もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・   作:ゾキラファス

194 / 197
 藤原、そして石上。誕生日おめでとう。

 あと他作品だけど、こち亀の両さんも今日誕生日なんですよね。

 それと今回、京佳さんほぼ出番ありません。


生徒会は祝いたい

 

 

 

 

 

 3月3日。

 世間ではひな祭りや桃の節句と言われているこの日。学期末試験も終わってひと段落していた生徒会のメンバーは、生徒会室でとある人物たちの誕生日を祝っていた。

 その人物たちとは、藤原と石上である。実はこの2人、同じ3月3日生まれなのだ。なので生徒会室で皆で祝っているのだが、

 

「やっぱりこうなった!!」

 

 藤原は、それがすっごく嫌だった。

 

「やっぱり石上くんと一緒に祝われてる!!おまけにケーキもまとめて一緒!!っていうか誰ですかこのケーキ頼んだの!!私と石上くんが仲良く並んでまるでウェディングケーキみたいになってるじゃないですか!!」

 

 藤原がここまで叫んでいるのは、まさにこれ。同じ誕生日である石上と、同時開催に祝われる事。彼女は最期の最期まで抵抗してたのだが、予算的にも時間的にも余裕があまり無かったし、どちらかをズラせばどちらかに角が立つので同時開催は仕方が無い。

 因みに2人を模った砂糖菓子の乗ったこのケーキは、かぐやが発注してものである。

 

「石上くん!何であと1日早くか遅く生まれてこなかったんですか!!」

 

「そんな文句を僕に言われても仕方ないじゃないですか。そういった文句は僕の親に言ってくださいよ」

 

「じゃあちょっとスマホ貸してください!文句言わせてもらいますから!!」

 

「マジで文句言おうとしないで下さい」

 

「落ち着け藤原」

 

 石上に食ってかかる藤原。このままだと本当に電話して文句言いそうなので、白銀は直ぐに止めに入る。

 

「どーせ誕生日プレゼントの予算も情熱も半分こなんでしょ!?わかってますからね!!」

 

「そんな事ありませんって」

 

 ヒートアップする藤原を、かぐやが窘める。当たり前だが、そんな事は無い。全員ちゃんと、2人分のプレゼントを用意している。

 

「本当ですか!?皆さんのプレゼントはちゃんと情熱と熱意100%が入っていますか!?ちゃんと審査しますからね!?もし入っていなかったら許せませんよ!?」

 

「まーたこの人は妙な事言い出したよ」

 

 かなり失礼な事を言っているが、彼女にとって誕生日プレゼントというのはそれだけ嬉しい事なのだ。それがもし変な物を送られたら、溜まったものじゃない。

 だからちゃんと審査する。もしダメだったら、本気で泣く。ここで本気で泣いて皆を困らせてやるつもりだ。

 

「じゃあ、会長から」

 

「わかった」

 

 1番手は白銀。

 

「どちらか一方だけ高価な物を送ったら、後で角が立つからな。だから2人には同じような物をプレゼントとして選んだ」

 

 そう言いながら、白銀はプレゼントを取り出す。

 

「藤原には赤いマグカップ。石上には青いマグカップだ。これなら不公平とか無いから安心だろ?」

 

「だからこういうの!!」

 

 でもそれは、普通にダメな感じの物だった。

 

「何ですかこれは!!何っですかこれは!?こういうのは双方に気を使った結果双方から不評を買う典型ですよ!!というか見て下さい!!並べたら同棲を始めたカップルが浮かれて買ったお揃いマグカップみたいになってるじゃないですか!!」

 

「僕は嬉しいです。ありがとうございます会長。ていうか藤原先輩。人からのプレゼントにそこまで文句言うなんて相当失礼ですよ?普通に親の教育を疑われますけど」

 

「いいえ!これは教育です!!来年も同じ過ちを犯さないようにする為に教育なんです!!」

 

「俺、結構頑張って選んだのに…」

 

「大丈夫だ白銀。石上はちゃんと喜んでいるし」

 

「そうです会長。気を落とさないでください」

 

 落ち込んでいる白銀を、京佳とかぐやが慰める。無論、かぐやは白銀から少しだけ距離を取っているが。

 

「ミコちゃん!ミコちゃんならわかりますよね!?私がどういうものを求めているかわかりますよね!?ちゃんとしたの選んできましたよね!?」

 

 次に藤原は、伊井野に結構な剣幕で詰め寄る。

 

「は、はい!勿論ちゃんと選んできました!」

 

 伊井野は少し驚きながらも、藤原へのプレゼントを取り出す。

 

「1万円するティッシュです!!」

 

「……ん?」

 

 でもそのプレゼントは、想像の斜め上を行くものであった。

 

「これは伝統の技術を使って12色の紙が贅沢に使われているんです!中々手に入らない貴重な品物です!!」

 

「へ、へー…成程ー…えっと、ミコちゃん。一応聞くけど、何でこれにしたの?」

 

「色々悩んだんですけど、とりあえず高価な品物だったらハズレないかなって。この前藤原先輩の家で食事した時もあのお豆腐喜んでましたし

 

「あー…」

 

 そういえば前回、そんな事があったと藤原は思い出す。

 

「あ!もしかしてブランド物のバックの方がよかったですか!?」

 

「伊井野。お前マジでその考え気をつけろよ?貢いだお金の金額だけ愛情が帰って来るって危険な考えだからな?そのままだと本当に人生苦労するぞ」

 

「え?何かおかしい私?」

 

「……会長。こいつ1回本当にどっかで講習とか受けさせた方がよくないですか?普通に心配なんですけど」

 

「あー。俺が今度話しておくよ」

 

 だって思考が、完全にホストに貢ぐキャバ嬢である。社会に出て、伊井野がホス狂いにならないか真面目に不安だ。今度、伊井野と1度その辺の事話しておこう。

 

「ま、まぁ、ちゃんと私の事を思って選んでくれているので、これは合格です」

 

 これは、伊井野なりにしっかりと藤原の事を考えた結果のプレゼント。つまり好意である。ならば、ちゃんと受け取らないと失礼だろう。ぶっちゃけ微妙でも、しっかりと受け取る。

 

「あと、石上はこれ」

 

「え!?コ〇バースの限定色じゃん!?」

 

 そして伊井野の石上へのプレゼントは、靴だった。それも限定品の。

 

「たまたま買えたから…あ、サイズは合ってると思うけど、もし間違ってたら言って」

 

「いやサイズもピッタリだよ!マジでありがとう伊井野!!超嬉しい!!」

 

「べ、別に…」

 

 石上の嬉しそうな顔を見て、伊井野は少し恥ずかしそうにする。同時に、胸がポカポカした。

 

(悩んで選んだけど、喜んでくれて良かった…)

 

 実は伊井野のこの石上へのプレゼント、かなり悩んで選んだ品なのである。最初はゲームとかをプレゼントしようと考えていたが、伊井野はそういうのに全然詳しくないので断念。なので靴という、自分が貰ったら嬉しい物を選んだのである。

 でもその靴選びも、相当に時間をかけている。なんせ靴屋で、2時間近く悩んでいたくらいだ。だがそのかいあってか、石上は凄く喜んでくれている。悩んだかいがあったというものだ。

 

(私もそっちの方がよかった…)

 

 その光景を見ていた藤原は、普通に石上のプレゼントが良かった事に嫉妬する。その思いを口に出さなかったのは、最後の良心かもしれない。

 

「じゃあ、次は私だな」

 

 3番手は京佳。彼女もまた、ちゃんとしたプレゼントを選んでいる。

 

「先ず藤原には、このバスセットだ。バスボムやバスソルト。アロマキャンドルとかが入った物だよ」

 

 京佳が選んだプレゼントは、お風呂で使用するバスセット。湯船に落として使用するバスボムや、香りでリラックスできるアロマキャンドル。それ以外にも結構色々入った品物だ。

 

「おおーー!!これです!こういうのですよ!!こういうのがまさに誕生日プレゼントですよーー!!」

 

 京佳からのプレゼントに、藤原はテンションを上げる。まさにこれだ。これこそ誕生日プレゼント。さっそく今日の夜、使ってみるとしよう。

 

「そして、石上にはこれ」

 

「これは、タンブラーですか?」

 

 次に京佳は、石上に黒いタンブラーを誕生日プレゼントとして渡す。

 

「最近、勉強頑張っていたみたいだしな。これは保温に優れていて、汚れが付きにくくて、頑丈で軽い品らしんだ。これで冷たいエナドリでも入れて使ってくれ」

 

 実際、ここ最近の石上はずっと勉強の日々だった。夜眠気覚ましに飲んだエナドリは、もう覚えていないくらい飲んでいる。偶に温くなっていたりしたし、これで冷たいまま飲めるのならそれは最高だ。

 

「ありがとうございます、立花先輩。これ大事にします」

 

「京佳さん!ありがとうございますね!!」

 

「どういたしまして」

 

 石上と藤原は、ちゃんと京佳にお礼を言う。こういう日常品は、普段使い出来るしやはりありがたい。無論、それだけじゃなく普通に嬉しいといのもあるが。

 

「では、今度は私ですね」

 

 そしてとうとう、かぐやの番となる。

 

「先ず、石上くんにはこれよ」

 

 かぐやはそう言うと、何やら大きな箱を取り出して石上に渡す。

 

「え!?これって、セガ〇ターンミニ!?未だに超品薄で再販しても直ぐに完売する全然手に入らないゲーム機じゃないですか!?」

 

 かぐやの石上へのプレゼントは、まさかの最新ゲーム機のセガ〇ターンミニ。その昔、一世を風靡したゲーム機をコンパクトにした一品だ。中には有名タイトルのゲームが100本近く入っており、未だに熱狂的な信者がこぞって買うため、何度再販しても全然手に入らない代物でもある。かぐやはそれを、四宮家の力を少しだけ使って手に入れたのだ。

 

「ちゃんと調べたのよ?石上くんが好きそうで持ってなさそうな物をね。この前の試験で学年36位になっていたし、そのご褒美も兼ねてね。勉強の後の息抜きに、遊びなさい」

 

「はい!ありがとうございます四宮先輩!!」

 

 今日1番嬉しそうな石上。ゲーム好きの彼にとって、こういったプレゼントは本当に嬉しいのだ。今度時間が出来たら、夜通し遊ぶとしよう。

 

「……」

 

 そんな石上の隣で、藤原はずっとそわそわしている。

 

「藤原さんには、これよ」

 

「これって、クルーズレストランの招待券!?

 

「最近は2人きりになる事も無かったし、一緒に行きませんか?お船の上で、美味しいフレンチを食べながらね」

 

「行く行く!絶対に行きます!!えへへ、楽しみ~」

 

 石上と同じように、今日1番嬉しがる藤原。これこそ、自分を大事に思ってくれているプレゼントだ。

 

「あ、それでこれは僕から藤原先輩へです」

 

 最期に、石上が藤原へプレゼントを渡す。

 

「これは、テーブルゲームですか?」

 

「この間発売されたばかりの物です。先輩、こういうの好きですよね?」

 

「勿論!大好きです!ありがとうございます石上くん!!」

 

 流石石上。藤原の好きそうな物をしっかりとわかっている。

 

「うう、皆さん、さっきは変な茶々入れてすみませんでしたぁ!本当は全部すっごく嬉しいよー!!」

 

 そして遂に、藤原の涙腺は決壊した。何だかんだ言っておきながら、貰ったプレゼント全部が嬉しい。白銀と伊井野もやや微妙なプレゼントではあるが、それでもこうして貰えるのは本当に嬉しいのだ。

 

「会長~!さっきはごめんなさ~い!!」

 

「別にいいって。ぶっちゃけ何時もの事だし」

 

 更に、先程超失礼な事を言った事を白銀に謝罪。やはり、感情に任せて言いたい事言うのはダメだと後悔するのであった。

 

「ところで、藤原の石上へのプレゼントはなんだ?まさか無い訳じゃなかろう?」

 

「失礼な!勿論用意してますよ!!」

 

 白銀に言われ、藤原も石上へのプレゼントを取り出す。

 

「はい!豚さん貯金箱です!!昨日近くのショップで買ってきました!!」

 

「お前よくそれで今まであんな好き勝手言えたな」

 

 今日1番安くて珍妙なプレゼントである。やはり藤原は、自分を棚に上げる天才かもしれない。

 

「どうですか?石上くん?」

 

「嬉しいですよ。ありがとうございます、藤原先輩」

 

「石上。気を使わなくてもいいんだぞ?」

 

「そうよ石上くん。言いたい時はちゃんと言わないと」

 

「立花と四宮の言う通りだ。無理して喜ばなくてもいいぞ石上」

 

 このプレゼントは、普通に少しキレてもいい。しかし、石上は全然そんな様子はない。

 

「いや、マジで嬉しいですよ。他人からプレゼント貰うって、今まで全然なかったですし。本当にありがとうございます、藤原先輩」

 

(((本当この子、名前の通り優しい…)))

 

 偶に強めの毒吐くが、それでも石上は優しい子である。じゃないとこんな事言えない。

 

「え、えへへ?どうもです」

 

 石上にお礼の言葉を言われた藤原は、少し照れる。本当は昨日とっさに思い出して、大急ぎで買ってきたなんて今更言えない。でも石上が喜んでいるのなら、別に言う必要も無いだろう。

 

「むぅ…」

 

 そしてその様子を見て、伊井野は少しふくれっ面になっていた。

 

 

 

 

 

「えへへ、沢山プレゼント貰っちゃいましたね」

 

「ですね。持って帰るの少し大変ですけど」

 

 誕生会が終わった後、藤原と石上は並んで廊下を歩いていた。その両手には、沢山の誕生日プレゼント。こんなに大勢の人から誕生日を祝ってもらえるなんて、今日はまさに最高の日だ。

 

「そうだ!よかったら私の家の人に車で来てもらって、石上くんの家まで送りますよ!流石にこの量が大変でしょ?」

 

「いいんですか?僕の家、藤原先輩の反対側になりますけど」

 

「いいですって。だってこのまま帰るの大変ですし」

 

「えっと、じゃあお願いします」

 

「はい!ならちょっと家に連絡してきますね!それまでの間、このプレゼントお願いします!」

 

「え?今ここで連絡すればいいじゃないですか」

 

「実は、スマホの電池が切れてまして…なので職員室の傍にある公衆電話まで行ってきます!テレフォンカードありますし!!」

 

「今時珍しい物もってますね。でもそういう事なら、わかりました」

 

 そう言うと藤原は、その場から立ち去る。残されたのば、石上と大量のプレゼント。

 

「あ、いたいた!」

 

「え!?つ、つばめ先輩!?」

 

 そこに、石上が恋している先輩のつばめが現れた。

 

「ごめんね優くん。今日色々と用事が重なって、来るのが遅くなっちゃって」

 

「いえいえ!別に全然かまいませんから!!こうして会えただけでも最高なんで!!」

 

 大好きなつばめが現れた事により、石上のテンションが上がり続ける。しかし、一体何か用事でもあるのだろうか。

 

「それじゃあ、はい、優くん」

 

「え?」

 

 石上が内心考えながら首を傾げていると、つばめは何かの入った紙袋を笑顔で石上に手渡す。

 

「誕生日、おめでとう」

 

 それは、つばめから石上への誕生日プレゼント。それを頭で理解した瞬間、

 

「うっ」

 

「優くん!?」

 

 石上は両手で胸を押さえて、その場に膝をついた。

 

「す、すみません…あまりに嬉しくて心臓が破裂しそうになりまして」

 

「それ大丈夫なの!?」

 

「大丈夫です。根性でなんとかしました」

 

「まさかの根性論!?」

 

 それだけ嬉しかっただけなので、大丈夫だ。だって、自分が好いている人からのプレゼント。こんなの、嬉しいに決まっている。

 

「あの、開けてみても?」

 

「勿論だよ」

 

 石上はつばめに断りをいれて、紙袋からプレゼントを取り出す。

 

「財布、ですか?」

 

 そして紙袋の中から取り出したのは、黒い長財布であった。

 

「うん。この前スカ〇ツリーに一緒に行った時、優くんの財布が少し傷入っていた事に気が付いてね。だから新しいのをと思ったんだ」

 

 確かに石上の財布には小さな傷が入っているが、本当にほんの数センチの小さな傷である。普通は気が付かないだろうに、そんな小さな傷につばめは気が付いていたのだ。

 

「……」

 

「あ、やっぱりちょっと引くかな…?えっと、もし気にいらなかったら捨てていいからね?」

 

 財布を持ったまま固まる石上に、つばめは少し不安そうな顔で尋ねる。よくよく考えると、なんでそんな小さな傷に気が付いているのだと引かれているかもと思ったのだ。だってそんなの、重い女とか思われそうだし。

 

「つばめ先輩。僕、この財布死ぬまで大事にします…」

 

「泣くほど!?」

 

 だが石上が、そんな事思う訳などない。むしろ嬉しすぎて死にそうなのだ。今号泣しているのが、その証拠である。

 そして石上は、今日からこの財布を家宝にしようと決めた。もし自分が死んだら、絶対にこの財布は棺に入れてもらい、一緒に火葬されてもらう。更に三途の川を渡るときも、この財布だけは死守する。例え相手がどんな鬼でも、必ずそうする。

 

「えへへ、でも喜んでくれたみたいでよかったよ」

 

 こんなに喜んでくれたのなら、プレゼントしたかいがあったというもの。石上の嬉しそうな顔を見たせいか、つばめは自分の胸が温かくなるのを感じる。

 

「じゃあね」

 

「はい。本当にありがとうございます」

 

 そして無事誕生日プレゼントも渡したので、つばめは帰宅しようとした。

 

 しかし、ここでちょっとしたアクシデントが起こる。

 

「きゃあ!?」

 

「っ!?」

 

 つばめが廊下で足を滑らせ、そのまま前のめりになってこけそうになったのだ。

 

「つばめ先輩!!」

 

 石上はとっさに動いてつばめを助けようとした。このまま廊下でこけて怪我でもしたら大変だからだ。しかし、その心配は杞憂に終わる。

 

「よっ!」

 

 つばめは両手で廊下をタッチして、そのまま前転の要領でくるっと大きく1回転し、そして見事着地したのだ。

 

「ふぅ。思わず回転しちゃったよ」

 

 つばめ本人も驚いていた。いくらこけそうになったからといって、普通はこんな事しない。というか出来ない。新体操部に入っていた彼女だから、出来る芸当である。

 最も、廊下のため少し手首を痛めたが、これなら今日家で冷やせば直ぐ治るだろう。

 

 一方石上は、つばめが怪我をしなくて良かったと思う反面、内心はそれどころでは無い状態にいた。

 

(し、白…!!)

 

 なんせほんの一瞬だけだったが、白い物がチラリと見えたからだ。それが何かは、言うまでもない。おかげで今、石上の心臓は超うるさい。あと顔が熱い。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「うん。ちょっとこけそうになっただけだしね」

 

 でも石上は先ずはつばめの安否の確認を行う。とりあえずつばめに、怪我が無いようで良かった。とりあえずは一安心である。

 

「それじゃあ、優くん。今度こそまたね」

 

「は、はい。また」

 

 今度こそ、つばめはその場を立ち去る。残されたのは、石上と誕生日プレゼントだけ。

 

 「……」

 

 そして石上は、先程の事を思い出してしまう。つばめに誕生日プレゼントを貰ってすっごく嬉しいが、その後に本当に偶然見てしまったもの。それが、全然頭から消えない。未だに鮮明に思い出せる。というか多分、この記憶は60年経っても消える事は無いだろうとさえ思う。

 

「ただいまですー石上くん」

 

 そこに、家に連絡を終えた藤原が帰ってきた。

 

「……」

 

「さっき家にしっかりと連絡できましたので、直ぐに迎えに来てくれますよー」

 

「……」

 

「まぁ、本当はあまりこういう事しちゃダメなんですけどね。お父様から楽せずちゃんと電車とかで帰りなさいって言われるでしょうし」

 

「……」

 

「あれ?石上くんどうかしましたか?」

 

 さっきから話しかけているが、石上は反応をしない。目の前で手をブンブンと振ったり、耳たぶを引っ張ったりするが、石上は固まったままだ。

 

 藤原が不思議そうに石上を見ていた次の瞬間、

 

「ぶふっ…!?」

 

「鼻血!?」

 

 石上はかなり勢いよく鼻血を噴出した。まるで、古のラブコメみたいに。

 

「どうしました石上くん!?何でそんな鼻血を出しているんですか!?はいこれティッシュ!!」

 

「す、すみません…」

 

 藤原は石上を心配し、石上にポケットティッシュを手渡す。普段はちゃらんぽらんな彼女だが、こういう時はしっかりと相手を心配出来る子なのだ。

 

「あの、石上くん。保健室行きますか?まだ迎えが来るまで時間ありますし…」

 

 今もこうして、石上を保健室で休ませようとする。

 

「藤原先輩…」

 

「はい。なんですか?」

 

 そんな心配してくれる藤原に対して、石上は口を開いた。

 

「僕を、殺してください…」

 

「何で!?」

 

 そして突然、物騒な事を言い出したのだ。

 

「ちょっと事情は言えないんですけど、今僕、すっっごい罪悪感で押しつぶされそうなんです…決して自分から見に行った訳じゃないのに、それでも最低な行いをしてしまったんです…だから死んで償わないとダメなんです…お願いします…」

 

 もしこれが、駅などで偶然他校の女生徒のものを見たとかなら、石上もニチャアとして、その事を思い出しながら過ごせる事が出来ただろう。なんせ男子高校生にとって、幸せの象徴ともいえるものだ。

 しかし、今回見てしまったのは自分が本気で恋するつばめ。その人のを、偶然とはいえ見てしまった。確かに嬉しいとは思ったが、同時に自分は先輩に対してとても酷い事をしてしまったと後悔。先輩を本気で想っているのなら、自分は目をつぶるべきだったのだ。

 だが石上は目をつぶらず、むしろくっきりはっきりと見るように目をこらした。最低だ。自分はまさにクズだ。そう思った今の石上は、罪悪感が半端じゃない事になっている。故に死んで償おうとしているのだ。

 

「いや何があったか知りませんがそれで私が『はいわかりました』とか言って石上くんを殺すなんてする訳無いでしょう!?ていうか殺人ほう助じゃないですか!?私はそんな罪背負いたくありません!!」

 

 当然、藤原はそんな石上のお願いを拒否。

 

「……それもそうですよね」

 

「ですです。わかったくれましたか?」

 

「じゃあ…」

 

 藤原の返答を聞いた石上は、そのまま窓を開けて足をかけようとする。

 

「ちょっとー!?何してるんですかー!?ここ3階ですよー!?飛び降りたら死にますよー!?」

 

「死なせてください!死なせてくださいーーー!!僕はもう、今すぐ死なないとダメなんですーーー!!」

 

「誰かーー!!誰か助けてーー!?このままだと石上くんが死んじゃいますーー!!」

 

 藤原は、石上の腰に抱き着きながら飛び降りを阻止する。でもこのままでは自分もまきこまれかねない。なので大声で助けを呼ぶ。

 

 その後、藤原の声を聞いた白銀たちが全力で石上を止めるのであった。そして石上から事情を聴いたが、結局石上はどうしてこんな真似をしたのかは一切口を割らなかった。というか、こんな事誰にも言える訳が無い。

 

 その日の夜石上は、煩悩を消し去る為水風呂に入り、更に寝るまでずっとネットで調べた呪文を口にして過ごすのであった。

 

 

 

 

 




 こんなオチですまない。他に思いつかなかったんや。

 次回はいよいよ、石上とつばめ先輩関係大詰めの予定。告白はまだだけどね。そして多分、また京佳さんは出番無いかも。何とか増やしたい。
 あと伊井野の話も何とかしたい。またちょっと原作読みなおします。それと感想の返信は、また今度させていただきます。

 それでは皆さん、また次回。

石上とつばめ先輩は

  • くっつく
  • くっつかない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。