もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
それはそうと、まだ少し暑い日が続く。来週から一気に気温が下がるらしいから、風邪には気をつけよう。あとそろそろ、衣替えの用意もしないとね。
今回は予告した通り、龍珠と小島のデート回。原作だとほぼモブな2人ですが、なんでか本作だと割と出番のある子らに。
それでは、どうぞ。
駅前 男子トイレ
(よし、身嗜みは大丈夫だな…!)
春うららな土曜日。この日小島は、かなり気合の入った格好で駅前まで来ていた。服装はグレーのシャツに、その上から黒いジャケットを羽織り、下はカーキー色のボトムズを履いて、足には青いスニーカーを履いている。更に今朝早く美容院に行って、髪型もちゃんと整えている。
小島がこれだけ気合の入った服装をしている理由。それは今日この後、龍珠と水族館デートをするからである。
元々顔が合えば喧嘩をしていた2人。それが今では、こうしてデートをするまでになっている。尤も、今はまだ小島の片思い。なので今日のデートで、必ず両思いになってみせる。仮に無理でも、龍珠を十分意識させて見せるというのが、今日の小島の目標だ。
「よし!行くぞ!!」
約束の時間の20分前だが、こういうのは男が先に待っているものだろう。小島は1度自分の両頬を両手で叩いて、気合を入れてトイレから出る。
駅前の集合場所には、沢山の人がいた。今日の自分のようにデートをしようとしているカップルや、仕事に向かっているであろうサラリーマン。笑いながら話している大学生や、どこか悟ったような雰囲気を出している老人。まさに土曜日の駅前というべき程、人が大勢いる。
そんな人混みの中に、小島は1輪の花を見つけた。
首元に黒いリボンのついた白いワンピース、その上からピンク色のカーディガン。靴はピンク色のローファーで、頭には白いベレー帽。そして手には、チョコレート色のハンドバック。顔も、普段はしないであろう化粧がしっかりとされてる。
そこには、まさに可憐ともいうべき美少女となった龍珠がいたのだ。
(え?女神?)
普段、制服姿しか見てない龍珠からは、全く想像できない可愛い姿。もうあの姿だけで、今日ここに来たかいがあったというものだ。出来ればあと3時間くらい、あの可愛い龍珠の姿を眺めていたいが、これ以上待たせるのは悪い。もったいないが、このまま龍珠と合流しよう。
(あいつらぁぁ!!ぜってー許さねぇぞ!!)
一方、テンションを上げている小島とは反対に、龍珠は肩を小さく震わせながら羞恥心で悶えそうになっていた。こんな気持ちになるなら、今日は体調不良という事にして、休めばよかったとさえ思っている。
当たり前だが、この服装は龍珠の私服では無い。これは全部、京佳と彼女の親友の恵美が見繕った服である。2人は、折角デートするのだから、何時も来ているパーカーでは勿体ないと言い、昨日龍珠をコーディネートしたのだ。
(マジでこんな、こんなヒラヒラした服を私に着せやがって…!いや嫌いでは無いけど、私には似合わねぇだろ!!)
ありがたいと思う反面、慣れてない服装なので凄く恥ずかしい。実際、ここに来てから周りも目線が凄く気になる。恐らく皆、似合ってないとか思って笑っているのだろう。法が無ければ、全員ぶっ飛ばしているところだ。
(それだけじゃねぇ!!下も落ち着かねぇ!)
更に龍珠が落ち着かない理由があるそれは、スカートの下に履いてある下着だ。
実は龍珠、今日かなり大人っぽい下着を履いている。別にこんなの履く趣味は無いのだが、京佳と恵美が履くべきとか言って、無理やり履かせてきたのだ。
ーーーーー
『待てこら!!何だそのパンツは!?別にそんなパンツ履く必要ないだろ!!』
『いやでも、見せるかもしれないだろ?その時のいつものじゃ恥ずかしい思いするし』
『ねぇから!!そんな事は絶対にねぇから!!』
『でも龍珠さん?こういうのは全部しっかりとするからいいんだよ?あれだよ。見えないところのお洒落ってやつ』
『だとしてもそんなパンツは履かねぇぞ!!』
『恵美』
『了解』
『何だお前!いきなり人を羽交い締めにして…!や、やめろーー!離せーー!!私にそんなの履かせるなーー!?』
『はいはい、あんよが上手ーってね』
『京佳、ついでに写真とって、もしそのパンツを脱いだらその写真を小島って人に送る事にしようよ』
『いいなそれ。やるか』
『てめぇマジでやめろ!!ぶっ殺すぞ!!やめ、やめてぇぇぇぇ!?』
ーーーーー
そんな感じに、龍珠は無理やり2人に着替えさせられているのだ。今思えば、あれはもう性犯罪だろうとか思ったりもしている。今度学校で京佳に会ったら、絶対に1発殴る。もしくは蹴る。じゃないと気がすまない。
因みに、普段なら大切なお嬢の身に危機が迫っている場合に駆けつける組員達だが、今回に限っては見て見ぬ振りをしている。
その理由は、龍珠の母が『今回の件は全部娘に任せるので手出し無用』と命令を出したからである。彼女は、自分の娘が今青春的な悩みを抱えているの理解していた。これは、親が手出していい事では無い。なので全部、娘とその友達に任せるとしたのだ。こういうのは、当人達で解決しないとダメだから。
(今からでも帰ろうかな…)
正直、もう帰りたい。元々小島を自分がどう思っているかを知る為の機会だったが、別に今日じゃなくてもいいだろう。今から帰って、家でゲームでもしよう。その方が、有意義だ。
「お、おはよう!龍珠!!」
「……おう」
しかしそう思った矢先、小島が現れてしまう。これではもう、帰れない。だってここで帰るのは、あまりに失礼だ。こうなったら、腹をくくろう。
「あ、あのさ龍珠!」
「んだよ…」
「いや、今日のお前すっげー可愛いな!」
「っ!?」
「えっとな、マジで俺そう思ってるから!お世辞とかじゃなくてさ!!」
「わかったわかった!そう大声で言うなって!!」
小島は、本心から龍珠を褒める。だって、本当に可愛いのだ。龍珠が好きだからというのもあるだろうが、それでも今日の龍珠はマジのマジで可愛い。こんな子とデートできるとか、日本中の男に自慢できるだろう。
(こいつっ!なんでそんな恥ずかしい事を言えるんだよ…!!)
そして小島の純粋な言葉は、龍珠にかなり効いていた。今までこんな風に、正面から素直に好意を向けられた事なんて殆ど無いので、そういった耐性が無いからだ。
(落ち着け私!こういうのは変に意識するとダメなんだ!っていうか、これで意識したら私がすっげーチョロイ女みたいじゃねーか!!そんなのは嫌だ!!)
だが龍珠は、小島の感想をなんとか耐える。これで照れるとか、普通にアレだから。そもそも、今日は自分が小島をどう思っているかを確認する為にデート。
しかしそのデートは、まだ始まってすらいない。なのに今ここで照れていたら、この先が思いやられる。言ってしまえば、勝負の前から負けた事になる。大体、自分は別に小島の事を好きじゃないのだ。だから照れるなんて、おかしい。
(兎に角だ!今日は絶対に、私がこいつを好きじゃ無いって証明してみせる!そのためのデートだ!!)
龍珠はそう自分に言い聞かせ、奮い立たせる。
「兎に角、行くぞ」
「ああ!わかった!」
「だから声がデカイって…」
そして小島と共に、水族館へと向かうのであった。
「ねぇ。今の子らさ」
「いいな。多分、初デートかなんかだろう。今度のネームのネタになりそう」
余談だが、その様子を偶然見ていた茶髪の男と眼鏡をかけた男は、良いもんを見たと思い、次に出版社に持ち込む漫画のネームを考えていた。
ソラール水族館
以前、京佳と白銀も遊びにいった水族館である。
「割と人いるな」
「そうだな」
そして案の定、休日なのもあって、結構な人混みだ。
「なぁ龍珠。そのさ、こんな人混みだから、その」
「行くぞ」
「あ、うっす」
小島は、なんとかこの気に龍珠と手を繋ごうと思ったが、龍珠はそれを阻止。さっさと受付窓口の列に、並んでしまう。
(少し、強引だったかな?ここはもう少し落ち着いて、がっつかないようにしないとな)
それを小島は、自分が少し強引であったと思う。思春期の男子なんて、こういった事にはかなり強引になったりするもの。でもそれは、女子には普通に嫌がれたりする。もう少し冷静になり、紳士的になろうと小島は反省した。
(あいつ今、何言おうとしたんだ?ま、いっか)
尚龍珠は、単純の小島のそういった思惑に気がついていないだけだったりする。
「にしても、マジで人多いな」
「まぁ、ここかなり人気の水族館らしいしな」
並んでいる時、2人は会話をする。流石に無言でずっといる事は、出来ないからだ。単純に、なんだか気まずいし。
「そういえば龍珠。お前ってさ、卒業後の進路ってどうするんだ?」
「…今は、大学に行かずに、そのまま家を継ごうって思ってる。パ…父さんからは、別にそんな事しなくていいって言われてるけどな」
「そうなのか?」
「まぁ、言ってしまえば反社会的組織に身を置く事になるんだからな。親としては、子供には普通の仕事について欲しいってところだろ。今どき、自分の子供が組を次ぐのも時代遅れな部分あるしな。実際、知り合いの大判組ってとこの会長は、娘には組とは全然関係無い堅気の暮らしをさせてるっていうぞ。それでも、偶に連絡取り合っているらしいけど」
「そうか…まぁ、そうだよな…」
会話中、そういった卒業後の進路の話題も口にした。だがそれは、小島にとっては正直望ましくない進路である。なんせ自分は、学校卒業後は警察学校に行く予定。そうなれば、もう龍珠と会う事は出来ない。
そもそもが、警察とヤクザという相反する組織に身を置いているのだ。一緒になるなんて、普通は無理である。
(その事も、考えないとな。でも、今は後だ)
いずれは、その辺の未来の事も考えないといけない。しかし、今は先ず今日のデートである。眼の前の事に集中してこそ、未来への事も考える事が出来るのだから。
「いらっしゃいませ。お2人ですか?」
「はい、そうです」
それから暫く並んでいると、ようやく自分達の番になった。
「カップルでしょうか?」
「!?」
受付の係員の一言に、驚愕する2人。壁に書かれている値段表を見てみると、カップル割なるものがあった。
(いや待て!これはチャンスじゃないのか!?)
ここで小島は、一瞬で考える。ここでカップルというのは、簡単だ。入園料が安くなるし、何よりもしかすると龍珠が自分を意識するかもしれない。しかしそれは、龍珠に不快な思いをさせてしまう可能性もある。
(いや!ここは行くべきだ!)
しかし小島、そのリスクを背負ってでもここはカップルというべきだと判断。そもそもリスクを恐れてばかりでは、何も出来ない。だからこそ、言う。
「は「違います」あ、違うっす」
でもその前に、龍珠が否定してしまった。これではもう、恋人ですなんて言えない。残念だ。
「そうですか。ではこちらの料金をお支払いください」
「ここは、俺が出すよ…」
「そうか」
出鼻をくじかれた気がするが、まだ始まったばかり。勝負はここからだ。落ち着いて、冷静に事に当たるとしよう。
「それでは、どうぞお楽しみに」
「行くぞ」
「わかった」
そしてようやく、水族館デートが幕を開けたのである。
「おお、すげぇ!イワシがいっぱいだ!!」
「そんなにはしゃぐなよ、ガキかてめぇ…」
水族館に入り、2人は中を見て回る。水槽に入った沢山の魚を見ていると、なんだか落ち着く。実際今2人の間には、特にギスギスした空気が無い。多分水族館という環境のおかげだろう。
「おい龍珠!あっちには伊勢海老がいるぞ!」
「だから落ち着け。お前マジで何歳だよ…」
「いやごめん。思えばさ、こういう場所に来た事なくて…」
「あ?そうなのか?」
「父さんも母さんも忙しかったからな」
おまけに実は、小島は水族館初体験であった。両親はずっと仕事で忙しく、自分自身も部活で土日もずっと練習漬け。そんな日々ばかりだったので、こういった場所に行った事が無かったのである。
「そうか。私と一緒だな」
「え?そうなのか?」
「ああ。うちもそっちと同じで、色々と仕事が急がしかったからな。でもまぁ、昔家族3人で動物園には行ったよ」
そして龍珠も、水族館は初めてだったりする。まぁ、彼女の場合は親が仕事で忙しいというのと、法的に親とはあまりこういう場所にこれないというのがあるのだが。おのれ暴対法。
「そうか。俺達、結構共通点あるみたいだな」
「………………おう」
「間あるんだけど」
なんだか、そう言われると恥ずかしい。何故だか、恥ずかしい。おまけに、心臓が凄くうるさい。
(いやちげーし!!別に共通点あって嬉しいとか思って無いし!!そんなんじゃ無いし!!)
その実、自分が嬉しいと思っているのを必死で誤魔化す龍珠。何度も言ってるが、別に自分は小島の事なんて好きじゃない。じゃあ一体、この心臓の音は何なのだろうか。
「あー、私ちょっと1回お手洗い行ってくるわ」
「わかった。じゃあ、そこの自販機で待ってる」
このままでは、どこかで変な事になりそうだ。1度小島から離れて、冷静になろう。そして龍珠は、女トイレの個室に入り、深呼吸をする。
(私、マジでどうしたんだってんだ…)
自分の気持ちを確認する為とはいえ、水族館に入ってからドキドキっしっぱなしな気がする。
(やっぱり私は、あいつが…)
これはもう、自分が小島に恋をしているからとしか思えない。そうじゃないと、こんな風にドキドキしないだろう。
(だから違うって!!これはアレだ!初めて異性と2人きりで遊んでいるから変に意識しているからだ!!そんなんじゃねぇ!!)
しかし龍珠は、頑なにそれを認めない。認めたら、なんか負けた気分になるからだ。あと単純に、気に食わない。
(兎に角だ!なんとか今日を過ごす!そして私が別にあいつの事を、好きでも何でも無いって事を証明してやる!!)
なので龍珠は、それをハッキリと否定するために頑張る。そしてトイレから出ようとした。
「……」
しかしその時ふと、今日自分が履いている大人っぽい下着に目をやる。普段は絶対に履かない、言ってしまえばえっちな感じの下着だ。ついでに言うと、ブラとお揃いのデザインである。
(これを見たら、あいつは喜んだり…って違う!!何考えてるんだ私は!!そんなの痴女じゃねーか!!)
かつて、似たような事を京佳に言ったような気もするが、あれは撤回しよう。自分がその番になると、すっごい恥ずかしい。それに、自分がそんな事を少しでも思った事が恥ずかしい。
(マジで1回、冷水でも浴びた方がいいかもな…)
龍珠は自分の舌を思いっきり噛んで冷静さを取り戻し、トイレを出るのであった。
そしてトイレを出て自販機の置いている場所に行った龍珠が見たのは、
「ねぇねぇ君ぃ~。暇なら、お姉さんと一緒に回らない~?一緒に来た子が、なんかいつの間にかいなくてさ~」
「いえすみません。俺今日は既に別の子と一緒に来ているので」
「そんな事言わずにさぁ~ひっく。こっちも暇なのよ~。だから、ね?」
「いやお断りします。というか、酒臭いですけど…」
なんか、逆ナンされている小島がいた。
逆ナンしている人は結構露出の激しい格好をして、何故か下駄を履いている女性。見た感じ、大学生だろうか。あと、肩を結構出していて割と色気が出ている。男なら、結構好きそうな格好だ。何でか酔っているようだが、そんなのは別にいい。
(あの野郎…人をデートに誘っておいて、何普通に逆ナンされてんだ…)
今問題なのは、小島が逆ナンされているという事だ。自分とデートしている最中なのに、普通に逆ナンされている。あんなの、さっさとその場を離れるか、相手にせず無視するべきだろうに。そして龍珠は、不機嫌そうに小島の元まで行く。
「おいこら」
「あ!龍珠!これは違うぞ!」
「ん~~?誰ぇ?君ぃ~?」
逆ナンしている女性は、明らかに酔っている。でもそんな事、龍珠には関係無い。
「こいつは、私の連れだ。帰れ」
なのではっきりと、女性に拒絶を示す言葉を放つ。
「ありゃりゃ。怒らせちゃったねぇ~。じゃあ、ばいば~い」
その龍珠の態度に察するものがあったのか、女性はその場をヘラヘラしながら離れていく。
「あ!いた!ちょっと姉さん!何してるんですか!!」
「あー、いたー。どこ行ってたの~?」
「お手洗い行ってくるって言ったじゃないですか!!」
因みにその女性は、その後直ぐに連れと思われる女の子と共にどこかへ消えていった。
「すまん龍珠!もっとはっきり断ればよかった!!」
そして女性が去った後、小島は直ぐに龍珠に頭を下げて謝罪する。人がデートしているのに、あれは無い。もっときっぱりと断ればよかった。
「本当だぞお前。お前から誘ってきたのに、何してるんだ?あ?」
「本当に、すまない…」
龍珠は、明らかに不機嫌になっている。これはもう、終わりだ。折角デートに誘えたのに、これは無い。多分このまま、龍珠は帰るだろう。これでもう、自分のデートはおしまいだ。
「罰として、今日の昼奢れ」
「え?」
「それでチャラにしてやる」
しかし龍珠は、お昼ご飯を奢るだけて許すと言った。
「お、おお!!わかった!何でも奢る!!腹いっぱいになるまでな!!」
「いやそこまではいいよ。ここにあるレストランでいいから」
「わかった!じゃあ今直ぐいくか!!」
「まだ早いだろ。落ち着け」
小島は、響喜乱舞した。これでまだまだ、デートを進められる。つまり、龍珠と一緒にいられる。普段は祈らない神様に、今なら全力で祈れる。神様、ありがとう。
「いくぞ」
「ああ!」
そして2人は、そのまま水族館を進んでいく。
その後も、2人は色々見て回った。某映画で有名になった熱帯魚や、人食いで有名だが実際は凄い臆病なピラニア、そして東京湾にも生息している食べたら美味しい魚など。そういった魚を、沢山見て回った。
「ここは、アシカのショーをやってる場所か」
「そうみたいだな。丁度今、ショーをやってるみたいだぞ」
そして一通り見て回った2人が次に来たのが、アシカのショーをしている会場だ。しかし残念ながら、今丁度ショーをしているので、入る事が出来ないらしい。時間通りに進んでいるのなら、もうすぐ終わるみたいだが。
「見るか?」
「どうせならな」
「なら、ここで待とうか」
「ああ」
実は結構可愛いものが好きな龍珠は、折角だからそのアシカのショーも見てみたい。なのでその場で、立ったまま待つ事にした。因みに周りには、自分達を同じように、次のショーを待っている人が大勢いる。
「そういえばお前、今年も都大会出るのか?」
「勿論だ。今年こそ、全国優勝を目指す」
「まぁ、去年は都大会優勝してるしな。その目標は妥当か」
「ああ。でも、関西にマジで強い子がいるんだよなぁ。去年はその子に負けたし」
「男ならリベンジしろよ」
「そのつもりだけど、マジで強いんだって…その子が去年全国優勝したし」
待っている間、その場で話す2人。その様子は、端から見れば完全にデート中の恋人だ。
(思えば、こいつとこうやって話す機会、無かったよな)
そして龍珠は、話ながらそんな事を考える。
去年の文化祭までは、顔を合わせれば喧嘩ばかりの間柄だった2人。しかし思えば、お互いが警察とヤクザというだけで、色々と喧嘩をしていたような気もする。つまり、ちゃんと話した事なんて無かったのだ。
(案外こいつ、普通だよな…それに修学旅行では、私を助けてくれたし…)
やはり小島は結構、いやかなり良い人なのだろう。本当に、今までずっと敵対していたのが馬鹿らしくなるくいには。
「え?」
そんな事を思っていると、突然ショーをやっている会場の扉が開いた。そしてそこから、大勢の人が出てくる。
「うわっ!?ちょっと!!?」
その人混みに、龍珠は巻き込まれてしまう。この日は土曜日だったのと、今日はアシカのロスリくんとローリアくんが新しい技である二人羽織を披露するとあって、かなりの人がアシカのショーを見に来ていたせいだ。普段なら、ここまで人は多くない。
(マズっ!)
このままでは、人混みのせいで転けてしまうかもしれない。何時もなら適当にボコってどかすが、流石に一般人相手にはそんな事も出来ない。
そう思った時だ。
ガシッ
「え?」
「大丈夫か!?龍珠!?」
龍珠の手を、小島がしっかりと掴んだのだ。
「怪我とかないか!?」
「あ、ああ。特には…」
「そうか。良かった…」
龍珠が怪我をしていない事に、小島は安堵。そして自分が龍珠の手を掴んで、いや握っている事に気がつく。
「す、すまん!咄嗟にとは言え、手を掴んで!!」
小島は直ぐに、龍珠から手を離そうとする。
「別に、いい」
「え?」
しかし龍珠は、特に嫌がる様子は無く、逆に小島の手を握り返しながら言う。
「今日は結構な人混みだから、このまま迷子になったら面倒だろ…だから、このままでいい…」
このまま、手を繋いだ状態でいいと。
「お、おう!わかった!!じゃあ、このままだな!!」
「だから、声大きいって…」
「あ、ごめん…」
龍珠の発言に小島はテンションを上げるが、直ぐに冷静になる。
(龍珠の手、柔らかい…)
でも心臓は、もうすっごくうるさかった。
(こいつ、結構ゴツゴツした手してんだな…)
そして龍珠も、かなり心臓をうるさくしていた。その後お互い、顔を赤くしながら、何も言わずにアシカのショーを見る為に席に座る。
アシカのショーの最中も、2人が手を離す事は無かった。
龍珠の服装は、冴え○ノの加○恵の服装です。あれいいよね。詳しくは検索してください。
そして書いてて思ったけど、これもう龍珠落ちてるみたいだよね。因みに次回で、デート編はさくっと終わりの予定です。
そしてそろそろ、この作品も締めくくる為に最後の展開をしなくては。今更かもだけど、いつまでもダラダラするのは良くないしね。
それじゃ、また次回。じゃあね。