もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
昔みたいに毎週投降が出来なくなっていますけど、完結だけは必ずさせますので、どうかこれからもお付き合いください。
あと上手いタイトルが思いつかなったです…。
新年が始まって初めての登校日。秀知院は、騒然としていた。その理由は、かぐやが長かった髪をバッサリと切っているのだからだ。
「あれって、一体どういう事!?」
「わからないよ!誰か事情知ってそうな子いない!?」
「情報を集めて!!そして真相を明らかに!!」
「かぐや様の、美しい髪が…短く…きゅう…」
「かれんーーー!!しっかりーーー!!」
男子も女子も、口にするのはかぐやの事ばかり。でもしょうがないだろう。普段は長くて綺麗な黒い髪を髪留めで纏めていたが、水泳の時間などではその長い髪を晒していた。その時のかぐやの長い髪は、本当に綺麗だったのだ。
なのに今のかぐやは、ありふれたショートカットになっている。あの綺麗な髪が、面影も無い。その事にショックを受け、皆こうして騒いでいるのだ。尚、かぐやが普段髪留めに使用していた赤い布は、右手首にブレスレット風に撒いている。
「白銀会長と喧嘩でもしたとか?」
「それで髪を切るなんて真似する!?普通はそこまでしないでしょ!?」
「なら、失恋…?」
「それこそありえないわ!だってあのお2人は相思相愛!失恋だなんて億が1にもありえません!!」
かぐやが廊下を歩く度、誰もが色々と推察する。全員好き勝手にひそひそと言う。だがかぐやは、それら全てを無視。別に気にしていないし、こういうのは1度でも反応するとより推測や噂が加速するからだ。なので何も言わない。好きに言わせておけばいい。
「大丈夫ですか、かぐやさん?」
「ええ、問題ないわ。別に気にしていないし」
そんなかぐやに話しかけるのは、かぐやの数少ない友達である藤原。彼女は、かぐやが髪を切った理由も知っている。そんな彼女だからこそ、こうしてかぐやに対して好き勝手言っている現状は好ましくない。かぐやは気にしていないと言うが、絶対に何も気にしない人間なんて存在しない。出来れば何かしらの方法でこの現状を変えたいが、その方法なんてわからない。
因みに早坂は、少し離れた場所で2人の事を見守っている。可能ならばかぐやの傍にいてあげたいのだが、学校ではただのクラスメイトという設定なので、あまり仲の良い姿を他人に見せる事が出来ないのだ。この時ばかりは、早坂はもう少し設定を考えておけばよかったと後悔したいた。
「ちょっと叔母様!何があったのよ!?」
その時、心配そうな顔をして、かぐやに大声で話しかける女生徒が出てきた。かぐやの遠い親戚であり、お互いの家が割とバチバチにやりあっている四条家の令嬢、四条眞妃だ。
「あら眞妃さん。明けましておめでとうございます」
「え?あ、うん。明けましておめでとうってそうじゃなくて!!一体どうしたの!?何か病気!?それともうっかり変な事言って意識高い系の美容師にでも切られた!?」
普段はかぐやに対して結構当たりが強い事も言う眞妃だが、その本質はとても優しい子。お互いの家が色々と水面下でやりあっていても、その相手をしっかりと思いやれるし、心配だってする。本当、こんな良い子が何で幸せになれないのだろうとは石上の談。
「ああ、これですか。似合ってますか?」
「いや、まぁ確かにそれはそれで似合っているけど、本当に何があったの!?」
心配そうな眞妃をよそに、かぐやは普段と同じように振る舞う。かぐやは幼い頃から、ずっと長い髪のままだった。それが突然バッサリ切られているのに、かぐやは普段とあまり変わらない様子。でも明らかに何かがあったに違いない。眞妃はそう確信している。
「まぁ、言うなればケジメみたいなものですよ。本当は坊主でもよかったのですが、流石にそれは家の従者に止められましてね」
「坊主!?いや何!?本当に何があってそうなっているのよ!?」
アイドルが恋愛した訳でも無いというのに、一体何があればケジメで髪を切ると言うのか。眞妃はますますわからなくなっていく。
「……」
「え?な、何…?」
するとかぐやは、眞妃にゆっくりと近づき、耳元で小さく言う。
「ただ、自分が素直にならなかった結果、手遅れになっただけですよ…」
「あっ……」
眞妃、察する。要するにかぐやは、自分と同じになったのだと。相手は多分、白銀だろう。元々2人は噂されていたし、見ていてお似合いだったし。
でもかぐやは、眞妃に負けず劣らずプライドが高い子。恐らく、自分と同じで自分から相手に好きとは言わずにズルズルと過ごした結果、別の子に白銀を奪われたに違いない。
そしてその白銀の恋人になった子を、眞妃は知っている。眞妃はその2人が恋人になった場面を、文化祭の夜に見ているし、何なら告白が成功するよう手伝っているからだ。
「叔母様、今日のお昼、一緒に食べない?」
「いいですね。ご一緒しましょう」
「あ!私もいいですか!?」
「勿論よ」
かぐや本人は普段とあまり変わらない姿に見えるが、失恋がどれだけ辛いかを眞妃は知っている。多分かぐやは、家で大泣きしていたるするだろう。なので眞妃はかぐやを昼食に誘い、慰める基傷の舐めあいをする事にした。
その後の昼休みで、3人は色んな事を話しながら中庭で昼食を食べるのだった。
天文学部 部室
「しかしアレだな。やはり恋人がいると人生が輝いて見えるよ」
「……そうか、よかったな」
かぐや達が中庭で昼食を取っている時、天文学部の部室では京佳と龍珠の2人が昼食を共にしていた。本当なら白銀と一緒に昼食を取りたかったのだが、白銀に急な仕事が入ったので、こうして龍珠と一緒に取る事にしたのだ。
「何というかさ、私生きていてよかったって思えるんだよ。それに何をするにしても幸せでさ、この幸せがこのままずっと続けばいいと願っちゃうよ」
「……そうか、よかったな」
弁当を食べながら、京佳は今自分がどれだけ幸せかを龍珠に話す。ほんの数年前までなら、考えられなかった。顔に酷い火傷があり、それを黒くて大きな眼帯で隠しているせいで、周りからは物騒な人扱いされる日々。おまけに友達もおらず、このまま死ぬまで1人で過ごすのかもとさえ考えてしまう。
そんな灰色の日々を送っていたが、今はもう違う。大好きな人と恋人になれたのだ。おかげで京佳は今、毎日が本当に楽しくて仕方が無い。そして今みたいに、誰かにこの幸せを少しでもお裾分けしたい。
というかぶっちゃけ自慢したい。
本当はそんな事しない方がよいのだが、人間はどうしても自分に良い事があると誰かに話して自慢したくなってしまう生き物なのだ。それに今の京佳は、幸せホルモンが大量に分泌されているおかげで、やや思考能力が下がっている。言ってしまえば、少しアホになっている。だから京佳は、こうして普段なら話さない事を龍珠に話しているのだ。
一方で、京佳から話を聞いている龍珠はというと、
(うっぜぇぇぇぇぇぇぇ~~~~!!!)
心の中で、それはもうとっても京佳をうざがっていた。
(マジで何でここにきてんだよ!!彼氏の白銀のところに行けよ!!つーか普通にうぜぇ!!すっげーイラつく!!マジ殴りてぇ!!今すぐ帰って欲しい!!てか帰れ!!)
幸せそうな京佳とは違い、龍珠の顔はとっても不機嫌そうである。確かに京佳の恋が成就したのは喜ばしい事だが、それをこうもずっと話されているとうざくてしょうがない。今すぐ拳を使って黙らせたいと思うくらいには、龍珠はうざがっていた。
(でもこいつ、こうなるまで相当苦労してきたしな…)
しかし同時に、京佳がどれだけ苦労していたかも知っている。顔のせいで酷いコンプレックスを持っており、友達もできず、自分と同じように1人で過ごしていた京佳。そんな京佳が、恋人を作った。これは本当に嬉しい事。ならば多少は京佳のうざさに目を粒って、大人しく話を聞いてもいいかもしれない。
(ったく、今日だけだからな…)
結果龍珠は、今日だけ京佳の惚気を大人しく聞く事にした。でもあくまで今日だけだ。明日もこんな調子だったら、絶対に殴る。
「ところで龍珠」
「あ?なんだよ?」
「龍珠は彼氏とか作らないのか?」
「ぶっ殺すぞお前!!」
訂正。やっぱりやめる事にした。というか今の京佳は調子に乗りすぎている気がするので、1度くらい殴っても罰は当たらないだろう。
「いい加減にしろよてめはよぉ!!惚気すぎなんだよ!!嬉しいのはもう十分わかったから、ちったぁ自重しろ!!あと私は別に彼氏なんていらん!!」
椅子から立ち上がり、京佳に怒号を浴びせる龍珠。つい手が出そうになるくらいムカつく事を言われたが、最後の理性が働いてそれだけは何とかとどめた。偉いぞ。
「そうなのか?」
「そうだよ!!その辺の色ボケと一緒にすんな!!」
「でも龍珠、文化祭以降、以前はよく喧嘩していた小島に話しかけられているじゃないか」
「……」
京佳にそう言われた瞬間。龍珠は黙り込む。
京佳の言う通り、文化祭以降龍珠は、それまで犬猿の仲であった小島からよく話かけられているのだ。
朝登校した時に、
『お、おはよう龍珠!』
『あ?んだよ?』
昼休みに昼食を食べるべく移動している時に、
『な、なぁ龍珠。今暇あるか?』
『お前に裂く時間なんてねーよ』
放課後に、
『よ、よう龍珠!もし良かったらさ…!』
『どけ。ぶっ殺すぞ?』
こんな風に、突然話しかけられるようになっている。
「あれってさ、多分だけど」
「やめろ」
「いや、あくまで私的な意見なんだが」
「やめろ」
「要するにさ、私が白銀にしていたみたいなやつであって」
「やめろって言ってんだろ!!マジでぶっ殺すぞ!!」
「えー、そこまで聞きたくないか?」
京佳が何を言おうとしているかなんて、龍珠もわかっている。
要は、小島は龍珠にアプローチをしているという事だ。
京佳やかぐやが白銀にしていたように、相手との距離を縮めたい。だから先ずは話しかける。そして相手と仲良くなる。つまりはそういう事だと、京佳は思っているのだ。
「いいか!!この話はもう終わりだ!!金輪際掘り返すんじゃねーぞ!!わかったな!?」
「わかったわかった。もうこの話はしないって約束するよ」
肩で息をしながら、龍珠は京佳に言い放つ。もしこれ以上京佳の話を聞いてしまうと、変に小島を意識してしまうかもしれないと思っているからだ。だから、この話はお終い。もう2度としないし、させない。
(つーかありえねーだろ!!そもそもあいつ、何で急にあんな事言い出したんだよ!?)
しかし、やはり京佳がこの話をしたせいで、龍珠はどうしてもその事を考えてしまう。これまでは目が合えば喧嘩をしていた仲だった小島。親が警察関係者のもあって、暴力団組長の娘である自分とは、根本的に相性が悪い。
それがどういう訳か、文化祭以降やたらとフレンドリーに話かけてくる。当然それで龍珠の態度が一変する訳ではないが、対応に困るのだ。以前みたいに、喧嘩腰に来てくれた方が助かる。
(いや、思い当た節ならめっちゃあるけど…)
でも龍珠、小島の態度が一変した理由を知っている。文化祭での、演劇だ。あの演劇で龍珠は、クラスメイトの代役で主役のシンデレラを演じた。普段着る事なんて無いドレスを着たり、社交ダンスをしたりと、色々な事をした。
因みにこの演劇の映像は、組の者がビデオカメラで撮影しており、それを家で見た龍珠の父親は、涙を流したとか。
そして演劇終了後、もっと言えば京佳の告白を手伝った後に、龍珠は小島の直接言われた事がある。
『今日の演劇、めっちゃよかったから!つーか可愛かったから!!』
この超こっ恥ずかしい言葉を、小島は龍珠に直接言った。そしてそれ以降、あんな風になっているのだ。
「ぬああああああ!!??」
その事を思い出した龍珠は、両手で頭を抱えて叫ぶ。直ぐ隣に京佳がいるが、知ったこっちゃない。
(あいつ、絶対に許さねぇ…!)
そして小島に対して殺意を募る。今までこんな変な気持ちになった事なんてなかったのに、あれ以来ずっとこんな感じだ。あのバカには、何時か絶対に責任を取ってもらって、本当に海に沈めてやろうとさえ思う。
(龍珠って、意外とチョロイかもしれないな)
そしてそんな風に頭を抱えている龍珠を、京佳は微笑ましいものを見る目で見つめるのであった。
生徒会室
「はい皆。これインドのお土産よ」
「こっちにもありますよー。遠慮なく貰っていいですからねー」
放課後の生徒会室では、かぐやと藤原がインドで購入した生徒会メンバー向けのお土産を渡していた。それはお菓子の詰め合わせだったり、コーヒー豆だったり、オートリキシャのミニカーだったりと様々だ。
因みに2人共、かぐやが髪をバッサリ切っていた事には大変驚いていた。当然理由も聞いたのだが、かぐやは『イメチェンです』としか言わないので、何か言えない事があるのだろうと察し、それ以上の追求はやめている。
「わ、凄い美味しそう。ありがとうございます、先輩方」
「ありがとうです四宮先輩、藤原先輩。ところでどうしてインドに?」
伊井野はお菓子の詰め合わせを手に取りお礼を言い、石上は何でインドに行っていたかを質問する。
「ただの旅行よ」
「です」
「そっすか」
石上の質問に、無難に答えるかぐやと藤原。流石に、悟りを開く為だったなんて言えない。今思えば、本当に何でそんな事を考えてインドに行っていたのだろうと自問自答するくらいである。
でもあの旅行は、間違いなく楽しくて有意義な旅行ではあった。特にガイドをしてくれたシンさんには、本当に感謝してもしたりない。もしまたインドに行く事があったなら、絶対に彼を再びガイドとして雇おうとかぐやは決めている。
「さぁ、会長もどうぞ」
「それじゃ遠慮なく」
「…立花さんも、どうかお受け取り下さい」
「…ありがたく受け取ろう」
勿論、白銀と京佳にもお土産を渡す。その間、一瞬だけ2人の間に緊張が走ったが気がした。あんな事があったのだ。いくら京佳が許したとはいえ、かぐやがした事は本来なら許されない事。やはりどうしても、少しばかし面と向かって話辛い空気が流れてしまう。
(でもこればかりは、時間をかけるしかないよな…)
京佳の思う通り、こればかりは直ぐにどうにかできる問題ではない。京佳自身、正直言うとまだかぐやに対して思うところはあるのだが、白銀がどうか許して欲しいと言ったのだ。
そして京佳は、かぐやを1発殴る事で例の事件の事を水に流した。だから、あの件はもうお終い。けれどやはり、かぐやも京佳も人間であり、まだ子供なのだ。いくら許した、許されたとはいえ、気持ちの整理がそう簡単につく訳ではない。なのでこれは、時間をかけてお互い歩み寄りながら解決するしかないのである。
「そうだ。今からこのインドで買ったお茶を飲みませんか?」
「いいじゃないですか!私、直ぐにカップを用意しますね!」
「あ、じゃあこのお菓子を皆で食べましょう」
「いいっすか?会長?」
「いいぞ。今日は特に仕事らしい仕事も無いしな」
「よし、皆でお茶会だな」
かぐやの案に、皆が賛成してお土産の茶葉を使ってお茶会が始まる。机の上にはお菓子とお茶が並び、それを囲む生徒会メンバー。片方のソファには石上、伊井野、かぐやが並び、反対側のソファには京佳、白銀、藤原が並んで座る。
「ん!これ美味いな!ちょっと甘いけど」
「だな。この紅茶も、香りが良くて美味しい」
「ですねー。私もうおかわりしたいですもん」
「ほら、口開けろ」
「あーん…ん、美味しい。石上、もっと」
「はいはい」
「すっかり介護が板についたわね、石上くん」
「まぁ、殆ど毎日面倒みてますんで」
穏やかな放課後の風景。しかしここで、結構観察眼の強い石上はある事に気が付いていた。
(ん?何で四宮先輩は、会長の隣に座って無いんだ?)
そう。かぐやが白銀の隣に座らずに、自分と伊井野がいるソファに座っているのだ。何時もなら絶対に、白銀の隣にいるかぐやがである。それだけじゃない。
「あ、白銀。口に食べカスがついてるぞ?」
「ん?本当か?」
「うん。ほら」
「すまんな」
石上の視線の先では、京佳が白銀の口元についているお菓子の食べカスをティッシュを使って取っている光景が映る。
「こっちのクッキーも美味しかったぞ。ほら」
「なら、それもいただこう」
「ほら」
「ん…お、本当に美味い」
「ふふ、だろ?」
「よし、なら俺からも。こっちを食べてみてくれ。これマジで美味しかったから」
「うん、あむ…うん、これも美味しいな」
更に京佳が、手にしていたクッキーを白銀に食べさせている。そして白銀も、それを拒否する事なく受け入れているし、逆く京佳にクッキーを食べさせてもいる。おまけにどこか、キラキラした空気を纏っている。
(あの2人って、あそこまで距離近かったっけ…?)
2人共、明らかに距離が近い。まるで恋人みたいな距離感だ。それこそ田沼や、サタン事柏木のカップルのような。
(って、ヤバイ!!何時もならこの後四宮先輩が黒いオーラみたいなのを出す流れじゃん…!?)
そしてこの後、かぐやが京佳に対して射殺さんばかりの視線を向ける筈。石上はとっさにかぐやの方を向く。
「うん、やっぱり美味しいわね」
だがかぐやは、静かに紅茶を飲んでいる。何時もなら出る筈の黒いオーラが、まるで無い。穏やか顔をして、紅茶を飲んでいるだけだ。まるで菩薩如くである。
(ええーーーー!?)
石上、驚愕する。今までなら絶対にあり得ない光景だからだ。
(何があったの!?マジで四宮先輩に何があったの!?インドに行った際に悟りでも開いた!?)
開いてない。
(つか藤原先輩はともかく、伊井野は何で気が付いてないんだよ!!お前さっきから食ってばかりじゃねーか!!ちったぁ隣にいる四宮先輩の事を気にしろよ!!明らかに異常だろうが!?)
そして伊井野は、そのかぐやの変化にまるで気が付いていない。今も普通に、石上からクッキーを口に運ばれて、それを食べている最中だ。
(やっぱり、あの3人の間に何かあったり…いや、考えるのはやめよう。藪をつついて八岐大蛇が出てきたら困るし…)
そんな伊井野はほっとくとして、この時石上はやはり3人の間で何かがあったのではと思う。突然髪を切ったかぐやに、明らかに距離の近い白銀と京佳。状況だけみればある事が考えるられるが、あくまで状況だけの話。それにかぐや自身、あまり話したがらないでいる。ならばこれ以上の勘ぐりはやめておくのが賢明だろう。
「石上、手止まってるけど?」
「あ、ごめん。次は何?」
「紅茶飲ませて」
「ほい」
そして石上は、伊井野の介護に専念する事にした。
その後、お茶会も終わりそれぞれが帰路に着く。
「お疲れ様です、かぐや様」
「あ、早坂さんお疲れ様ですー」
「うん。書記ちゃんもお疲れ」
その道中、早坂がかぐやを迎えに来ていた。表には、四宮家は所有する車が待っている。
「ところでかぐや様、大丈夫ですか?立花さんと何かあったりは?」
「大丈夫よ。ちょっと気まずい空気は流れたけど、それだけ。特に問題はないわ」
「そうですか。よかったです」
早坂はそのかぐやの言葉に、ほっと胸を撫でおろす。やはり早坂も、不安だったのだ。いくらあの件が許されたとはいえ、簡単に気持ちの整理がつくほど皆大人ではない。出来れば自分も生徒会室にいたかったが、それは出来ない。
「大丈夫です早坂さん!かぐやさんの傍には私がいますから!!」
(心強いけど、ちょっと不安なんだよなぁ…)
一応事情を知っている藤原がいるので、いざという時は何とかなりそうだが、やはり藤原では少し不安である。
「……」
「かぐや様?」
校舎の昇降口で靴を履き終えたかぐやの動きが突然止まり、早坂は声をかける。
すると、
「ごふぅっ!?」
「「吐血したーーー!?」」
かぐやが突然吐血したのだった。
「だ、大丈夫よ2人共…さっき会長と立花さんがイチャついているのを見ていたせいで、ちょっと胃に穴が開いただけだから…」
「それ全然大丈夫じゃありませんけど!?」
「かぐや様!!今すぐ病院に行きましょう!!」
かぐやが吐血した原因は、先ほどのお茶会で白銀と京佳が結構イチャついていたからである。自分が好きだった男が、恋敵とイチャイチャしている。この光景を見て、何も思わない人は先ずいない。
「本当に大丈夫よ。それにこれは、私への罰でもあるんだから…」
「え?罰?」
そしてかぐやはこれを、自分への罰だと思っていた。あれだけの事をしておいて、グーパン1発で許されるなんて安すぎる。だからかぐやは、2人がどれだけイチャイチャしていても、それを決して邪魔しない事にしている。何だったら、その光景を目に焼き付けてやろうとさえ思っている。そもそも自分の恋は終わったのだ。邪魔をする権利なんて無い。だから何もしない。ただ見る事にする。
「ふふ、でも思っていたよりキツイわねこれ…ごはぁっ!?」
「かぐやさん!!今から病院連れていきますからね!?あとそんな自分が傷つく真似もうしないでください!!」
「すみません!!大至急病院へ!!いつものあの病院へ!!」
再び吐血するかぐや。流石に見ていられない。というかそもそも、そんな自傷行為に近い真似、させる訳にはいかない。
その後藤原と早坂は、かぐやを車に担ぎ込んでそのまま病院へ直行。
そしてかぐやは、田沼医師により検診を受けた。幸い大事には至らなかったのだが、かぐやは新年早々1日だけ病院に入院する羽目になるのだった。
尚、早坂と藤原も付き添いで1日同じ部屋で寝泊まりした。
本当はもっと2人をイチャイチャさせたかったけど、いつの間にかこんな展開に。
最近、中々思った風に書けない事がある気がする。何でかねぇ…。
次回はもっとイチャつかせたい。