もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
そして本当なら昨日投稿する予定でしたが、超かぐや姫観に行っていたせいで間に合いませんでした。すまぬ。にしても、マージで良い作品だった。因みに、来週はエトワール観に行く予定です。
あと今回は、ちょっとだけアレなお話になったかも。
ホワイトデー。
日本にのみにあると言われているこのイベント。バレンタインデーと比べるとかなり小規模ではあるが、恋人達にとっては重要なイベントである。
「よし、これでいい」
それは当然、白銀もそうだ。たった今彼は、都内のとあるデパートでとある品を購入した。お値段も結構する品である。
(あとは、これをちゃんと渡せば完了だ!)
明日はホワイトデー。そして今しがた購入した品を渡す相手は、当然京佳だ。バレンタインデーに気持ちの籠ったチョコを貰ったので、そのお返しをするのは当たり前。
(そんじゃ、家に帰ったら誰にも食べられないよう張り紙でもしておくか)
折角買った品を、家族に食べられたりしたら目も当てられない。なので家の冷蔵庫に、ちゃんと張り紙をしておこう。圭や父親に多少何か言われるだろうが、そこは我慢だ。
(にしても、立花と付き合ってもう直ぐ3ヶ月か…)
その帰り道、白銀は京佳とのこれまでの日々を思い出す。本当に、色々あった。クリスマスの事件や、正月デート。白銀家でお互いの家族と一緒に夕食もとったし、修学旅行で2人きりで京都を観光もした。それに、キスだって沢山している。
だがまだ、していない事もある。
(確か、一説によると恋人は付き合って3カ月くらいで、キス以上の事をするんだよな…)
それは、恋のABCで言うところのC。未だに白銀は京佳と、そこまでは行っていない。白銀だって、男である。恋人とそういう事をしたいと思うのは当然だ。
でも、タイミングがわからずに今のところそこまでは行っていない。だがこういうのは、自分からがっつくと女子に嫌われる。なので自分から、そういう事を猛烈にアピールするなんて真似はしない。単純にキモイし。
(でも、立花も結構期待してるっぽいしな…)
しかし修学旅行で、京佳はその内もっと色んな事をしようなんて言っていた。それはつまり、京佳も期待しているのではと白銀は考えたのだ。そらなら引っ越し後、自分から京佳を部屋に誘うのもありなのではと白銀は思う。
(いやダメだ!俺だってめっちゃそういう事しないけど、自分からやりたい!なんて言えるわけねぇ!!つーかそれ目的とか思われて立花に嫌われたくないし!!)
でもやはり、自分からそういう事は言えない白銀。だって童貞だもん。誘い方なんて知らないもん。
(ま、まぁ…その内何とかなるさ、うん)
こういうのはあえて自分からそういう流れを作らず、自然の流れに任せよう。白銀はそう決めた。
そして家に帰った白銀だったが、
「ねぇねぇおにぃ。これ何?一体何を買ったの?」
「いや、別に何でもいいだろ?」
「よくないから。だって京佳さんに渡し物なんでしょ?変な物だったら大変じゃん。だから見せて」
「嫌だよ。流石に今回はダメだからな」
「なんでよ!いいじゃん!!」
「なぁ御行。俺にだけこっそり教えてくれないか?誰にも言わないからさ」
「何で2人揃ってそんなに興味深々なんだよ!!少しは遠慮しろって!!」
想像以上に2人から追及され、つい怒鳴ったりしたのであった。因みに結局、何かは2人には内緒にする事にした。
翌日。白銀は冷蔵庫から昨日購入した品を丁寧に出して、それを崩れないように丁寧に鞄にしまい、その鞄を手に持って学校へ行こうとする。
「げ、自転車パンクしてる…」
しかし、運悪く何時も使っている愛用のママチャリがパンクしていた。これでは自転車に乗れない。
「仕方ない。今日は電車使うか」
そこで白銀は、何時もは使わない電車で行く事にした。今は以前と違ってお金もそれなりにあるし、何よりこのままでは遅刻するかもしれない。生徒会長として、それはダメだ。
(まだ少し空いてるな…)
駅まで少しだけ走り、比較的空き席がある車内で、白銀は久しぶりの電車通学をしていた。まだ少し早いせいか、人はまばらである。
(おっと…これは…)
しかし、それも束の間。直ぐに大勢の人がどんどん乗ってきて、車内はあっという間に
人でギチギチになってしまう。そして日本の日常のひとつ、満員電車が出来上がった。
(マズイ…!これじゃあれが潰れるかもしれん!!)
このままでは、折角の品が人込みによって潰れてしまう。そんなのは嫌だ。絶対に京佳が悲しむし、自分も嫌な気分になる。
「すみません!ちょっと失礼します!!」
なので白銀は席から立ち上がって、鞄を上の荷物置きに置く事にした。これで一安心。後は降りる時に忘れず鞄を取ればいい。
「楽しみだねー、今日からの旅行」
「そうだね。思いっきり楽しもうか」
「うん!」
その時、直ぐ近くで自分より少し年上の大学生くらいのカップルが肩を寄せ合いながらイチャイチャしていた。会話内容からして、恐らく旅行に行く途中なのだろう。これから楽しい旅行に行くせいなのか、とても幸せそうな空位が出ている。
そしてその2人の様子を見て不機嫌そうな顔をする中年男性がいれば、微笑ましい物をみた顔をする若い女性がいたりする。
(俺もあんな風に、立花ともっとイチャついてみたいな…)
そして白銀は、何時か自分もあんな風に京佳とイチャイチャしたいと願う。確かに京佳とはそれなりにイチャイチャしているが、ここ最近は色々とありすぎたせいでイチャイチャなんて全くしていない。特に学校では、今まで通りに過ごしている。
理由は色々とあるが、最もらしいのは、何と言うか我慢できそうにない気がするからだ。もし誰も無い場所で2人きりでイチャイチャしだしたら、そのままキス以上の事をしてしまいかねない。
だって、京佳って凄くやらしい身体をしているんだもん。あんなの、我慢なんて出来る訳が無い。今までは何とか我慢出来ているが。最近はそれが少し難しいなんて思い出している。
(っていかんいかん!あまりこういう場でそんな事を考えては!)
つい、頭の中がピンク色になりそうになる白銀。ここが家なら問題ないが、今白銀がいるのは電車の中。あまりそういう事を考えて、周りから白い目で見られてしまう訳にはいかない。なので白銀は、ゆっくりと深呼吸をして落ち着く。
(よし。これで大丈夫)
深呼吸をしたおかげか、白銀は邪な気持ちを消し去る事が出来た。これでもう多分大丈夫だ。
「っと、下りないと」
丁度その時、学校近くの駅にたどり着いた。そして白銀は荷物を持って降りようとしたのだが、
「すみません」
「え?」
「申し訳ないんだけど、あそこの荷物を取って貰っていいかしら?」
その時、直ぐ隣にいた初老の女性からそんなお願いをされた。白銀が視線を動かすと、そこには少し大きな鞄がある。
「ええ、いいですよ」
「ありがとうね」
当然白銀は、このお願いを了承。直ぐに女性の鞄を荷物置きから下し、それを持って女性と一緒に電車を降りる。
「本当にありがとう。じゃあね」
「いえいえ」
女性はお礼を言うと、そのまま駅構内のエレベーターに乗る。これでもう安心だ。
(っていかん。俺も直ぐに学校に向わないと)
電車のおかげもあってまだ時間に余裕はあるが、それでも早く着くに越した事は無い。そして階段を降りようとした時、ふと違和感に気が付く。
何だか、体が軽い。もっと言うと、まるで手ぶらみたいな気がする。
白銀は直ぐに自分の両手を見る。そこには、本来るべき鞄が無い。
「」
額から汗がダラダラと流れ出る白銀。そして彼は、瞬時に後ろを振り向く。するとそれと同時に、電車のドアが閉まって、無常にも電車はそのまま発射してしまった。
「ああああああああ!?」
『!?』
「ま、待って!待ってくれーーー!!」
ホームを大慌てで走る白銀。これはダメ。絶対にダメ。何としてでも、あの荷物は取り戻さないと。
「駅員さんお願いあの電車止めてーーー!!」
「何だね君は!?」
その後、駅員に事情を話したおかげで、何とか次の駅で鞄を保護してもらい、白銀は難を逃れたのであった。
しかしそのせいで、この日は遅刻ギリギリになってしまっていたりする。
放課後
「つ、疲れた…」
この日、京佳はかなり疲れていた。理由は、バレンタインのお返しである。京佳はバレンタインのお返しとして、簡単なクッキーを作ってそれぞれに手渡した。
流石に貰った人全員には返せなかったが、それでも結構な数がある。おまけに昨日はモデルのバイトもあったので、それも相まって凄く疲れた。その結果、今の京佳はかなり体力を消耗してしまっているのである。
「もし来年があったら、次はもう買おう…」
すっごく大変だったので、来年からは市販品にしようと京佳は決める。だってすっごく疲れるんだもん。
(今日は、白銀に優しくしてもらって癒されよう…そんな気分だ…)
こういう時は、恋人と一緒にいると良い。今日は生徒会の仕事が終わったら、白銀に思いっきり甘やかされよう。そうすれば、この疲れも消える筈だ。
「最初からそうしとけよ」
「いや、何だか市販って悪いって思って…」
「何だその変な考え」
そんな京佳の隣にいる龍珠は、最初から市販にしておけと言う。こんな事なら、その忠告を聞いておけばよかったと京佳は後悔。
「そういえば、龍珠は何か貰ったのか?」
「…別に誰からも貰ってねーよ」
少し間のある答え。多分だがまだ、小島からお返しを貰っていない事を気にしているのだろう。
「ところでよ」
「何だ?」
「お前、白銀ともうヤったのか?」
「!?」
そんな事を思っていると、龍珠が弾道ミサイル並のセクハラ発言をしてきた。京佳、とっさに周りの見渡す。幸いな事に、周りには誰もいない。
「昼間からなんて事を聞くんだ…」
「いや、だって気になるだろ。もう付き合って3ヶ月とかだろ?普通ならそのそろヤルじゃねーか」
「頼む龍珠…!何かジュース奢るからそういう話題を振るのやめてくれ…!」
「は?嫌だが?」
「何で…」
「気になるからな」
龍珠とて、京佳と同い年の女の子である。自分の友達が、そういう事をしたのかどうかくらい、気になるものだ。
あとついでに、京佳ののろけ話を聞いた事による仕返しの意味もある。
「……まだだよ。キスはそれなりにしてるけど、まだそういうのはしてない…」
「へぇー、ほー?」
「その顔やめてくれ…」
多分ここでごねても、龍珠はこちらが答えるまで質問を続けるだろうと思い、京佳は観念したように話し出す。そしてそれを聞いた龍珠は、ニヤニヤとした顔をする。
「ま、あれだ。万が一やることヤッて子供こさえたら言え。助けてやるよ」
「だからそういうの…!!」
万が一の時は正直ありがたいが、ちゃんとその辺は気を付けるつもりなので大丈夫だと信じたい。
「あーもう!私、生徒会室いくからな!」
「おう。またなー」
これ以上、龍珠のセクハラ発言を聞きたくない。京佳は少し怒りながら、生徒会室に向う事にした。
(全く龍珠め…!そもそもそういうのは、もっとこう雰囲気とかが大事だろうに…!私はそこまで欲求不満じゃない!いや、白銀から求められたらそりゃ嬉しいけど…)
京佳も、仮に白銀からそういう事を言われたら受け入れるつもりでいる。だって好きな人とキス以上の事をするのは、別に普通だからだ。でも自分からそういう事をしたいとは言えない。恥ずかしいし。
(なんか、妙な気分になってるな…さっき龍珠にあんな事言われたせいだ…)
生徒会室に向う道中、京佳は少し悶々としていた。あまり関上げないようにしていた事なのに、先程龍珠に聞かれたせいで、余計にそういった事を考えてしまう。所謂、シロクマ現象状態である。
(1度深呼吸でもしてから、生徒会室に向おう)
このまま白銀に会ったら、何かしでかしてしまいそうなので、京佳は思いっきり深呼吸をしてから生徒会室に行くのであった。
生徒会室
「入るぞー」
色々あって疲れた体を引きずって生徒会室に入ると、室内には白銀だけがいた。
「まだ白銀だけか」
「そうだな。どうも今日は皆少し遅いみたいだ」
「そうか…」
「ああ…」
「「……」」
学校では、久しぶりの2人きり。おまけに2人とも、今日はそっち方面の事を考えていた。そのせいか、2人の間にどこか妙な空気が流れる。いっそこのまま、ここで少しくらいイチャついてもいいかもしれない。そんな事を思ったりもした。
「立花。少しいいか?」
「っな、なんだ?」
白銀は椅子から立ち上がると、鞄から何かを取り出して京佳に近づく。そして京佳は、何があってもいいように少しだけ身構える。
「立花、これを受け取ってくれ」
京佳の目の前までやってきた白銀は、そのまま京佳に何かの箱を渡してきた。
「もしかして、ホワイトデーか?」
「そうだ。嫌じゃなかったら、受け取ってほしい」
「嫌な訳ないよ。ありがたく受け取るよ」
恋人からのプレゼントを嫌がるなんてありえない。京佳は凄く嬉しそうにしながら、白銀からのプレゼントをう受け取る。
「開けていいか?」
「ああ」
白銀に一言断りを入れ、京佳はソファに座って箱を丁寧に開ける。
「バウムクーヘンか」
「一応都内のかなり有名なデパートで売っている物だ。味は保証するよ」
白銀のホワイトデーのお返しの品は、バウムクーヘン。ドイツ発祥の、木の年輪にような層をもつケーキだ。そしてホワイトデーにおいて、この幸せがずっと続きますようにという意味を持つ。
「ふふ、ありがとう。凄く嬉しいよ」
「そうか。喜んでくれた何よりだ」
京佳が笑顔になってくれたことで、白銀も嬉しそうに微笑む。結構な金額のする品ではあったが、恋人の為ならこれくらい安いものだ。それに、この笑顔でいくらでもお釣りが来る。買ったかいがあったというもの。
「……」
「立花?どうかしたか?」
すると京佳、どういう訳かバウムクーヘンを見たまま固まる。
「白銀、これ今から食べてもいいかな?」
「ん?別にいいが…」
そして突然、白銀から貰ったばかりのこのバウムクーヘンを食べたいと言い出した。白銀も断る理由が無いので、そのまま生徒会室にある食器を用意する。机の上に食器を並べ、慣れた手つきでナイフを使いバウムクーヘンを切り分ける。
「ほい。どうぞ」
そして切り分けたバウムクーヘンを皿にのせて、京佳に渡す。だが京佳、ここでとんでもない事を言いだした。
「白銀」
「何だ?」
「食べさせてくれないか?」
「……は?」
それはなんと、自分にこのバウムクーヘンを食べさせて欲しいとお願い。折角の2人きりの状態。折角なら、このまま少しイチャイチャしたい。そうすれば、今も少しある悶々とした気分がスッキリするかもしれない。
あとついでに、今日は白銀に優しくされたい気分である。そう思った京佳は、こんなお願いをしたのだ。
反対に、白銀はそのお願いを断る気でいる。だって、流石にそれは恥ずかしい。いくら恋人のお願いと言っても、恥ずかしいものは恥ずかしい。ちょっと心苦しいが、これは断ろう。
「い、いやそれは…」
「彼女の我儘、聞いてくれないのか?」
「そんな事ありません是非聞かせていただきます」
が、ダメ。
京佳の少し潤んだ目にやられ、白銀は陥落した。因みに京佳のこのやり方、親友の恵美から習ったやり方である。あざとい。
「じゃ、じゃあ。あ、あーん」
「あーん」
白銀はフォークをバウムクーヘンに刺して、ゆっくりと京佳の口へ運ぶ。そして京佳は、そのバウムクーヘンをゆっくりと食べだす。
「ん…おいし…」
甘くて美味しい。有名店というだけあって、味はかなり良い。
「もっと食べさせてくれ」
「わ、わかった…」
京佳に言われ、白銀は再びフォークにバウムクーヘンを差して、それを京佳の口へと運ぶ。
「んっ」
バウムクーヘンを食べて、飲み込む京佳。
(いやエロイ…!!)
その動きが、どことなくエロイ。白銀も、健全な男子高校生。恋人のちょっとした動作で、そう思ったりもする。そう思っていると、京佳が更なるお願いをしてきた、
「し、白銀。次はその、手で食べさせてくれないか?」
「え!?」
なんと、フォークではなく手で直接食べさせてほしいと言ってきたのだ。確かにバウムクーヘンを手で食べる事はあるが、それでも他人に食べさせてなんて事は無い。いや、恋人ならあるのかもしれないが、そんな事今まで白銀は経験してきていない。
おまけに、ここは学校の生徒会室。この後誰か来るかもしれないので、そんな事をしていいのか悩んでしまう。
「ダメ、かな?」
「……いいけど」
「やった」
しかし京佳のお願いに屈して、白銀は手で食べさせる事をしてみる。誰か来たら、その時はその時考えればいい。そして白銀は、切り分けたバウムクーヘンを手に取って、京佳の口へと運ぶ。
「あむ…」
京佳はそれを食べるが、この時白銀の指が京佳の口に触れてしまった。慌てて白銀は手を引っ込めさせようとするが、
「んちゅ…あむ…」
京佳はそのまま、白銀の指ごとバウムクーヘンを食べる。まるで赤ん坊が指を舐めるかのように、しっとりとしながら。
「……」
その光景を見た白銀、硬直。同時に体が熱くなる。だってすっごくエロイ。ただバウムクーヘンを食べさせているだけなのに、まるで成人向け映像作品のような妖艶さが出ているのだ。こんなの、興奮しない訳が無い。
(いかんいかん!煩悩退散煩悩退散!!)
しかし、このまま興奮する訳にはいかない。だってここは学校だ。こんな場所で興奮したら、取り返しがつかないかもしれない。それに下手すると、京佳を押し倒してしまいそうだ。それだけはダメ。仮に押し倒すにしても、家とかでだ。
「もっと…もっとちょうだい…?」
「……ああ」
本当なら断るべきなのだろうが、白銀は続ける。まるで餌付けみたいな行動だが、どこかエロさが出ている。おかげで、白銀はどんどんと悶々としていく。
「あむ…んぐ…もっと…」
「あー…すまん、もう無い…」
「あ、そっか…」
いつの間にか、京佳へのバウムクーヘンは無くなっていた。元々そんなに大きくなかったし、直ぐに無くなるのは当たり前だろう。でもこれで、もう悶々とする事もない筈。とりあえず一安心だだろう。
「……」
「立花?」
すると京佳、じっと白銀の指を見つめる。そして、
「あむ」
「!?」
なんとそのまま、白銀の指を思いっきり口に含んだ。突然の京佳の行動に白銀は驚くが、決して京佳を振り払おうとはしない。
「ちゅぱ…れろ…ぺろ…」
「……」
まるでアイスキャンディーでも舐めているような感じに、京佳は白銀の指を舐める。
「えへへ、白銀の指、甘いね…」
その指は、甘い。先程までバウムクーヘンを持っていたから、その時の甘さが指についているのだろう。彼氏にあーんをさせてもらい、龍珠から変な事を吹き込まれた京佳。
そこに今日は疲れているから、白銀に甘やかしてもらいたいという欲求が合体。そのせいで、今京佳は少し暴走しているのだ。もし白銀が、手で直接バウムクーヘンを食べさせなかったら、こうなならなかっただろう。
「……」
「白銀?」
そんなこれまでの京佳の行動を間近で見てきた白銀は、とうとう理性の糸が切れる寸前になった。
「あっ…」
そして白銀は、ゆっくりと京佳をソファに押し倒す。京佳も一切抵抗せず、そのまま押し倒される。お互い、会話は無い。白銀は京佳に覆いかぶさるようにして、今度は顔を近づける。
「「ん…」」
2人はそのまま、キスをする。学校でキスをするのは、初めてだ。そのおかげか、何時もよりドキドキする。
「立花…」
「白銀…」
2人きりの生徒会室。邪魔者はいない。そしてお互い、未だにドキドキしっぱなし。もうこうなれば、とことん行ってみるしかない。そう思った白銀は、ゆっくりと京佳にまたキスをする。
「ん…あっ…」
先程のキスと違い、艶のある声を出す京佳。おかげで白銀の心拍数は、爆上がり状態だ。
無理だ。もう無理だ。雰囲気とか場所とか、もうどうでもいい。このまま最後までしないと気が済まない。
「白銀…来て?」
「……いいん、だな?」
「うん…」
それは、京佳も同じだった。そして京佳のそんな言葉を聞いた白銀は、そのまま右手を京佳の胸に置こうとする。
「失礼します。会長、今度の卒業式の事で少し…」
だが、生徒会室にかぐやが入ってきて動きを止めた。
「「「……」」」
3人が顔を見合わせる。室内には、時計の針の音だけが聞こえる。そんな状態が10秒程続くと、かぐやが持っていた資料を生徒会室の机に置いて、
「……私、今日はもう帰りますね。あ、資料はここに。では、ごゆっくりーー!!」
そのままもの凄い勢いで生徒会室から飛び出すのであった。
「「ちょっと待って四宮ーーー!!」」
その後、白銀と京佳とかぐやの追いかけっこがおよそ1時間程続き、何とか先程の事をごまかした。
因みにかぐやは、その日の夜また吐血し、翌日病院に通う事になったのだが、それはまた別の話である。
おまけ
「龍珠!!」
「あ?」
京佳をからかい終えた龍珠が帰ろうとしていると、後ろから声をかけられた。最近ずっと聞いている声なので、龍珠はこの声の主が誰なのか直ぐに把握。
「んだよ小島」
当然のように、その声の主は小島であった。そしてその手には、何か紙袋がある。
「こ、これを受け取ってくれ!バレンタインのお返しだ!!」
小島はそう言いながら、両手で紙袋を龍珠に渡し、頭を直角90度に下げる。
「……まぁ、お返しっていうなら受け取ってやるよ」
一瞬受け取らないべきか迷ったが、ここで受け取らないと後が面倒くさそうなので、龍珠は小島からのお返しを受け取る事にした。
「っありがとう!!」
「勘違いすんな!ただ受け取るってだけだ!!他意は無いからな!?」
「ああ!それでいい!!」
どんな理由であれ、受け取ってもらえた事に小島は笑顔で満足する。だって、受け取ってもらえただけで満足なのだ。
「それじゃ!俺部活あるから、またな!」
「……おう」
笑顔の小島は、そのまま部活へと向かっていった。残された龍珠は、そのまま帰宅。そして帰宅後、龍珠は自分の部屋で紙袋から箱を取り出し、その箱を開ける
「マドレーヌ?」
箱に入っていたのは、フランス発祥の貝の形をした焼き菓子のマドレーヌ。
「何か意味あったか?」
ホワイトデーのお返しの品には、色々な意味がある。しかし、マドレーヌに意味はどんな意味があるのか龍珠は知らない。なのでスマホを使って調べてみた。すると、直ぐに答えが出て、龍珠は固まる。
なんせマドレーヌには、あなたともっと仲良くなりたい。特別な関係を築きたいという意味があったのだから。
「……へぇ」
そしてマドレーヌの意味を知った瞬間、龍珠は自分の胸がポカポカと暖かくなるのを感じる。それは、嬉しいという感情に近かった。瞬間、龍珠は顔が真っ赤になる。
「あああああああ!!??」
そして自分のベッドに潜りこみ、龍珠は枕に顔を埋めて声を出す。
(違う違う!せってーに違う!!別にあたしは嬉しいとか思ってねーから!!そんなんじゃねーから!!)
たった今自分が感じた想いを、龍珠は必死に否定する。こんなのは違う。絶対に違う。これはただ、美味しそうな焼き菓子を貰って嬉しいと思っただけ。断じて、小島からそういう意味の籠ったお返しを貰って嬉しいなんて思っていない。
(ざけんな!ぜってー認めねーからな!!)
認めない。こんなの認めない。自分は断じて、小島を気に入りだしてなんていない。兎に角絶対に、そんな事認めない。
(でも、捨てるのはダメだよな…?食べ物は粗末にしちゃいけないし…)
それはそうと、このマドレーヌはちゃんと食べよう。でないと、このマドレーヌを作ったお菓子職人に申し訳ないし。
「お嬢!!大丈夫ですか!?」
「カチコミですか!?お嬢!?」
「おいこらぁ!!何勝手に人の部屋に入って来てるんだてめぇら!!」
「「ぐふぅ!?すんません!!」」
その後、勝手に人の部屋に入ってきた男衆を足蹴にして、龍珠は半ばやけくそ気味になってマドレーヌを完食するのであった。
その味は、本当に美味しかったらしい。
ホワイトデーのお返しって、色んな意味があるんですね。調べるまで殆ど知らなかった。
だってお返しなんて、家族にしかした事ないもん…。
それでは皆さん、また次回。
石上とつばめ先輩は
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くっつく
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くっつかない