もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
最近、急に気温が下がってきていますので、皆さん今のうちに冬の備えをしておきましょう。
多分、この後一気に寒くなったりするから。
「あー、彼氏欲しいですねー」
「書紀ちゃん急にどうしたの?」
暖かくなってきたとあるお昼休。藤原、かぐや、早坂、伊井野、そして眞妃の5人は、中庭でお昼を共にしていたのだが、突然藤原が物欲しそうな顔をしながらそう口にする。
「だって!私達の周りの男子皆彼女持ちなんですよ!?石上くんは今頃つばめ先輩と電話で話してるでしょうし、会長だって今は京佳さんと一緒にお昼ご飯を食べてますし!あんなの見たら私だって彼氏欲しいって思いますよ!!」
彼女がそう思うのも、無理は無い。周りに彼氏持ちがいて、その子が凄く幸せそうにしていれば、自ずと自分もと思うものなのだ。元々何となく欲しいとは思っていたが、最近はそれが顕著になりつつある。これも全部、白銀や京佳や石上が毎日幸せそうにしているのが原因だろう。
余談だが、その白銀は現在、屋上で京佳とお昼を食べている。京佳からあーんをされたり、京佳が口に加えた卵焼きを、そのままキスの要領で食べたりしながら。
「まぁ実際、あんなの見てたらいいなぁって思うよねー」
「ですね」
「はい」
「そうね」
早坂の言葉に、かぐや、伊井野、眞妃の失恋娘3人が同意する。色々あって、それぞれの想い人とは結ばれなかった3人。自分達も、もう少し何か違えば、あんな風に幸せな恋人を手にしていたかもしれないのだ。羨ましいと思うのは、しょうがない。
「でも、そこまでして欲しいとはまでは…」
「私も…」
「私もね。今はまだいいかしら」
しかし藤原と違って、3人はそこまで恋人が欲しいという欲求はあまり無い。なんせまだ、失恋のショックから完全には立ち直れていないのだ。
3人で遊んだりしているおかげで、以前に比べるとかなりマシにはなっているが、それでもまだ傷はある。なので、今はまだいいかなっていうのが本音。
「いいえ!そんな事言ってたらダメですよ!!」
しかし藤原は、そんな3人に指をビシっと刺しながら言い放つ。
「いいですか皆さん!失恋したショックは図りしれないでしょうが、いつまでもそのままズルズルと引きずっていたら2度と恋人なんて出来なくなりますよ!?それにこれは姉さまから聞いた話しなんですが、日本人が学生時代に恋人を作らなかった場合、社会人になって恋人を作る事はほぼ不可能なんですよ!!因みに理由は、経験値や出会いの場が極端に無いからですって!!」
「「「そうなの!?」」」
「はい!だからこそ、私達は大学卒業までに恋人を作るべきなんです!!」
藤原の発言に、3人は驚愕。確かに今は、恋人とかはいいとは思っている。しかし、それはあくまで今はだ。いずれは、ちゃんと自分達だって恋人が欲しい。
しかし、それが不可能だとすれば流石に焦る。このままずっと失恋のショックから完全には立ち直る事はせず、いつまでも恋人が出来ないのは普通に嫌だ。一生独身なんて、冗談じゃない。
「いやいや、それは流石に言い過ぎだって書紀ちゃん。そりゃ確かに出会いの場とか限られるから、出来る機会こそ減るかもだけど、それでも30超えて恋人作る人だっているでしょ?」
3人が藤原の言葉に驚いていると、早坂が横から割って入る。確かに藤原の言い分も一理あるかもだが、それでも絶対に出来ないと決まった訳じゃない。
むしろ、そうやって焦って作ると逆に碌なことにならないのだ。なのでここは、ちゃんと作りたい時に作れば良い。
「早坂さん、想像してみてください。このまま学生時代に恋人作らず、社会に出てもずっと仕事ばっかりしてて、そのかいあってお金を沢山稼いだけど、気がついたら40歳超えてて、もう誰も中年の自分になんて見向きもしなくなる未来を」
「うん、やっぱり書紀ちゃんの言う通りだね。直ぐに恋人作ろう」
しかし藤原のありあえるかもしれない悍ましい未来に背筋が凍り、早坂は掌を返した。嫌だ。そんな未来は絶対に嫌だ。自分だって、恋人を作って、いずれは結婚して、子どもを生んで、幸せな家庭を築きたいのだ。
仕事ばっかりして、金もがある勝ち組な人生を送れても、老後は独り身のまま高給老人ホームに入って、職員さんに看取られるなんて未来は断じてお断りである。どうせ看取られるなら、夫や子ども、孫がいい。
「でも藤原さん?恋人って作ろうと思って作れるものではありませんよ?」
「そうよ。そう簡単にはいかないでしょ」
「先ずは誰かを好きになるところから、ですよね」
藤原の言い分はわかったが、それで直ぐに新しい恋を初められて、そのまま恋人が出来れば苦労なんてしない。
「実際問題私達って、何で恋人作れないんですかね?だって、全員普通に美少女じゃないですか?」
「言うねぇ書紀ちゃん」
「でもそうでしょ?なのに何で彼氏作れないんですかねー?」
「うーん…」
普段なら鼻で笑うところだが、言われてみればそうだ。この場にいる5人は、誰が見ても美少女と言えるくらいに見た目が整っている。なのに、恋人が出来た事なんて1度も無い。一体、何が原因なのだろうか。
「もっと早く素直になっていれば…」
「変なプライドを捨てていれば…」
「もう少し早く好きになっていたら…」
尤も、この3人に関してはそれ相応の理由があるのだが。
(ていうか、今まで1度も誰かと付き合った事も無いなら、あの恋愛探偵とかいうあだ名は名乗らない方がいんじゃ…)
因みに早坂は、藤原に関してはもう恋愛探偵を名乗るのをやめたほうがいいとか思ったりした。
「もういっそ、この面子で合コンでもする?そうしたら彼氏くらい作れそうじゃない?」
「あー、それもいいかもですねー」
ここで早坂が、合コンの提案をしてきた。女子は顔面偏差値の高い子がこの場に5人いるし、あとは男子だけ揃えれば行ける。眞妃の弟の帝辺りに声をかけてもらえば、合コンも可能かもしれない。
「「「絶対にダメ!!!」」」
「「え?」」
しかし、その提案は失恋3人娘の大声で却下された。
「かぐやさん達?急にどうしたんですか?」
「それはこっちの台詞よ愛さんに藤原さん!!あなた達、今自分が何をしたいかって言ったかわかってるの!?」
「え?合コンですか?」
「そう!藤原さん知らないの!?合コンっていうのは、女に飢えた男が自分好みを女を持ち帰ろうとする悪魔のイベントだって事を!!」
間違ってはいないが、それは些か偏見がすぎる。
「叔母様、いえかぐやの言うとおりよ!!合コンは恋人のいない女が食い物にされる悍ましいイベントなのよ!?そんなものをしたいだなんて、虎の巣穴に入っていく羊の如くよ!!自殺と変わらないわ!!」
「先輩方の言う通りです!!もしも私達が合コンなんてしたら、あっという間に狼と化した男性に食べられて、枕を涙で濡らす事になりますよ!?なので合コンは却下です!!」
「えー…?」
確かにそういう事もあるだろうが、全部全部の合コンがそうでは無い。中にはちゃんと、出会いを求めて健全にしている合コンだってある。
しかし今その話しをこの3人にしても、多分聞く耳を持たないので、もうこの案は却下にしておこう。説得面倒だし。
「そうですか。そういう事なら、わかりました。じゃあちょっと質問を変えて、もしも恋人になったらどこに行きたいとか、何をしたいとかありますか?」
ここで藤原が、話題を1度変える。そうする事で、3人を落ち着かせようと思ったらだ。
「私は、一緒に過ごせるだけでいいですね。それこそ、例えば学校でお昼を一緒にするとか」
「そうね。私もかぐやと同じね。別に特別な事なんてしなくていいわ」
藤原の質問に、かぐやと眞妃が答える。正直、行きたい場所は沢山ある。でも、別にそういった場所に行かなくても、自分の大好きな人が隣にいてくれればそれだけで幸せだ。それが、恋人というものだから。
「そんな未来も、あった筈なのに…」
「ほんと、何してたのかしらね、私達は…」
(あ、質問間違えた…)
しかしそんな事を良いながら、2人は勝手に傷を負った。やはり近い内に、ナイトクルージングでもしよう。じゃないと精神が持ちそうにないし。
「は、早坂さんはどうですか!?何かしてみたいとか、行きたい場所とかありますか!?」
このままではかぐや達がまたダメージを負うと思い、藤原は質問を早坂に変える。
「私はね、ずっと考えてるんだー」
落ち込んだ2人に変わり、今度は早坂が話し出す。
「先ずは、やっぱりデスティニーランドで1日中遊ぶでしょ?文字通り、乗れるアトラクション全部乗る勢いで。それが終わったら、パーク内のホテルに泊まって一緒にディナー。勿論、宿泊客のみが楽しめるイベントを見ながらね。そしてその夜は、彼と一緒のベッドで見つめ合いながら、手を握って、最後はぎゅっと抱きしめてもらいながら寝る。その翌日には、横浜も行きたいなぁ。中華街から戦艦三笠、もしくは鎌倉に行って思う存分観光を楽しむの。そしてその日の夜は横浜のゴ○ラでバ○ラが使ってた観覧車に乗って、彼氏に何かプレゼントをされたいし、逆にプレゼントをしたい。そうすれば、忘れられない思い出になるでしょ?それから毎年その日には観覧車に乗って、同じようにプレゼント交換をする。素敵だよね。そして海外にも行って、そこでも恋人と楽しむ。場所は、やっぱりハワイかな?ワイキキビーチを2人で手を繋いで歩きながら、夕日を眺めたりする。もしくは、ダイヤモンドヘッドから出る朝日を眺めてながら、永遠の愛を誓うキスとかしたりして」
出るわ出るわ、乙女の妄想の塊。明らかに、無理しかないスケジュール。けれど当の早坂は、とっても楽しそうに話している。多分、彼女の中ではこれが実行可能なスケジュールになっているのだろう。
しかし、今まで恋人がいない子がこんな事を言っても、ただの妄想としか受け取られないのだ。
(((うわぁ…)))
実際、藤原、かぐや、眞妃は声にこそ出さなかったが、引いていた。確かに自分達も、そんな妄想くらいはする。しかし、これは流石に詰め込み過ぎだとわかる。それぞれ日にちをいくらか明けてするならまだしも、連続しては無理だ。単純に、体力が保たない。
(そういえばこの子、デートの経験無いんだったわ…)
(早坂さん…それは無いですよー…せめて分けましょうよー…)
(詰め込み過ぎでしょ…どれかひとつにしなさい…)
「す、素敵です!凄く素敵です早坂先輩!!」
「「「!?」」」
だがこのモンスター処女の妄想に同じように共感する子が、ここに1人いた。
「とっても素敵です!やっぱり、好きな人が出来たら色んなところに行って、沢山思い出を作りたいですよね!!写真も沢山撮って、お土産も沢山買って、プレゼントもする!!そぷすれば、そのどれもが掛け替えの無い大切な思い出になりますし!!」
「だよねー!やっぱり夢見ないとダメだよねー!!」
意気投合する乙女脳2人。流石にこれに、割って入って「それは非現実的でしょ」とか、もう言えない。だってすっごい楽しそうにしてるもん。
「でも結局、恋人ってどうやって作るんでしょうか?」
そうこうしている内に3人も落ち着いたようなので、ここで藤原が話しを降り出しに戻す。こうして恋人が出来たらと、妄想するのは本当に楽しい。しかし現実問題、先ずは恋人を作らないと、ただの妄想で終わる。一体、恋人とはどうすれば作れるのだろうか。
『……』
そして、その質問に答えを持つ子は、この場にいない。悲しいね。
「えっとじゃあ、例えば少し気になるクラスメイトがいたら、その子と仲良くなってみるとか?それがきっかけで、最後は恋人になったりするかもだし」
「王道ですね」
先ずは早坂が、そんな提案をする。いきなり恋人なんて、無理だろう。先ずはお友達から初めて、そこから恋人に発展するという王道パターンだ。
「それが出来たら苦労してないのよーー!!」
「本当にそうですよね…どうして私は、もっと自分の気持ちに素直になれなかったのか…」
「あ、地雷だった」
しかし、それが出来なかったから、かぐやと眞妃はこうなっている。本当に、あとほんの少し素直に生きていれば、今頃好きだった人と楽しい恋人生活を送れていただろうに。そのトラウマがあるので、その方法は使える気がしない。
「んじゃ、同じ趣味の人と知り合うとかは?」
「あ、それいいですね藤原先輩。趣味が同じ人とかなら、会話が弾んで恋人になりやすい気もしますね」
今度は藤原が、趣味を通して知り合う手段を話し出す。確かに、同じ趣味を持つ者同士は話しが弾む、そんな人と恋人になれれば、デートをするにしても同じ趣味だから、喧嘩になったりする事は無いだろう。
藤原はゲームやラーメンが好きなので、もしも同じ事が好きな人と恋人になれたら、一緒にラーメン屋巡りをしたり、家でテレビゲームをして遊ぶことも可能だ。
ならば、各々自分の趣味が集まる集まりやイベントに参加すれば、恋人が出来るかもしれない。
「どうでしょう…」
「え?」
だがここで、かぐやがそれに苦言を発する。
「例えば、私は紅茶が趣味って程ではないですが好きです。でも、紅茶にも色々と派閥がありますから、それが原因で喧嘩になったりしませんか?」
「あー…」
言われて気がつく藤原。かぐやの例えで言うと、紅茶で言えばミルクを淹れるか淹れないかで分かれる、ガン○ムで例えれば連○がジオ○で好き嫌いが分かれる。そしてゲームならば、任○堂がセ○で分かれるだろう。その行き着く先は、絶対に喧嘩だ。
そう考えたら、同じ趣味を持つ者同士は付き合うべきでは無いのかもしれない。むしろ、それぞれが別の趣味を持ってる方が、相手が興味を持ったりして、話しが弾んだりするだろう。
「あの、これは友達のこばちゃんから聞いた話しなんですが、友達の紹介によって、恋人になる人もいるみたいですよ?」
今度は伊井野がそんな事を言う。つまり、第三者の介入による手段だ。
誰かからの紹介は、昔から使われてきた手段である。何だったら、一昔前はこれが結婚する為に正式な手段でもあった。所謂、お見合いである。
別に友達に限らず、職場の上司や、趣味で知り合った人からの紹介。そうする事で、親密な関係を築き、恋人になったりする事が出来る。
無論、それで合う合わないはあっるだろうが、それでも1人で何かするよりは確率は上がるだろう。
「えっと、伊井野さん。それは確かに良いのかもしれませんが、ひとつ重大な問題がありますよ?」
「え?重大な問題ですか?」
だがそれには、かぐやの言う通りひとつ問題がある。
「私達に、誰かを紹介してくれる男の子や女の子いますか?」
「あ」
そう、それには紹介をしてくれる第三者が必要なのだ。かぐや達にも友人はちゃんといるが、そういう紹介をしてくれる友人がいるかと言われると、ちょっとわからない。
例えば渚は交友関係は広いが、翼以外の男の子なんてかぐや達も知っている顔ぶれしか知らない。京佳も同じだ。大仏に関しては、そもそも伊井野以外に友達がいない。
つまりこの手段は、現時点では意味のない手段なのだ。だって紹介してくれる子、いないだもん。
「だったら、帝に頼んでみましょうか?あいつなら、男の子の友達も多いわよ?」
ここで眞妃が、弟である帝に紹介をしてもらおうかと提案。彼はかなり交友関係が広いし、何より人の本性をしっかりと見抜けるので、ゲスな考えを持った人物を紹介したりはしないだろう。ちゃんとした、誠実な友人や知人を紹介してくれる筈だ。
尤も、かぐやに関してだけは全力で自分を売り込みに行くだろうが。
「眞妃さんの弟の帝さんですか…どんな人なんですか?」
「サッカー部の子で、別の学校に通っているわね。あと、成績は御行以上よ」
「おお、凄い子じゃないですか」
「でもあいつ、彼女がいた事ないのよねぇ…」
しかし眞妃には、不安もある。実は帝、今まで1度も恋人が出来た事が無いのである。理由はあえて言わないが、そんな子が男の子を紹介なんて出来るのか不安だ。
「サッカー部ですか…なんか、女の人にだらしないイメージあるんですよねぇ」
「あー、なんかわかる。完全に偏見なんだけど、なんかそんなイメージあるよねー」
「そういえば、よく校則違反をしている運動部はサッカー部が多い気が…」
藤原の言葉に、早坂と伊井野が同意する。野球部などがかなり規律に厳しいイメージがる反面、素行の悪い運動部はサッカー部とテニス部という勝手なイメージがあるのだ。
無論、これは完全に偏見である。真面目に取り組んでいる生徒も多くいる。でもどうしても、そんなイメージがるのだ。
「皆さんこう言ってますし、やめときましょう眞妃さん。なんか、碌な事にならない気がします」
「じゃあやめとくわ」
結局、眞妃は帝を使う事をやめる事にした。こうして帝は、千載一遇の好機を姉に潰された。哀れである。
「うーん…それにしても、中々良い案が出ないですね…」
あーだこーだ考えるが、どれもしっくり来ない。このままでは、本当に全員独身街道まっしぐらだ。なんとか良い案はないものか。
「あ、最近はマッチングアプリとかもあるし、それならいいんじゃない?」
「マッチングアプリ?愛さん、それはなんですか?」
全員が首を傾げていると、早坂が思い出したように口を開いた。
「えっと確か一応入れるだけ入れたやつが…ほら、これだよ」
そしてスマホの画面を、皆に見せる。そこには、何やら怪しげに見えるアプリがあった。
マッチングアプリ。
それは言ってしまえば、誰でも簡単に登録が出来て、恋人を探す事が出来るアプリの事である。プロフィール欄に名前や年齢、趣味などを入力して、そこから自分に合いそうな人とネット上で会話。その後親密になれば、実際会ってみて、最後はめでたく恋仲になれたりするのだ。
近年は、この誰でも出来るマッチングアプリで恋人を作った人がかなり多い。ネットが発展した現代だからこその手段だろう。
「へー、そんな便利な物があるんですねー」
「まぁね。これで恋人になって、晴れて結婚までしたって人はかなりいるよ」
藤原は興味津々にアプリを見る。これならば、自分にも素敵な彼氏が出来るかもしれない。
「ところで愛さん?あなた、どうしてこんなアプリを?」
「そんな目で見ないでくれるかぐや?別に男に飢えたから登録したとかじゃないから。これはクラスの友達に、1人で登録するのなんか怖いから一緒に登録してって頼まれて登録しただけだから」
「あぁ、そういう事でしたか」
てっきり早坂が自分や京佳を見ていつの間にか男を探そうとしているのかと思ったが、どうやら違うらしい。
(まぁ、良い男いないかなーって物色はしてたけど…)
でも実は、アプリ内で男を見ていた事実はあったりする。
「いいじゃない。じゃあ全員で今直ぐ登録する?」
「私はいいですよ?」
「私もですー」
そして眞妃に同意する形で、かぐやと藤原もマッチングアプリに登録しようとする。
「あの、先輩方…マッチングアプリって、かなり危ないと思いますけど…」
「え?」
しかしその前に、伊井野が3人を静止した。
「この前テレビのニュースで見たんですけど、マッチングアプリで知り合った人が、殺されたって」
『え゛』
伊井野の言ったように、確かにそういった事件はある。アプリ上では優しげな言葉で相手を油断させ、実際に会ったら態度を豹変させ、殺害されたり、優しい人と思っていたら、実はそれは犯罪組織の雇ったサクラであり、気がついた時には犯罪に関わっていたり、自分の好みに合わない男からストーカーをされたりと、そんな事件が国内に限らず、世界中で割とあるのだ。
「だからその、マッチングアプリは危ない気がするので、やめたほうがいいかと…」
『……』
伊井野の言葉を聞いて、顔を真っ青にする3人。それは、確かに嫌だ。そんな事になるなんて、怖すぎる。そんな怖いアプリなんて、入れたくない。
「だ、大丈夫だって!そりゃそんなヤバイ奴もいるけどさ、普通の人だっているし!」
早坂はそう言っているが、それでもやはりなんか怖い。自分達は、そこまで機械やアプリに詳しくない。なのでアプリの人がちゃんとした人なのか、それともダメな人なのか見分けがつかない。
「「「やめましょう」」」
「あー、そう?」
ならば、やめよう。そもそも、そこまでリスクを負ってまで恋人は欲しくないし。
「というか、焦って彼氏作っても、碌なことになれない気がしますね…」
すると藤原、突然そんな事を言い出した。確かに、無理に焦って恋人を作っても、上手くいくとは思えない。むしろ焦って作った結果、そこまで相性のよく無い人と恋人になり、途中で相性が良くないが故の喧嘩があったりして、悲惨な別れを経験するかもしれない。
しかし、先ずは言わせてもらおう。
((((そっちが最初に彼氏欲しいって言い出したんでしょ!!!))))
そもそも、彼氏が欲しいと言い出したのは藤原である。だから皆で色々と言い合っていたというのに、これだ。マジで1回くらい引っ叩いても許されるだろう。
「はぁ…もうなんか疲れました…」
「そうだねかぐや…」
頭を使ったのと、藤原の発言で疲れた。まだこれから午後の授業があるというのに、大丈夫だろうか。
「とりあえず、暫くは女子同士でいいですね…」
「そうですね、藤原さん」
「そうだねー」
「はい」
「そうね」
本当に、なんかドっと疲れた。これ以上、どうやって恋人を作るかなんて考えるのも億劫だ。暫くは、こうして女子だけで楽しめれば良い。恋人を作るのは、またの機会にするとしよう。
「「「「……」」」」
それはそうと、なんだか腹が立ってきた。主に藤原のせいで。このままの状態では、誰かに当たってしまうかもしれない。なんとか、このイライラを解消せねば。
「そういえば、午後は体育でしたね」
「そうだね」
「確か、ソフトボールだっけ?」
「「「……」」」
この時、かぐや、早坂、眞妃は同じ事を考えた。
「ふっ!」
ズバンッ!!
「凄い!早坂の玉超早い!!」
「あれ何キロ出てるの!?」
「ふん!」
シュバッ!!
「四条さんの守備も凄い!!」
「どうやったらあんな動き出来る訳!?」
「はぁぁぁ!!」
カッキーン
「四宮さんホームランだ!!」
「それも凄い飛んでる!!」
午後の体育の授業。そこには、昼休みの鬱憤をソフトボールで晴らしている3人がいた。これなら、多少はスッキリするだろう。因みに男子は、体育館でバスケをしている。
「藤原。あの3人、何かあったのか?」
「さ、さぁ?私は知りませんねぇ…?」
その少し鬼気迫る様子を見ていた京佳の質問に、藤原は冷や汗を流しながら目をそらして答える。そして今度からは、あんな勝手な事言わないようにしようと固く誓うのであった。
でないと、次は自分があのボールにように怒りをぶつけられてしまうだろう。
「……!!」
ガリガリガリガリ
(なんか伊井野の奴、めっちゃノート取ってる…あいつ何があったんだ?)
同じ頃、伊井野は授業を力いっぱいしっかりノートに取ることで鬱憤を晴らしていた。なんとも、彼女らしい晴らし方である。
因みに私の両親は、父が通っていた飲み屋の店長の紹介で、母と知り合ったらしいです。そして友達は、最近マッチングアプリで彼女が出来ました。
あと、マッチングアプリは基本未成年は使えないので、ご注意を。
次回は、多分おふざけ回。その後に龍珠のデート回とかする予定です。
それでは、また。じゃあね。