無くなっており、その隣に黒いシルクハットを頭に被り、黒いマントを身に纏い、顔にはフルフェイスのベネチアンマスクのようなものを被った何者かがいた。まるで、オペラ座の怪人である。
「間違いない!あの人が今回の1連の騒動の犯人!アルセーヌです!!」
藤原が大声で屋上にいるアルセーヌと思しき人物を指さす。それと同時にアルセーヌは、その場から逃げていく。
「待ちなさ――い!!逃がしませんよーー!!」
「特ダネよ!行きましょうエリカ!」
「了解!!」
藤原が怪盗アルセーヌがいるであろう屋上に向かう。その後を新聞部のエリカとかれんがカメラを持って追う。
「か、会長が苦労して作ったオブジェを盗むなんて!一体どこの誰ですか!!とっちめてやらないと!!」
そしてかぐやも、怒り心頭な状態でその後を追う。
「何かの催しか?ちょっと私も行ってくる」
「あ、じゃあ私も行くよ」
その後に京佳と早坂も続く。
「あれ何かしらねぇ?あんた何か知ってる?」
「いや、知らん。誰かが文化祭の熱に浮かれたんじゃなないかと思うが。ちょっと気になるか俺も行ってくる。もしかしたら本物の不審者かもしれないし」
「そう?なら気を付けてね」
「ああ」
最後に生徒会長である白銀も屋上へ向かう。もし本当に不審者だったら一大事だ。なので皆の安全の為にも、屋上へと向かう。
(いやあれ誰ぇぇぇぇぇぇ!?)
尚最後に皆の後を追った白銀は、心の中で大絶叫していた。
やっと文化祭クライマックス。ここまで来たら、もう多少の矛盾は無視します。じゃないと何時まで経っても完結できそうにないので…ごめんなさい。
多少ですむかなぁ…気になる事があればおっしゃってください。
次回も完結目指して書くよ。でも過度な期待はしないでね。
京佳さんが白銀に告白する時は、
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かぐやがいない間に告白する
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かぐやと共に白銀に告白する