もしもかぐやに滅茶苦茶強力な恋敵がいたら・・・ 作:ゾキラファス
そして今回はちょっとだけ京佳さんがリードしている部分があります。
それと、感想や評価、本当にありがとうございます!本当に励みになります!
「でかいな…」
「ほんとにおっきいですねー」
「おっきい…」
「だねー圭ちゃん。そそり立っているって感じだよー」
「近くでみると大きさに圧倒されますね」
「ほんとだよねー。こんなに大きいなんてビックリしちゃうよー」
(会長…あれ態とですかね?)
(言うな石上…セクハラだと何だと言われるぞ…)
白銀達は今、園内中央の広場に設置されている『サ〇ーンロケット実寸大精巧模型』の前まで来ていた。その大きさ、およそ100メートル。平成の某怪獣王とほぼ同じ位の大きさである。というか、ここまで大きいと風や地震で倒れないか心配だ。
そして女子達はそれを見た感想を言っているのだが、男子2人にはやや卑猥に聞こえていた。
「じゃあ、写真撮りましょうか」
「だな」
写真を撮ろうとスマホを取り出す石上と白銀。そんな時、藤原が謎の提案をしてきた。
「会長!先ずは女子!その次に男子!そして最後は全員で撮るって感じでどうですか!?」
「いや何だその面倒なやり方は」
「いいじゃないですかー!数パターン撮った方が色々と便利なんですよー!」
「便利ってなんだよ」
白銀は藤原のよくわからない提案にツッコミを入れた。
「いいじゃないか白銀。折角皆で遊びに来ているんだ。写真は多いに越したことは無いだろう?」
「まぁ、それもわからなく無いが…」
京佳が白銀の説得を開始する。最も、その説得には裏があったりするのだが。
「別にいいじゃんおにぃ。そもそもおにぃと一緒に写真撮るとかキモイし」
「あの圭ちゃん?流石に俺も泣くよ?」
「圭、あまりそういう言い方をするものではないぞ?」
「う、はい…」
(うん?)
圭の発言を優しく叱る京佳。そしてそれを見ていたかぐやは、少し違和感を覚えた。
「さぁ!さぁ!先ずは女子だけで写真を撮りましょう!!」
「ちょ、ちょっと藤原さん!ひっぱらないで…!」
しかし藤原に手をひかれたので、その違和感の正体を考える事が出来なくなった。
「んじゃ撮るぞー」
「はいみんな!ピースですよ!ピース!!」
「そうそう!ほらほらかぐやちゃんと圭ちゃんも!!ほら!ピース!」
白銀がスマホをかざし、それに合わせて女子6人が両手もしくは片手でピースサインを作る。
こういった事に慣れていないのか、かぐやは少し恥ずかしそうにしていた。
そして白銀が女子の集合写真を撮り終えたら、次は藤原が白銀と石上の2人をロケットも収まるような場所に立たせて写真を撮った。
(石上くんが羨ましいですね…会長とのツーショット写真だなんて…)
白銀と石上がツーショットを撮っている光景を、かぐやは少し嫉妬の混ざった眼差しで見ていた。そんな時、
「白銀、次は私と2人で写真を撮らないか?」
「!?」
京佳が白銀とのツーショット写真を撮る為仕掛けてきた。
「え?俺とか?」
「ああ、こうして生徒会が遊びに行くことなどそうそう無いだろう?だから思い出として1枚欲しいんだ。いいか?」
「ああ、別に構わないぞ」
「それじゃすまないが石上、私のスマホで写真を撮ってくれ」
「はい、いいですよ」
京佳が石上に自分のスマホを渡し、白銀の隣に結構近い距離で立つ。
「ほら白銀。もう少し近づいてくれ」
「おう」
「それじゃあ撮りますよー。はいチーズ」
カシャ
そして石上が写真を撮り、京佳は白銀とのツーショット写真を手に入れた。
「ありがとう2人共。この写真は大切にするよ」
石上からスマホを返してもらった京佳は、画面に映った写真を見て、笑顔でそう言った。
(ほら、かぐや様。ここで『私も一緒に』って言わないと、白銀会長とのツーショットなんてもう未来永劫手に入りませんよ?)
(そんな事自分から言える訳ないじゃない!!)
(本当いい加減にしましょうよ?)
早坂がかぐやに耳打ちをし、動くように促すが、かぐやは動かない。そこで早坂は、更なる発破を掛けた。
(立花さんに、白銀会長取られてもいいんですか?)
(!?)
かぐやにとっては、発破というかもう脅しだった。流石にこれが効いたのか、かぐやは白銀に近づき始めた。
「あの、会長」
「ん?何だ四宮?」
「私も…一緒に…」
「じゃあ次は私とかぐやさんでツーショット撮りますねー!」
「え!?」
しかしここで藤原が横から乱入。そして妹の萌葉に自分のスマホを渡し、かぐやの手を取り歩いて行った。
「さぁさぁかぐやさん!行きましょう!最高の思い出を作りに!!」
(もぉぉぉ!!折角勇気振り絞って言う所だったのにー!!)
結局白銀とのツーショット写真を手に入れる事は出来なかった。その後、集合写真は手に入れる事ができたので一応それなりに満足はしたのだが。
「会長、そろそろお昼にしませんか?」
「そうだな。丁度昼時だし」
写真を撮り終えた一行は、昼食を取る事にし、そのままフードエリアへ歩いて行き、たまたま目に着いた、妙な宇宙人が描かれている看板が付いているファミレスに入っていった。偶然空いていたのか、8人は直ぐに席に案内され、座る事が出来た。
因みに席順は、左側がかぐや、萌葉、千花、早坂で、机を挟んだ右側が、白銀、石上、立花、圭である。
「こういったところに入るのは、初めてですね」
「じゃあ私が色々と教えてあげるよかぐやちゃん!」
「え?萌葉さんがですか…?」
「うん!まずはこのメニューから食べたいものを選んで…」
手に取ったメニューを見せながらかぐやに色々と教える藤原の妹の萌葉。
(どうせなら会長に教えて貰いたかった…)
かぐやは折角教えてもらうなら、机に反対側に座っている白銀に教えて貰いたいと思っていた。
その理由は色々あるが、1番の理由が萌葉である。かぐやは、萌葉が苦手なのだ。
「このオムライスとか美味しそうだよね~。かぐやちゃんごと一緒に食べちゃいたい!」
「え?あ、はい…そうですか…」
いちいち怖い事を言うから。
「あの、京佳さんはどれがいいですか?」
「そうだな。私はこのエビフライセットがいいな」
「あ、それ美味しそう…じゃあ私もそれで」
「大丈夫か?圭は小食だろ?こっちのミニハンバーグランチのほうがいいんじゃないか?」
「あー、それもそうですね。だったら私はそれにします」
(ん?)
そんな時、かぐやは写真を撮っていた時にも覚えた違和感を再び感じ取った。かぐやから見て、反対の席の右奥に座っている京佳と圭。この2人が、妙に距離が近く見えるのだ。
(おかしいですね。2人は今日が初対面の筈なのに…いえ、まさか…!)
かぐやは始めて圭と会った日の事、圭は既に藤原と知り合いだった事を思い出した。もしかすると、京佳もそうなのではないかという疑問がかぐやの頭の中を支配しようとしていた。
(いえいえ、考えすぎです。そんな偶然そうそうある訳ありません。恐らくただただ偶然、馬が合ったというだけでしょう…もしくは集合場所に来るまでに仲良くなったという感じでしょう…)
しかし冷静になりその考えを直ぐに取り払った。だが、
「あれー?京佳さんと圭ちゃんってもしかして知り合いでしたかー?」
藤原がかぐやと同じ事を思ったのか、京佳と圭に直接質問をした。
「ああ、そうだよ。大体1年くらい前から知り合いだな」
「そうですね。京佳さんとは去年の梅雨前くらいに初めて会ったから、もうそれくらいですかね」
「ええー!?それならそうだって言って下さいよー!」
「いや、わざわざ言う事もないんじゃないか?」
そして、質問の答えは肯定だった。その答えを聞いた早坂が、藤原に続いて質問をする。
「ねぇねぇ、京佳はさ、どうやって会長の妹ちゃんと知り合ったのー?」
「ああ、去年、白銀の家に何度かお邪魔することがあってな。その時に」
(はぁぁぁぁぁ!?)
「ええ!?京佳さんって会長の家に何度も行った事があるんですか!?」
「ふふ、まぁな。詳しくは秘密だが」
「お、おい!立花!変な言い方をするな!あれは色々と用事があったからうちに来たって話じゃないか!」
「はは、そうだったな。すまなかった」
衝撃の事実である。何と、京佳は既に白銀家に何度も行った事があるというのだ。
(会長の家に行った事があるですって!?何ですかそれは!?私聞いてませんよ!?)
かぐやにとって初めて聞く事実。そしてかぐやは想像する。白銀家で白銀や妹の圭、前に電話で話した白銀の父親と仲良くする京佳の姿を。
―――――
『全く、まるで2人は本当に姉妹みたいに仲良しだな』
『だって本当の姉妹になるかもなんだもーん』
『ははは、確かに。こんな美人が娘になるのなら私は大歓迎だぞ』
『え?お義父さん、それは…』
『いっそこのままうちの子になるか?京佳ちゃん?』
『は、はい!こちらこそ、よろしくお願いします!』
『ふむ、ならば名前の呼び方を変えた方がいいな』
『じゃ、じゃあ…御行?』
『なんだ?京佳?』
『ふふ、2人共まるで夫婦みたいだね』
―――――
それは少し前に自分が夢見た光景である。そんな妄想を終えたかぐやの目からハイライトが消え、やはりこの女も略奪者であるという目に変わった。
(ああ、立花さん…やはりあなたもですか…あなたも私が欲しくて止まないものを片っ端から奪っていくんですね…)
その後、頼んだ料理が来たので、それらを皆で食べたのだが、かぐやだけは料理の味を薄く感じていた。
食事を終えた8人は、園内のとある施設にきていた。『ギャラクシーワールド』内には、アトラクションだけでは無く、宇宙船で使われた道具のレプリカを手に取ったり、実物大の月面調査機のレプリカに乗れる施設がある。そして白銀がそれに興味を示したので、皆でその施設に来ていたのだ。
白銀と石上の2人が、実物大のア〇ロ宇宙船のレプリカの操縦席に乗り込んでテンションを爆上げている頃、かぐやは施設内の端にある『宇宙服博物館』で宇宙服のレプリカをガラス越しにぼーっとした顔で見ていた。
「かぐや様、楽しんでますか?」
そんなかぐやに、早坂が話しかける。
「ええ。大丈夫。大丈夫よ…楽しんでるわよ…」
「とてもそうは見えないんですが…」
かぐやの声には覇気がない。本来なら、白銀の妹である圭とこの期に仲良くなろうとしていたのに、既に京佳が圭とかなり距離を縮めていた事を知ったのだ。かぐやにとってはかなりの衝撃であり、意気消沈するには十分だった。まるで戦う前から勝敗は決していたような感じである。
(このままだと色々とマズイですね…)
早坂はかぐやの従者である。本人にしても、何とか白銀との恋を成就してもらいたい。最も、その本心は『両想いなんだからさっさと告白してくっつけ。そして私をその面倒臭い自称恋愛頭脳戦から解放しろ』なのだが。
しかし、今のかぐやでは白銀とも、その妹である圭とも進展することは無いだろう。そこで早坂はある提案をすることにした。
「かぐや様、提案があります」
「提案?」
「恐らくですが、藤原さん辺りから最後は観覧車に乗ろうと提案してくるはずです」
「え?なんで?」
「こういう時は、最後は観覧車に乗るものだと決まっているんですよ」
「……そうなの?」
「その疑惑の目を辞めてください。普通は大体そうなんですよ。もし仮にそうならなくても、私が何とか観覧車へ行くよう調整してみせるので、観覧車に白銀会長と2人きりで乗ってください」
「ふ、ふたりっきり!?」
「はい、観覧車のゴンドラで2人きり、そしてそこから見える綺麗な景色。これだけのシチュエーションが揃えば白銀会長のほうから告白をしてくる筈ですよ。そしてそのまま、妹さんとも仲良くなれるかと」
かなり乙女思考に偏っているが、早坂のこの考えはあながち的外れという訳ではない。実際、白銀は結構なロマンチストである。その白銀ならば、観覧車で告白という事もありえなくはないのだ。そんな早坂からの提案を聞いたかぐやは、
「ま、まぁそうね?もしも会長の方から一緒のゴンドラに乗ってくれと言うのであれば乗らないこともないわよ?」
「ほんといいかげんにしてくださいよ。流石に怒りますよ?」
いつものように素直にならないでいた。流石の早坂もキレそうになった。
「立花さんと白銀会長が2人きりで観覧車に乗ってもいいんですか?」
「…………」
「もしそうなったら、立花さんは白銀会長との距離を一気に縮めると思いますよ?」
「…………」
「そしてそのまま進展して、夏休みが明ける頃には恋人同士になってるかもしれませんよ?」
「…………やるわ」
「はい、よろしい」
「でも勘違いしないでよね早坂!これは決して私が会長と2人きりで観覧車に乗りたい訳じゃなくて、早坂がどうしてもというから仕方なく!そう!仕方なく会長と観覧車に乗るだけなんだからね!?」
「あーはいはい。それでいいですよもう」
こうして、早坂の提案を受けたかぐやは、白銀と一緒に観覧車に乗る事を決意した。
おまけ テンション爆上げ中の白銀と石上
「やっべぇこれ!なんかよくはわからんけどすっげー楽しい!」
「はい会長!僕もすっごい楽しいです!操縦席ってテンション上がりますね!」
「だな!いっそこれでこのまま宇宙まで行きたいな石上!」
「ですね!そして新しい星とか発見したいです!」
「いいなそれ!よし!このまま行くか!」
「はい!」
「お2人共―?後ろの順番待ちの子供達が居るってこと忘れてませんかー?」
「本当に恥ずかしい…本当に…」
「流石に少しは静かにしたほうがいいぞ2人共。周りの人達が驚いている」
「あはは。子供みたーい」
観覧車当たりの話は一応形にしてるけど、めっちゃ長くなりそうだったのでキリのいいここで切りました。次回こそはちゃんと遊園地編終わらせます。
本当に物語を作るのは難しいって思います。プロの作家さんとか漫画家さんとかマジで凄い。
そして次回はもしかすると遅れるかも。C〇Dの新作が出るんだよ…