もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

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 今回から、かぐや様が色々見苦しくなってしまいます。ファンの方々ごめんなさい。でも白銀にフラれたかぐや様なら、こうなると思っちゃって。これ、アンチ・ヘイトタグ付けた方がいいのかな?

 追記、感想にてご指摘があったので、最後の方を少し編集してます。



四宮かぐやとWSS

 

 

 

 

 

 時間は、文化祭最後の夜まで遡る。

 放送室に京佳がいない事を知ったかぐやは、直ぐに京佳の居場所を考える。そして誰にも邪魔されず、校庭や花火が一望できる場所が学園の時計塔の上しかない事を直ぐに把握。かぐやは急いで時計塔の屋上へと向かった。

 

 しかし、もう遅かった。

 

 かぐやが時計塔の屋上にたどり着いた時には、既に京佳が白銀に告白をすませ、白銀がその告白を了承するという考えうる限り最悪の展開が起こっていたからだ。こうなったら、もう今から告白をしても遅い。たった今を持って、四宮かぐやの恋は終わってしまった。

 

 そしてそれを理解した瞬間、かぐやの脳内はパンク寸前になり、まともな考えが出来ない状態になっていた。

 

 

 

 四宮かぐや 脳内裁判所

 

「あの女を殺しましょう」

 

「いきなり!?」

 

 そう殺意の籠った目で言うのは、検察官をしている氷かぐや。そんな彼女に、弁護士であるアホかぐやが驚く。

 

「異議なし」

 

「被告人まで同意してるし!?」

 

 捌かれる側である筈の被告人まで同意。これでは弁護の意味が無い。

 

「待って待って!いくら何でもその結論は急すぎるでしょ!?皆1回落ち着こう!?」

 

「私はとても冷静ですよ?だからこそあの女を殺そうと言っているんです」

 

「それのどこが冷静なの!?」

 

「いえ、検察官の言う通りです。罪を犯したのなら、それを償わないといけない。故にこれは正しい行いなのです」

 

「どうして被告人席にいるあなたがそんな事言うの!?」

 

 弁護人で頭から花を咲かせているアホかぐやが、全員を落ち着かせようとするが、誰も聞く耳持たない。2人のかぐやは、直ぐにでも京佳を手にかけようと必死だ。

 

「荒れているわねぇ。まぁしょうがないけど」

 

 そんな様子を、裁判官である幼女かぐやが眺めている。仕事しろ。

 

「白銀さんも白銀さんよ。あんな女になびくなんて。そもそもあんな女なんて、胸が大きい以外取り柄の無いデカ女じゃない」

 

「そうね。大方、あの無駄に育った胸の脂肪で会長は誑かされてしまい、結果として立花さんを好きだと勘違いしているんでしょう。一刻も早く目を覚ませてあげないと」

 

「その為にも、やはりあの女は殺しましょう」

 

「賛成します」

 

「賛成しないで!?」

 

 知らない人の為に説明をすると、ここにいるかぐやは、社交性仮面であるかぐや達だ。社交性仮面とは、いわば外面とも言う仮面の事。。例えば、職場では真面目に仕事をしているが、家ではとてもだらしなく、家事すら碌にしない人は、職場で仮面を被っていると言える。誰しも持っているこの仮面だが、かぐやは四宮家での厳格な教育と過酷な環境のせいで、最早別人格と言えるくらい強く分離し、表面化しているのだ。

 

 ここで、かぐやの社交性仮面について解説をしよう。

 

 先ず、検察官を務めているのが氷かぐや。四宮かぐやの社交性仮面のひとつで、四宮家帝王学の申し子であり、他者を有用なのかそうでないのかでのみ判断する打算的な性格。

 小学校時代に名家の生まれ故の他者とのズレと、それに起因する他者からの敵意を受け、その結果人を嫌い恐れるようになり、人を傷つける前に自分から離れようとしたら他者に対し非常に攻撃的かつ猜疑的になった部分。他社への恐怖、攻撃性、それらの象徴。

 

 次に弁護士を務めているのは、アホかぐや。見た目がデフォルメされており、基本的にアホ。でも可愛い。抑圧された環境下にて「いらないもの」と切り離された部分。氷かぐやとは正反対で、誰とでも仲良くなりたいと思い、その欲望の為に行動する。

 長い間ずっとかぐやの中に潜んでおり、早々出てこなかった恋愛への憧れ、他社への興味、愛情、それらの象徴。

 

 被告人席に立っているのが、ノーマルかぐや。氷かぐやと、アホかぐやが丁度良い塩梅で混ざっているのが、このノーマルかぐやであり、現在1番外に出ているかぐや。つまり、普段皆が見ているかぐやである。

 

 そして裁判官席に座っているのが、幼女かぐや。四宮家の教育の結果発生した社交性仮面を持つ前のかぐや。最もニュートラルな原初の精神。

 

 以上4人が、四宮かぐやを形成している社交性仮面のかぐや達である。

 

 そしてそのかぐや達は、今荒れに荒れている。

 

「四宮家の力を使えば、人1人くらい消せます。例え消さずとも、海外に追放して、2度と日本に戻ってこれなくする事も出来る。なのでそうしましょう」

 

「異議なし。どうせなら海外のお金持ちにでも売り飛ばしましょう。片目の見えない身長のある巨乳女なんて、マニアックな人にペットとして高値で売れるかもですし」

 

「なんでそんなに物騒なの!?っていうかもの凄く非人道的!?」

 

 正確には、氷とノーマルの2人が荒れているのだが。だが、荒れるのも仕方が無いとも言える。ようやく白銀に告白をしようとしていたら京佳に先を越されて、あげく自分の恋が終わってしまったのだから。もし自分が告白をして、その上でフラれていれば、ここまでは荒れなかっただろう。

 

「そもそも、あの女が卑怯な真似をして、私を騙したのが悪いんじゃない」

 

「そうですね。こんな真似、許される筈ありません」

 

 氷かぐやに、ノーマルかぐやが同意する。確かに、そうかもしれない。京佳はあんな放送をしたり、妙な暗号を作ったりして、かぐやを翻弄した。

 おまけに京佳は、自分を恋敵と言い、宣戦布告をしている。なのにあのような事をして、自分の告白を誰にも邪魔されないようにして、かぐやに白銀へ告白をさせないようにしてきた。鬼の居ぬ間になんとやら。こんなの、まるでだまし討ちだ。到底許される事では無い。

 

「で、でもでも!立花さんだって必死だったんだと思うわよ!?じゃないとこんな事しないだろうし!」

 

 弁護士であるアホかぐやが、京佳の悪行という名の告白作戦をフォローする。流石に京佳を亡き者にするのはどうかと思ったからだ。

 

「何を甘い事を。それじゃ、必死ならば何をしてもいいと思っているの?」

 

「そうね。その言い方だと、必死になる理由があれば、相手をどれだけ欺いても問題無いという事になるわ。そんな事ある訳ないじゃない」

 

 氷かぐやとノーマルかぐやが反論する。それはその通りかもしれない。もしそんな事が許されるのであれば、殺人だって許されかねない。

 

「やはり殺しましょう。もしくは海外に売り飛ばしましょう」

 

「そうね。直ぐに準備をしましょう。先ずは早坂に連絡ね」

 

 既に2人の中では、京佳をどうにかする事が決定している。もし京佳が突然いなくなれば、白銀は傷つくだろう。そして傷心している白銀に自分が寄りそい、心の隙間を埋めていけば、晴れて自分は白銀と恋人だ。

 そうなったら京佳には悲惨な人生が待っているかもしれないが、恋は戦争だし、敗者は敗者らしくその末路を受け入れほしい。

 尤も、それは今のかぐやに特大のブーメランとして言える事なのだが。

 

「ま、待って…!」

 

 アホかぐやが2人の止めようとするが、上手い言い回しが思いつかない。このままでは本当に、京佳に何かしてしまうかもしれない。

 

「でも元はと言えば、私が何もしなかったのが原因じゃない?」

 

 そんな時、裁判長を務めている幼女かぐやが3人に言い放つ。

 

「会長と恋人になりたかったのならば、もっと早くに行動していればよかったんじゃない?例えば、夏休みに会長と2人きりで出かけるとか、会長の誕生日をもっとしっかり祝うとか、文化祭前に会長に告白をするとか。そういうのをしなかったから、私達は立花さんに追い越されてしまったんじゃない?」

 

「「「……」」」

 

 3人共、何も言い返せない。だってその通りなのだ。白銀と恋人になりたければ、変にプライドを意識せずに、もっと早く行動しておけばよかった。

 

「正直に言うけど、これって割と私達の自業自得だと思うのよ。なのに立花さんを恨むなんて、それは筋が通らないんじゃない?こんなのまるで、逆恨みだわ」

 

 自分がもっと早く白銀に告白をしていれば、こんな事にはならなかった。もしくはもっと素直になっていれば、こんな事にはならなかった。そう考えれば、確かに自業自得かもしれない。

 

「私達に出来る事は、立花さんを逆恨みせずに、この現実を受けいれる事。そして前を向いて歩いて行く事。何時までも後ろを向いてばかりだと、一生前に進めないわよ?」

 

 幼女かぐやが皆に言う。このままずっと終わった事を考えていても、意味が無い。だって過去を変える事なんて、出来ないのだから。それならばこの経験を糧にして、前に進むべきだと。

 

「それは…」

 

「うん…そうね…」

 

 ノーマルかぐやと、アホかぐやが渋々納得する。幼女かぐやの言う通りだし、四宮家の人間として、何時までも終わってしまった事をうじうじ言う訳にも行かないからだ。

 

「出来ない…」

 

『え?』

 

「そんな事出来ない!!!」

 

 しかし、氷かぐやだけは断固として納得なんて出来ない。

 

「だってこの先、私たちが会長以外の男の子を好きになるなんて絶対にあり得ないもの!!」

 

『っ!!』

 

 氷かぐやの心からの言葉に、全員が息を飲む。前にも似たような事があったが、その時も同じ事をアホかぐやが言っていたからだ。かぐやにとって白銀は、まさに運命の人。恐らく、金輪際現れない理想の男性。それがもう、2度と手に入らないところへ行ってしまった。他ならぬ、京佳が白銀を取ったのだから。

 

 だが、これほどまでに好きになった人を、簡単に諦めるなんて出来る訳が無い。

 

「そもそもよ!恨むななんて言うけど、立花さんが悪いんじゃない!!」

 

 氷かぐやは、机を思いっきり叩きながら叫ぶ。

 

「だって私の方が、あの子より先に会長の事を好きになっていたのに!!!」

 

 自分の方が先に好きになっていたのに、と。実際、その通りだ。そもそもかぐやと白銀は相思相愛。どっちかが素直になって告白していれば、直ぐにでも恋人として付き合う事が出来た筈なのだ。

 

「それをあの女が横から奪ったんじゃない!!!」

 

 かぐやは知らない事だが、京佳は当初、白銀の恋を応援していた。しかし時間が経つにつれて、京佳も白銀が好きになってしまったのだ。

 最初こそ、その恋心を諦めようとしていた京佳だが、結局は親友に背中を押される形で、京佳はこの恋の成就を願ってしまう。

 そして京佳は、そんな2人の後ろを必死で追いかけてきた。結果それが報われ、京佳は見事白銀と恋人になれている。京佳視点では努力が報われてハッピーエンドとなるが、かぐや視点では、自分が先に好きになった人を奪った泥棒猫にしか見えない。

 そもそも、かぐや自身がさっさと素直にならなかったせいによる自業自得といえばそれまでなのだが、そう簡単に納得なんて出来る筈が無い。

 だってかぐやにとって白銀は、本当に人生で1番好きになれた人なのだから。

 

「白銀御行を最初に好きになったのは、他でもないこの私!!貴方たちと同じ、いえそれ以上に彼との将来を真面目に考えていたのも私!!だっていうのに、それをあいつが奪ったじゃない!!こんなの、恨むなっていうのが無理なのよ!!」

 

 氷かぐやの怒号が響き渡る。だがその目には、涙が浮かんでいる。

 

「ダメよそんなの…私が先に会長を好きになったのよ…?ここにいる誰よりも、私が先に会長を好きになったんじゃない…それを横から奪うなんて、ダメじゃない…」

 

 氷かぐやは、その場に泣き崩れる。彼女だって理解はしている。もうこの恋が、終わってしまった事を。

 でも、やはり諦めきれない。だってこんなに人を好きになれたのだ。なのにこの気持ちを捨てて前を向いて歩けなんて、簡単に出来る筈が無い。

 

「嫌だ…嫌だよぉ…私から、私から会長を奪わないでよぉ…」

 

「ちょ、ちょっと落ち着いて…」

 

 幼女かぐやが、氷かぐやを慰める。

 

「ゆっくり深呼吸をして?」

 

「大丈夫?ジュース飲む?」

 

 その様子を見て、ノーマルかぐやとアホかぐやも氷かぐやを慰める。

 

「もういやだ…!こんな現実見たくない…!!こんな、こんな光景見たくない!!!どうして、どうして私が1番欲しいものが手に入らないの!?今まで散々我慢してきて、四宮の家の者としていっぱい頑張ってきたんだから、初めて心から好きな人くらいは私のものにしてもいいじゃない!!!どうして!?ねぇどうしてぇぇ!!??」

 

 だが、それでも氷かぐやはどんどん思考がネガティブになっていく。そもそも四宮かぐやという子は、四宮家の娘として、とても厳しく育てられた。教えた事が間違っていれば、鞭で叩かれる。普通の子のようにわがままを言えば、頬を平手打ちされる。そんな事が当たり前にされてきた家で育ってきたのだ。

 幸いな事に、かぐやには才能があった。おかげで普通の子よりずっと覚えが良く、教わった事をどんどんできていったので、他の子より叩かれる事などはなかった。そしてかぐやは、何時しか四宮として立派に成長していったのである。大抵の事は我慢できるし、欲しいと思った物だって手に入れる事が出来る。

 しかし、そんなかぐやは恋をした。人生でこれ程、打算抜きに誰かを好きになったのは初めて。だからこそかぐやは、どうしてもこの恋を成就させたいと思うようになったのである。今まで手に入れる事が出来なかった、愛というものを。

 だが、それはもう終わりを迎えている。その事実が、どうしても受け入れられない。他の誰にも代わりになれないくれいに誰かを好きになれたのに、その恋がもう成就しないという現実が、どうしても受け入れられない。

 

「嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!!!」

 

 そして遂に、長年四宮家の環境や秀知院での人間関係のストレスにより、ずっと溜め込んでいた負の感情が爆発。一気にあふれ出た。

 

「あ、これかなりマズイ…」

 

 氷かぐやの体からは、まるで瘴気のようなものがあふれ出る。それはどんどん心の裁判所を覆っていき、あっという間に黒い濃霧のようになってしまう。そして氷かぐや以外の3人は、その黒い瘴気の濃霧に飲み込まれてしまった。

 

(そうだ…まだ終わってないじゃない…)

 

 そんな中、氷かぐやはある考えを思いついてしまった。

 

(まだ2人は付き合って間もない…そんなの、いくらでも邪魔できるし、破局にする事も出来る…)

 

 それは、本気で白銀と京佳の仲を破壊しようというもの。そしてその後に、白銀を物にするというものである。先程も同じような事を言っていたが、今度は本気の本気でそう考えている。

 

(そうよ。それの何が悪いの?この私、四宮かぐやからあの女は大切な人を奪ったのよ?だったら、それを返してもらわないといけないじゃない)

 

 既に他の3人は、黒い瘴気の霧に飲み込まれ、氷かぐやをどうにかする事も出来ない。そして氷かぐやは、どんどん思考が危険な方へ染まっていく。だが、誰もそれを止められない。

 

(やってやろうじゃない…絶対に、私の白銀御行を奪い返し、いいえ。取り戻してみせる…!!)

 

 氷かぐやの目は、まるで漆黒の闇のように染まる。

 

 この日、氷かぐやは己の欲望の為に動く事を決めた。倫理観など知った事か。そもそも自分が最初に好きになっているのに、それを後から取っていくなんて、泥棒では無いか。なので、取り返す。どんな手段を使ってでも取り返す。

 

 だって自分は、白銀以外の男の子など絶対にありえないのだから。

 

(覚悟しておきなさい、立花京佳。貴方の大切な人は、私が必ず取り戻してみせますので…!!)

 

 こうして四宮かぐやは、好きな人を取り戻す為に心を闇に染めた。そして氷でも、アホでも、ノーマルでも、幼女でも無い新しいかぐや、己の欲望の為に何でもする新しい仮面、闇かぐやが四宮かぐやの心に生まれたのである。

 

 

 

 

 

 生徒会室

 

「不味い…以前喫茶店でバイトをしているから美味しいコーヒーを淹れてくれるかと思っていたけど、こんなものなんですね」

 

「す、すまない…まだ朝子さんみたいにはいかなくて…」

 

 かぐやは京佳にコーヒーを淹れさせて、その批評をしていた。結果は、不味い。飲めなくは無いが、この前の文化祭で喫茶店の店長である朝子氏が淹れたコーヒーに比べると、雲泥の差だ。というかこれなら早坂の淹れたコーヒーの方が美味しいまである。

 

「立花さん、今すぐ美味しいコーヒーを淹れるようになれとはいいませんが、人生なんてあっという間です。可能な限り早めに美味しいコーヒーを淹れれるようになっておかないと、取り返しのつかない事になるかもしれませんよ?例えば、好きな人が離れていくとか」

 

「あ、ああ。わかった。精進するよ」

 

圧を出しながら話すかぐやに、京佳は気押される。

 

(なんか、今日の四宮怖い…というかもの凄く機嫌が悪い…)

 

 ていうか怖がっていた。だって今のかぐやは、とっっっっも不機嫌そうなのだ。なんかやたら京佳を睨んでくるし、事あるごとにグチグチ言ってもくる。正直、怖い。石上だったら全力で逃げているくらいには、怖い。

 

「えっと、四宮?あまりそういう言い方はよくないんじゃ…」

 

「そういえば白銀さん。文化祭の報告書がまだ提出されていませんでしたよね?早く書いたらどうですか?」

 

「あ、はい…すぐします…」

 

 京佳に棘のある言い方をしているかぐやに、恋人である白銀がかぐやを落ち着かせようとするが、かぐやの真っ黒で鋭い眼光に屈して、大人しく報告書を書く始末。情けないかもしれないが、かぐやのこの眼光に屈しない人などいないだろう。多分石上だったらショック死しているだろうし。

 

(一体何なんだ…?私何かして…いやしてるな…超してるな…すっごくしてるな…)

 

 京佳がふと思い返してみるが、思い当たる節しかない。なんせ京佳は、白銀と恋人になっているのだ。恐らくだが、かぐやはその事実を知っているのだろう。故に、こうして嫌がらせのような事をしていると京佳は考える。

 

(まぁでも、私も同じ立場だったら直ぐには受け入れられないだろうしなぁ…)

 

 もしも自分がかぐやの立場だったら、絶対に落ち込むし、絶対に泣く。そして今のかぐやのように、元恋敵に色々言うかもしれない。落ち込んでいる時の眞妃みたいに。まぁ、眞妃は相手の前では絶対に言わない子だけれど。

 

(暫くは耐えよう…その方が下手に波風立たないだろうし…)

 

 結果、京佳は耐え忍ぶ事にした。もしここで下手にかぐやに白銀と恋人になった事や、白銀と恋人らしい事をしてしまえば、生徒会に不破が生まれるかもしれない。本当なら直ぐに言った方がいいのだろうが、今のかぐやには絶対に言えない。言ったらどうなるかわからないし。ならば、そうならない為にも今は耐えよう。

 

(それに、もう直ぐクリスマスなんだ。それまでは今まで通りにしておこう)

 

 そもそも、あと3日でクリスマス。それまで耐えて、クリスマスに思いっきり恋人らしい事をすれば問題無い。そして年明けくらいに、生徒会の皆に白銀との事を報告しよう。

 

「立花さん。この資料を纏めておいてください。今すぐに」

 

「うん、わかったよ」

 

 それまでは大人しくしておこう。それが、今の京佳の答えだった。

 

 

 

(胃が痛てぇ…超吐きそう…)

 

 一方、白銀は胃が痛くて仕方が無かった。白銀も京佳同様、黙々と仕事をしてはいるが、今は兎に角胃が痛い。原因は勿論、今のかぐやにある。

 今のかぐやは、まるで以前の氷のかぐや姫なんて呼ばれていた時のようなかぐやだ。髪は下ろしているし、言動もどこか冷たい。何より、あの目が怖い。かつて氷のかぐや姫と呼ばれていた時以上に、黒く鋭い目をしているし。

 

(これって、どう考えても俺のせいだよなぁ…)

 

 白銀は、かぐやがこんな風になった原因が自分にあると把握。そもそも白銀は、元々かぐやに好意を向けており、そして何時の日か相応しい男になる為に努力をしていた。

 

 だが、白銀は最終的に京佳を選んだ。

 

 かぐや視点で見れば、今まで自分に散々思わせぶりな態度を取っておいて、最後の最後に自分では無い別の女を選んだクズ野郎である。そりゃ、こんな風にもの凄く不機嫌にもなるだろう。

 

(だが、俺はもう選んだんだ!そして絶対に後悔しないと決めたんだ!もし四宮が俺を殴りたいと思っているのなら、甘んじて何回も殴られよう!!)

 

 しかし、白銀は京佳を選んだことを後悔しないと決めた。確かにかぐやには本当に悪い事をしたと思っている。だがそれでも、これは自分で選んだ選択なのだ。それに、こうなると薄々わかっていたし。だってどちらかを選ぶという事は、どちらかを選ばないという事だし。

 ならば、今のこの胃痛も受け入れよう。そしてもし、かぐやが自分をボコボコにしたいと思っているのなら、いくらでもボコられる所存だ。自分はそれだけの事をしているのだし。

 

(でも暫くは大人しくしておこう…)

 

 そして白銀も、京佳同様に大人しくするつもりでいた。これ以上、かぐやの不興を買う訳にはいかない。なので、もう暫くは大人しくする。

 でももしかぐやが京佳に手を出そうとしたら、流石に止める。だって自分は、京佳の恋人なのだから。

 

(立花と今後の事とか色々話したかったけど、とりあえず今日は、粛々と仕事しよう…)

 

 こうして微妙な空気が流れながら、その日は終わりを迎えるのであった。

 

 

 

 

 




 闇かぐや 氷かぐやが長年のストレスと、そして白銀が京佳に取られた事に対する事実により、特大のショックを受けた結果、それまで溜め込んでいた負の感情が爆発し、自分の欲望の為に動く事になった存在。つまりは闇落ちみたいな感じの仮面。今後、白銀を奪うために色々動く予定。

 早く会長と京佳さんのイチャイチャを書きたいけど、それはもう少しお預け。とりあえずクリスマスの話あたりまではお預け。
 それといつの間にか、本作を書き始めて4年が経ちました。これからも京佳さんルート、かぐや様ルートまでしっかり書くつもりなので、どうかゆるりとお楽しみに。

 あと、変なの事や矛盾点があったら是非言って下さい。その都度修正しますので。

 次回も頑張るよ。
 
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